2.原子力災害について‥複合災害と避難計画、東海第2原発再稼働反対

田中まさき議員

能登半島西側には、北陸電力・志賀原発があり、今回の地震で、外部電源の一部が使えなくなり、冷却用の油が大量に漏れ出し、放射性物質を含む核燃料プールの水があふれだすなど、深刻なトラブルが相次ぎました。

原子炉は運転停止中だったため、それ以上の事故になりませんでしたが、「これが運転中だったら」「福島第一と同じことになったら」と思うとゾッとします。

原発事故が発生した場合、国の原子力災害対策指針や、茨城県の広域避難計画では、放射能から身を守るためにまず屋内退避をすること、そして車による避難をする、としています。

しかし、家が壊れたり、強い揺れが繰り返せば、屋内にとどまることができません。道路が寸断すれば車で避難できません。改めてそのことを突きつけられたのが能登地震の現実だと思います。

こんなことは常識的に考えればわかることですが、それすら考慮しない国の指針や県の計画は、重大な不備・欠落があるものです。

私達の住む茨城、東海第2原発周辺でも同じことです。

事実、東日本大震災では、水戸市でも建物の全壊が590棟、大規模半壊479棟、一部損壊まで含めると3万1000棟を超え、市道の2000か所近くが通行止め、国道や常磐道・北関東道も被害を受け通行できませんでした。

先週3月9日の茨城新聞でも、地震など災害時に、緊急輸送道路が土砂崩れなどにより寸断される恐れが東海第2の30キロ圏内だけで41本、うち水戸市でも8本と報じられました。

道路寸断時には代替経路の情報を提供するといっても、すでにその時点では放射性物質が拡散している状況で、住民の被ばくを避けることはできません。

結局、水戸市がつくろうとしている広域避難計画も、実際に複合災害が起きれば、多くの住民が避難できず、被ばくを強いられることは明らかであり、実効性ある避難計画などそもそも不可能です。

それでなくても日本原電は、この間、防潮堤の欠陥を隠ぺいし、約1年に8回も火災を連発するなど、危険な原発を動かす資格がない事業者です。

市長が、再稼働させず、廃炉を求めるべきと考えますがいかがか、答弁を求めます。

答弁:高橋市長

2.原子力災害対策について

次に,原子力災害に関する御質問についてお答えいたします。

本市におきましては,茨城県との連携のもと,複合災害が起きることを想定した上で,広域避難計画の策定に取り組んでいるところでございます。

具体的には,地震や津波等により主要の避難経路が被害を受けたことを想定して,あらかじめ複数の避難経路を設定しているほか,本市が第一の避難先としている広域避難先の自治体が被災し,水戸市民の受け入れが困難な場合を想定して,第二の避難先候補地を定めております。

また,「家屋倒壊が多く発生している場合の屋内退避の方法」や「屋内退避時において,電気,ガス,水道といったライフラインがどの程度機能維持できるのか」についても,茨城県とともに検討や検証を進めているところでございます。

私は,複合災害への備えとして最も重要なことは,本市が被災状況に応じた避難指示を発信した際に,住民がその指示を確実に受け取ることができるよう,情報伝達体制を強化することだと認識しております。

そのため,本市においては,水戸市の防災メールや防災ラジオをはじめ,ラインや旧ツイッターのXをはじめとするSNS,ヤフーの防災速報アプリなど,あらゆる媒体を活用した情報発信の強化に重点的に取り組んでおります。先日も地震等によりテレビなどの情報伝達手法が喪失した場合の備えとして,FMぱるるんや総務省との連携により,市役所内に臨時災害放送局を設置し,市役所のアンテナを通して実験的にラジオ放送を行ったところでございます。

東海第二地域においては,茨城県が中心となり,原子力災害時に市民一人一人の居住地に応じて避難情報等を発信できる独自アプリの開発にも取り組んでおりますので,複合災害が発生した際には,これらも活用し,通行可能な避難ルート,自宅が被災した場合の対応やその際の避難場所などを市民の皆様に確実に伝達してまいります。

次に,東海第二発電所における火災等の発生についてお答えいたします。

防潮堤工事の施工不良に関する報告の遅れ,また,発電所敷地内における度重なる火災の発生につきましては,昨年12月に開催した「東海第二発電所安全対策首長会議」において,日本原電に対し,私から厳しく注意をしたところですが,先月,再び原子炉建屋で火災が発生したとの報告を受けております。

これまで幾度となく申し上げてきましたが,原子力施設について万全の安全を確保することは,事業者が最優先に取り組むべき事項であり,最低限の責務であると認識しております。引き続き,日本原電に対し,地域住民に不安を抱かせることがないよう,適正な施設管理を行うことを強く求めるとともに,茨城県や近隣自治体との連携のもと,定期的に実施している立ち入り調査等を通して,施設の安全管理体制を厳しく監視してまいります。

東海第二発電所の再稼働につきましては,施設の万全の安全対策が完了していることはもちろんのこと,実効性のある広域避難計画が策定できない限りはあり得ないものと考えております。あわせて,私は市民の皆様の安全で安心できる暮らしを守っていくという使命がありますので,引き続き議会の御意見を踏まえるとともに,水戸市原子力防災対策会議における技術的,専門的な御意見や多くの市民の声を十分考慮しながら,最終的な判断を下してまいります。