日本共産党水戸市議団の田中まさきです。本定例会に提案された議案40件のうち15件について、通告に従い反対討論を行います。

  • 開発行政について

…議案第18号、20号、23号、25号、33号、34号 

ア.新市民会館建設関連事業について

はじめに、新市民会館建設関連事業について、議案第18号、20号、23号、33号、34号に反対します。

来年度の新市民会館関係の予算は、保留床取得、備品購入などの初度調弁費、指定管理料と家賃・共益費、泉町再開発補助金、周辺道路整備、芸術館東地区駐車場建設、国道50号上空通路および泉町バス停整備など、合計112億9307万円という巨額、破格の扱いとなりました。

その財源として86億円に及ぶ市債を発行し、来年度末の市の借金は、約2508億円(2507億6385万1000円)、過去最大に膨れ上がります。

今回の舞台照明機器の入札では、指名業者の半数が辞退、参考見積を出した指定管理者の協力企業が予定価格の74%で落札するなど、十分な競争性・公正性が確保されたとはいえません。

総額8億円にのぼる今後の備品購入でも、同様の事が繰り返される恐れがあります。

指定管理料についても、受注した、株式会社・コンベンションリンケージが、熊本市や沖縄市では、指定管理料ゼロ円で受注しており、水戸市が6年間で17億3630万円も支払うことは認められません。

来年度、新市民会館につぎ込む113億円は、老朽化した小学校の長寿命化・増築・修繕予算(14億2740万円)の8倍、

こども部の令和4年度予算の主な事業(1億1286万円)の100倍です。

学校プールや市立幼稚園を次々廃止し、女性相談や家庭児童相談のわずかな予算も削減。さらに公立保育所の民営化まで検討するというのでは、子育て支援の「こども部」といっても、看板倒れと言わざるをえません。

住民訴訟では、再開発計画区域から追い出された地権者の厳しい営業や生活実態が明らかにされるとともに、完成後の大渋滞を認めながら、県警との協議記録は黒ぬりで公開しない市に対し、怒りの声があがっています。

交通問題をはじめ、立地判断や事業規模の詳細について、市長みずから住民訴訟の証人尋問でも説明するべきです。

新市民会館関連事業は、総額360億円にのぼる壮大なムダづかいであり、市長の裁量権行使の逸脱・濫用は明らかです。

ただちに計画を見直し中止するよう強く求めるものです。

イ.水戸駅前三の丸地区市街地再開発事業について

税金の浪費はこれだけではありません。

市は、リビン跡地の「水戸駅前三の丸地区市街地再開発事業」に着手し、来年度1億円の補助を皮切りに、総事業費104億円に対し、39億円もの税金を補助するとしています。

施工者は長谷工とフージャース。いずれも本社は東京、資本金575億円の大手ゼネコンと、資本金50億円の大手不動産業者です。なぜ、ここに市民の血税を投入しなければならないのか。

しかも、リビン跡地の目と鼻の先、かつて市が莫大な税金を投入したマイムビルは、丸井をはじめほとんどのテナントが撤退し、今もガラガラの状態です。

それなのに、なぜまたテナントビルと、供給過剰のマンションに税金を投入するのか。いずれも納得いく説明はありません。

ウ.泉町1丁目マンション開発への補助について

マンションと言えば、泉町1丁目広小路地区でも、施工者は大手、資本金25億円の穴吹工務店です。

総事業費27億円に対して、市は総額6億8000万円を補助することを今議会で初めて明らかにし、来年度は1億358万円の税金を投入するとしています。

総合計画にも3か年実施計画にもなく、補助総額も説明せず突然推進を表明し、補助を決定。こんなやり方が通用するなら議会は必要ありません。

「税金をなんだと思っているのか」「市はいったい誰の味方なのか」という声が上がるのも当然です。

ゼネコンと大手不動産業者のためには、惜しみなく税金を投入し、市営住宅の建て替え計画は半分で中止です。

新市民会館を建設する竹中工務店も資本金は500億円、これを筆頭に、長谷工、フージャース、穴吹工務店と、あまりに露骨な大企業優遇ではないでしょうか。

これらの開発につぎこむのはやめて、市営住宅の建て替えをはじめ、税金は、市民が切望する生活関連事業に振り向けることを強く求めるものです。

エ.東前第二土地区画整理事業について

次に、議案第25号は、東前第二土地区画整理事業会計の予算です。水戸市は、この事業に反対している市民に対して、保留地の買い取りや、道路拡幅のためにブロック塀や門扉を削るよう迫っています。

合意のないまま事業を進めながら、住民の財産を削り、負担を求めるなど、とても同意できるものではありません。

「生活が苦しく、負担できない」との声が上がっており、住民犠牲で行う区画整理事業は中止を求めます。

 

2.市民負担の増加について…議案第13号、17号、19号、20号、21号、29号、31号

ア.市税の徴収について

次に、市民負担の増加についてです。

議案第20号・一般会計予算の歳入における市税徴収については、依然としてコロナ禍が継続していますが、来年度は猶予もなければ、減免もありません。

すでに今年度は、令和2年度の徴収猶予分、3億6000万円と合わせて、2年分が請求されましたが、払いきれず滞納となっている方が続出しています。

そのうえ、今年度で固定資産税の減免は打ち切りで、来年度は6億円以上も固定資産税の負担を増やし、取り立て強化の租税債権管理機構への委託も増やすなど、もってのほかです。

