中庭次男議員は12月水戸市議会の代表質問で、東海第二原発は20年の運転延長は反対であり、廃炉にすることを主張しました。以下はその質問と高橋靖市長の答弁です。

中庭議員の質問

日本原電は11月24日、原子力規制委員会に東海第二原発の20年運転延長を申請しました。しかし、東海第二原発は原発事故をおこした福島原発と同じ旧式の「沸騰水型」であり、東日本大震災で被災した原発でもあります。法律で運転開始から40年で廃炉にするとさだめなから、20年延長を行うのは許せません。

日本共産党茨城県委員会は11月24日、運転延長申請に抗議し、再稼働断念を求める申し入れ書を原電に提出しました。私はこの申し入れに参加し、原電が1,740億円をかけてまで、再稼働するのは絶対に反対だと主張しました。

原電は原発事業者に義務付けられている廃炉積立金1800億円を原発の新設などのため、大半をすでに流用したことは許せません。

この流用した費用は結局、電気料金や税金などに上乗せされ、国民の負担とされることは明らかであり、認められません。

東海第二原発は周辺30㎞圏内に96万人がすみ、全国でもっとも人口が多い地域に立地し、過酷事故になった場合、避難は不可能であります。

原電は20年運転延長申請が再稼働につながるものではないと表明していますが、全くの詭弁です。

〔市長答弁〕

原子力行政についてお答えいたします。

本市においては,市の全域が,東海第二発電所から30キロメートル圏内,いわゆるUPZに含まれていることから,発電所の万が一の事故に備え,総合的な原子力防災の強化に取り組んでいるところであります。

私は,使用済み核燃料が現存するなど,東海第二発電所に災害リスクがある以上,発電所を巡る環境が如何なる状況であろうとも,市民27万人の生命と財産を守ることを最優先に考えて取り組むことが私の使命と認識しており,今後も継続して,実効性ある広域避難計画の策定をはじめとする各種安全対策に重点的に取り組んでまいります。

運転期間延長の申請につきましては,私は,この申請は,日本原電が,東海第二発電所の経年劣化の状況に係る施設・設備の安全性について,国の審査を受けるものであり,安全審査に加えて,法令で定められた事務手続きの一つであると認識しておりますが,市民目線で考えれば,延長申請は,発電所の今後に関する重要な事項であります。

そのため,原子力所在地域首長懇談会において,今回の延長申請が,再稼働とは直結しないことを日本原電と確約するとともに,市民に対し,しっかりと説明するよう,求めたところであります。

再稼働の議論につきましては,延長申請等とは,別次元で判断されるものであり,原子力規制委員会の新規制基準に適合することはもちろんのこと,安全協定の見直し,そして,全ての市民の安全な避難に向けた実効性のある広域避難計画が策定されない限りは,有り得ないものであります。

その上で,私は,市民の安心で安全な暮らしを守っていく使命がありますので,多くの市民の声を十分考慮しながら,自分たちのまちは,自分たちで守るという観点から,厳しく判断してまいります。

〔中庭質問、安全協定の見直しについて〕

原電は11月22日、水戸市など5市に対し安全協定の見直しを表明しましたが、その内容は公表されず、会合も非公開です。

市長は今回の安全協定の見直しは前進だと評価していますが、本当にそうだと言えるでしょうか。特に事前了解権は、県や東海村と結んでいる協定書と同等なものなのか、それは再稼働のための工事着工前の権利なのか、あるいは工事や検査完了後の権利なのかは不明です。同意しない首長が一人でもいれば、再稼働ができないと協定書に明記すべきでありますが、いかがでしょうか。

報道でも新協定案はあいまいな部分があるとされています。協議内容は公開し、新協定案を公表して市民の意見を求めるべきでありますが、いかがでしょうか。問題は市長が再稼働についてどのような態度をとるかであります。

8月の県知事選挙の出口調査でも再稼働反対は76%と圧倒的であり、高橋市長が運転延長と再稼働にキッパリと反対を表明することを求めますが、いかがでしょうか。

〔市長答弁〕

次に,安全協定の見直しについて,お答えいたします。

平成23年に発生した福島第一原子力発電所の事故は,広範囲に,放射性物質が飛散し,半径20キロメートルを超える範囲の住民に避難指示が発令されました。

その教訓を踏まえれば,東海第二発電所の安全対策については,立地自治体である東海村だけではなく,発電所から一定の距離に位置する自治体を所在地域と捉え,連携した安全対策に取り組んでいく必要性がございます。そのため,発電所周辺の6自治体で原子力所在地域首長懇談会を立ち上げ,日本原電に対し,発電所の再稼働に対する事前了解の権限拡大をはじめとする事項について,安全協定を見直すよう,平成24年7月以降,繰り返し,要請してきたところでございます。

その最終的な回答が,先月開催された原子力所在地域首長懇談会において,日本原電から示され,私たちの要請が基本的に認められたところであります。

具体的には,日本原電が再稼働の判断をした際には,6市村それぞれが事前協議を求めることができ,全ての首長が納得するまで,その協議を継続すること,そして,6市村全てが,現行の安全協定と同様の権限となる,実質的な事前了解の権限を得ることについて,新たな協定として締結することが示されました。

新たな安全協定の締結時期については,今後,協定書の文言等の精査を行い,年度内を目途に締結することを日本原電と申し合わせたところであり,締結後,速やかに,市民の皆様に公表してまいります。

私は,市民の安心・安全の確保に向け,5年以上にわたって求めてきた安全協定見直しの実現まで,あと一歩であると実感するとともに,責任の重さも感じているところであり,今後とも,市民の皆様に御意見をいただきながら,広域避難計画の策定をはじめとする本市の原子力安全対策について,一層の充実を図ってまいります。