4.水道行政について~県が推進する1県1水道について

次に、水道行政について、質問します。

今年2月、茨城県が発表した水道ビジョンは、市町村水道を4つの広域水道ごとに統合したうえで、いずれ1県1水道に統合して、水道料金も経営も、全県で一元化する方針です。

これが実行されると、どうなるでしょうか。

まず、市民がしはらう水道料金の大幅値上げは避けられません。

水戸市の水道料金は、県中央広域圏内の11自治体のうち、下から2番目、県全体でも下から4番目です。

県平均の水道料金は、水戸市の1.4倍であり、中には水戸市の2倍の水道料金をとっている自治体もあるほどです。

しかも、統合される母体が、全国一料金が高い県中央水道であり、県水道ビジョンにも「将来、水道料金を値上げする」とハッキリ明記されており、大幅値上げは目に見えています。

組織的には、市がつくったばかりの上下水道局から水道事業が切り離され、県の傘下に入り、経営の独立性を失います。

一部事務組合の企業団になるため、水戸市議会でのチェックもできなくなります。

当然、工事の契約や発注、水道料金の決定も、すべて企業団の権限となり、職員の身分も変更しなければなりません。

水戸市には、何のメリットもないことは明らかです。

大体、県は、全国一高い料金の値下げを市が繰り返し要求しても、水戸市議会が意見書を出しても決して値下げしません。

それどころか、水需要が伸びないことを見越して、県中央水道事務所の敷地の一部を、勝手にメガソーラーに転用しながら、霞ケ浦導水事業というムダな水源開発はいまだに続けています。

そんな県に、市民の命の水をまかせるつもりでしょうか。

なにより、東日本大震災で長期に断水を引き起こしたのがほかならぬ県中央水道でした。

大災害時に何の役にも立たなかった広域水道に、一極集中するのは災害対策としても欠陥です。市町村水道を残す地域分散型の方が被害が少なく、復旧も早いことが大震災の教訓です。

県は、水道ビジョンの中で「市町村での対応には自ずと限界がある」とか「1県1水道の実現には、水道事業間の利害関係の調整に相当の困難を伴う」が「県は困難に挑戦する」などと宣言しています。

みずからのずさんな経営は棚にあげて、何の根拠も比較も示さずに、「市町村では限界」と決めつけて、利害関係者扱いするというのは、あまりにも傲慢な、上から目線の態度ではないでしょうか。

それとも、水戸市も県と同じように「もう市町村では限界だ」と考えているのでしょうか。

今年度、市が参加するとしている研究会で、統合への参加をせまり、来年度は準備会、その後は法定協議会で一体化するというスケジュールが、すでに示されています。

その研究会の座長は、県の水道広域化推進室長であり、はじめから統合ありきの会議に、水戸市は参加すべきではありません。

国は、水道事業の民営化を進めるとしており、県水道ビジョンにも「水道法上の責任も含め民間委託を検討する」とあります。

県中央広域圏や1県1水道への統合はその布石であり、あらゆる点でデメリットしかありません。

参入すれば、その被害者は市民です。

「水戸市は参加しない」とハッキリ主張し、推進に反対すべきです。

また県は、「中央広域水道から市町村が買う水を増やせば、5年限定で、基本料金を半額にする」と言い出しました。

全国一高い料金を、「5年だけ安くするから買え」というのもあつかましい話ですが、そのねらいは、市町村の自己水源を廃止させ、県の余った水を売りつけることです。

十分な自前の水道能力をもつ水戸市が、県水に切り替えるなどありえません。ムダな県中央水道との契約は解除し、受水を中止すべきですが、いかがでしょうか。

以上、明快な答弁を求め、第1回の質問を終わります。

答弁によりましては再質問いたします。

答弁:水道部長

田中議員の一般質問のうち,水道行政についてお答えいたします。

初めに,茨城県水道ビジョンについてでございますが,現在,水道事業を取り巻く経営環境は,管路や施設等の老朽化に伴う更新期の到来,人口減少に伴う料金収入の減少などから,厳しさを増しております。このような中,茨城県では,安心して暮らせる社会を維持するためには,水道水の安定供給が不可欠であるとの考え方のもと,本年2月に,本県水道が目指す将来像とその実現のための取組の方向性を示す茨城県水道ビジョンを策定したところです。

