1.くらしを支える支援策について

(1)物価高騰への追加支援策について

日本共産党水戸市議団の田中真己です。通告に従い,代表質問を行います。

新型コロナウイルスの第8波が、新たな感染拡大を引き起こしています。物価高でくらしが大変になったうえに、コロナ禍による収入の減少で、市民生活は厳しさをましており、地域経済にも大きな影を落としております。

日本共産党水戸市議団がとりくんできた「市民アンケート」には、約500通の回答がよせられ、「暮らし向きが苦しくなった」という回答が約7割にのぼっています。

「光熱費と医療費の値上げが痛い」「年金生活なので食費を減らすしかない」「就活中ですが、求人が少ない。高い国保税、なんとかなりませんか」などの声が、びっしりと書かれています。

水戸市にのぞむことのトップは、公共料金の引き下げ、2位が国保税の値下げです。こうした切実な訴えにこたえる市政が求められています。

これまでのコロナ・物価対策予算(548億円)をみてみると、市の一般財源は約15億7200万円、全体の3%にすぎません。

各種支援策は対象が限定されたものが多く、真に必要な人に給付金が届いていません。金額も不十分であり、市独自の対策拡充が必要です。

そこで、市税や公共料金の減免を実施するとともに、個人や事業者向けの追加の支援金などについて、速やかに具体化する必要があると考えますがいかがか、市長の見解を伺います。

(2)

子育て世帯の負担軽減も急務です。先月、「コロナ禍のなかで婚姻数も出生数も減少している」という発表がありました。

2016年以降、前年比3.5%程度減少してきた出生数が、2022年は5.1%の減。約77万人となり、国立社会保障人口問題研究所の予測よりも11年も早く、80万人を割る見込みです。

水戸市で1年間に生まれる赤ちゃんの数も、10年前の約2500人が、昨年度は2000人を切り、今年はさらに減少の見込みとのことですが市の現状認識を伺います。

「子どもを産み育てたい」と思える社会にするためには、若い世代の経済環境の改善がかかせません。

不安定就労と低賃金労働の原因である非正規雇用の正規雇用へのきりかえや、高い学費や奨学金の債務負担をなくすことはもちろんのこと、自治体の子育て支援策も大胆に拡充しなければなりません。

私はこれまでも、子育て支援3つのゼロとして、学校給食費、保育料、医療費の無償化を提案してきました。

特に給食費は、小・中学生の子どもが二人いれば、年間10万円にもなります。本来、義務教育は無償とすべきであり、「年間10億円を手当てすれば無償化できる」と主張してきました。

市長は昨日、「来年度から中学生の給食費を無償化する」と表明されましたが、なぜ中学生だけなのでしょうか。

中学生は3億1000万円、小学生は6億9000万円。

財政負担が少ない方を選んだのでしょうか。私は、小中学生どちらも、同時に無償化すべきと考えます。なぜなら、すでに全国で、学校給食を無償化する自治体が増え続けているからです。

県内では、潮来市、城里町に加えて、日立市も来年1月から。県庁所在地では青森市が今年10月からスタートしており、全国では256自治体にのぼっています。千葉県は来年1月から、県全体で給食無償化をスタートさせます。

市長が「若い世代に選ばれるまちにしていきたい」と言うのであれば、必要なのはスピード感とインパクトです。小中学生の学校給食費だけでなく、3歳未満児の保育料と、医療費の完全無料化も来年度から実施することです。

3歳未満児の保育料は最高で月5万8000円、2人なら月8万7000円にもなりますが、9億円で無料化できます。

医療費の完全無料化には約2億円。子どもの国保税均等割免除も2億4,000万円で負担をなくせます。これら3つのゼロを実施しても、一般会計予算の1.8%。

実行できない規模ではありません。来年度からの同時実施を求めますがいかがか、お答えください。

答弁:市長

日本共産党水戸市議団を代表されましての,田中議員の御質問にお答えいたします。

はじめに,物価高騰への追加支援策に関する御質問にお答えいたします。

私は,新型コロナウイルス感染症の拡大の波が繰り返される中で,市民の命と健康を守り,安全・安心な暮らしを取り戻すため,「感染症の拡大防止」,「市民生活の安定化」,「地域経済の回復」の三つの柱,さらには,「原油価格・物価高騰対策」のもと,基礎自治体だからこそできる,きめ細かな本市独自の緊急対策を切れ目なく実行してきたところであります。

本年度においては,特に,「原油価格・物価高騰対策」として,5回にわたる総額約46億円の補正予算について,第2回,第3回の定例会及び先月の臨時会において議決をいただき,「生活者支援」と「事業者支援」を柱に,市民の暮らしや事業活動を支える様々な支援策を講じているところであります。

