はじめに

日本共産党水戸市議団の田中まさきです。

通告に従い、会派を代表して質問致します。
長期にわたる物価高とコロナ禍で、くらしと地域経済は依然として厳しい状況が続いており、市民生活を応援する市政が求められています。

先日(1月19日)、日本共産党水戸市議団は江尻かな県議とともに、約500通の市民アンケートなどをもとにした、予算要望書、166項目について、高橋市長に提出しました。
主なものは、第一に、市税や公共料金の減免の実施、個人や事業者向けの追加支援金の支給をすること。
第二に、コロナの5類引下げに伴い公的支援を後退させず、検査の無料実施や後遺症患者への支援、医療・保健所体制を拡充すること。
第三に、難聴者への補聴器購入補助や、乗合タクシーの具体化など、高齢者の安心を広げる施策をはじめ、切実な要望ばかりです。
岸田内閣が、軍拡大増税や、原発再稼働を進めようとしているなか、住民福祉の増進を本旨とする地方自治体の役割が問われています。
水戸市が、国の悪政から市民の暮らしを守る防波堤として、その役割を果たすことを求めるものです。

1.    子育て支援について 

①     子育て支援策の更なる拡充について

はじめに、子育て支援のさらなる拡充を求めて質問します。

私はこの間、本会議でも繰り返し子育て支援策の拡充を求めてきました。来年度から、中学生の学校給食費が無料になることや、1人3万円の新入生応援金などが具体化されたことは、大きな前進です。

同時に私は、給食費について、小中学生どちらも無料にすべきと求めてきました。

言うまでもなく、義務教育は無償が原則であり、県内では6自治体。潮来市、城里町、大子町、河内町につづき、4月から日立市、北茨城市も小中学校ともに無償化を決めました。

全国では250を超えて実施する自治体が増え続けています。

こうした状況は子育て世帯によく知られており、「うちは小学生が3人います。なぜ水戸市は中学生だけなんですか?」という声も寄せられました。

また、3歳未満の保育料の負担軽減も切実です。

1歳半の子をもつ母親からは「4月から保育園が決まりましたが、保育料が高くてびっくりです」という声も寄せられました。

市長は「保育料の負担軽減の優先度が高い」と表明してきましたが、来年度予算に軽減策は見当たりません。

水戸市の保育料は、世帯の所得により、13段階の保育料になっていますが、昨年の保育白書によると、近県の中核市や県庁所在地と比べて、非常に高くなっています。

同じ所得で比べると、宇都宮市が月6千円の場合、水戸市は1万4000円。2万7千円の場合は4万2千円など、1.5倍から2倍以上の高さです。

高崎市と比べても、水戸市の保育料は、すべての所得段階で高くなっています。つまり、他の自治体は、すでに水戸市よりも保育料の軽減に努力しているのです。

「子育て支援が一丁目一番地」「子育てするなら水戸市」と市長は繰り返しています。

それが本気だとすれば、保育料ゼロをめざし、少なくとも第2子は無料にする。あるいは、他自治体並みに、すべての所得段階で引き下げる。それくらい必要ではないでしょうか。

さらに、医療費マル福の完全無料化、子どもの国保税均等割廃止など、医療・保育・給食の3つのゼロにむけた取り組みを求めるものです。

市長は、提案理由の説明で、子育て支援のパッケージについて「年次的に更なる拡充を図る」と述べましたが、その具体的内容、今後の拡充方針をお答え願います。

②     保育士の待遇および配置基準の改善について

保育の充実も大きな課題です。

今回、保育所などの事故防止対策予算が提案されており、これらも勿論必要ですが、相次ぐ事故の背景には、国の低すぎる保育士の配置基準があります。

日本では1人の保育士がみる子どもの数は1・2歳児が6人、3歳児は20人、4・5歳児は30人です。この基準が定められたのは1・2歳児が56年前、4・5歳児は実に75年前です。

