3. 新市民会館建設について

次に、新市民会館の建設問題です。

コロナ対策や子育て支援策と比べても、もっとも対象的でケタ違いの支出が、新市民会館への水戸市の姿勢です。

今年度の新市民会館関係の予算は,保留床の取得,備品の購入,指定管理料と家賃,共益費,再開発補助金,周辺道路整備,芸術館東駐車場建設,上空通路に泉町バス停など,合計約113億円。財源として86億円に及ぶ市債を発行し、毎年約12億円もの借金返済が20年先まで続くことになります。

まさに巨額,破格の扱いです。私たちのアンケートには、

「時代錯誤の箱もの。全くの税金ムダづかい」

「一本道路を入れば道はガタガタで、水たまり。一体税金の使い方はどうなっているのか」「潤ったのは一部の企業。高い維持費はどこから出すのか。何の費用を切りつめるのか」など、厳しい意見が相次いでいます。

ちょうど2年前の私の質問に市長は、「開館時までコロナ禍が続いているとは考えられない」という趣旨の答弁をされました。しかし現在、コロナの第8波に加え、インフルエンザとの同時流行さえ懸念される状況にあります。

そうした中、「コロナ禍でのホール施設やコンベンションの建設は慎重にすべき」との調査報告が相次いで出されています。

鹿児島県が今年2月に発表した「コンベンション・展示施設の整備可能性の調査報告書」によれば、全国37の大型イベント施設(MICE施設)のうち、黒字のほとんどが政令指定都市に立地しており,その他の地域では約8割が赤字。稼働率は5割を切り、すべての施設が感染後に稼働率が下がっています。

行政が想定外の補填をするケースの続出で、札幌市や福岡市、沖縄県与那原町など、施設整備を延期、もしくは事業見直しをする自治体が相次いでいるのです。

このような状況でなぜ、水戸市だけが、稼働率70%、来客60万人、経済波及効果は48億3000万円、などと言えるのでしょうか。その根拠をお示しいただきたいと思います。

水戸市は、新市民会館の運営をまかせる「株式会社・コンベンションリンケージ」に、今年度から9年度の6年間で、17億3630万円の管理料を支払います。

にもかかわらず、そのコンベンションリンケージと水戸市の、今年1月から10月までの17回にわたる協議記録と、市長を本部長とする「新市民会館整備・利活用本部」の資料の公開請求に対し、多くを黒塗りとしました。

これがその黒塗り資料の一部です。パネル①

「受付に関する手続き」や「管理組合規約」など、なぜこんなものまで非公開にするのか理解できません。当然公開すべきではないでしょうか。

しかも、昨日、「上空通路の工事中に、新市民会館側の地中に予期せぬ構造物がみつかり、除去のために工事費を追加する」という趣旨の市長答弁がありました。

これは、伊勢甚が所有していた旧京成デパートと道路の境界に残っていた矢板が、上空通路の支柱とぶつかるというのです。

ご承知のとおり、市はすでに莫大な移転補償費を伊勢甚に払っていますが、今回また伊勢甚の所有物の除去に数千万円の追加の税金投入。5億4000万円の上空通路の建設費が6億円を優に超えるという話です。

それだけではありません。公開された資料の中には、新市民会館を「オープンすると足りない部分が出てくる。サインの追加工事費や、備品購入費を予算計上しておいたほうがよい」とか、「市が利用する際も原則利用料金を払う」ことになるため、各課が利用する場合は「予算要求が必要である。」という驚きの記述もあります。

新市民会館は、市が関連事業をふくめ360億円という巨額の税金を支出しただけでなく、指定管理者に毎年多額の管理料を払い、地権者に高い家賃を払い続ける。そのうえ、市が利用するたびに利用料を払う。これで果たして水戸市の市民会館といえるのでしょうか。まさに将来にわたる金食い虫です。

ちなみに、市が公表しようとしている「駐車場マップ」がこれです。 パネル② これは、100以上の点で、周辺駐車場を示した非常にわかりづらいものであり、利用者の役に立つどころか、混乱を招くのは必至です。

ご承知のとおり、巨額の税金支出は不当だとして、補助金などの返還と、今後の支出中止を求める住民訴訟が行われています。

市長は裁判での証言を求められていますが、これらの疑問にどう答えるつもりでしょうか、明快な答弁を求めます。

答弁:市長

次に,新市民会館について,お答えいたします。

新市民会館の稼働率及び利用者数につきましては,これまでの市議会特別委員会でお示ししてきたとおり,施設区分ごとの稼働率を,大ホール,中ホール及び展示室を70%,会議室を85%,小ホールなどの諸室を75%,和室を60%として設定しております。これらの施設の稼働率は,旧市民会館の年間利用者数,類似施設の状況や新市民会館の機能,施設規模,事業内容等を勘案して設定し,目標値である年間60万人の来館者見込み数を算出したものでございます。

また,大規模コンベンションの開催にあわせ,各施設の利用のほか,多くの方々が学習や,やすらぎのスペースとして日常的にラウンジギャラリーやロビーを利用されることも見込まれることから,十分達成が可能であると考えております。

経済波及効果につきましては,施設の管理運営費,来館者や公演主催者の消費支出等の額を基に,茨城県が作成した産業連関表を用い,県全体の波及効果として48億3千万円と試算したものでございます。

次に,情報公開について,お答えいたします。

本市における情報公開制度につきましては,水戸市情報公開条例に基づき運用しております。

市の内部会議の記録であっても,同条例第7条で定める不開示情報として,全て開示できない場合がございます。

私は,新市民会館が多くの市民の皆様に愛され,整備してよかったと思われるように,質の高い,祝祭感あふれるイベント等を開館時から積極的に実施することにより,多くの方々に,新市民会館に来ていただき,中心市街地の活力を高めていくことで,将来にわたってにぎわいのある楽しめるまちを全力でつくってまいります。

来年7月2日の開館に向けて,歩みを止めることなく,万全の準備を進め,多くの市民に感動や希望を与えられる施設づくりを実現し,まちのブランドイメージを高めてまいります。