2023年9月議会 田中まさき議員の一般質問

4.教員の働き方について

次に、教員の働き方の改善について質問します。

いまや教員の過重負担は志望者の減少をまねき、不足に拍車がかかるという悪循環です。異常な働き方の改善、抜本的な教員定数増にむけて、国の責任で教育予算を大幅にふやす、これが大前提です。

中央教育審議会は8月28日、教員の働き方の緊急提言を発表し、年間の授業時数が国の標準を上回る1086コマ以上の学校は来年度から見直すことや、教員業務支援員の全小中学校への配置、教科担任制の拡大などを求めましたが、これらについて水戸市の実情を伺います。

本来8時間労働を守るには「1日の授業負担は4コマ以下」ですが、現実にはかなりオーバーしています。

また水戸市では、教員業務支援員が一昨年度に一定数配置されたものの、昨年度から廃止されたとのことで理解に苦しむところですが、どのように解決していくのか、対応策を伺います。

また、何時間残業しても基本給の4%分だけ払う給特法、いわゆる「定額働かせ放題」の改正も急務です。

この問題、教員の長時間労働の実態について、日本共産党の江尻かな県議が、今年6月の県議会予算特別委員会で質問しました。

県教育長は、「4%の調整給は1か月8時間の時間外手当に該当し、1人年間約22万円が支給されている。しかし、県内教員の実際の平均残業時間は、小学校が約36時間、中学校が約49時間である」と答えました。これをもとに計算すると、小学校で年間75万円、中学校で114万円分もただ働きしていることになります。

水戸市の教員の残業は、さらに県平均を上回っているとのことですが、実態はどうなっているのか。教員不足の現状と解決策も含めて伺います。

子どもの声にていねいに応える教育でこそ、子どもたちは豊かに育ちます。一人ひとりに目が届く教育条件を整えることを強くもとめて、第一回の質問を終わります。

4.教員の働き方の改善について  答弁者 教育部長

田中議員の一般質問のうち,教員の働き方の改善についてお答えいたします。

近年,全国的に教員の長時間勤務が課題となる中,教員が授業や授業準備等に集中し,教育の質を高められる環境を構築するため,教員の働き方の改善を推進することは,重要であると認識しております。

国におきましては,本年8月の中央教育審議会特別部会において,「学校・教師が担う業務の適正化の一層の推進」,「学校における働き方改革の実効性の向上等」,「持続可能な勤務環境整備等の支援の充実」の3本の柱について提言されたところでございます。

この提言に基づく取組の具体策のうち,議員御質問の標準授業時数を大幅に上回っている学校の授業時数の見直しについてですが,本市における現状といたしましては,特に小学校第5学年において,中央教育審議会が見直しの対象としている,1,086単位時間以上の小学校が,約27%となっております。

そのため,本市といたしましては,今後,学校に対し,5時間授業の設定などによる教育課程の編成の見直しを促すとともに,教員の意識改革を図ってまいります。

次に,教員業務支援員の全小中学校への配置につきましては,国において,毎年度,大幅に予算が増額され,事業の拡充が図られているところでございます。

本県においては,令和3年度まで,学校サポーター配置事業により,学校サポーターを全校に配置することが可能となっておりましたが,令和4年度に県事業が終了しております。そのため,本市におきましては,茨城県市町村教育長協議会から,県に対し,学校サポーターの配置の復活及び拡充等について要望しているところでございます。

さらに,本市におきましては,全ての小中学校に教員免許を有する学力向上サポーターを配置することとしております。

次に,小学校高学年の教科担任制につきましては,本市では,今年度,英語5人,算数4人,理科9人,社会3人,音楽3人,図画工作2人,体育3人と,計29人が加配されており,学校規模に応じた時間数で,専門的な教科指導を実施しておりますが,必ずしも各学校の希望教科に応じた加配教員の配置や時間数とはなっていない現状がございます。そのため,本市におきましては,県に対し,さらなる配置について要望してまいります。

今後とも,提言に基づいた実効性のある取組について,国や県の動向を注視しながら,適切に対応してまいります。

次に,教職員の時間外勤務の実態についてお答えいたします。

昨年度の10月,11月の平均時間外勤務の時間数につきましては,茨城県全体の小学校の平均が35時間37分であったことに対し,本市では40時間7分,中学校においては県全体の平均が48時間55分に対し,本市では49時間46分となっております。なお,本市の時間数につきましては,都市部特有の様々な課題等の影響を受け県平均をやや上回っているものと考えております。

本市におきましては,時間外勤務の削減に向けて,学校給食費の公会計化,校務支援システムの全校導入のほか,学校が様々な問題について早期解決を図るための学校弁護士相談事業を導入したことや,夜間等の勤務時間外における緊急を要しない電話対応に係る自動音声応答装置を全校に設置するなどの取組を行ったことで,時間外勤務の時間数は減少傾向にございます。

次に,本市の教員不足の現状についてお答えいたします。

本年9月1日現在,教員定数があっても,県からの教員の配当が十分でないことや,育児休業取得者の増加等により,小学校で12人,中学校で5人の教員が不足しております。

教員が不足した場合,臨時的任用職員として講師で補うこととなりますが,講師の担い手が不足している現状がございます。そのため,本市におきましては,県水戸教育事務所と連携しながら,講師志願者の把握に努めるとともに,市独自に,近隣大学の訪問や,退職教員への依頼を行っております。さらには,水戸市教師塾を開催し,教員や水戸の教育の魅力を伝え,講師任用のための登録会を実施するなど,積極的に講師の確保を行っております。

今後につきましても,教員の働き方の改善に向け,業務改善の推進や意識改革に取り組み,教員が児童生徒と向き合う時間の確保に努めてまいります。