2024年12月水戸市議会 田中まさき議員 代表質問(12.9)
日本共産党水戸市議団の田中まさきです。
通告に従い代表質問を行います。私達は今年も市民アンケートに取り組み、300通を超える回答をいただき、寄せられた声を反映した「来年度予算に関する要望書」を、11月18日に高橋市長あてに提出したところです。
主な内容は、小学生の給食費完全無償化の実現や、子育て・医療福祉・教育の充実、物価高騰対策の実施、再開発などマンション開発への多額の補助は中止し、身近な地域要求を実現することなど、170項目にのぼるものであり、来年度予算編成にあたり実現を強く求めるものです。
1. 保育の充実について
(1)物価高騰への支援について
はじめに、子育て支援のカナメである、保育の充実を求めて質問します。 私はこの間、民間保育園や市立保育所を訪れて、現場の実態を聞いてまいりました。
ある民間保育園では、物価高騰の様々な影響を訴えられました。例えば、「お米だけでなく、様々な食材の値上げで栄養士が四苦八苦している」「給食費値上げは見送っているが保育園の負担は増えている」という声。
「おやつ代節約に作ってきたオニギリは中止。じゃがいもや焼き芋の差し入れで助かった」「夏の水遊びの水道代が大きい。エアコン代節約にお昼寝の部屋を一緒にした」といった声です。一昨年度、昨年度は一定の公的補助があったものの、今年度は補助がありません。
特に食材費の値上がりについては公定価格に反映されず、このままでは給食費値上げが懸念されます。
小中学校の給食無償化が進むなか、保育所・幼稚園も速やかに無料にすべきと考えますが、まずは物価高騰への支援を実施する考えはないか伺います。
(2)保育士確保支援策について
どの保育園でも産休・育休の保育士の代替えの補充ができず欠員のままなど、保育士不足が大きな課題と訴えられました。
働く意思のある保育士が登録する、県の保育人材センターにはパート希望者の登録が多く、フルタイム希望者は民間紹介業者に登録されている場合が多いため、その場合1人紹介を受けるのに70万円程度の費用がかかるとのことです。
どの保育園でも、人懐こく、かわいい子どもたちの笑顔に元気をもらう見学となりました。それもこれも、日々より良い保育をめざして懸命に取り組んでおられる保育士や調理員、職員の皆さんに支えられていることを実感したところです。
それだけに保育士の配置の充実が喫緊の課題であり、より一層の保育士確保策の拡充や処遇改善が必要と考えますがいかがか、見解を伺います。
(3)市立保育所の存続拡充を
さらに、市立保育所は民間委託や統廃合ではなく、存続拡充することを求めるものです。
市は、行政経営改革プランで、11か所ある市立保育所を「民営化も含めて検討し、規模や配置の再編を進める」としています。
市長は「4か所の市立保育所は建設から35年以上経過し老朽化が進んでいる。入所希望者の少ない保育所は廃止または統合も含め今年度中に市立保育所の再編方針を策定する」という答弁をしています。
しかし、そもそも老朽化が進んだのは、9年前に白梅保育所を改築して以降、市が改修・改築をストップしてしまったことが原因です。
(パネル①)私も見学してきましたが、これが給食室の床の排水に問題がある保育所の写真です。
(パネル②)こちらはコンクリートの上に敷くクッション性のマットが日焼けし、風雨にさらされて固くなっている写真です。
このようなこどもの安全に関わる不具合は、ただちに改善することを強く求めます。
そもそも市立保育所は、行政が責任をもつ子育て支援の中核であり、保育水準の基準ともなる施設です。
また、支援を必要とするお子さんの受け入れをはじめ、地域の子育てにおける相談支援機能など、その役割をきちんと評価しなおす必要があると考えます。
少子化が進むのであれば、定員は削減したとしても、保育士配置を充足することで、充実した保育の実践が可能です。
改めて、市立保育所として存続し、充実すべきと考えますがいかがか、答弁を求めます。
答弁/高橋市長
日本共産党水戸市議団を代表されましての田中議員の御質問にお答えいたします。
はじめに,保育行政についての御質問のうち,物価高騰,保育士確保への支援についてでございます。
