2023年9月議会 田中まさき議員の一般質問
2.千波湖・桜川のアオコの繁殖について
次に、こちらも霞ケ浦導水とかかわりのある問題ですが、千波湖、桜川などのアオコの繁殖について質問します。
今年の夏は猛暑が続き、アオコの発生が顕著となりました。
市民からも声がよせられ、現地を歩いて確認してきました。
ちなみに、8月前半は那珂川の水量不足により取水せず、導水しなかったとのことですが、私が現地調査した8月末は、毎秒3トンの導水が開始されて約1週間、フル稼働で導水している最中の実態としてお聞き頂きたいと思います。(8月24日導水開始、8月29日調査)
まず、千波湖では、黄門像東側の親水デッキ付近がひどい状態でした。
パネル③ これがその写真です。
那珂川からの導水が、周辺のアオコを攪拌してはいるものの、大量のアオコの中を多くの鯉がパクパク口をあけてエサをねだっているという、中々シュールな光景でした。好文カフェ前から千波湖南側の湖畔にもかなりのアオコが滞留していました。
一方、桜川はどうだったかといいますと、最上流部は見川の好文橋下でアオコが確認できました。
そこから下流に向かうと、駅南一帯はどこもほぼ緑色、ずっとアオコに満たされていて、最下流部は国道6号の高架下-浜田から勝田に行く6号バイパスの橋の下までアオコがありました。
桜川と那珂川の合流点ではアオコが無かったので、どこから消えたのか遡ってみると、なんと水戸市浄化センター、若宮の下水処理場の排水が桜川に流れ込む地点でした。
つまり、霞ケ浦導水を利用した毎秒3トンの導水で除去できなかったアオコが、市の下水処理場の排水により、那珂川に合流する直前でかろうじて無くなっていたわけです。
果たしてこれは喜んでいいのか、とにかく事実はそういうことでした。
さらに今年は、逆川や沢渡川までアオコが広がりました。
パネル④これは舟付橋下ですが緑のペンキを流したような状態でした。
逆川は、市役所近くの美都里橋付近で桜川と合流しますが、そこからアオコが逆川の上流へ遡上して、舟付橋から本郷橋-御茶園通りに上がる交差点付近までアオコが確認できました。
沢渡川では桜山下の梅桜橋、偕楽園にわたるエレベーターのある場所ですが、その上流部までアオコがびっしり水面を覆っていました。
これら3河川、総延長にして6.5キロにわたり、アオコの繁殖が見られました。以上のような実態をふまえて質問に入ります。
まず、費用対効果の問題です。
先ほど述べた、霞ケ浦導水の巨額の本体工事とは別に、桜川から千波湖に毎秒3トンを導水するために、約21億4千万円もかけた工事が行われました。さらに導水には、1日100万円以上かかります。
にもかかわらず、アオコが除去できていないわけで、費用対効果が極めて低い、というか効果が出ていない。率直に言って、コストパフォーマンスが悪すぎると思いますが、いかがでしょうか。
そもそも、今年の7月後半から8月前半のように、雨が少なければ那珂川から取水できませんし、雨が降りすぎても濁って取水できません。
また、導水ができても、桜川の水量が少ないと、農業用水を備前堀に送るためのラバーダムでたまる一方になり、今回のように逆川や沢渡川までアオコが遡上してしまいます。
私は、わずか2年目にして、導水に頼る弱点が浮き彫りになったと思いますが、市は今回の事態をどうとらえているのか、見解を伺います。
しっかり検証するとともに、やはり、導水によらない対策を真剣に考えるべきではないでしょうか。
例えば、全国では、池や沼の水を抜いて底を干すことで、富栄養化を抑制する「かいぼり」という方法が広く行われています。底地に太陽光をあてることで、アオコの栄養分となるチッソが空気中に発散され、リンは水に溶けにくくなるため、アオコ抑制の効果があります。
元々は日本古来の習わしで、農閑期にため池の泥をかきだし、酸欠状態の底地に酸素を送って水質保全する一大行事でした。
現在は、皇居のお濠・千鳥ヶ淵や、井の頭公園など、有名な場所に限らず、全国に多くの事例があります。
清掃や外来種の駆除も行い、在来の水草や水生生物が復活し水質も大幅に改善するなど、確実な成果をあげています。
なにより、実施している多くの地域で、多数の市民やNPOが「かいぼり」に参加して、環境を考えるよい機会となっています。
水戸市も専門家を交えて検討する価値があるのではないでしょうか。
