東海第2原発について

次に、原発問題について質問します。

いま、世界は、原発が軍事攻撃される脅威を目の当たりにしています。
ロシアによるウクライナ侵略は、原子力施設を標的にするに至っています。
チェルノブイリ原発の占拠による電源喪失、ザポリージャ原発への砲撃による火災、ハリコフの核研究施設への砲撃と、危機的な事態が進んでいます。

万が一にも、原子炉が破壊されれば、福島やチェルノブイリの事故をはるかに超える、放射能による世界規模の大惨事につながるもので、断じて許されない暴挙です。
この、衝撃的なニュースをうけて、「身近に原発がある私達も、他人事(ひとごと)ではない」という声がよせられました。
私も、まったく同じ思いです。

原子力規制委員会の更(ふけ)田(た)豊(とよ)志(し)委員長は、3月9日、衆院経済産業委員会で、日本の原発がミサイル攻撃を受ければ「放射性物質がまきちらされることが懸念される。現在の設備で避けられるとは考えていない」
テロ対策を進めてきたが「武力攻撃を安全上の審査では想定していない」と答えました。
またしても、想定外です。

日本原電は、今年12月完了予定だった工事を、2024年9月まで延長する、と発表しました。
その中にテロ対策施設も含まれていますが、「これができても万全ではない」ことを、規制委員会が認めたものです。
そこで、改めて原発の危険性をどう考えるか、市長の認識を伺います。
市長は、1年前の私の質問に「想定しうる最大規模の原子力災害と、その被害規模を示すよう原電に求めている」と答弁しましたが、何の進展もありません。

市長は「県と原電が検討を進めており、回答があり次第、広域避難計画に反映させる」という人まかせの態度ですが、知事は先週の県議会で「現時点で公表の時期を見通せる状況にない」と答弁しています。

原電が、被害想定を出し渋(しぶ)っているのは明らかです。

最大規模の事故も、被害総額も算出根拠も分からない。そんな避難計画はまさに机上の空論です。
事は市民の生命と財産に関わる問題です。原電に対してただちに災害規模、被害想定を提出するよう、市長が迫るべきと考えますがいかがか、お答えください。
広域避難計画の、避難者1人当たり2㎡という基準は、あまりに非人間的だ、という批判をうけて、面積基準を拡大するとしてきました。
しかし、知事が先週の県議会で、共産党県議団の質問に答弁したのは「3㎡以上とする」というものでした。
3㎡では、以前、私が指摘した刑務所の基準さえ下回っています。その程度では、感染対策と両立できないのは明らかですが、市長はこれで計画をつくるつもりでしょうか。

結局、市が作ってきた県内に10万人、県外に17万人避難させるという計画はご破算、医療機関や福祉施設の避難計画の策定をはじめ、避難手段の確保もますます実現不能になるでしょう。
福島原発事故から11年、いまだに3万8000人がふるさとに帰れず、帰還困難区域は水戸市の面積の1.5倍、340平方キロにおよびます。
廃炉作業は、いったい何十年かかるかさえわかりません。
もはや、私達が原発と共存できないことは明らかです。
原電の工事延期を理由に、市長の態度表明も延期することは許されません。

ただちに再稼働反対、廃炉を表明するよう求めますが、いかがか、答弁願います。

答弁:市長

次に,東海第二原発に係る御質問についてお答えいたします。

平成23年に発生した福島第一原子力発電所の事故は,広範囲に放射性物質が飛散したことにより,11年が経過してもなお,故郷を離れた生活を余儀なくされている方々が大勢いるなど,周辺地域に甚大な被害をもたらしました。

私は,この原子力事故の直後に市長に就任したことから,福島県にお住まいの皆様の悲痛な思い,そして,本市も含め,風評被害に苦しむ沢山の事業者の皆様を目の当たりにしてきており,原子力発電所が抱えるリスクを重く受け止めながら,「原子力発電所の事故は二度とあってはならない」との強い思いを持ち続けているところでございます。

そのため,事故直後から,近隣自治体との連携のもと,事業者との安全協定の見直しに取り組み,事前了解権をはじめ,発電所に対する各種権限の強化を達成したほか,東海第二発電所に使用済燃料が現存し,災害リスクがある以上,再稼働の有無に関わらず万全の安全対策を講じる必要があるとの思いから,実効性のある避難計画の策定に真摯に取り組んでおります。

計画の進捗につきましては,現在,避難所における感染症対策,特に「1人当たりの避難所面積の見直し」と「見直しに伴う避難先の拡充」に重点的に取り組んでおり,課題を抽出しながら,慎重に茨城県や近隣自治体との協議を重ねているところであります。

また,計画の策定に向けては,東海第二発電所において,想定し得る最大規模の原子力災害とその被害規模を把握する必要があるという認識の下,日本原電に対して,これらを科学的な根拠に基づき明らかにするよう継続して求めているところでございます。

現時点では,回答は示されておりませんが,日本原電においては,現在,茨城県等と連携の下,事故想定について検討を進めているとのことでございますので,回答があり次第,避難計画に反映させるとともに,市民の皆様に公表してまいります。

東海第二発電所の再稼働につきましては,全ての市民の安全な避難に向けた実効性のある広域避難計画を策定できない限りは,あり得ないものと考えております。あわせて,私は市民の皆様の安全で安心できる暮らしを守っていくという使命がありますので,引き続き議会の御意見を踏まえるとともに,水戸市原子力防災対策会議における技術的,専門的な御意見や多くの市民の声を十分考慮しながら,最終的な判断を下してまいります。