3.開発行政 再開発・マンション建設への補助中止について

質問:田中議員

次に、再開発やマンション建設への補助中止を求め、質問します。

第7次総合計画の初年度となる来年度予算は、子育て支援の看板とは裏腹に、再開発やマンション建設に、巨額の税金を投入する予算案となっています。

水戸駅前三の丸地区の再開発に10億7200万円、泉町広小路・穴吹マンション建設に8300万円、南町3丁目・旧プリンスビル周辺地区のマンション建設に6000万円です。

この3つだけで12億1500万円、給食費の小学生2分の1と中学生無償化あわせて9億円を大きく上回る予算です。

このほか、第7次総合計画には、住友不動産が所有する南町・旧ユニー跡地と、伊勢甚が所有する泉町2丁目中央ビル周辺も、「新たな再開発を検討する」ことが明記されました。

水戸駅北口のマンション、テナントビル、駐車場の完成予想図がこれです。

水戸駅北口再開発完成予想図

そのほか4つの開発の場所がこのパネルですが、泉町・南町の距離わずか 

350メートル、徒歩5分、バス停1区間という至近距離です。

 

水戸市泉町・南町の4か所の開発計画地

あわせて5つ、どれもこれもマンションやテナントの開発ばかりですが、市長は本気で推進するつもりでしょうか。

再開発をめぐっては、全国で多くの問題が噴出しています。

昨年11月のNHKクローズアップ現代で「再開発はしたけれど。徹底検証・まちづくりの落とし穴」という特集が放送されました。

そもそも再開発は、高層ビルの建設で新たな面積を生み、その売却で事業を成立させるものです。しかし、需要がなく床が売れない。オフィスビルのテナントも埋まらない。資材高騰で建設費は右肩上がり、採算が取れないので自治体の補助金が大幅に増える。

まさに悪循環で「まちづくりの落とし穴」だというのです。

水戸市がこのまま開発を続ければ、落とし穴を5つもつくることになると思いますがいかがか、お答えください。

市が補助したからと言って、市民が格安でマンションを買えるわけではなく、一戸数千万円もする高額マンションが乱立するだけです。

結局、再開発でだれが得をするのかといえば、デベロッパー、ゼネコンやマンション業者などの特定企業です。

水戸駅北口の施工者は、長谷工とフージャースコーポレーション。泉町広小路は穴吹工務店、旧ユニー跡地は住友不動産と、いずれも資金力も体力も十分。

市が補助するまでもない、巨額の内部留保をかかえた大企業ばかりです。

そして、特定企業優遇の最たるものが、伊勢甚に対する市の支援です。

1月30日、新市民会館建設をめぐり、市長の最少経費原則違反、裁量権の逸脱乱用を争う住民訴訟の控訴審が東京高裁で行われました。

その際、田中重博・原告団代表は「総額約360億円にも達する税金の無駄遣い」と主張し、住民側弁護団も「伊勢甚の利益を図るため、泉町1丁目北地区に立地させるという結論ありき」と厳しく批判しました。1回で結審することの多い控訴審が、この主張を受けて継続しています。

伊勢甚は新市民会館建設によって、旧京成デパートの補償金と解体費で約40億円の利益を得たほか、市民会館1階に7000万円相当、40坪の床も手にしました。そのうえまた、中央ビル再開発で巨額の補助を行う事に、市民は納得しないと考えますが、いかがでしょうか。

このまま次々とマンション開発に税金を投入すれば、多大な財政負担となり、他の事業を圧迫することは間違いありません。

選択と集中というなら、子育て支援策の速やかな実行や、小中学校や市民センター、市営住宅の改修、生活道路や雨水対策など、やるべきことが山積している中で、再開発をしている場合ではないと考えます。

