2023年3月 水戸市議会 反対討論 日本共産党水戸市議団 田中まさき議員 2023.3.23

日本共産党水戸市議団の田中まさきです。

本定例会に提案された議案42件のうち、15件について、通告に従い反対討論を行います。

1.開発行政について‥議案第16号、第19号、第22号、第23号、第31号、第33号、38号

はじめに開発行政について、議案第16号、第19号、第22号、第23号、第31号、第33号、第38号に反対します。

ア.新市民会館建設関連事業について(19号・22号・31号・33号)

まず、新市民会館建設関連事業についてです。

来年度の関連予算は、約10億円です。高額なピアノのほか、備品納入に約5億円。

コンベンションリンケージへの指定管理料(年3.2億円)や、家賃(2200万円)など、運営経費として約4億円。(1日100万円)

さらに開館記念事業や、G7大臣会合経費に、約4000万円。

そのうえ、不正受給が問題の京成百貨店と結ぶ「上空通路」の建設費を、6億2700万円へ8500万円も増額し、来年度は3600万円を予算化しています。今年度の約113億円の支出に続き、開館後の維持費も多額となることが明らかです。

住民訴訟での市側の証人尋問でも、立地や規模の決定に関する市長の意向など重要問題が焦点となりました。また、再開発計画区域から追い出された地権者の厳しい実態も明らかにされ、渋滞予測もないままの開館に混乱も危惧されています。

新市民会館と関連事業の総額360億円にのぼるムダづかいの市長の責任は重く、裁量権の逸脱・濫用と考えます。よって、これらの支出に反対します。

イ.水戸駅前三の丸地区市街地再開発事業について

そして、次はリビン跡地「水戸駅前三の丸地区市街地再開発事業」ですが、来年度は2億6000万円を予算化しました。建設されるのは、地上20階、高さ60m、186戸のマンションやテナントビルですが、わざわざ補助する必要があるのでしょうか。

施工者は、資本金575億円のゼネコン・長谷工工務店と、資本金50億円の不動産業者フージャースコーポレーション。本社はいずれも東京の大企業です。総事業費104億円に対し39億円もの税金補助は中止を求めます。

ウ.  泉町1丁目マンション開発への補助について

泉町1丁目でも、穴吹工務店(資本金25億円)のマンション建設に、総額6億8000万円、そのうち来年度は約7200万円を補助するものです。

この開発は、総合計画にも3か年実施計画にもなかったもので、ただでさえ供給過剰なマンション開発への補助は行うべきではありません。

エ.東前第二土地区画整理事業について (23号・38号)

東前第二土地区画整理事業は、着工以来27年たっていますが、事業に合意していない住民が多額の付け保留地の支払いを請求されるなど、住民合意のないまま進められており賛成できません。

オ.企業立地促進(19号)および市街化調整区域の開発行為の特例(16号)について 

次に、企業立地促進(19号)および市街化調整区域の開発行為の特例(16号)についてです。

来年度、予算化された「企業立地促進補助金」は、米沢町に進出する自動車関連大手・トヨタモビリティパーツ株式会社、これは資本金150億円、全国に33の支社を構える大企業です。

ここに2億5000万円を補助した上に、固定資産税を3年間免除し、新規雇用1人につき10万円を3年間(15人×10万×3年=450万円の見込み)支給するという、至れり尽くせりです。

しかもその財源が、「子育てや教育にあてる」としてきた「水戸黄門ふるさと寄付金」を2億円も充当するというのですから、「子育て支援」ではなく「大企業支援」が1丁目1番地ではないでしょうか。

議案第16号、市街化調整区域に係る開発行為の許可基準の改正も、大企業支援が目的です。

茨城町西インターチェンジ近くの下野町(しものちょう)の16ヘクタールの区域に、本来は市街化調整区域に建設できない「流通系業務施設」を特例で認めるものです。

この区域には、通信販売大手の「モノタロウ」が進出を決めておりますが、同社はすでに近くに流通施設を2つ持っており、3つ目の建設を支援するものです。

資本金20億3900万円、兵庫県に本社をもち、全国や海外展開もしている大企業です。

ここにも、2億5千万円の「企業立地促進補助金」などを出すことになれば、際限のない大企業奉仕、優遇ではないでしょうか。

来年度末の市債残高の見込は、約2460億円。今後、新市民会館など、4大プロジェクトの借金返済が始まれば、公債費が増大、5年後には、年112億円もの借金返済となる見通しです。