「1人の保育士が20人から30人の子どもをみる」というのは、38の先進国が加盟するOECDの中で最低であり、異次元どころか、低次元すぎる基準です。

仮に、保育の利用者が減少しても、配置基準を改善し、施設・予算を維持することで、一人一人の保育の質を高めることが可能です。

特に公立保育所は、地域のセーフティネットの要として、コロナ禍の中でも欠かせない役割を発揮してきました。

ところが、水戸市の行革プランでは、市立保育所の民間委託を掲げています。本来、民間委託や削減するのではなく、公立・民間ともに安心・安全の保育、質の高い保育をめざすべきと考えます。

そこで、保育士配置基準の改善の必要性、すなわち、市独自の基準の策定について、市長の見解を伺います。

保育士の待遇改善もまったなしです。

昨年、せっかく国が、保育士賃金を月額3%程度、9千円引き上げる「処遇改善事業」を実施しましたが、市は市立保育所の保育士については、申請しませんでした。

正職員は、行政職給料表を適用していますが、市立保育所の保育士の52%、125人は非正規の会計年度任用職員です。(正職員114人、会計年度任用職員125人)

その月額報酬は、20万4000円です。

市がいくら募集しても、保育士が一向に集まらない現状を見ても、賃上げや正職員化が必要ではないでしょうか。答弁ねがいます。

答弁:市長

日本共産党水戸市議団を代表されましての田中議員の御質問にお答えいたします。はじめに,子育て支援についての御質問のうち,子育て支援策のさらなる拡充についてお答えいたします。

日本の人口は平成23年以降減少しており,厚生労働省の人口動態統計速報によると,令和4年の出生数は初めて80万人を割り込み,過去最少となりました。本市も例外ではなく,昨年の出生数は1,869人と,令和3年から年間2,000人を割り込む状況となっております。

私は,昨年4月に,こども部を新設し,子育て支援の充実とあわせ,少子化対策にも取り組んでまいりました。

人々の価値観が変化し,ライフスタイル,家族のあり方なども多様化することで,子どもを生み育てるということについても,様々な考え方での多様な選択がなされるようになっております。私は,その選択は尊重されるべきとの考え方に立った上で,経済的な事情や,相談相手がいないといった不安を理由として,子どもを生み育てたくてもそれをかなえられない,思いとどまってしまうという状況については,行政が手を差しのべて解消していかなければならないと考えております。

そのため,これまでの子育て環境の整備はもちろんのこと,安心して子どもを生み育てることができるよう,令和5年度からは,子育て世帯の経済的負担の軽減と相談・支援の充実を2つの柱とした,本市独自の「みとっこ未来パッケージ」において,こども・子育て支援のさらなる充実を図ることといたしました。

経済的負担を軽減する新たな取組としては,小・中学校へ入学する年齢の子どもについて,学びの環境を整えるための支援として,一人当たり3万円の新入生応援金を支給してまいります。あわせて,教育費や食費など,特に子育てに係る費用負担の大きい中学生のいる世帯を対象に,家計への負担を減らし,子どもたちの夢の実現を後押ししたいという思いから,中学校1年生から3年生全ての給食費を無償化することといたしました。

また,妊娠・出産期においては,国の交付金を活用した出産・子育て応援ギフト事業,多胎妊娠の妊婦健診の助成などにも取り組み,しっかりと子育て世帯の暮らしを支えてまいりたいと考えております。

さらに,これまで実施してまいりました,結婚新生活支援や不妊・不育症治療費の助成,出産育児一時金の支給や保育料の軽減,子どもの医療費の助成などの各ライフステージにおける負担軽減策にも継続して取り組んでまいります。

相談・支援の充実としては,課題を抱える家庭を孤立させないよう,新たに,子育て世帯戸別訪問支援や,伴走型の相談支援を実施するなど,それぞれの家庭に寄り添うフォローアップ体制を強化してまいります。

また,子育て世帯の諸手続きにかかる負担を軽減し,利便性を高められるよう,こども・子育て関連手続き等の電子化や,子育て支援アプリの導入など,DX化も推進してまいります