保育所等の3歳以上のこどもたちへの給食提供にかかる費用のうち,食材料費につきましては,国により「施設による実費徴収を基本とする。」とされており,それぞれの保育所等において,実際に給食提供に要した材料の費用を勘案して給食費を設定し,保護者の皆様に御負担いただいているところでございます。
一方,民間保育所等での給食の提供に係る調理員の人件費や,水道光熱費等については,国・県・市からの施設型給付費の中で措置され,各保育所等の運営費から賄われているところであります。
議員御指摘のとおり,物価の高騰が続いておりますことから,施設型給付費の算定の基礎となる公定価格に,物価の上昇が十分に反映されるよう,国に要望しているところでございます。
保育士確保への支援につきましては,本市では,1年以上保育の現場から離れた保育士が,市内の保育所等へ就労した際に10万円の補助を行う「保育士等就労支援補助金」や,市内保育所等に就労内定となった学生に対し,2万円の奨励金を支給する「新卒保育士等就労奨励補助金」を継続して実施するほか,令和7年1月から2月にかけて,ハローワークと連携した「保育士就職説明会」を開催するなど,市内で働く保育士の確保に努めているところでございます。
さらに,今年度中に,ハローワークと連携した「保育の職場見学ツアー」の実施を予定しており,さらなる保育士の確保に努めてまいります。
次に,市立保育所の存続拡充についてお答えいたします。
私は,これまで,未就学児の保育環境の充実を図るべく,最も重要な課題であった保育所待機児童の解消のため,民間保育所や小規模保育事業の整備等を積極的に行うなど,市長就任以来,保育所等の定員数を2倍近くに増やしたほか,独自の保育士確保策にも取り組み,本年4月1日現在の待機児童数を,ピーク時の158人から1人にまで減少させることができました。
一方,保育所への入所者数は,共働き世帯の増加に伴う保育ニーズの増大や,3歳児以上を対象とする「幼児教育・保育の無償化」などにより,高い水準で推移しているものの,0歳児から5歳児までの就学前の児童数は,平成26年から令和6年までの10年間に,約2,800人減少しており,減少率も年々大きくなっております。このため,水戸市第7次総合計画「みと魁・Nextプラン」に位置付けた少子化対策を推進しつつも,今後の入所者数の減少を視野に入れ,スピード感を持って本市の保育所運営のあり方を決定していく必要がございます。
市内には市立と民間を合わせて60か所の保育所がありますが,私は,こどもの人口が減少傾向にある中,将来的な保育ニーズの状況を十分精査しながら,こどもたちがより質の高い保育サービスを受けることができる環境を整備するとともに,民間保育所の適正な運営が堅持できることをしっかり考慮することが重要であると認識しております。
また,11か所の市立保育所のうち,4か所は建設から35年以上が経過しており,施設の老朽化が進んでいることから,良好な保育環境の確保が課題となっております。市立保育所の入所者数は年々減少傾向にあり,令和6年3月1日現在の定員に対する充足率の平均は80パーセントとなっております。
このようなことから,「水戸市行政経営改革プラン」の中に,「市立保育所の適正規模・適正配置の推進」を位置付けているところでございます。近隣の民間保育所等の状況や,地域の保育ニーズを勘案した上で,民間活力活用の検討を行いながら,入所希望者の少ない保育所については,廃止または近隣の保育所へ統合することも含めて,今年度中に市立保育所の再編方針を策定してまいりたいと考えております。
一方,特別な支援を必要とする児童の受け入れや,一時預かりなど,保護者のニーズは高いものの,民間では十分対応できない保育サービスの実施や,子育てに関する情報提供,相談などの子育て支援については,市立保育所がしっかりとその役割を担っていくべきものであります。このため,保護者のニーズを的確に捉えるとともに,市立保育所の役割を踏まえた保育サービスのさらなる充実を図ってまいりたいと考えております。
今後におきましても,保育ニーズを的確に見極め,安心してこどもを生み育てることができる,子育て世代に選ばれるまち・水戸の実現に向け,全力で取り組んでまいります。