5. 東海第2原発について

最後に、東海第2原発の問題について質問します。

原発をめぐっては、岸田政権が再稼働へまっしぐら、いよいよ本性を現してきました。

東海第2原発を名ざしして再稼働を進めると、岸田首相が表明したのに続き、11月28日には「原発を60年超えても動かす」という国の方針が発表されたことは重大です。

2011年3月の福島原発事故をへて、これまで「可能な限り原発依存度を低減する」、新増設や建て替えは「想定していない」としていた方針を、あからさまに転換するものです。

茨城新聞も「原子力ムラの住人や利害関係者を中心に議論が進められ、国民の声は問わないまま」と厳しく批判しています。

原則40年、最大60年という運転期間の制限を変更し、審査などによる停止期間を除いて、60年以上の運転を可能とするだけでなく、必要に応じた見直しと称して、際限なく原発を延命する狙いです。

さらに、廃止した炉の建て替えまで具体化するというのです。

その筆頭が東海第2の真横で、廃炉作業中の東海原発。これを除去して新しい原発に建て替えるという、ありえない計画です。

大量の放射性廃棄物の行き場も決まらず、いつ終わるとも知れぬ廃炉。建設に長期間を要する原発は、1基つくるのに1兆円。低コスト、安定供給などという、まやかしは通用しません。

国民の命や安全よりも、原発利権を優先するもので、到底認めることはできませんが、市長はこの方針転換をどう考えているのでしょうか。

私は11月15日、日本共産党の江尻かな県議や、県内地方議員団と共に、東海第2原発を現地視察しました。

様々な工事が実施されているものの、肝心の原子炉本体や格納容器は、44年前に稼働した当時のままであり、原電の説明でも結局「手を付けることができない」とのことでした。

11月1日に開かれた県の東海第二安全性検討ワーキングチームでも、原子炉内で燃料集合体を支える、シュラウドサポートに99ヵ所もの亀裂が確認され、亀裂の深さの根拠を示すよう原電が指摘されました。

結局、古くて危険な原発であることに変わりはありません。

その東海第2で、過酷事故が起きた場合の「広域避難計画」について、県は、避難所1人あたり面積を2平米から、3平米にするという指針を市町村に示しました。

市は「これでよい」と考えているのでしょうか。

もともと、2平米には何の根拠もなく、30キロ圏内94万人という膨大な数の避難を、ともかく机上で成り立たせるためだけのものでした。

それを今回、1平米増やしたというのですが、重大なごまかしがあります。

県が3平米にしたというレイアウトがこれです。 パネル③ 

よく見ると右上に、1人当の居住面積は通路を含んで3平米とあります。人がいる空間は2人で4平米、つまり1人当2平米は変わっていないのに、通路の面積を足して3平米と言っているにすぎません。

国際的な避難所基準のスフィア基準は「1人あたり最低3.5㎡の居住スペースが必要だ」と定めています。通路は居住スペースではありませんから、この基準を満たしていません。

1人4平米とする、千葉県や群馬県の基準とも整合性がありません。結局、県の「見直し」とは名ばかりで、刑務所の雑居房よりも狭い避難所のままです。

避難車両の確保のメドも立たず、仮に大渋滞の末やっとたどり着いた避難所はすしずめ。原発事故の「地獄」を逃げてきた市民に、「監獄」よりひどい避難所が待っている、という状況に、何ら変わりがないのです。

水戸市の担当者も、避難先自治体の職員も、ムダな労力に時間を割いたうえに、ただただ混乱が広げるだけになるのは、目に見えております。

市長は、こんな小手先のごまかしで、避難計画の実効性が確保できると、お考えでしょうか。

経産省は、来年の通常国会に、原発の延命や新増設のための関連法案の提出をねらっています。

つまり、市長が、東海第2の再稼働に反対を表明しないうちに、再稼働のためのレールが着々とひかれつつあるのです。

このまま、ズルズルと再稼働を許すつもりでしょうか。

市長が速やかに、きっぱりと、東海第2の再稼働反対を表明していただきたい。

明快な答弁をもとめ、一回目の質問を終わります。

答弁によりましては再質問いたします。

答弁:市長

次に,東海第二原発に係る御質問についてお答えいたします。

東海第二発電所における広域避難計画につきましては,新型コロナウイルスの感染拡大以降,避難所における感染症対策,すなわち,避難所における「1人当たりの面積の見直し」や「防護対策の強化」について,重点的に取り組んでまいりました。

これまで,数度にわたり,茨城県を中心に県内14の避難元自治体で協議を行い,10月27日の会合において,各自治体合意のもと,「茨城県版の原子力災害時における感染症対策の方針」としてとりまとめたところでございます。

方針の具体的な内容としましては,一つ目として,避難所の有効面積に占める1人当たりの面積を,現行の2㎡から3㎡に変更することといたしました。また,二つ目の方針として,プライバシーへの配慮と感染症対策の強化に向けて,今後茨城県が主体となり,パーテーションテント等の資機材について十分な量の確保に努めること,そして,それらの資機材を避難先へ輸送するための体制について整備していくことを位置付けたところでございます。

なお,これらの方針のうち,1人当たりの避難所面積の考え方については,茨城県において,新たに有識者会議を設置し,「コロナ禍以降に開設した避難所の運用事例」等を踏まえながら,再度の検証を行うとのことであり,広域避難先自治体との具体的な協議は,その後になると伺ってございます。

茨城県による検証が終了した際には,国や県との連携のもと,現行の避難先自治体に丁寧な説明を行いながら,速やかに「見直しに伴い不足する避難所数の算定」,や「新たな避難先の確保に向けた調整」に取り組んでまいります。

また,あわせて,避難先自治体ときめ細かに協議を行いながら,「市民の避難率に応じた避難所レイアウトの策定」や「効率的な避難所の開設手順の検討」等を進め,実現可能で実効性のある避難計画の策定を目指してまいります。

次に,原子力発電所の運転期間に係る御質問にお答えいたします。

現行の原子力発電所の運転期間につきましては,原則,運転開始から40年,ただし,その満了に際し認可を受けた場合は,1回に限り最大20年延長できるという制度となっております。

この「原則40年,最長60年」のルールにつきましては,ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー情勢の不安定化や世界的に広がるカーボンニュートラルの推進を背景に,現在,国において見直しが進められており,先月の末には,「安全審査などで停止した期間は,原子力発電所の運転期間から除外できる」とした,実質的に60年を超える運転が可能となる案が示されたところでございます。

この件に関する私の見解でございますが,現時点においては,案の段階であり,正式な決定には至っていないこと,さらには,見直しに対する安全審査の手法についても,原子力規制委員会において検討中とのことでありますので,まずは,国の今後の動向について注視してまいりたいと考えております。

また,東海第二発電所につきましては,これまで繰り返し申し上げてきましたとおり,実効性のある広域避難計画が策定できない限りは,再稼働はもとより,運転期間の延長に係る議論についても,当然あり得ないものと認識してございます。

私は,市民の皆様に最も近い基礎自治体の長として,市民の皆様に寄り添い,不安を軽減することはもちろん,今後とも,安心できる避難計画の策定を最優先に全力で取り組んでまいります。

教育行政に関する御質問につきましては,教育長から答弁をいたさせます。