新型コロナウイルスの感染が広がる中で、公立・公的病院の役割が一層重要となり、感染症対策の充実が求められています。中庭次男水戸市議は、3月17日の3月定例水戸市議会の一般質問で、公立・公的病院の統廃合の計画の中止、国家公務員共済組合連合会水府病院の廃止に反対を主張しました。質問と答弁は下記の通りです。

[中庭質問]

国の公立・公的病院の統廃合の計画の中止と地域医療の充実のため水府病院の存続を求めて質問いたします。
厚生労働省は昨年9月,全国の424の公立・公的病院の統廃合を含む地域医療再編構想を発表しました。
茨城県内では4つの病院、水戸市では国家公務員共済組合連合会水府病院が統廃合の対象とされています。4つの病院には事前に何の通知もなく,国が突然発表したものであり,全国的にも大きな批判が出されています。
新型コロナウイルス対策でも地域医療体制の充実が求められています。
イタリアでは新型コロナウィルスの感染者が25,000人を超え、猛威をふるっておりますが、その原因の一つに医療体制の弱体化が指摘されております。この5年間でイタリアでは760の病院が閉鎖され、5万人の医療従事者が削減されました。そのため感染しても十分な医療が受けられないため、感染がひろがったと報道されました。
日本においてもこの10年間で,全国の公立・公的病院の1割の94病院が削減され,ベッド数も2万1,000床が削減されました。今回の地域医療再編構想で病院の統廃合を進めれば,地域医療体制の弱体化、ひいては感染症対策の弱体化は避けられません。
公立・公的病院の統廃合を進めることは,大病院への患者の集中,医師の長時間過密労働の増加,医師確保の足かせとなりかねません。
水府病院はこれまで68年にわたり地域医療に貢献し、内科,外科,整形外科など6科目の診療科目をもち、139床がある水戸市の医療機関として、重要な役割を果たしてきました。昨年4月からは地域包括ケア病棟(回復病棟)を増やし、在宅復帰にむけた病院としても地域医療に貢献をしています。赤塚駅に隣接し交通の便もよく、多くの市民は今後も存続することを願っています。
水戸市としても市民の健康と命を守るためにも、国に対し水府病院の廃止に反対し、地域医療の充実を申入れる考えはないのか、答弁を求めます。

保険福祉部長の答弁

中庭議員の一般質問のうち,医療行政として公立・公的病院の統廃合を進める計画についての御質問にお答えいたします。
団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据え,効率的な医療提供体制の構築を目指して都道府県が策定した地域医療構想を進めるため,昨年9月,厚生労働省は,診療実績が特に少ないなどと評価した公立・公的医療機関等について,再編・統合の議論が必要と判断し,それらの医療機関名を公表しました。本市においては,国家公務員共済組合連合会水府病院が該当となり,2025年時点の機能,病床数,担うべき役割について病院が検証し,その結果を地域医療構想調整会議において協議することとされております。
この突然の公表については,全国において公立・公的医療機関等が再編・統合され,なくなるのではなどと受け止められ,当該病院の関係者のみならず,地域住民も含め,大変な驚きと不安が広がるなど,混乱と反発を呼びました。その後,国は,「発表は唐突で問題があった。各地で議論してもらうための材料で,必ずしも強制するものではない。」として,地方におけるさらなる協議について要請しております。
この公表を受け,県からの意見照会において,「公立・公的医療機関等は,二次救急など地域において必要とされる医療を担っている。全国一律の基準により評価するべきではなく,地域の意見を十分に聞きながら,議論を進めていただきたい」旨の回答をしたところであり,今後とも,地域医療構想の実現を丁寧に進めるよう国や県に働きかけてまいります。
将来にわたって持続可能な水戸地域の医療提供体制を構築することは,市民の安心,安全を守る上で必要不可欠であると考えており,引き続きそれらを担う市内の公的医療機関等の支援に努めてまいります。