2024年3月議会 日本共産党水戸市議団
田中まさき議員の反対討論 (2024.3.21)
日本共産党水戸市議団の田中まさきです。通告に従い、反対討論を行います。
本定例会に提案された、議案56件のうち、29件に反対します。反対する議案は、議案第6号、9号ないし13号、16号ないし28号、39号、40号、42号、43号、45号、47号、49号、54号です。以下、主な反対理由を申し上げます。
(1)再開発・優良建築物への補助について
第一に、来年度予算における再開発やマンション建設に対する巨額の税金投入です。
水戸駅前三の丸地区の再開発に10億7200万円、泉町広小路・穴吹マンション建設に8300万円、南町3丁目・旧プリンスビル周辺地区のマンション建設に6000万円です。
この3つで12億1500万円、給食費軽減の9億円の予算を大きく上回ります。
いずれも大手ゼネコンやマンション業者支援であり、水戸駅南口などでマンション建設が相次ぐ中、多額の公費を投入する必要はありません。
特に、初めて予算化された南町の旧プリンスビル周辺地区の開発は、総事業費約40億円に約7億円を補助するとのことですが、地権者全員の同意もなく、4500万円を超える市の行政代執行費用や、その他の債務も解消されておらず、補助の条件さえ満たしていません。
3事業の総事業費は約185億円、補助総額は約54億円であり、大手デベロッパーに対する巨額の補助は中止し、その予算を市民のために使うことを強く求めます。
(3)企業誘致について
企業誘致については、固定資産税等の課税免除を恒久化する条例改正ですが、一部の企業には企業立地促進補助制度により多額の補助も行われています。
水戸に参入できる体力がある大手企業の優遇よりも、コロナ禍や物価高騰、ゼロゼロ融資の返済に加え、固定資産税の支払いなどに苦労している市内中小企業こそ支援すべきです。
水戸黄門ふるさと基金の積み立てに、企業版を加える改正は、その使い道が「まち・ひと・しごと総合戦略」に位置付けた事業としていますが、範囲が広く、事実上無限定です。
特定企業の目的のために、市の政策が左右される可能性が高く、賛成できません。
(3)東町体育館の改修について
その典型が、東町運動公園体育館・アダストリアみとアリーナの観客席改修です。
4大プロジェクトのひとつとして、100億円もかけて作ったばかりの市の施設を、B1基準が変わるというだけで、今回実施設計6000万円を予算化し、市が改修することは認められません。
この体育館は、5000人収容を絶対条件として建設したものです。その観客席を大幅に減らし、スイートルームを作るといいますが、総事業費や工事の詳細は不明、約10カ月かかるという工事期間は体育館が使えなくなります。
市民や議会への十分な説明もないままの予算計上は認められません。
(4)新市民会館及び関連事業について
新市民会館については、芸術館東の五軒町立体駐車場など、関連事業を含めた約360億円の支出の返還を求める住民訴訟が、東京高裁で継続中です。
将来に禍根を残す本事業への無謀な税金投入に対する責任が問われており、市民への説明責任を果たすとともに、これ以上のムダづかいをやめることを求めます。
来年度の市民会館に関する予算は、約3億9千万円ですが、そのうち3億7000万円は指定管理料、家賃(約2600万円)、組合負担金(2400万円)などの維持管理経費であり、あまりに高すぎます。
指定管理者であるコンベンションリンケージは、来年度から県民文化センターの運営も請け負うこととなりました。
その指定管理料は1億8千万円で市民会館の約半分です。
これをみても、いかに市の契約が割高なのかハッキリしていると思います。
指定管理者まかせではなく、必要最小限の適正な経費で、市が責任をもって運営すべきです。
(5) 国民健康保険税・介護保険料・後期高齢者医療保険料の値上げについて
次に、物価高で市民生活が大変な中、国民健康保険税・介護保険料・後期高齢者 医療保険料の値上げの中止を求めます。
国民健康保険会計は、繰越金が12億円ある黒字にもかかわらず、限度額を年104万円から106万円に値上げするもので、総額約1千万円の市民負担増となります。
後期高齢者医療保険料も、今年度と比べ11%値上げし、一人平均・年約7万9000円から8万7000円に、約8千円も負担が増えます。
しかし、茨城県 後期高齢者 広域連合に基金が35億円、県にも財政安定化基金が、約50億円もあります。
