2.新市民会館について

次に、新市民会館建設についてです。

私達は、関連事業含めて約360億円に膨れ上がった建設費の増大は、地方自治法が定める「最少の経費で最大の効果」の原則に違反すると主張してきました。

特に3千人規模のコンベンション、2千人の大ホールなど身の丈に合わない過大な施設建設、候補地の中で最も経費がかかる泉町1丁目への立地、再開発事業を選択して莫大な補償費を支払い、事業費増額を繰り返したことなど、いずれも市長の裁量権の逸脱乱用だと指摘してきましたが、6月15日の水戸地裁判決は、不当にも原告の主張を退ける内容でした。

原告団と弁護団は「今回の判決は、原告の主張をまともに受け止めようとしないもので、行政が進める公共事業のムダ遣いを司法の立場でチェックしようとせず、むしろムダな公共事業を積極的に奨励するものに他ならない。司法の役割を放棄した不当な内容であって、到底容認できるものではない」との声明を発表しました。

私も傍聴しましたが、あまりに内容のない判決に呆れるとともに、逆に言えば内容がないだけに、原告が指摘した問題点はなんら解決していないと痛感しました。

そこで改めてお聞きしますが、裁判の中で水戸市が「市民会館建築とは別の事業である」と主張し続けた、再開発、道路整備、駐車場、備品購入や床の取得について、裁判所は「いずれも新市民会館の整備やそれに伴う事業であることは明らかで一体だ」と認定しました。

つまり、裁判所も、当初68億円だった経費が360億円になったことを認めたわけですが、率直に言って「これは高すぎた」と市長は思っているのか、それとも「これくらいかかるのは当然で想定内だ」という考えなのか、端的にお聞かせください。

また、裁判の証拠で「2千人以上のコンベンションは政令市に持っていかれている」との市職員の発言はあるものの、3千人規模のコンベンションが水戸市でどの程度開催できるかについては、今にいたるも何の調査分析もされていません。

では、大ホール・中ホールの稼働率70%や、年間60万人を達成させるという根拠はどこにあるのか、お伺いいたします。

そして、維持管理費は年約4億円で1日100万円を超えますが、呼び込み費用は別にかかるわけです。

今年度で言えばG7大臣会合が3日間で約1億円です。

これ以上の金食い虫とさせてはならないと考えますが、今後も同様の予算措置を続けるつもりか、お答えください。

見学に行った市民からは「駐車場を探すだけで大変。駐車料金の減免はないのか」「お金がかかるなら市民会館には来ない」「駐車場無料の市民センターに行く」との声です。

また、渋滞問題について原告は、独自の調査報告書を証拠として提出し、大ホールが満席の場合、泉町付近が平均にくらべ95%交通量が増加し、新市民会館から4方向にそれぞれ855メートルの車列が伸びると示しましたが、対策は必要ないのでしょうか。

これらの問題は、市民目線で考えれば、どれもこれも当然の疑問です。真摯で明快な答弁を求めるものです。

答弁:市長

次に,市民協働行政について,お答えいたします。

水戸市民会館につきましては,全国規模の大会や式典,大規模イベントをはじめ,吹奏楽や合唱コンクールの関東大会や全国大会の開催に向け,市内の経済団体,文化団体や多くの市民から,2,000席規模のホールを有する施設の整備が求められておりました。

また,興行主催者のヒアリングにおいても,ホールの規模は,採算性を踏まえると客席数が多いことが望ましく,本市に2,000席規模のホールができた場合には,著名アーティストのコンサートツアーや大規模コンベンションの会場として期待できるとの見解を伺っておりました。

このため,市民会館の施設規模につきましては, 2,000席のホールをはじめ,3,000人規模のコンベンションの開催が可能となる十分な広さと部屋数を備えた会議室や展示室等を整備することとし,市議会特別委員会でも十分な御審議をいただきながら,整備を進めてきたところでございます。

市民会館の整備費につきましては,2,000席規模の大ホールを併せ持った類似施設と比較しても,適切な事業費であると考えております。

市民会館につきましては,県都にふさわしい芸術文化及びコンベンション拠点というコンセプトを実現するための施設の機能や規模などをさまざまな観点から検討したものであり,地方自治法・地方財政法の趣旨に沿ったものであると認識しております。

また,管理運営費につきましては,令和3年第4回水戸市議会定例会において,令和4年度から9年度までの6年間の管理運営に係る債務負担行為として,限度額17億3,630万円を議決していただいており,これに基づき各年度の予算を措置しているところでございます。指定管理者における各年度の収支状況を把握しながら,適切な管理運営を行うよう指導監督してまいります。

7月2日に開館を迎える市民会館は,市民にとって心の豊かさや優良な都市空間の構築を実現する,本市の将来にわたるまちづくりに極めて重要な施設でありますことから,今後とも適切な予算執行に努め,多くの市民に愛される施設づくりを目指してまいります。