にもかかわらず、再開発や大企業に多額の補助を行えば、他の予算をますます圧迫します。

市民の暮らしが大変な時、大企業に湯水のごとく補助している場合ではありません。

その予算は、小学生の給食費無料化や保育料免除、老朽化した学校や市民センター、市営住宅などの改修にこそ、あてるよう強く求めるものです。

2.民間委託と職員削減‥議案第5号、9号、10号、11号、19号

ア.学校給食、放課後学級などの民間委託について(5号・19号)

次に、議案第5号、19号について、民間委託と職員削減に反対します。

職員定数では、河和田小、妻里小、上中妻小の学校給食調理業務を民間委託することにより、7名の職員削減が行われますが、市民に身近な部門の安上がり雇用への置き換えは認められません。

放課後学級でも民間委託の矛盾が噴出しています。年間2300万円から3000万円も安く落札され、年度末に、長年働いてきた支援員の雇用が確保されない混乱を招きました。

さらに、待遇悪化や雇用先の変更で、続けるかやめるか悩む支援員が続出しており、子ども達は置き去りのままです。

市直営に戻して、支援員を増員し、発達障害児への対応や、老朽化した設備や教室不足の改善など、市が責任を持って運営するよう求めます。

イ.市立幼稚園の廃止について(19号)

地元住民の存続要望も強い、見川幼稚園をはじめとする市立幼稚園は廃止するのではなく、存続拡充することを求めるものです。

ウ.児童福祉施設等に関する職員の配置基準(9号、10号、11号)

また、議案第9号、10号、11号については、児童福祉施設などの職員配置基準を緩和して、看護師を保育士とみなすものです。

保育士不足を専門性の異なる職種で穴埋めするのではなく、安心安全な保育の実現へ、国際的にも遅れている保育士配置基準を改善して待遇改善すべきです。

3.市民負担について‥議案第2号、19号、20号、27号、29号

次に、市民負担の増加など、議案第2号、19号、20号、27号、29号に反対します。

ア.市税の徴収について(19号)

依然として物価高が続いていますが、市税徴収については、猶予もなければ、減免もありません。

逆に厳しい取り立ての租税債権管理機構への委託も継続しており、認められません。

厳しい市民生活と中小業者の苦境を救うために、市税や公共料金の減免を積極的に行うよう求めます。

イ.マイナンバーカードの推進について(19号)

また、市は国と一体にマイナンバーカードを推進し、来年度は約2億3000万円(2億2654万5千円)も予算化しています。

保険証として利用させるなど拡大しようとしていますが、プライバシー侵害や、情報漏洩の危険を高めるものであり、推進はやめるよう求めます。

ウ.個人情報保護法施行条例について(2号)

個人情報保護法の改定に伴う施行条例の制定は、市が定めてきた独自ルールをすべて国の権限とし、条例を形骸化するものです。

個人情報の収集の制限を緩和し、市の審議会に個別案件は諮問できなくなるなど役割低下をまねきます。

今後、国は、匿名加工情報などを企業のもうけのために外部提供する方針であり、個人情報保護に逆行しています。

市議会にかかる条例も同様の趣旨であり、賛成できません。

エ.国民健康保険税(20号)・後期高齢者医療について(27号)

今年度、国民健康保険が、所得割と均等割の2方式へ変更され、加入世帯の4割、1万5000世帯が値上げになり、払えない世帯が多数にのぼっています。

一方、国保会計は今年度末、15億8000万円の大幅黒字であり、値下げをするとともに、18歳未満の均等割は全額免除すべきです。

後期高齢者医療では、昨年10月から医療費窓口負担が1割から2割に倍加し、9600人が負担増となっています。

これでは、高齢者は医療や介護を利用できず、命と暮らしがおびやかされるばかりです。大幅な黒字や基金の活用、一般会計からの繰り入れで負担を軽減すべきです。

オ.水道事業の県中央広域水道からの受水等について(29号)

水道事業では、来年度も全国一高い県中央広域水道からの受水を続けるとして、約1億4000万円を予算化するのはムダづかいです。

受水契約見直しを求める議会の意見書可決を一顧だにせず、契約解除も見直し協議も行わず、逆に、水道料金値上げにつながる一県一水道の協議に参加することは認められません。

以上で、反対討論を終わります。

230323_田中まさき反対討論pdf