新市民会館について

次に、新市民会館建設についてです。

来年度の一般会計予算が、過去最高の1245億円になった最大の原因が、新市民会館関連の巨額の税金投入です。

保留床の買戻しに89億2300万円、再開発補助に11億7610万円、周辺道路整備に2億4,690万円、開館準備経費などに1億6507万円、芸術館東側の五軒町立体駐車場に約7億円など、合計112億円もの予算です。

パネル①
このグラフを見ていただきたいのですが、来年度の小学校6校の長寿命化や増築、緊急安全対策に関する予算は、水色のグラフで、合計14億2740万円、新市民会館の予算はオレンジ色のグラフで112億円。
実に学校建設予算の8倍です。

市民からは「コロナ禍や物価高で、市民生活や地域経済が疲弊しているのに、新市民会館にこんなに税金を投入している場合なのか」「私達に身近な予算と比べて、けた違い。あまりの格差に愕然とする」という声です。

これが普通の市民感覚ではないでしょうか。

そもそも新市民会館は、予定地内の住民や事業者を追い出さなければ成り立たない事業でした。

あの地にいた住民や商店主は今どうなったのでしょうか。

住民訴訟の原告弁護団は2月24日、水戸地裁でその実態を陳述しました。

ある学習塾の代表は「税金無駄遣いだ。旧京成ビルは税金を使わず事業者の責任で解体すべき。大渋滞が心配」などの反対意見書を市に提出したものの、立ち退きを余儀なくされ、移転先は以前より大幅に狭くなってしまいました。

水戸市で1、2の規模を誇った美容室は、移転前は美容椅子20台、従業員28人を擁する大型店でしたが、移転後は面積が半分以下になり、椅子は6台、従業員も3分の1の10人に減らし、多くの美容師を解雇せざるをえませんでした。

そのほか、中華料理店、蕎麦屋、メガネ店、洋品店なども廃業、もしくは廃業同然の状態です。

反対意見書を提出した歯科医院関係者や、移転した病院も駐車場を確保できず、病床も削減となっています。

極めつきは、最後まで反対を貫き、立ち退きにも応じなかった商店主の権利変換を、市が強行し、一夜にして土地建物の所有権を再開発組合に移転させたことです。

望んでもいない市民会館の1階に、70㎡の床を勝手に割り振り、店舗としても住宅としても、使い物にならない事態に追い込みました。

原告弁護団は、次のように訴えました。

  • それぞれの方がどのような運命をたどったのか。いかに分断され、翻弄され、困惑し、苦しめられ、その生活と事業を奪われ、あるいは大きく制約されたか。
  • 市民の生活と営業に重大な不利益や制約を課することになったのは、多数の事業者が存在しているこの場所を建設予定地として選択したからに他なりません。
  • このようなやり方が、市の裁量違反と言わずしてなんというのでしょうか。裁判所にはこの動かしがたい事実をしっかりと受け止めていただきたい、と述べました。

市長はこの訴えをどう受け止めるでしょうか。

問題はそれだけではありません。

完成後も大きな負担が続くことです。

指定管理料や地権者に払う家賃のほか、共益費を合わせると、年間維持経費は、約3億7000万円にのぼります。

私は12月議会で、指定管理者となる株式会社・コンベンションリンケージについて、同社が請け負っている熊本城ホールや、沖縄コンベンションセンターの指定管理料がゼロで、施設利用料だけで運営している事実を示しました。

同じ会社が、他ではゼロ円で受注しているのに、なぜ水戸市は、年間3億円以上も払うのか、納得いく説明はなされていません。

ちなみに、日本共産党熊本市議団は、「税金でつくった施設なのに、コンベンションリンケージは、企業秘密を盾(たて)に熊本城ホールの情報を、ほとんど開示しない。施設が赤字の時は市が補てんするが、黒字の時は市にほとんど還元されない、不平等な契約も問題だ」と指摘しています。

こんなことでは、水戸市でも、大幅赤字になれば市が補てんし、黒字になれば、東京本社の企業の利益になり、別施設の赤字補てんに回される。

どちらにしても税金の浪費が続くことは避けられません。

加えて、建設に360億円、維持費に年3億7000万円も税金をかけるのに、わずか数百万円で大ホールと中ホールの名前を企業に売る、ネーミングライツも納得できるものではありません。

新市民会館に巨額の支出を行えば、来年度末の市債、借金は2500億円を超えて、過去最高となり、市財政を大きく圧迫します。(2507億6385万円)

税金支出の中止と、事業見直しを強く求めるものです。

この事業については、市の情報開示にも問題があります。専用駐車場もなく、交通渋滞をひき起こすとの当然の疑問があります。

ところが市は、再開発と道路整備に関する「市と県警との交通協議記録」の情報開示の求めに対し、ほとんど黒ぬりの資料しか出しませんでした。

パネル② これがその資料です。全部黒ぬりで内容が全くわかりません。

裁判で求められても拒否。

何故ここまでかたくなに隠すのか。問題がないなら開示して説明すればよいことで、「都合が悪いから隠しているのではないか」と、不信がふくらむばかりです。

市長が、ただちに公開するよう指示すべきですが、いかがか、答弁を求めます。

答弁:市長

次に,新市民会館整備について,お答えいたします。

新市民会館は,芸術文化の振興,中心市街地のにぎわいや交流を創出するとともに,市民にとって誇りある優良な都市空間の構築を実現する,本市の将来にわたるまちづくりに極めて重要な施設であり,泉町1丁目北地区市街地再開発事業において,本年10月の完成に向けて順調に工事が進められているところでございます。

令和4年度においては,保留床の取得や備品の購入など,新市民会館の整備費用や,指定管理料などの,建物の引渡しを受けた後の管理運営費用を予算化しており,これらは新市民会館の開館に不可欠なものであります。新市民会館の整備によって市民サービスの低下を招くことや,将来世代に過大な負担を残すことがないよう,サービスの充実を図りながら,健全な財政運営に努めてまいります。

また,泉町周辺地区整備事業や,(仮称)水戸芸術館東地区駐車場整備事業などについては,新市民会館や水戸芸術館の周辺環境の向上につながるものであり,適切に事業を進めてまいります。

次に,周辺道路整備に関する,茨城県警察本部との協議資料の開示についてお答えいたします。

泉町1丁目北地区市街地再開発事業及び周辺道路整備に係る,茨城県警察本部との協議文書につきましては,水戸市情報公開条例に基づく開示請求において,一部を不開示としたことに対し審査請求がなされ,4回にわたり,水戸市情報公開・個人情報保護審査会で御審議をいただいております。同審査会からの答申を踏まえ,一部は追加で開示しており,適切な対応と考えております。

新市民会館の整備につきましては,来年7月の開館に向けて,歩みを止めることなく万全の準備を進め,多くの市民に感動や希望を与えられる施設づくりを実現し,まちのブランドイメージを高めてまいります。