1. 福祉施設の整備について

次に、社会福祉施設の整備に関する補助制度について、質問します。

国は、障がい者施設などの福祉施設の整備のために「社会福祉施設等・施設整備事業補助金」を制度化しています。

これは、社会福祉施設が、新築・増改築・大規模修繕・スプリンクラーなどを整備する際にかかる費用を、補助するものです。

国と県が4分の3を補助し、事業者が4分の1を負担する制度ですが、水戸市が中核市になったため、県の負担分が市に移行したものです。

国の補助金の要項には「社会福祉法人等が整備する施設整備に要する費用の一部を補助することにより、施設入所者等の福祉の向上を図ることを目的としています。」とあります。

茨城県の要項も国と同様で、補助対象は施設の創設、増築、改築、大規模修繕、スプリンクラー整備、老朽化した民間社会福祉施設の整備などとなっています。

施設の老朽化による改築や、規模を拡張したい事業者が建て替えなどをするときには、利用定員に応じて、5300万円から約1億円などを補助上限に、事業者に交付されるしくみです。

ところが水戸市は、創設や増改築、老朽化に伴う整備などを認めず、補助を門やフェンス、防犯カメラ、非常用自家発電設備だけに限定しています。その対象は30万円から50万円であり、市が補助するのはごくわずかです。

国が「施設入所者の福祉の向上を図る」との目的で基準を定めているのに、市が基準通り補助しないのは大きな問題です。

そもそも、多くの民間障がい者施設は、家族やボランティアが、作業所などを母体にスタートした、小規模な施設が多く、資金難で経営に苦労しているところばかりです。安い家賃の民家や倉庫などを借りているため、雨漏りや狭いトイレ、夏は暑く冬は寒い、耐震性も確保できていないなど、安全・快適とはいえない施設で運営しているところも少なくありません。そうした環境を改善するための補助金なのに、なぜ水戸市は、最初から改築や老朽施設への補助を行わないと、決めているのでしょうか。

市内の事業者は、水戸市が補助することに変わったために、県なら受けられた補助を受けられなくなってしまったのです。

これは、水戸市が中核市になったことによる弊害、と言わざるをえません。新市民会館や泉町・水戸駅北口の民間マンションには莫大な補助をするのに、障がい者施設など、社会福祉施設の整備には補助を出し惜しむ。これでは福祉切り捨て、障害者につめたいと言われても仕方がありません。

大型開発による借金のために、財政を締め付け、補助金や予算は一律カット、福祉予算にしわよせをする。これが、市長の予算編成方針なのでしょうか。

公的補助があることを知れば、老朽化した施設を改善できる事業者があるかもしれません。少なくとも、市は、すべての障がい者施設の実態を詳しく調査し、要望を聞き取るべきではないでしょうか。

そして、改築や老朽化対策が必要なところには、きちんと補助するよう改善すべきと考えますがいかがでしょうか。答弁ねがいます。

答弁:市長

本市は,中核市への移行に伴い,社会福祉法人やNPO法人等が行う障害者福祉施設の整備に対する補助の実施主体となり,国の社会福祉施設等施設整備費補助事業を活用し,水戸市障害者福祉施設整備補助金交付要項等に基づき補助金を交付しております。

平成28年には神奈川県内の障害者支援施設において,大変痛ましい事件が発生し,社会に大きな衝撃を与えました。私は日頃より,利用者の安全の確保が障害者福祉施設の整備・運営において最も重要であると考えており,この事件を受けてその確保に向けて取り組むことを改めて強く心に刻んだところであります。

このため,本市における障害者福祉施設の整備の基本的な考え方として,利用者の安全の確保を水戸市第6期障害福祉計画・第2期障害児福祉計画に位置付けたところであります。

この基本的な考え方を踏まえ本市では,現在,門・フェンスなどの外構等の設置や修繕,110番に直結する非常通報装置や防犯カメラの設置工事,非常用自家発電設備の整備などについて,補助の対象事業としているところであり,今年度は,障害者福祉施設10か所に対し,防犯カメラの設置工事等に係る補助を実施しているところであります。

なお,施設の新設及び耐震化に伴う建て替え等については,障害者が入所する障害者支援施設において空きが生じていること,障害者が共同で生活するグループホームについては利用者数の増加が見込まれるものの,賃貸住居等の活用により施設を確保することが可能であること,また,通所サービス事業所については一定のサービス量が確保されていることなどから,現在,補助の対象としていないところであります。

一方,茨城県においては,防犯カメラの設置工事など利用者の安全の確保に資する事業に加え,施設の新設及び耐震化に伴う建て替え等を補助の対象としておりますが,本市が中核市に移行する前においても,本市の方針により補助内容を決めていたものの,施設の新設等については原則補助の対象としておりませんでした。

今後,本市においては,中核市に移行したことから,福祉サービス利用者数の変動や福祉サービスの提供体制の変化等を踏まえ,障害者福祉施設の整備の基本的な考え方について,適宜,必要に応じて主体的に見直しを行ってまいります。

私は,障害のある方の安全を確保し,福祉サービスを安心して利用できる環境を構築することにより,「障害者が笑顔で安心して暮らせるまち・水戸」の実現に向けて,引き続き,積極的に取り組んでまいります。