2.教育行政…不登校児童生徒への支援について 

コロナ禍は、私たちが考える以上に、子どもたちに大きな影響を与えている可能性があります。

「不登校急増」。これは11月29日から、茨城新聞が3回にわたって連載した記事の見出しです。全国的に増加傾向にあった不登校が、昨年度急増した、というのです。

全国の小中学校で、不登校の児童生徒が約24万5千人にのぼり、前年度比25%増加、初めて20万人を超えました。

県内では約6400人。前年度比で4割も増えています。

ある中学校の校長先生は、「大勢の中に入るのを苦手とする子が多い」「コロナの影響はかなり大きく、急増する引き金になったかもしれない」と指摘しています。

感染拡大による休校や、行事の中止・縮小、給食での黙食などで、子どもたちが、コミュニケーションを取る機会が少なかったことも原因と考えられます。

そこで、水戸市の不登校児童生徒の現状について、市の認識と対策をお伺いいたします。私はこれまでも、不登校の子どもたち一人一人に合った支援が求められており、ただでさえ多忙な担任の先生だけでは十分な対応は難しい、と指摘してきました。

相談機関も「うめの香ひろば」1カ所しかなく、実際に通っているのは、不登校児童生徒全体の2~3%にすぎません。希望者は全員受け入れているといっても、送迎は個人まかせのため、そもそも場所が遠くて通えないなど、最初からあきらめざるをえない子どもや保護者も多いのではないでしょうか。

そこで、市内各所に、通級・相談の場を設置することです。

また、全市で1人だけの不登校対応の先生の増員や、訪問支援を専門とする先生の全校配置も必要ではないでしょうか。

特に「うめの香ひろば」の別名は「適応指導教室」となっていますが、学校に「適応」するよう「指導」するという、いかにも「上から目線」で、まるで適応できない子が悪いかのような印象を与える名称ではないでしょうか。

これは不登校の子どもや保護者の気持ちにも合いませんし、学校以外の場も積極的に認めるという方針とも合致しないと考えます。つくば市が名称を「教育相談センター」としているように、水戸市も呼び方を変更するよう提案しておきたいと思います。

不登校の子どもや、その保護者は、不安をかかえたまま孤立しがちです。そのため、生活圏内に気軽に行ける通級や相談できる場所があれば、大きな安心になることは間違いありません。

そこが、新たな交流や学びの場となり、学校復帰のきっかけにもつながるのではないでしょうか。さらに民間フリースクールへの補助制度も活用して、支援の輪を広げることです。これまでは「研究する」という答弁が多くありましたが、不登校の急増にみあう緊急対策として、来年度からの実施を強く求めるものです。前向きな答弁をお願いいたします。

答弁:教育長

田中議員の代表質問のうち,不登校児童生徒への支援拡充についてお答えいたします。

令和3年度の全国の小中学校における不登校児童生徒数が24万4,940人と過去最多となったことが文部科学省より公表されました。本市の状況につきましても,昨年度の公立小中学校の不登校児童生徒数が,小学校228人,中学校392人,合計620人と過去最多となり,令和2年度より127人増加し,増加率はプラス25.8%でございました。

このような状況を踏まえますと,学校に登校できない児童生徒の自立をどう支えていくかについては喫緊の課題であると認識しております。

不登校児童生徒への対応ですが,本市では単に「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を自分事と捉えて,社会的に自立することを目指すという考え方に基づき,不登校児童生徒一人一人に寄り添いながら,個別の状況に応じた支援を行っております。

そのため,総合教育研究所に教育相談室を設置し,不登校等,教育上の諸問題について来所や電話,家庭訪問による相談を行っております。また,不登校の児童生徒を預かる適応指導教室「うめの香ひろば」では,今年度,相談員を増員し,対象学年を昨年度までの小学5年生以上から小学3年生以上と拡充したところでございます。今後も,不安や悩みを抱える児童生徒に対して,安心して通級できるよう丁寧に関わりながら,個別学習への支援や少人数での体験活動を行ってまいります。

また,学習活動,教育相談,体験活動などを行っているフリースクール等の民間施設において,不登校児童生徒が社会的自立に向けた支援を受けている現状がございます。引き続き,フリースクール等の民間施設と学校や行政との連携や,昨年度から県で実施している,経済的な事情のある世帯に対する授業料の補助を行う「フリースクール連携推進事業」についても活用を呼びかけてまいります。

さらに,不登校の要因が家庭環境であるなど,これまで支援の手が届きにくかった児童生徒に対して,教育分野に関する知識を持ち,福祉の専門家でもあるスクールソーシャルワーカーを今年度から本市独自に配置し,各学校への巡回訪問や支援が必要な家庭に対しての家庭訪問を行っております。不登校傾向の児童生徒の家庭を訪問し,一緒に登校する支援を行うことで,昨年度より登校日数が増加した事例が見られました。

議員御質問の「うめの香ひろば」のような適応指導教室の複数設置につきましては,現在,「うめの香ひろば」では対象学年の通級を希望した全ての児童生徒の受入れを行っており,15名の児童生徒が通級しております。家庭訪問相談員の増員につきましては,現在男性1名,女性1名の計2名の家庭訪問相談員が相談の希望があった全ての家庭に定期的に訪問し,相談活動を行っております。このような状況を踏まえて,今後の必要性等の実態をみながら研究してまいりたいと考えております。不登校児童生徒を支援する教員の全校配置につきましては,引き続き,県の不登校児童生徒支援加配教員の配置を要望してまいります。

今後は,不登校を未然に防止する観点から,さらなる教員のスキルアップ等や教育相談体制の充実が重要であると考えております。

教員のスキルアップ等につきましては,大学教授等の専門家を講師として迎え,教員が児童生徒の変化を捉えられるような方法や不登校の段階に応じた対応方法を含めた「不登校対策研修会」を年度初めに開催し,これまで以上に早期発見・早期対応に取り組めるように進めてまいります。

教育相談体制の充実については,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカー,福祉部やこども部等の関係機関とのより一層の連携の強化や,児童生徒が希望する教職員に不安や悩みを相談できる,一人一台端末を活用した「校内オンライン相談窓口」の拡充を進めてまいります。「校内オンライン相談窓口」につきましては,年度内に全中学校に開設し,小学校についても順次進めてまいります。また新たに,スクールカウンセラー等との面談を自宅からでも行えるような,オンラインを有効に活用した相談体制の構築や,中学校においては,校内に不登校生徒が安心して生活できる専用の教室を確保し,一人一人のニーズに応じた学習支援を行うことができる「校内フリースクール」の取組についても実施に向けて県と調整を図っているところでございます。

今後におきましても,全ての児童生徒が安心して通える学校づくりを進めるとともに,一人一人の状況に応じたきめ細やかな支援に努めてまいります。

◆不登校についての日本共産党の政策◆

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