3.雨水排水対策について

次に、雨水排水対策について質問します。

台風2号の影響で、6月2日から3日にかけて、記録的な大雨となりましたが、被害の実情を伺います。

水戸市でも常澄地区や酒門町など、東部地域で浸水被害が発生し、道路冠水も相次ぎました。

3日午後には、天気が回復したものの、酒門町の一部ではポンプ排水で翌4日午後にやっと通行できる状態となりました。

50号バイパス南側の笠原町では、最近市が対策工事を完成させたばかりの地区で、道路冠水が起き、宅地まで広がりました。

床上浸水の直前だった住民は「近くの店舗に車を緊急避難させた」と話していました。

大場町でも石川川が広くあふれました。これが石川川の写真(左)ですが、ただでさえ幅が狭いのに草が繁茂し水面が見えません。

流れを阻害し、すぐ氾濫する原因ともなっています。

これは大場市民センターの写真(右)ですが、駐車場が長時間水につかり泥が堆積したものです。以前から駐車場の沈下が深刻で、住民から「避難所の役割を果たせない。いつまでこのままにしておくのか」と厳しい意見も寄せられました。

いずれの地域も、排水管や調整池、河川の容量が追いついていないことはハッキリしており、根本的な対策が求められています。

そこで、市が8年前に策定した「雨水排水対策プログラム」は、当時215か所あった浸水被害を、今年度末までに20か所に減らす目標でした。

ところが、この8年間に、新しい被害が90か所も増え、結果、いまなお200か所近い被害が残されています。

昨今の集中豪雨で、より深刻な被害となる可能性も高く、計画を前倒しして、早急に被害ゼロをめざすべきと考えますがいかがか、見解を伺います。

答弁:市長

次に建設行政についてお答えいたします。

まず,令和5年梅雨前線による大雨及び台風2号における本市の 降雨状況につきましては,2日0時の降り始めから3日10時の 降り止みまでの34時間で,累加雨量207mmを記録いたしました。

一方,那珂川におきましては,上流の降水量が多くはなかった  ため,水府橋において3.47mの水位にとどまっております。

本市の対応といたしましては,降雨状況及び降雨予測を踏まえ,土砂災害警戒区域にお住まいの方を対象に,自主避難所を3か所 開設するとともに,市内の土砂災害警戒区域のパトロールを実施いたしました。2日午後9時には災害対策本部を設置し,大雨に対する翌日までの対応について万全を期したところでございます。

その後,本市に土砂災害警戒情報が発表されたことを受け,降雨の状況から危険度が高まっていた常澄地区の土砂災害警戒区域を対象に避難指示を発令するとともに,常澄地区において重点的に パトロールを実施いたしました。

今回の大雨による本市における被害状況につきましては,幸い 人的被害はございませんでしたが,住家における被害としまして 床上浸水1件,及び床下浸水7件,非住家における被害としまして床下浸水5件を確認しております。

また,市内の東部を中心に道路冠水を38件確認しており,通行止めを24件実施したほか,一部箇所ではポンプによる排水作業を行ったところでございます。

今後,夏から秋にかけて雨の多くなる時季を迎えることから,気象情報を的確に収集し,過去の経験にとらわれることなく,市民の皆様の命を守る対策を最優先に講じてまいります。

次に,「雨水排水施設整備プログラム」につきましては,近年多発している局地的な集中豪雨や急速な宅地化の進展により,市内各所において浸水被害が多数発生していたことから,平成27年度に当計画を策定し,早期の浸水被害の軽減・解消に向けて,重点的かつ集中的な雨水排水施設の整備や,既存施設を有効活用 するための流下機能改善を行うなど,雨水流出抑制に向けて,  様々な取組を継続的に進めてまいりました。

特に,県内初の登録となった国の100ミリ安心プランにつきましては,下水道管理者である市が,雨水管の整備や桜川第2ポンプ場の雨水ポンプを増設するといった内水氾濫対策の整備を実施し,河川管理者である県は,沢渡川の河道整備による外水氾濫対策を進めてきたほか,一般家屋に対しては雨水貯留施設の設置助成を行い,浸水被害の軽減・解消に向けた取組を着実に進めてきたところでございます。

また,河川事業等においては,平成30年度に石川川調節池が 完成し,令和3年度からは内原町調整池の新設工事に着手したほか,令和4年度には吉沢・住吉町の雨水調整池拡張事業にも    着手するなど,流下能力が低い河川流域での雨水貯留能力を向上させる対策も積極的に取り組んでまいりました。

これらの取組によって,平成27年度から令和4年度までの8年間で,115か所の浸水被害箇所の軽減・解消を実現しているところでありますが,残された浸水被害箇所は市内各所で       未だ187か所あるため,引き続き,浸水対策事業を推進していく必要性を強く認識しているところでございます。

今後の再発防止・被害軽減のための計画につきましては,これまでの「選択と集中」や「再度被害の防止」の観点を踏襲しつつ,最大の課題でもある流末確保のための「貯める」対策をさらに強化するとともに,現行の「雨水排水施設整備プログラム」が,令和5年度で事業期間の完了を迎えることから,次のステップとなる雨水排水対策の整備方針について早急に検討を進め,本市の実情に合った効果的な雨水管理方針を作り上げてまいりたいと考えております。

また,現在策定を進めている「水戸市第7次総合計画」においても,災害に強いまちの構築に向け,「浸水被害箇所数」や,「冠水による道路通行止めの箇所数」の削減を目標に掲げるなど,ハード・ソフトの両面から「治水・雨水対策の推進」を行ってまいります。

私は,国が事務局を務める「久慈川・那珂川減災対策協議会」や,「久慈川・那珂川流域治水協議会」において,昨年に引き続き自ら参加し,本市の内水氾濫対策や現在直面している課題を紹介するなど,あらゆる機会を通じて,安全度向上の必要性について発信し,事業の財源確保や,国・県事業の促進に努めてまいりました。

近年の気候変動により,年々強さを増していく降雨状況の中,市内各所で発生する浸水被害の軽減・解消を図ることは,市民の 安全・安心な生活環境を築くための基盤となることから,引き続き,雨水排水対策に全力で取り組んでまいります。