2. 公共施設における費用負担について
(1) 東町運動公園体育館の改修について
田中議員
次に、公共施設の整備における費用負担のあり方について、2点質問します。
まず、東町運動公園体育館、通称・アダストリア水戸アリーナの改修についてです。 市は、バスケットボールBリーグの新カテゴリー「Bプレミア」に参入する条件の一つであるスイートルームを建設するとしています。
私達は、4大プロジェクトの一つとして、約100億円もかけて作ったばかり、2019年4月オープンからわずか5年で約6億円もかけて改修すること。400席分をつぶして102席のスイートルームを造るため300席も減少すること。
約10カ月の工事中は市民がアリーナを使えなくなること。スイートルームを14室つくるといいますが、他の競技やイベントでの使い勝手も不透明など、疑問点を指摘してきました。
もちろん、私も茨城ロボッツが活躍し、多くの観客でにぎわうことは良いことだと思いますし、ぜひ好成績をおさめて頂いて、スポーツ振興に寄与して頂きたいと願っております。
しかし、ホームアリーナとはいえ、多くの市民、様々なスポーツや団体が利用する市民の体育館です。
一競技団体の急なルール変更に自治体が振り回されることへの疑問の声も少なくなく、なにより多額の工事費が他の事業を圧迫することも懸念されます。
そもそも何故、スイートルーム要件を加えたのか。
Bリーグのチェアマンは「経営を重視するビジネスモデルへ転換する」と述べています。
すでに完成している地区の例をみると、川崎では年間席として販売したり、沖縄では1回1室24万円など、かなり高額な料金設定であり、もっぱら商業上の収益確保が目的です。
当然ながら、その収入は主催者の利益であり、市の収入になるわけではありません。
なお、今後スイートルームを整備する、北海道のアリーナでは、整備費用はすべてバスケットボールチーム側が負担するとのことです。
11月27日の茨城新聞には「りそなホールディングスが茨城ロボッツなどバスケットボールクラブと提携し、傘下銀行の取引先企業からの支援の仲介を始めた」との報道がありました。
こうした状況からも、今回の工事に至る経過や目的からみても、市の負担は極力ゼロにすべきと考えます。
なお、今回のスイートルーム建設に関して、現時点で集まった企業版ふるさと納税や、民間企業からの寄附は、13社から1億5600万円とのことであり、6億円の26%にとどまっておりますが、今後どのように対応する考えか見解を伺います。
高橋市長
次に,公共施設整備のうち,東町運動公園体育館の改修についてお答えいたします。
東町運動公園体育館をホームアリーナとするプロバスケットボールBリーグの茨城ロボッツは,2026-27シーズンからはじまる最上位ディビジョンの「Bリーグプレミア」への参入を目指しております。
茨城ロボッツは,プロスポーツチームとして,こどもたちや市民の夢を育む水戸の宝であり,また,市内経済団体等や多くの市民からアリーナ改修の要望を受けたことを踏まえ,「Bリーグプレミア」のホームアリーナ基準に合致する改修を行うこととしたものであります。
私は,「Bリーグプレミア」に参入することで,市民が楽しめるスポーツの振興はもちろん,こどもたちに夢を与え,将来への希望にもつながっていくことと確信しております。
これまで,基本計画や実施設計を進め,本年9月の第3回定例会で補正予算として,アリーナ改修のうち建築工事に関する債務負担行為の議決をいただき,事業を推進しているところでございます。
工事の内容といたしましては,スイートルームの整備やトイレの増設等を行うものであり,工事の期間としましては,令和7年度において,概ね9か月程度かかるものと想定しておりますが,全国規模の大会や市民利用への影響を最小限とするため,可能な限り,工事期間やメインアリーナの利用休止期間の短縮に努めてまいります。
スイートルームにつきましては,「Bリーグプレミア」の試合時のほか,家族連れなど,こどもから高齢者まで多世代の皆様に楽しんで利用いただける観覧席や,災害時における要配慮者の避難スペースなど市民の皆様による多目的な利活用を図ってまいりたいと考えております。
整備に係る事業費につきましては,全体で,最大6億円程度を見込んでおりましたが,5億円弱になる見込みとなっており,さらに,設計の中で,縮減に努めてまいります。