さらに、介護保険料は、第10段階から第13段階の方が引き上げられ、最高は年5万1千240円の値上げです。
総額・約9600万円の負担増となりますが、市には12億円の介護給付費・準備基金があります。
いずれも、基金や繰越金を活用すれば、値上げ中止は可能であり、むしろ引き下げるべきです。
(6)福祉施設管理者の兼務拡大等の基準緩和について
次に、障害者・高齢者など福祉施設の人員配置基準などについて、国の基準省令改正にともない、緩和する条例15件に反対します。
第一は、管理者の兼務範囲の拡大です。
同一敷地内に限らず、他の事業所の職務にも従事可能とするものですが、さらなる負担増と多忙化を招き、利用者の安全や処遇の低下につながりかねません。
第二は、見守り機器を活用する施設は、人員配置基準を減らしてもよい、とするものですが、人員が絶対的に不足しているなかで、利用者の見守りを機械にまかせるのは本末転倒です。
介護に携わる人の、抜本的な待遇改善にこそ、緊急にとりくむべきです。
第三は、ケアマネージャー1人当たりの担当件数を、35人から44人に増やし、訪問回数を半減させるものです。
要介護の人は、月1回から2か月に1回に、要支援の人は3ケ月に1回から6か月に1回に、訪問を減らすことができます。
ケアマネージャーは多忙化し、利用者の状態把握は低下し、介護サービスは減らされます。
これでは益々「保険あって介護なし」に拍車をかけるものであり、認められません。
(7)職員定数削減について
次に、来年度の職員定数を、43名も大幅削減することに反対します。とくに保健所の感染症対策で28人、幼稚園廃止・給食調理民間委託などで13人が減ります。
新型コロナ感染症を受け、保健所の態勢は根本的に強化・拡充すべきであり、感染症対策の縮小は認められません。
(8)民間委託と市立幼稚園廃止、学校プール廃止
また、学校給食調理業務や放課後学級、図書館は民間委託ではなく、市が責任をもって直営で行うべきです。
市立幼稚園の役割は大切であり、長年地域に愛されてきた見川幼稚園や、吉田が丘幼稚園を廃止するのではなく、内容を充実させることに力をいれるべきと考えます。
小学校のプールと、学校プール開放事業の継続を求めます。
2016年(平成28年)から実施場所を年々増やし、利用者も増えてきた学校プール開放を、市はやめる方針です。
しかし、新荘小学校や緑岡小学校では、毎年1500人を超える利用がありました。
まだ新しく、十分使える新荘小学校などのプールまで、廃止するのは、市民の財産を損なうものであり、学校プールと開放事業の存続を強く求めます。
(9)マイナンバー制度の推進
マイナンバー制度については、個人情報保護をめぐり、プライバシーの侵害、誤登録や情報の流失、システムトラブルが相次いでおり、市民の安心安全を守れない制度であり、推進すべきではありません。
不祥事やトラブルが連発している「地方公共団体情報システム機構・J-LIS」へのサーバー負担金など、来年度約3千万円の予算化に反対します。
政府は、今年秋に健康保険証を廃止する方針ですが、これは事実上のマイナンバーカード取得の強制です。
すでに他人の医療情報をひも付けるトラブルが多発し、マイナンバーカードをもたない人は毎年「資格確認書」の申請が必要となるなど、保険診療から遠ざけられかねません。
国民も、患者も、医療機関も望んでいない健康保険証の廃止と、マイナンバーカードの強制をやめるよう求めます。
(10)東前第二土地区画整理事業
東前第二土地区画整理事業は、1995年(平成7年)の着工以来、28年がたちましたが、いまだに住民の反対があります。
中には「100万円以上の付け保留地の支払いが困難」と訴える方など、住民合意がない事業に賛成できません。
(11)水道事業における県受水について
水道事業会計については、茨城県中央広域水道からの受水予算、1億4210万円の支出は認められません。
自前の水道水が9万人分も余っているのに、全国一高い県の水を買う必要はなく、一県一水道に参入しないと決断した今、いよいよ受水を続ける理由は無くなっています。
来年度の、水道管や浄水場の耐震化予算は4億3千万円、漏水対策予算は4700万円です。
能登半島地震をみても、水道の耐震化が急務です。
水戸市の水道管は、基幹管路の4割が耐震化されておらず、40年を超えた老朽管は314キロに及び、年々増加しています。
病院や避難所、防災拠点の配水管の耐震化も必要です。
ムダな受水をやめて、耐震化などにもっと予算を回すことを強く求めます。
以上で、反対討論を終わります。