4.東海第2原発について

次に、東海第二原発の再稼働に、市長が反対を表明することを求めて、質問します。

5月31日、国会で成立したGX電源法・原発推進5法は、12年前の福島原発事故の教訓を忘れ、日本を危険な原発依存社会へと引き戻すものです。

とくに、原発の運転期間を原則40年、最長60年に制限する規定を削除し、規制委員会の審査などで止まっていた期間は、運転期間に算入しないとして、東海第2をふくめて70年を超えた運転をも可能とするものです。

福島での地方公聴会すら開かず、国民の安全よりも原子力ムラの利益を最優先した、規制から推進への逆転であり、原発事故被害者の思いを踏みにじるものだと考えますが、市長はいかがお考えかお聞かせください。

今なお福島第一原発の原子炉内は深刻な実態で事故収束は見通せず、増え続ける汚染水も大問題です。今月10日、福島県・茨城県の漁協は、「今年夏ごろに海洋放出をはじめる」という西村経産大臣に対し「あくまで断固反対をつらぬく」と表明しています。

同様に、国民は決して原発を容認していません。3月の世論調査では、原発の最大限活用を「評価しない」が64%、建設推進に「反対」が60%です。

原発のコストが安いというのもまやかしです。

日本原電の東海第2原発、敦賀原発2号機は12年以上、1ワットも発電していませんが、大手電力5社は基本料金を払い続け、その額はなんと1兆2700億円です。

東京電力はその4割を占め、今後も550億円を毎年原電に払う予定ですが、これらすべてが電気料金に跳ね返ります。

実際、東電は6月から家庭向け電気料金を値上げしますが、その一方で原発事故の損害賠償負担金の支払いは、赤字を理由に免除されるというのです。こんなひどい話があるでしょうか。

脱炭素やエネルギーの安定供給というなら、危険で高コストな原発をやめ、電力使用量の7倍を超える発電能力がある再生可能エネルギーを最大限活用すべきと考えますがいかがでしょうか。

ご承知のとおり、水戸市議会は2018年6月議会で「東海第2原発の再稼働を認めないことを求める意見書」を可決しています。

2021年3月には、水戸地裁が、住民の安全を守る「避難計画とその体制があるというにはほど遠い」として東海第二の再稼働を認めない画期的判決を下しています。

半径30キロだけで94万人、広域避難計画も結局1人あたりタタミ1畳の基準は変わらず、命を守る保障はありません。

国は、避難計画づくりに「地域支援チーム」を派遣するとしており、再稼働に向けて一段と国が介入してくることも想定されます。

そこで、市長が一刻も早く東海第2原発の再稼働反対の意思を示すべきと考えますが、市民意向調査の実施時期とあわせて見解を伺います。

答弁:市長

次に,原子力行政に係る御質問についてお答えいたします。

先月の31日,国会において,エネルギー関連の5つの法改正をまとめた「GX脱炭素電源法」が成立いたしました。この一連の法改正は,国が,本年2月に閣議決定した「GX実現に向けた基本方針」に基づき,「地域と共生した再生可能エネルギーの最大限の導入促進」と「安全確保を大前提とした原子力の活用」の二つの柱の実現に向けて行われたものであり,原子力発電所につきましては,この法改正により,実質的に60年を超える運転が可能となるなど,制度の枠組みが見直されることとなりました。

水戸市を含め,発電所の近隣6自治体で構成する「原子力所在地域首長懇談会」におきましては,この昨年から始まる国の原子力政策の方針転換を受け,本年3月に会議を開催し,国の関係省庁に対して,政策の基本的な方向等について説明を求めたところでございます。その中において,「日本の乏しいエネルギー事情」や「脱炭素社会の実現に向けた国際的な要請の高まり」などに関して,マクロの視点において一定の理解を深めることはできたものの,原子力発電所,それも東海第二発電所に関する固有の事項等については,私は確認しなければならない事項があるものと認識しております。

具体的には,「国は一定期間後10年ごとに審査をするとのことであるが,国内・国外ともに運転開始から60年を超えて運転している原子力発電所がない中,科学的な知見を持って検証ができるのか」,「日本原電が現在実施している安全対策は,60年の上限が設定されていた当時に許可を受けているが,改めて変更等は必要ないのか」など,特に安全性に係る事項でございます。

そして,これらのことは,何より市民の皆様が多くの不安と疑問を抱えていると感じております。今後,近隣自治体とも連携を図りながら,国や事業者に対し,今回の法改正が及ぼす東海第二発電所への影響などについて,広く説明を行うよう要請してまいります。

また,私は,今後とも市民の皆様のニーズを的確に捉えながら,国のエネルギー政策や,法改正に基づく新制度の適用等の変化に柔軟に対応していく一方で,東海第二発電所の再稼働に対する見解につきましては,何ら変えるつもりはございません。

これまでも繰り返し「再稼働は施設の万全の安全対策が完了していることはもちろんのこと,実効性のある広域避難計画が策定できない限りはあり得ないこと,あわせて,市民意向調査の実施等により,多くの市民の皆様の声を十分に聞いた上で,時期に捉われることなく再稼働の是非について判断していくこと」を申し上げてきたところであり,その思いは揺るぎございません。

今後とも,この基本スタンスのもと,近隣自治体との連携による発電所の安全対策の向上,実効性ある避難計画の策定をはじめとする各種安全対策に積極的に取り組み,市民の皆様が安心して暮らすことのできるまちの実現を目指してまいります。