加えて,市民センターで実施している子育て広場をはじめ,保育所・認定こども園における地域子育て拠点支援事業に取り組むなど,地域の方にも御協力いただきながら,親と子が気軽に集い,交流できる場をつくることで,子どもたちをまち全体で育んでいく環境の充実も図ってまいります。

そして,これらの取組をしっかりと届けていくため,新たに開設した子育て支援特設サイト「みとっこ1丁目」をはじめ,各種SNSを活用しながら,分かりやすい情報発信に努めてまいります。

御質問のありました子育て支援策のさらなる拡充につきましては,国の政策の動きや制度の見直し,新たな補助金等を注視しながら,計画的な財源確保に努め,特に優先度の高い事業については段階的な施策の拡充を図るなど,中長期的な計画として,年次的に「みとっこ未来パッケージ」を深化させてまいりたいと考えております。既に各会派からの代表質問に答弁いたしましたとおり,給食費無償化の小学校への拡充や,0歳から2歳児の保育料無償化などにつきましても,子育て世帯にとりまして優先度の高い事業であると認識しておりますことから,令和6年度以降,段階的に実施できるよう,取り組んでまいります。子ども医療費の助成につきましては,既に市独自の取組として,高校生相当の外来まで拡充しておりますが,完全無償化については,小学校の給食費無償化や保育料無償化の進捗状況を鑑みながら,取り組んでまいりたいと考えております。

私は,まち全体で子育てを応援し,子どもたちを育んでいくよう,市民の皆様方に御理解・御協力をいただきなら,安心して子どもを生み育てられる環境づくりを着実に進め,子どもを生み,育てるなら水戸と言っていただけるよう,子育て世代から選ばれる,魅力あるまちの実現を目指してまいります。

次に,保育士の配置基準及び処遇改善についてお答えいたします。

保育所等における保育士の配置基準につきましては,国の「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」を踏まえて配置を行うこととされており,年齢ごとに,必要とする保育士の人数が最低基準として定められていることから,本市におきましても,国基準を準用した保育士配置について条例に規定し,運用を行っております。

安全で安心な保育の提供には,保育士の担う役割が重要であることは言うまでもありません。近年,保育の現場は,通常の保育業務にとどまらず,新型コロナウイルス感染症対策や熱中症対策,事務作業等,多岐にわたり,業務負担の軽減が課題となっております。静岡県で発生した不適切な保育により,保育士が逮捕されるなどの事案を防止する観点からも,充分な職員配置による,適切な保育の提供が望ましいと考えております。

そこで,市立保育所においては,保育所の就園児の状況により柔軟に保育士の加配を行っているほか,平成30年度以降,保育士の周辺業務を補助する保育補助者を配置しております。民間保育所等におきましては,国の制度の積極的な活用により,給食配膳や清掃,寝具の用意などの業務を行う保育支援者を雇用する保育所に対し「保育体制強化事業補助金」を,保育士資格取得を目指す方を保育補助者として雇用する保育所に対し「保育補助者雇上強化事業補助金」をそれぞれ支給しているところであり,引き続き,保育体制の充実を図り,安全で安心な保育の提供に努めてまいります。

次に,保育士の処遇改善につきましては,民間保育所等における施設給付費の中に,昇給や賃金改善,キャリアアップの仕組みを構築するための処遇改善等を加算することにより対応しております。

一方で,市立保育所における常勤職員の保育士の給与につきましては,行政職と同様の水準に設定しているほか,特殊勤務手当を支給しており,業務の困難性等に応じた,適正な給与水準を確保しているところでございます。

また,会計年度任用職員の保育士の報酬につきましては,令和2年度の会計年度任用職員制度の導入時に,高い専門性を考慮し,一般の事務職より3割ほど高い水準の初任給を設定し,期末手当や任用更新に伴う報酬月額の増額,休暇制度の拡充なども実施してまいりました。

今後とも,保育を必要とする子育て世帯に対し,安全で安心な保育を提供するため,保育士が働きやすい環境に配慮しながら,安心して子どもを生み育てることができるまちの実現を目指してまいります。