茨城ロボッツは,トップレベルの試合に全国から観客を呼び込むことで,地域のにぎわいや直接的な経済効果を生み出すなど,公益性のある存在となっており,本市にとって大きなメリットが享受されることから,改修にかかる,ある一定の負担は,当然であると認識しております。
茨城ロボッツ側からは,企業版ふるさと納税制度の活用により,少なくとも半分以上の負担を求めていくこととしたものであり,現時点で,約1億5千7百万円の寄附をいただいております。さらに,できるだけ多くの負担をしていただけるよう要請し,本市の負担軽減に努めてまいります。
私は,アリーナの改修により,市民が楽しめる交流拠点としての魅力を一層高め,スポーツコンベンションによる地域経済の活性化やにぎわいの創出につなげてまいります。
(2) 千波公園・黄門像広場周辺地区の整備について
田中議員
次に、パークPFI事業で計画されている千波湖わきの千波公園・黄門像広場の整備についてです。
このたび想定外の排水管などが見つかり、その埋蔵物の調査・撤去費用として、3000万円から4000万円程度の追加費用がかかる見通しとのことです。
しかし、この場所は歴史を遡っても所有者はずっと水戸市であり、事前にわからなかったのか、想定外とは理解に苦しむところですが、今回の事態に至る理由や費用の根拠、整備内容などを伺います。
また、今後の整備に関する市の負担上限は1億円とされていますが、当初の5000万円から引き上げた経過があり、埋蔵物調査で費用が大幅に増えることが見込まれます。
一方で事業者の大和リース・アダストリアグループが完成後に支払う地代は年400万円、これは条例上の最低額(1㎡当年720円)ですが、1億円に達するには25年かかります。
これに対して、最初に貸し出す期間は20年であり、民間の利益につながる施設整備であることからも、市の負担1億円を減額ないしゼロにする考えはないか、見解を伺います。
高橋市長
黄門像広場周辺地区で進めているパークPFI事業につきましては,レストラン,カフェ,マルシェ等のフードエリアをはじめ,サウナ,スポーツラウンジ等のプレイエリア,水と緑を活用したネイチャーエリアの3つの区域を設け,若い世代も楽しめる様々な施設整備が計画されております。開業後においては,これまで以上に世代を超えた交流とにぎわいが創出され,魅力の向上が図られるものと考えており,その整備効果は大変大きなものになると期待しております。
そのような中,本年11月20日開催の「偕楽園・千波湖周辺整備等調査特別委員会」で御報告致しましたとおり,パークPFI事業による建築工事の着手に先立ち,事業地内で本市が雨水管整備工事を進めていたところ,コンクリート構造物や鋳鉄管など,想定外の複数の地下埋設物を確認致しました。
そのため,パークPFI事業により建築予定の建物6棟の範囲 約2,100平方メートルにおいて,弁護士相談を踏まえ,市が地下埋設物の状況を調査し,処理を行うこととしたものでございます。
撤去費用につきましては,想定ではありますが,雨水管整備工事と同じ割合で地下埋設物があった場合に要する概算額としまして,約3千万円から4千万円と見込んでおります。
パークPFI事業の開業時期につきましては,市が行う地下埋設物の調査等により,着工時期が遅れることから,令和8年春以降となる予定でございます。
次に,特定公園施設の整備費用に対する市の負担についてでございますが,特定公園施設は,広場や園路など,公園利用者の一層の利便性向上に寄与するものであり,その費用負担については,本市が作成した公募要項に定めた本事業の前提条件でございます。したがいまして,地下埋設物の調査及び処分の費用とは関連性がないため,減額するものではないと考えております。なお,特定公園施設の整備に対する費用につきましては,国の補助金を活用することとしており,市の負担額としては,市が定めた上限1億円の2分の1である5千万円となる見込みでございます。
私は,本市のシンボル空間である千波公園において,民間資金により大規模な賑わい拠点が創出されることは,またとない機会であると認識しております。
今後とも,千波公園が市民の憩いの場としてはもとより,多くの観光客が訪れる,将来にわたって親しまれ,賑わいあふれる公園となるよう,特別委員会の御承認をいただきながら,事業者と連携し,事業の推進を図ってまいります。