「生活者支援」といたしましては,市民税非課税世帯,低所得のひとり親世帯への臨時給付金の支給をはじめ,子育て世帯の経済的負担軽減として,幼稚園・保育所,小・中学校等の給食費を値上げすることのないよう公費負担の大幅な拡充等を実施したところであります。各種給付金については,順次支給を進めており,10月に専決処分をさせていただいた,市民税非課税世帯や家計急変世帯に対する給付金及び低所得の子育て世帯で新たに支給対象となる方への特別給付金につきましても,年内に支給できるよう,手続きを進めております。

「事業者支援」につきましては,医療機関や福祉施設,幼稚園・保育所等の運営費に対する支援金の支給をはじめ,公共交通事業者や農業の担い手,畜産農家の事業継続への支援を行ってまいりました。また,売上の減少が続き,エネルギー価格高騰の影響を受けている事業者を対象とした支援金につきましても,今月から,申請受付を開始してまいります。

これら緊急対策の執行状況でありますが,第3回定例会までに議決をいただいた補正予算分については,予算額ベースで約65パーセントとなっております。引き続き,先月の臨時会における支援策を含め,各種支援を市民の皆様,事業者の皆様に,一日も早く届けられるよう,積極的な周知に努めてまいります。

更なる支援策についての御質問でありますが,国において,総合経済対策に基づき,電力料金の激変緩和事業をはじめ,物価高騰・賃上げへの取組が進められているところであり,本市といたしましても,国の動向を踏まえながら,本市の実情に応じた選択と集中の考え方のもと,支援策の検討を進めてまいりたいと考えております。

 

次に,子育て世代の経済的負担の軽減についての御質問にお答えいたします。

我が国における出生数の減少は,年々深刻さを増し,先月公表された国の人口動態統計速報によると,本年1月から9月までの出生数の累計は59万9,636人で,前年と比較して4.9パーセントの減少となっており,調査開始以来,最も少なかった昨年の出生数を下回るペースとなっております。

本市におきましても,本年1月から9月までの出生数の累計は

1,430人となっており,前年(の1,501人)から4.7パーセント減少しております。さらに,10年前の平成24年(の

1,828人)と比較しますと,398人,21.8パーセントも減少しており,既に危機的な状況であると認識しております。

少子化の進行は,労働力の低下等,将来的な経済規模の縮小を招くだけでなく,地域社会の担い手の減少等,社会全体の活力の低下を引き起こすことから,本市においても喫緊の課題であります。

このため,本市におきましては,国のこども家庭庁発足に先駆けて,本年4月にこども部を設置し,市民ニーズに対応した子ども・子育て支援施策や少子化対策の推進に加え,相談窓口を一元化し,保健師や助産師,社会福祉士などの専門職が,妊娠,出産,子育てに関する様々な相談に対応する体制を整え,妊娠期から子育て期の包括的な切れ目のない支援に努めているところであります。

あわせて,子どもを養育している親への手当の支給や高校生までの全ての子どもの医療費の(一部負担を除く)無償化を図るなど,経済的な負担の軽減にも努めてまいりました。

加えて,新型コロナウイルス感染症や物価・エネルギー価格高騰の影響を受けて経済的に厳しい状況にある子育て世帯に対する生活支援として,国・県の給付金に上乗せし,市独自の給付金を支給しているところであります。

私は,本市が将来にわたり発展を続けるためには,更なる子育て支援や教育の充実が欠かせないとの思いから,保護者の経済的な負担の軽減と,相談・支援の充実を二つの柱とした水戸市独自の「子ども・子育て支援パッケージ」の策定に取り組んでいるところであり,このパッケージを具現化し,しっかりと道筋をつけ,実行していくことは,私の責務であると考えております。

そのため,既に,各会派からの代表質問に答弁いたしましたとおり,私は,保護者の経済的負担の軽減として,特に,教育費等の費用負担の大きい中学生世帯への支援を優先し,中学生の学校給食費無償化を令和5年度から実施することとしました。また,子育てのステージに応じた負担軽減を図るため,保育所利用者負担金の無償化,小中学校の入学準備金等の施策案についても,予算編成の中で,子育て世帯にとりましての優先度や財源配分等を十分に精査した上で,順次,実施してまいりたいと考えております。

全体像につきましては,改めて議員の皆様に御報告させていただきます。

また,その実施に当たりましては,国の政策の動きや制度の見直し,新たな補助金等を注視しながら,計画的な財源確保に努め,段階的な施策の拡充を図るなど,複数年度を捉えた中長期的な計画として取り組んでまいりたいと考えております。

私は,本市の最重要政策である子育て支援と教育の充実につきましては,予算を大幅に拡充し,更なる施策の充実・深化に取り組む決意であり,安心して子どもを生み育てられる環境づくりを着実に進めながら,子育て世代から選ばれる,魅力あるまちの実現を目指してまいります。