一部の利権のために、巨額の税金を投入することはもうやめるべきではありませんか。答弁を求めます。

答弁:高橋市長

3 開発行政について

(1)再開発及びマンション建設への補助中止について

次に,再開発事業等に対する補助に関する御質問にお答えいたします。

本市では,国道50号を軸とした都市核において,まちなか居住や企業誘致を推進するなど,居住,商業,業務をはじめとする都市機能の集積を図りながら,にぎわいあふれる中心市街地の再生に取り組んでおります。

そして,昨年7月に,市街地再開発事業により整備を進めてきた水戸市民会館が開館し,にぎわいのある都市空間の形成が図られたところでございます。様々な都市機能が集積する「まちの顔」として,中心市街地の更なる活性化のためには,拠点整備はもとより,未利用地の高度利用や景観,防災等の市街地環境の改善もあわせて進めていく必要があると考えております。

そのような中,水戸駅前三の丸地区については,市街地再開発事業により解体工事が進められ,令和6年度から建設工事に着手する予定となっており,本市の玄関口として魅力的な市街地が形成されるとともに,定住人口の増加や地域経済の活性化が図られるものと期待しております。

また,泉町1丁目広小路地区及び南町3丁目北地区については,老朽化した建物が密集し,空き店舗や空き地が発生するなど,市街地環境の改善が求められており,優良建築物等整備事業により,中心市街地の活性化に加え,まちなか居住の促進や災害に強いまちづくりが図られるとともに,税収面でも大きな効果が得られるものと考えております。

そのため,大変厳しい財政状況ではありますが,中心市街地にもかかわらず未利用地が発生している現状等の長年の課題を早期に改善し,安全,安心,快適なまちづくりを実現するために,これらの事業を第7次総合計画に位置付け,財政の健全性を確保しながら,可能な範囲で支援を行うこととしたものでございます。

今後とも,事業者との緊密な連携のもと,早期完成に向けた事業支援に努めてまいりたいと考えております。

一方,泉町2丁目北地区及び南町3丁目南地区については,現在,地元の権利者で構成する市街地再開発準備組合において,それぞれ,事業化に向けた検討が進められているところでございます。これらの事業化に当たっては,市場性,採算性,実現性,優先性,市の財政状況等の観点から総合的に検討する必要があり,今後とも,地元の検討状況を注視してまいりたいと考えております。

「みらいに躍動する魁のまち・水戸」の実現に向け,今後とも,更なる都市機能の充実,強化を図りながら,県都にふさわしい魅力と活力あふれる中心市街地の再生に取り組んでまいります。

田中議員の再質問

再開発、マンション建設への補助について「いずれも推進する」という答弁でしたが、再質問します。

再開発を批判した、日経新聞の5回の連載記事をご覧になったでしょうか。

日経新聞 2023.8.3

1面トップに水戸の記事が載りました。

これがそうですが、「ゆがむ官製都市」というタイトルのバックに、水戸市民会館の写真があります。

全国で再開発の採算が取れないために、過大な公共施設を入れる例が相次ぎ、その筆頭が水戸市民会館という記事でした。

補助金と床を買い取る「税金の二重投入」で、総事業費に占める公的資金が96%とトップ。こういう「官製再開発が地方財政を圧ん迫する」という指摘です。私もその通りだと思います。

市の財政プランでも「4大プロジェクトの市債残高の償還にともない、公債費負担の大幅な増加が見込まれる」と認めているとおりです。

ちなみに、水戸市が40億円を補助して13年前に完成した大工町再開発のマンションは、総戸数101戸のうち、直近3年間に31戸が売りに出され、14戸が賃貸に出されています。

テナントビル「トモスみと」は2階、4階、5階、6階でテナントスペースが埋まっていません。これだけ空いているのです。

これまでの再開発の検証もないままに、そして市内の空き家が5800戸もあるなかで、今後もマンションやテナントビルに公金を投入する。

これは、税金の浪費であり、またしても最少経費原則に違反する支出ではないでしょうか。

介護保険や後期高齢保険料は値上げして、自分たちに全く縁のない開発に血税が使われることに、多くの市民は納得しないと思いますがいかがでしょうか。

再度の答弁を求めて質問をおわります。