次に不登校の児童生徒への支援について伺います。

2019年度に、小中学校を30日以上欠席した児童生徒は、全国で約18万1000人、7年連続で増加しています。そのうち約10万人が90日以上欠席し、これも過去最多を更新しました。加えて、コロナに対する不安から、新たに学校を休む子も出てきています。
昨年度の水戸市の不登校児童生徒数は、小学生174人、中学生319人。
県内最多で、児童生徒数に対する割合も、全国平均を上回っております。支援の拡充が大きな課題です。
不登校について、学習指導要領では、「不登校児童が悪いという偏見を払しょくし、学校・家庭・社会が、共感的理解と受容の姿勢を持つことが、児童の自己肯定感を高めるためにも重要である」としています。
2017年に制定された教育機会確保法も、「不登校はどの児童生徒にも起こりうるもので、まず休養が必要なこと、学校以外の場での多様な学習活動や、学校復帰だけを目的としない支援が重要だ」と強調しています。しかし実態はどうでしょうか。

7月30日、「先輩ママたちが運営する不登校の道案内サイト・未来地図」が、全国の不登校経験のある子どもの保護者、約1000名が回答した、アンケート結果を公表しました。アンケートには、教育機会確保法などの趣旨が「学校現場に十分浸透しておらず、不適切な学校復帰策が行われている」とか、「親の経済力や地域格差が激しく、ほとんどの子が学校以外の豊かな学びにたどり着くことができていない」などの声が寄せられています。

水戸市は、総合教育研究所内に、不登校の児童生徒を支援する「うめの香ひろば」を設置しています。これは小学5年生から中学3年生が対象で、小学1年生から4年生は通うことができません。市内で1か所、保護者の送迎が必要です。おのずと通える子どもは限られ、昨年度の利用者は19名、不登校児童生徒の4%です。

つくば市は、市の教育相談センターとは別に、民間教育機関と連携した教室を開き、集団が苦手な児童生徒の個々に応じた支援、オンライン学習や体験活動を行っています。そのほか民間フリースクールも子ども達の居場所になっています。

大分市は教育委員会のホームページに、親の会や民間フリースクール、相談機関の紹介など保護者への情報提供に力を入れています。
こうした自治体とくらべると、本市の取り組みは遅れていると言わざるをえません。
そこで、教育相談室の相談員や家庭訪問相談員、特別支援専門員などを増員することです。
また、「うめの香広場」も全学年を対象とし、市内複数個所に設置することが必要と考えます。これらすべてを今の2倍の体制にするとしても、年間約3300万円です。水戸市の1100億円を超える年間予算、新市民会館会館に投じる莫大な費用からみれば、大きな予算ではありません。なによりも将来ある水戸の子ども達への支援です。
本人も保護者も、孤立しがちな中、将来への不安や焦りの毎日をすごしており、支援拡充を求めるものです。

答弁;教育部長

次に,不登校児童生徒への支援の拡充についてお答えいたします。

本市では,不登校児童生徒に対して,学級担任を中心に家庭訪問や電話連絡を定期的に行うとともに,各学校に配置された心の教室相談員やスクールカウンセラーが,児童生徒やその保護者と面談を行うなど,一人一人との関わりを大切にした支援を行っております。

また,今般の臨時休業に際しては,これまで学校に登校できなかった児童生徒がオンライン授業に参加する事例が見られることから,今後は,オンラインを活用した新たな支援の手法についても検討してまいりたいと考えているところでございます。

はじめに,教育相談室相談員の増員についてですが,本市では,総合教育研究所内に教育相談室を設置し,不登校,集団への不適応,友人関係等,教育上の諸問題について来所や電話による相談を行っており,臨床心理士等の資格をもつ相談員が,一人一人の不安や悩みに対応しております。相談件数は年々増加傾向にあり,発達障害等に起因する相談も増加していることから,特別支援教育に係る専門的な相談を含めた,相談員体制の在り方について研究してまいります。

次に,適応指導教室「うめの香ひろば」の対象学年の拡充及び教室の複数化についてですが,本市では,総合教育研究所内に「うめの香ひろば」を設置し,臨床心理士等の資格をもつ相談員が,不安や悩みを抱える児童生徒に寄り添い,安心して通級できるよう,一人一人に丁寧に関わりながら,個別学習への支援や少人数での体験活動を行っております。対象学年の通級を希望した全ての児童生徒の受け入れを行っており,16名の児童生徒が通級しております。

また,通級の対象ではない学年の児童に対しましては,担当相談員が定期的に相談を継続することで,信頼関係を築き,心の安定を図れるよう支援しております。対象学年の拡充や,教室の複数化につきましては,受け入れに必要な場所や人員体制などの課題がありますので,今後研究してまいりたいと考えております。

今後におきましても,児童生徒一人一人の状況に応じた,きめ細やかな支援に努めてまいります。