3.東海第2原発について

(1)防潮堤の施工不良、再稼働反対表明について

田中議員 

次に、東海第二原発について、主に防潮堤工事の施工不良に関して質問します。さる11月13日、私は江尻かな県議や日本共産党の県内地方議員とともに現地視察を行い、防潮堤周辺も見てきました。これに基づいて質問します。

昨年9月、日本共産党への内部告発により明るみになった施工不良ですが、原発に海水を取り入れる取水口部分の防潮堤の南北基礎、深さ50から60m、縦横15.5mの基礎工事で、鉄筋があちこち変形し、コンクリートが充填されておらず、津波から原発を守れないことが判明した重大な問題です。

発覚してから1年以上、いまも工事はストップしたままです。

市長は、9月議会の中庭議員の質問に「防潮堤工事に関しては、もともと計画していた工事がうまくいった場合の安全性を確実に上回るものでなくては認められない」と述べました。

しかし、私は実際に現地をみて、原電の説明もきき、市長のいう「安全性を上回る工事」が困難なことがわかりました。

これは原電資料からパネルにしたものですが、

施工不良部分を除く中実部とよばれる中心部だけでは、当初予定した基礎の断面積240平米が、120平米へ半分に減り、津波に耐える力、曲げ剛性は4分の1に減ってしまいます。

さらに、南北基礎のすぐ脇にB基礎・C基礎と呼ばれる防潮堤が建設ずみであり、原電が示すような四方向の地盤改良は不可能です。

視察の際の江尻県議の指摘に、原電も「そのとおりだ」と認めました。

原電が10月中に示すとしていた工事変更案をいまだに示せずゆきづまっているうえに、「工期延長しても工事費は変わらない」と強弁してきた原電が「現在、請負業者に試算をさせている」と認め、事費費の増大を否定できない状況です。

さらに追加の告発として「問題の南北基礎に連続するB基礎・C基礎についても同様の施工不良が隠されている」との情報が日本共産党に寄せられています。

これについて、原電は「目視確認はしていないが問題はないはずだ。施工業者からも不備の報告はない」というだけです。

しかし、不備の報告が無く、隠されているから内部告発されているわけで、ことの重大さからみても、市長として原電に調査するよう厳しく求めるべきですがいかがか伺います。

私達が現地調査した翌日、11月21日には配電盤が焦げる火災が発生し、さる8月30日には非常用ディーゼル発電機の部屋に雨水が侵入するという、あってはならない事故が連発しています。

老朽化は目を覆うばかり、原電に管理能力なしと言わざるを得ず、危険な原発を動かす資格がないことは明らかです。

すみやかな市長の再稼働反対表明を求めますがいかがか、お答えください。

高橋市長

次に,原子力行政についてお答えいたします。

 東海第二発電所の「防潮堤の施工不良への対応」についてでありますが,現在,国と日本原電との間で,具体的な設計や工事手法について,協議が続けられているところであります。

 今後とも,国と日本原電の協議状況を注視し,「工事がどのように進められるのか。それが,安全性を重視した適切な手法なのか」につきまして,しっかりと確認するとともに,継続して日本原電に説明を求めるなど,厳しく監視してまいります。

 また,周辺の防潮堤においても同様の不具合が発生しているかという点につきましては,担当課に指示し,9月に日本原電へのヒアリングを実施させております。

 日本原電からは,施工不良のあった防潮堤と周辺の防潮堤との工法の違い,施工期間の違い等についての詳細な説明とあわせ,日本原電としては「同様の不具合は生じ得ない」と認識しているとの説明がなされたものであります。

 報告を受け,私から,「日本原電の内部調査だけではなく,第三者機関の調査を実施すること」を要請するとともに,今後,国の検査を受けた際には速やかに結果を報告するよう強く指示をしております。

 なお,日本原電においては,その後第三者機関に調査を依頼しており,先月,日本原電から,第三者機関による書面調査や現地確認の結果,「大きな問題は見受けられず,適切に施工されている」と判断されたとの報告がございました。

 今後とも,日本原電の安全対策工事が適切に実施されるよう,市民目線に立ち,厳しくチェックしてまいります。

 東海第二発電所における火災等の発生につきましては,今年度は1件の火災のほか,8月には,施設への雨水浸入も生じております。

 これまで幾度となく申し上げてきましたが,原子力施設について万全の安全を確保することは,事業者が最優先に取り組むべき事項であり,最低限の責務であると認識しております。引き続き,日本原電に対し,地域住民に不安を抱かせることがないよう,適正な施設管理を行うことを強く求めてまいります。あわせて,東海第二発電所の安全対策の状況につきましては,近隣自治体と構成している「原子力所在地域首長懇談会」や「東海第二発電所安全対策首長会議」において,私を含めた首長が定期的に現地確認を実施しております。安全対策工事の状況はもとより,施設の安全管理体制や事故の再発防止に向けた取組状況等につきましても,厳しく監視してまいります。

東海第二発電所の再稼働につきましては,私は,市民の皆様の安全で安心できる暮らしを守っていくという使命がありますので,引き続き議会の御意見を踏まえるとともに,水戸市原子力防災対策会議における技術的,専門的な御意見や多くの市民の声を十分考慮しながら,最終的な判断を下してまいります。

教育行政に関する御質問につきましては,教育長から,この後,答弁をいたさせます。