桜川にしても、現在は自然の浄化作用を生かした対策は皆無です。
国交省も推奨する多自然型な川づくりを進めることや、周辺の湧き水、地下水や水生植物の活用など、あらゆる方法を市民参加で検討すべきと考えますがいかがか、答弁をもとめます。
千波湖・桜川のアオコ繁殖について 答弁者 都市計画部長
田中議員の一般質問のうち,千波湖・桜川のアオコ繁殖についてお答えいたします。
千波湖,桜川一帯の美しい自然環境は,本市のシンボル空間であり,千波湖,桜川の水質浄化は極めて重要な課題であると認識しております。
そのため,本市では,千波湖において,これまでも渡里用水を利用した暫定導水をはじめ,桜川清流ルネッサンスⅡ(第二期水環境改善緊急行動計画)に基づく水質浄化や水辺空間の整備を推進するとともに,アオコ発生の抑制対策装置の設置等に取り組んでまいりました。
そして,平成28年度から,国の補助を得ながら,県と連携し整備を進めてまいりました那珂川の清浄水を千波湖へ送るための導水施設が昨年度完成し,千波湖へ最大毎秒3トンの導水が可能となりました。
昨年8月と9月の試験通水では,アオコの減少が確認できたほか,水質の目安となるCOD(化学的酸素要求量)が,目標値である1リットル当たり8ミリグラムを下回り,桜川においても千波湖下流で水質が改善するなど,導水による大きな効果が表れたところでございます。
本年度においても,国土交通省霞ヶ浦導水工事事務所の御協力のもと,昨年よりも通水開始時期を前倒し,アオコの発生時期である6月から通水を開始した結果,順調に通水ができた7月中旬まではアオコの発生が抑制されたことを確認しております。
一方,降雨量が減少した7月下旬以降においては,那珂川の流量の減少により,約1か月間にわたり通水ができず,8月下旬には,千波湖の水面がアオコで覆われてしまいましたが,現在は,那珂川の流量が回復し,通水を再開したため,アオコが減少している状況でございます。
千波湖,桜川の水質改善や美しい水辺環境の再生に向けては,千波湖への導水がとても効果的であり,重要であることを再認識したところでありますが,議員御指摘のとおり,気象条件等により,那珂川からの導水が困難となる期間が連続した場合には,この夏と同様にアオコの発生が懸念されますことから,他市の事例も含め,導水を補う手法についても,調査・検討を行ってまいりたいと考えております。
今後とも,市民の皆様がより一層愛着を持てる憩いの場となるよう,市民団体をはじめ,国,県などの関係機関との緊密な連携のもと,千波湖,桜川の水質浄化や水の都・水戸にふさわしい良好な水辺環境の形成に積極的に取り組んでまいります。
田中まさき議員の再質問
それぞれ答弁頂きありがとうございました。
千波湖のアオコ問題について再質問させて頂きます。
水を抜く「かいぼり」なんて非現実的、と思われたかもしれませんが、千波湖もかつて水が抜かれたことがあります。
これがその航空写真です。
1960年代の国土地理院の航空写真でも確認できましたが、今の近代美術館の近くだけ水があることがわかります。このように千波湖の水を抜くことはあり得ないことではないのです。
先ほどは導水の効果を強調していましたが、導水は、那珂川から汲んで那珂川に戻すだけ。流れて終わり、何も残りません。しかも雨が降ったり、ラバーダムが下がる方が、アオコ除去に効果があるので、なおさら必要あるのか、ということも言えます。
1日100万円以上かかる導水を夏場の3か月やれば9000万円、これを10年やれば9億円です。これを延々続けるのでしょうか。
導水しても、千波湖の底の泥に堆積したチッソやリンはなくならず、夏にはまたアオコの元になるわけですから、薄めることを浄化と呼ぶのは邪道ではないか、という厳しい指摘もあることは市もご存じだと思います。
申し上げたいのは、導水ありきではなく、水戸のど真ん中にある憩いの場、千波湖や桜川の水辺環境の改善について、あらゆる方法を市民参加で真剣に検討して頂きたいということです。
再度の答弁をもとめて、私の質問を終わります。
<再質問に対する答弁は後日アップします。基本的に1回目の答弁と同じでした。>
*参照* 質問の参考にした「かいぼり」の事例
井の頭公園のかいぼりについて
水辺再生の取組 | 井の頭恩賜公園 Inokashira Park 公式ホームページ (tokyo.lg.jp)
皇居外苑のかいぼりについて