2021年12月水戸市議会 反対討論 田中まさき議員

日本共産党水戸市議団の田中まさきです。今定例会に提案された議案41件のうち、12件について、通告に従い、反対討論を行います。

議案第92号から99号の8件は、水戸市が笠間市、ひたちなか市、那珂市、小美玉市、茨城町、大洗町、城里町、東海村と「いばらき県央地域・連携中枢都市圏の形成に関する連携協約」を締結するものです。

圏域単位での行政を推進する国に対し、全国町村会は「町村の存立基盤を揺るがしかねない」「都市部に集約化・効率化につながる」と反対決議を挙げています。

しかし、国はあくまで圏域の権限強化を進め、公共施設の統合・集約化、将来の合併、道州制の布石とも指摘されています。

定住促進が目的なら、財政的にも計画づくりでも対等に、住民・議員の参加を保障し、地域の実情をいかした連携を行うべきと考えます。

議案第113号は、「地区計画区域内の建築物の制限について」の議案です。常磐・元山地区周辺を、第1種低層住居専用から、第1種住居地域に用途を変更し、商店や事業所の建設を認める緩和を行うものですが、閑静な住宅地を維持すべきで同意できません。

議案第121号は「新市民会館の指定管理者の指定」、第131号は「指定管理料の限度額を決める債務負担行為を含む令和3年度一般会計補正予算」、そして、議案第130号は「水戸芸術館東地区駐車場の工事請負契約の締結」です。

いずれも、新市民会館建設計画の根本的な見直しを求めている立場から、反対します。

市は、新市民会館の管理者に、株式会社・コンベンションリンケージを選定し、6年で17億3630万円を上限とする管理料を示し、新市民会館オープン後、毎年約3億2千万円を払う方針です。

市は特別委員会で、同じ会社が管理をうけおう「熊本城ホール」と「沖縄コンベンションセンター」の例を示しました。

ところが調べてみると、どちらも指定管理料はゼロ円です。

しかもこの会社、熊本城ホールなら採算が取れると想定し、ゼロ円で受注しましたが、大幅な赤字となり熊本市が補塡する事態となっています。

それどころか、福岡市や長崎市とのコンベンション競争に勝てず、今後も利用がのびる見通しが立っておりません。

現在、こうした例が全国に数多くあるにもかかわらず、水戸市は「年間60万人来客が達成できる」「大ホール・中ホール・展示室は70%稼働する」としています。

しかし、旧市民会館の2倍の施設をつくれば、2倍の客が来るなどというのは、もはや想定というより妄想に近いものです。その何よりの証拠が、多額の管理料を設定していることです。

だいたい、同じ会社がほかでは無料で引き受けているのに、なぜ水戸市は17億3630万円も払うのか。それだけでなく、赤字の場合は管理料を追加して払うなど、到底認める事はできません。

今回の会社は、自治体が多額の税金でつくった施設で、1円の設備投資もせずに営業し、減収になれば税金で補塡される。事業で利益がでても市には還元されない、これでは一体だれのための公共施設でしょうか。

水戸芸術館東地区の駐車場も、本体工事だけで9億9000万円、総額約16億円もかかります。地権者を追い出し、新市民会館専用でもなく、駐車場不足も解消されないものであり、中止すべきです。

これら新市民会館関係の借金だけで約200億円、市債残高を過去最高の2500億円以上に引き上げ、20年以上先までつづく多額の借金返済が、財政を圧迫します。

私は代表質問で、今年度の学校修繕予算、約4200万円にくらべ、新市民会館予算は81億円で190倍と指摘しました。

これではまるで、児童生徒に対し、「新市民会館をつくってやるから、君たちは危険な学校でがまんしろ。ただし市民会館の借金は君たちに払ってもらう」と言っているに等しいのではないでしょうか。

周辺事業を合わせて約360億円、巨額の税金支出の差し止めと、損害賠償を求める住民訴訟が水戸地裁で行われています。

現計画の中止を強くもとめ、反対討論を終わります。