依然として厳しい市民生活と中小業者の苦境を救うために、4月以降、市税の徴収猶予分の免除や、減免を積極的に行うよう求めるものです。

 

イ.国民健康保険税、後期高齢者医療について

議案第17号及び21号は国民健康保険に関する議案です。

国保税の平等割をなくし、所得割と均等割の2方式へ変更しますが、加入世帯の4割にあたる1万5000世帯が値上げになります。

40歳未満の夫婦と子ども2人の4人世帯では1万9400円、成人4人と子ども1人の5人世帯では8万7800円もの大幅値上げとなるもので認められません。

市が行うべきは、昨年度9億3500万円を超える黒字を活用して値下げすることであり、18歳未満の均等割も全額免除すべきです。

また市は、マイナンバーカードを保険証として利用させるなど、普及促進の予算を大幅増額していますが、プライバシー侵害や情報漏洩の危険を高めるものであり、推進はやめるよう求めます。

議案第29号は、後期高齢者医療会計ですが、一昨年に保険料が17.1%値上げされたうえに、今年10月から医療費窓口負担を2割に倍加するもので、その対象者は9300人にのぼります。これでは、高齢者は医療や介護を利用できず、命と暮らしがおびやかされるばかりです。

大幅な黒字や基金の活用、一般会計からの繰り入れで負担を軽減すべきです。

ウ.下水道受益者分担金、し尿処理手数料について

議案第19号は、下水道整備区域を174ヘクタール拡大し、市民から1㎡あたり320円の受益者負担金・分担金を徴収するものです。

収入に関係なく一律に賦課されるもので、生活困窮の場合も、猶予はあっても免除されません。徴収のために昨年度に続き、今年度も差し押さえが行われており、今後、5億5,000万円にのぼる新たな負担を課すことは賛成できません。

議案第13号は、仮設トイレの「し尿くみ取り料金」に、これまでの従量制に加え、1回3000円の定額料金を導入し、イベント業者や工事現場などの負担を増やすものです。

受益者負担の名で、市のわずかな委託料を削減し、県内で一番高い料金とするものであり、認められません。

エ.水道における県中央広域水道からの受水について

議案第31号は、来年度の水道事業会計予算ですが、相変わらず全国一高い、茨城県中央広域水道事業からの受水費として、

1億4,210万円も計上しています。

一昨年9月には、水戸市議会で県中央広域水道の受水契約見直しを求める意見書を全会一致で可決し、昨年12月議会には市がみずから給水人口を4万7100人も減らす条例改正を行い、自前の施設に十分な余裕があることを認めました。

それでも県との契約解除どころか、見直しの協議さえ行わないのでは、「議会の意思は全く取り合わない」「自治法に定める最少経費原則も関係ない」という態度と言わざるをえません。

逆に来年度は、一県一水道方式をめざす県の研究会に参加するとしていますが、これは自己水源を減らし、ムダな県水への依存を高めるのがねらいであり、水道料金値上げにつながるもので、参加すべきではありません。

ただちに、県中央水道の契約を解除するとともに、昨年度に水道料金の11%値上げを強行し、8億8000万円も黒字となっており、今からでも値上げは撤回するよう求めるものです。

3.議案第6号、7号、10号

(1)職員体制について

ア.民間委託等による職員定数削減について

次に、議案第6号は職員定数条例の改定です。

本来は公的な責任で拡充し、安定した雇用とすべき市立幼稚園の廃止で8名、学校給食調理業務の民間委託で6名を削減するものですが、いずれも人件費削減が主な目的です。

その一方で新市民会館整備に関する増員を行うものであり、認められません。

イ.分限処分における降給の追加について

議案第10号は、人事評価の結果くだされる分限処分の項目に、給料を引き下げる「降給」を追加するものですが、昨年3月議会にも人事評価の5段階の結果を勤勉手当の加算減算に反映させ、給与に差を設ける条例がだされました。

今回さらに、人事評価結果の活用を拡大するものですが、人事評価の客観性や公平性の担保が不十分であり、上司へのそんたく、職場のチームワークをこわすおそれもあり反対です。

ウ.期末手当の2億6000万円の削減について

議案第7号、給与条例については、職員の期末手当を0.15月分減らすもので、総額約2億6000万円、職員一人平均10万3000円も給与を削減します。

1人当たりどれくらい減るかというと、

30代・主幹級・配偶者ありなら9万500円、

40代・係長・配偶者・子ども2人で13万5000円、

50代・課長・配偶者ありで15万8000円も減額になってしまいます。

職員は、終わりの見えない新型コロナの非常事態に連日対応し、先日の地震でも夜中に避難所にかけつけるなど、文字通り昼夜を問わず奮闘しています。

物価高、景気の低迷のなかの給与削減は、生活のきりつめ、景気悪化・民間賃金の更なる引き下げにつながるものです。

給与面からも、市職員の労苦に報いるべきであり、削減に反対いたします。 以上で反対討論をおわります。