5.水道行政

最後に水道行政です。茨城県は市町村水道の経営を10年間で一体化し、2050年には県内全市町村の水道を統合し料金も統一する、1県1水道を推進しようとしています。

3月に県の広域化推進プランが発表され、水戸市を含む県中央広域圏の給水原価などをシュミレーションしたとしています。

出された1立米当たりの平均値は、水戸市の給水原価より現時点で22円も高く、今後ドンドン高くなるというもので、これだけでも一体化のメリットはないと言えるのではないでしょうか。

私は、1県1水道の裏側に潜む様々な問題から、水戸市は参入すべきでないと主張してきました。まず,市町村の自己水源を放棄させ,県の広域水道に転換し,過大な水源開発の責任を,市町村と市民に押しつけることです。

東日本大震災で、県水に頼っていた常澄・内原地区の断水が長期化した経験からも、災害時には地域分散型の水道のほうが、被害が少なく復旧も早いことを思い知らされました。

県は工事や物品を一括発注してコストを下げるといいますが、市内業者の仕事を奪い、漏水や災害時に業者がすぐに来なければ、市民にとってもよいことはありません。水道事業の予算・決算審議も水戸市議会ではできなくなり、職員の身分も大きく変わります。

なにより水道料金が大幅値上げとなることです。水戸市の水道料金は、決して安くはありませんが、それでも県中央広域圏内の11自治体で下から2番目、県全体で下から4番目です。全県統一されれば大幅値上げは避けられません。

県は今年度中に「検討調整会議」をつくり、来年度以降に「基本協定の締結と法定協議会の設置」「統合」に進むスケジュールです。デメリットしかない1県1水道に参加せず、単独経営を維持すべきと考えますが見解を伺います。

そもそも水戸市には、楮川と開江に立派な2か所の浄水場があります。ここでつくる水道水は人口27万人どころか、あと9万人の人口が増えても十分賄えるほどの余裕があり、わざわざ県から全国一高い水を買う必要はありません。

県中央広域水道の料金は、水戸市自前の水道水の3.6倍、受水開始から24年間で県への支払いは実に41億円を超えました。

県はさらなる値上げも検討しており、その原因のひとつが水源と位置づけている霞ケ浦導水事業です。5回も工期延長を繰り返し既に49年、完成のめども立たず、水道料金に跳ね返る工事費だけはうなぎのぼりです。

水戸市議会はすでに2020年9月議会で、「県中央広域水道の契約見直しを求める意見書」を全会一致で可決し県に提出しています。

ムダな受水を続けることは市民に対する背信行為であり、受水中止と霞ケ浦導水の推進をやめるよう求めるものです。

明快な答弁を求めて第1回の質問を終わります。

答弁によりましては再質問いたします。

答弁:上下水道事業管理者

田中議員の代表質問のうち,水道行政についてお答えいたします。

初めに,1県1水道についてでございますが,本年3月に,国の要請する「水道広域化推進プラン」として「茨城県水道事業広域連携推進方針」が県より示されたところでございます。

今後は,茨城県において令和7年度の経営の一体化に向けた「広域連携検討・調整会議」を設置する予定と伺っており,現在,会議への参加意向について,本年9月下旬を期限として回答を求められている状況でございます。

本市といたしましては,県から示された広域連携推進方針のシミュレーションについて,本市独自で検証を行ってまいります。その上で,「検討・調整会議」への参加の是非につきましては,市民負担の増大につながらないことを第一とし,また,本市水道の安定供給と健全経営を最優先に,適切かつ慎重に判断してまいります。

次に,霞ヶ浦導水事業を主たる水源とする,茨城県中央広域水道用水供給事業からの受水についてでございますが,災害に強い強靭な水道を確立し,市民の安全・安心を担保する給水確保の観点からも,必要となる複数水源の一つと捉えており,今後も有効に活用してまいりたいと考えております。