日本共産党水戸市議団の田中真己です。

通告に従い代表質問を行います。

質問の前に、いま新型コロナウイルスの変異株、オミクロン株が、世界中で新たな感染拡大を引き起こしています。

コロナ対策については、明日の一般質問で中庭議員が触れることになりますが、第6波への備えが十分であるかどうかが、水戸市政に問われています。

約2年に及ぶコロナ禍は、市民のくらしや地域経済に、大きな影を落としてきましたが、これまでのコロナ対策予算に対する(全体予算400億円のうち)市の一般財源は11億5000万円、全体の3%にすぎません。いま国が打ち出している政策も、真に必要な人に給付金が届かないなど不十分であり、市独自の対策拡充を求めるものです。

1.新市民会館計画について

そんなコロナ対策と比べて、もっとも対象的な支出が、新市民会館に対する水戸市の姿勢です。

水戸市は新市民会館に、昨年度は約62億円、今年度は約81億円、来年度は85億円を支出しようとしています。

5年後から毎年約12億円もの借金返済が本格化し、それが20年先まで続くことになります。

さらに今議会には、新市民会館の運営を「株式会社・コンベンションリンケージ」にまかせる議案がだされました。

この業者に支払う管理料は、令和4年度から9年度の6年間で、17億3630万円。将来にわたって金食い虫となることが明らかとなりました。

今回受注する業者は、全国で様々な公共施設の指定管理者となっていますが、その実情はどうでしょうか。

群馬県が昨年6月、高崎市に開業した大型集客施設「Gメッセ群馬」では、65%を見込んだ展示ホールの稼働率はわずか13.1%、大ホールの稼働率も27.9%にとどまり、実質的な赤字が2億2000万円にのぼっています。

大分県・別府コンベンションセンターも、2年間で2800万円の赤字、熊本城ホールのイベント予約は、来年1月に1件、2月は2件、3月も1件しかなく、どこも利用は低迷し、大幅赤字となっています。

これでなぜ、水戸市だけが稼働率70%、来客60万人、経済波及効果48億3000万円などと言えるのでしょうか。明確な根拠をお示しください。

かつて、泉町1丁目の新市民会館計画地には、34の事業者やテナントが営業していました。しかし今、営業を継続しているのは11。多くが廃業か縮小を余儀なくされ、地区外に出たある商店主は「移転先では開店休業状態だ」と嘆いています。

事実上の追い出しであり、結局、再開発で得をしたのは、伊勢甚と、ゼネコンにむらがる利権者ばかり。

これで活性化とは、いったい誰のふところが疲弊し、誰のふところが活性化したのか一目瞭然です。

新市民会館は周辺整備とあわせ、事業費は約360億円にふくらんでいます。これがいかに異常なことか。

「世界で最も美しいホール25」に国内で唯一選ばれた、福井県立音楽堂・ハーモニーホール福井は、音響効果も世界最高レベルと称賛されていますが、建設費は約93億円。

今年9月にオープンした神奈川県・小田原市の三の丸ホールも、大ホール・小ホール・展示室・スタジオなどを備えていますが、建設費は63億円です。

これらの例をみても、新市民会館への税金支出は、「最少の経費で最大の効果をあげる」と定めた地方自治法、地方財政法に違反していることは明らかです。

現在、税金の支出差し止めと、損害賠償を求める住民訴訟が行われており、現在の計画の中止と、根本的な見直しを求めますがいかがか、答弁を求めます。

答弁:市長

日本共産党水戸市議団を代表されましての田中議員の御質問にお答えいたします。

初めに,新市民会館計画のうち,来客目標についてお答えいたします。

年間来館者数60万人の目標につきましては,旧市民会館の年間利用者数や,会議室,練習室等の稼働率に加え,類似施設の状況や新市民会館の機能,施設規模,事業内容等を勘案し,設定したものでございます。本年5月の市議会特別委員会において,施設区分ごとに年間来館者見込数をお示ししたとおり,十分に達成が可能なものと考えております。

新市民会館においては,さまざまな事業を展開することにより,市内外から来館者を呼び込み,宿泊,飲食,交通機関の利用,観光土産品等の買物消費等を促進するなど,新たな交流やにぎわいによる経済波及効果を見込んでいるところでございます。

本定例会に提案させていただきました指定管理者候補者からは,「芸術文化の振興」と「交流によるにぎわいと活力ある地域形成」の目的を達成するため,魅力的な公演やコンベンションの誘致,市民の芸術文化活動の支援,新市民会館をいかした地域経済の活性化など,さまざまな事業実施の提案を受けたところであり,市と指定管理者が連携し,市民をはじめ多くの方々に新市民会館を利用していただき,新たな交流やにぎわいの拠点の創出に努めてまいります。

新市民会館整備につきましては,市民や芸術文化団体の練習,発表等の活動の場として,年間30万人に利用されていた旧市民会館が東日本大震災によって被災し,使用ができなくなったことから移転建替えを選択し,事業を進めているところであります。

立地場所につきましては,本市の活力を高め,発展させていく上で,人を呼び込み,交流人口を増加させるという新市民会館の特性が,にぎわいの創出に非常に効果的であるとともに,中心市街地の商業施設等との連携も図りやすく,経済波及効果も最大限に期待できることから,水戸市第6次総合計画―みと魁プラン―において,県都にふさわしい芸術文化及びコンベンションの拠点として新市民会館を位置付けるとともに,多くの市民や団体からの要望や,市議会における御意見をいただきながら,泉町1丁目北地区に整備することとしたものであります。そのため,新市民会館の整備は地方自治法,地方財政法の趣旨に沿ったものであると認識しております。

私は,多様化する社会の中で,芸術文化は人々の心を豊かにし,感動や活力を生み出すものと認識しており,市民の誰もが芸術文化を身近に親しめる施設として,新市民会館の必要性がますます高まっていくものと考えております。

令和5年7月のオープンに向けて,歩みを止めることなく万全の準備を進め,コロナ禍を乗り越え,多くの市民に感動や希望を与えられる施設づくりを実現し,まちのブランドイメージを高めてまいります。