当ビジョンにおいては,最も合理的に理想像を実現するための手段として広域連携が有効であるとし,段階的に「1県1水道」を目指すとしております。

今年度においては,4月に,県が主体となり,水道事業の経営健全化のため,広域連携等を含めた具体的な方策について検討を行うことを目的に,県及び市町村等水道事業者を構成員とする「広域連携等に係る研究会」が設置されたところでございます。

今後は,県内を5つの圏域に分けた地域部会を設け,圏域ごとに,各水道事業体における水道の現状と将来の見通しや課題の把握等について検討を進めるものと伺っております。

議員御質問の,「広域連携等に係る研究会」への参加の是非につきましては,市町村域を超えた広域的な見地から将来における最適な広域連携の在り方を研究・検討することは,経営基盤を強化する方策の一つとして有効であると認識しているところでございます。

したがいまして,本市としましては,研究会への参加を通じて,他市町村等と連携を図りながら,課題の把握や共有に努めるとともに,市民負担の増大につながらないことを第一とし,かつ,本市水道事業の安定した供給と経営を最優先に,慎重に検討を進めてまいります。

次に,茨城県中央広域水道用水供給事業からの受水につきましては,これまでの当該事業の経緯を踏まえるとともに,災害に強い強靭な水道の確立や市民の安心・安全の観点から,必要となる複数水源の一つと考えており,今後も,現在の受水量を基本として,有効に活用してまいります。

<再質問>

それぞれ答弁いただきましたが、水道行政について再質問します。

県は水道ビジョンで、1県1水道の推進のために県内に127ある市町村浄水場を、78カ所も減らし、半分以下にする方針です。

自治体の合意もない、乱暴な統廃合には躍起になっていますが、県中央水道が水源と位置付ける霞ケ浦導水はやめようとしません。

まったく理解不能な、矛盾した態度です。

パネルをつくりましたのでご覧ください。(パネル①)

県水道ビジョンでは、水戸市を含む県中央広域圏の給水人口が、現在の約75万人(水色のグラフ)から、2050年には69万5千人(緑色のグラフ)まで減ると予測しています。

ところが、霞ケ浦導水は継続し、計画給水人口93万1300人分(オレンジ色のグラフ)の水をつくる方針はそのままです。

今回県が予測した2050年の人口よりも、24万人分も多い水をつくるのが霞ケ浦導水事業ですが、これはやめないで、市町村の浄水場は閉じさせる、こんなおかしな話があるでしょうか。

市は、どう説明されているかお聞かせください。

そして、これは(パネル②)県のチラシです。

「水道の統合で料金値上げ幅を抑制」できると言っています。

ところがこの計算には、霞ケ浦導水で市町村が支払うことになる莫大な負担金がいくらになるか、全く示されていません。

5回も工期延長をくりかえし、すでに48年。今後も工期延長のたびに事業費が増大すれば、市町村の負担は天井知らずとなり、結局水道料金に跳ね返ります。

その事実を隠し、根拠のない料金抑制をちらつかせ、市町村の水源を閉じさせる。必要ない霞ケ浦導水事業は継続し、高い負担金は後から請求し、結局、水道料金は値上げする。

これではまるで、悪徳業者による詐欺と同じではないでしょうか。

市民の命の一滴である水道は、あくまで水戸市が守り抜くべきであり、県や民間に売り渡すなど、許されません。

「県中央広域圏への統合にも、1県1水道にも参加しない。水戸市は独自に運営する」と、いまハッキリを表明していただきたい。

再度の答弁をもとめ、私の質問を終わります。