2023年9月議会 一般質問 田中真己議員

1.水道行政について

日本共産党水戸市議団の田中真己です。通告に従い一般質問します。

はじめに水道行政について、1県1水道にむけた県との経営一体化に参加せず、市独自の水道経営を継続するとともに、全国一高い県中央広域水道からの受水中止、離脱の決断を強く求めて質問します。

私は、1県1水道は、市町村の自己水源をとじさせて、余っている高い県の水を買わせることが目的であり、過大な水源開発の失敗の責任を市町村と市民に押しつけるとして反対してきました。

なにより水道料金の大幅値上げをもたらすうえに、水源の一極集中は、災害時のリスクを高めることにもなります。

6月議会の私の質問に「経営一体化にむけた会議への参加意向について、9月下旬を期限に回答を求められている。」と答弁があり、昨日市長は「1県1水道の広域連携に水戸市は参加しない」との決断を表明されました。これは市民の利益にかなう非常に重要な決断だと思います。

私も繰り返し質問してきたテーマですので、この間の県の対応がいかにひどいかを紹介しつつ、水戸市の不参加の決断を評価するとともに、そこに至る経過を質問します。

県が今年3月に出した「水道広域化推進プラン」には、自治体が単独経営を継続した場合と、経営を一体化した場合の給水原価のシミュレーションが出ています。要するに「一体化した方が給水原価は安くなる」というのですが、その根拠が一切示されておらず、ただ「県の言い分を信用せよ」という代物でした。

私は「これではいくらなんでも検証しようがない」と思い、県に情報公開請求しました。

ところが出てきた資料は、これですが真っ黒でした。(パネル①)

約1万円も払いましたが、ほぼ黒塗りです。その理由が「不当に県民の間に混乱を生じさせる恐れ」がある。「意思決定の中立性が不当に損なわれる恐れ」があるから、というのです。

そう言って情報を隠しながら、県がやろうとしていることは重大です。

全県で105ある市町村の浄水場を70も減らして、35か所にするというのですが、どの自治体のどの浄水場を減らすのかは示していません。

最も重要なライフラインの水道をズタズタにする計画を持ちながら、県民にまともに説明せず、秘密裏に強行するなど許されないことです。

そこで質問ですが、県の広域連携推進方針のシミュレーションに対する市独自の検証について、特に給水原価や経営見込み、水道料金がどうなるのか、詳細を明らかにして頂きたいと思います。

県広域化推進プランの最大の欠陥は、これまでの過大な需要見込みに基づく施設建設への反省がゼロ。そして、今後も見直す気がない、という問題です。

パネル② これは、県中央広域圏の給水人口のグラフです。

2020年が約75万人(青のグラフ)ですが、県は2050年には69万人(緑のグラフ)まで減るとしながら、霞ケ浦導水を続けて(オレンジのグラフの)93万人分の水源開発を継続中です。

まったく説明のつかないムダづかいです。

霞ケ浦導水の本体工事は5回も工期延長し、開始から既に49年です。総事業費は現時点で2395億円、県負担は1038億円にのぼります。

県の包括外部監査も、事業完成とされる「令和12年以降は減価償却費や水源管理負担金が発生するので、県中央広域水道の料金改定を検討すべき」といっています。

要するに、今でも全国一高い県中央広域水道の料金を、さらに値上げする話です。

水戸市が受水を続ける限り、毎年の高い料金に加えて、霞ケ浦導水の建設費負担を求められることになりますが、一体いくらになるのかお示しください。

水戸市の自前の水道施設能力は約9万人分も余っており、県の水を買う必要はなく、「県の経営一体化に参加しない」と決断したこの機会に、県受水の中止、中央広域水道からの離脱もセットで決断して頂きたいと考えますがいかがでしょうか。明快な答弁を求めます。

1.水道広域化、1県1水道について   答弁者    水道部長

田中議員の一般質問のうち,水道行政についてお答えいたします。

初めに,茨城県が段階的に目指すこととした「1県1水道」についてでございますが,現在,県から「広域連携検討・調整会議」への参加意向について,9月下旬を期限として,回答を求められている状況でございます。本市といたしましては,これまで,県が目指すこととした「1県1水道」について,「茨城県水道事業広域連携推進方針」のシミュレーションを基に,本市独自の取組を加え,検証を行ってまいりました。その結果,本市の給水原価は,広域連携後の事業体よりも,低く抑えられることが明らかとなりました。

これを受けて,市民負担の増大につながらないことを第一とし,また,本市水道の安定供給と健全経営を最優先に検討した結果,昨日の代表質問で市長が答弁したとおり,本市は,県が目指す「1県1水道」に参加しないこととしました。

したがいまして,本市は,今後も,単独で水道事業を経営していくこととなりますので,これまで以上に,市民の皆様に説明責任を果たしながら,本市の低廉で安全・安心な水道水を安定して供給できるよう努めてまいります。

次に,霞ヶ浦導水事業についてでございますが,国において令和12年度の完成を目標として事業を進めており,将来,茨城県中央広域水道用水供給事業に係る負担の増加につながることも懸念しているところでございます。

このことから,本年8月に,水戸市長を会長とする茨城県中央広域水道建設促進協議会において,県に対し,料金格差緩和に併せて,霞ヶ浦導水事業の建設に係る負担の在り方について,検討していただけるよう,要望を行ったところでございます。

これらについて,現在のところ,茨城県からの回答はございませんが,今後も引き続き,県の動向を注視しながら,当協議会の構成市町村のみならず,茨城県も含めて,慎重に協議を進めてまいります。

 

▼しんぶん赤旗 2023・9・13 首都圏版に報道されました。