2020年5月臨時議会◆新型コロナウイルス対策に関する田中まさき市議の議案質疑と答弁(2020.5.14)

(田中議員)

日本共産党水戸市議団の田中まさきです。通告に従い、議案質疑をおこないます。
はじめに、新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方々やご遺族に対し、お悔やみを申し上げますとともに、感染された方々の一日も早い回復をお祈りいたします。
また、最前線で感染症とたたかう医療従事者の方々や、4月1日開所の日から多くの相談に対応する市保健所をはじめ、市当局の職員の皆さんに感謝申し上げます。
本市発表の陽性者数は大きく増えてはいないものの、実際は発表を上回る感染が広がっていると指摘されており、決して油断はできないのだろうと思います。
国の緊急事態宣言の延長にともない、特定警戒都道府県とされた茨城県は、今日にも解除されるようですが、すでに外出自粛による市内経済へのダメージなど、暮らしや営業、雇用への影響は深刻です。
また、学校の休校長期化による子ども達の学習や生活面の心配も広がっており、県では県立中高生むけ自宅オンライン学習端末の整備予算を措置するなど、本市でもオンラインを含めた自宅学習をどう保障するのか、学校再開の方針と合わせ、すみやかな対応が求められていると考えます。
新型コロナウイルスをめぐっては、私達にも多方面にわたる様々な要望が届いており、実態にみあう市の支援策を求める立場から、以下質問させていただきます。

(田中議員)
1. 議案第79号:令和2年度一般会計補正予算(第2号)
ア.事業継続緊急支援金等の市独自の支援策について
最初に議案第79号、令和2年度一般会計補正予算についてです。今回の対策が、市民の命や暮らし、営業をまもる十分な対策となっているかどうか伺います。
補正予算4億6000万円のうち、市の一般財源は2億6000万円、その半分は県の1社200万円などの貸付金に伴う市負担金であり、1億1300万円です。
その他、国の持続化給付金の対象外事業者への市独自の支援金や、飲食店のテイクアウト、ホテルなど宿泊事業者などへの支援で9430万円となっています。
いずれも、苦境にたつ事業者への支援として、重要な市の独自策であると考えますが、支援金額は中小企業が20万円(700社)、個人事業主が10万円(600事業者)、飲食店のテイクアウトは10万円(500店舗)などであり、予算上は1800の事業者が対象です。これは市内に約1万3000ある事業所数の約14%にとどまっています。
規模と金額が不十分ではないかと考えますが、今回の支援額とした理由や、今後、複数回支援する計画はあるのか、お答えください。
また、家賃や光熱水費など、固定費の直接補助を求める声が非常に強いことはご承知のとおりです。イベント自粛に伴うキャンセル料なども補償がなく、国の対応待ちでは倒産や廃業が増えかねません。
ただちに、市独自に家賃などの固定費の補助、上下水道料金の免除や、光熱費などに対する追加支援を行う考えはないかお答えください。

(産業経済部長)事業継続緊急支援金等の市独自の支援策について
田中議員の議案第79号に関する議案質疑のうち,事業継続緊急支援金等の市独自の支援策に係る予算についてお答えいたします。
御質問の7款,1項商工費,2目商工業振興費の補正額4億730万円につきましては,新型コロナウイルス感染症の影響によりまして,様々な業種で売り上げが減少し,非常に厳しい状況が続いている中,サービス産業に特化した本市の産業構造に即した経済対策を実施するための経費でございます。
具体的には,市独自の支援策として,国の持続化給付金の対象外となる事業者を支援する事業継続緊急支援金をはじめ,飲食店のテイクアウトやデリバリーサービス,宿泊事業者を支援する事業でございます。これらの各支援金の件数につきましては,市内事業者数やセーフティネット認定時における売上減少割合等の把握を行った上で,対象者数を推計したところであり,予算額を超える見込みが生じた際には,その対応について検討してまいりたいと考えております。
また,支援金の額についてでありますが,国や県における各種給付金や協力金の額,他市の先行事例等を総合的に勘案し,事業継続に必要な緊急支援金として,設定したものでございます。現在のところ,いずれの支援金につきましても,1事業者当たり1回の給付を予定しております。
次に,市独自の追加の支援策につきましては,現在,庁内で検討を進めているところであり,緊急対策第2弾として打ち出せるよう,早急に取りまとめを行い,次回の定例会において提案してまいりたいと考えております。
今臨時会に提案いたしました本市独自の経済対策につきましては,議決をいただいた後,速やかに実行してまいります。

(田中議員)
イ.医療機関などへの支援について
第二に、医療機関などへの支援についてです。
現在、医療現場では医療資材がひっ迫する中、市民の命をまもるために、ギリギリの人員体制で新型コロナウイルスの感染防止と治療に懸命にとりくんでいます。
今回の補正予算で、公的医療機関4病院にPCR検査機器の購入を補助し、マスク・防護服を支給することは、医療崩壊を防ぐ重要な措置でありますが、今回の支援策の内容と検査機器の活用方法を伺います。
また、国が示す新たな抗原検査は、PCR検査機器ほどの精度はないものの、短時間で感染の有無が確認でき、一般病院で広く実施されれば、早期発見・早期治療にもつながると期待されています。
一度収束したとしても第2波、第3波もありうると言われています。医療関係者からは「昨年末は通常のインフルエンザの流行がなかったが、今年は新型コロナウイルスと両方の警戒が必要だ」とも指摘されており、感染が収まりつつある今こそ、次への備えを急ぐ時であろうと思います。
茨城県は県内すべての医師会に、PCR検査センターの設置を依頼したとのことです。幅広く検査が実施され、感染判明時に専門病院につなぐ流れができれば、保健所の負担も軽減されます。
そこで、PCR検査機器の追加購入も含めた万全の検査体制と保健所の体制拡充が必要と考えますが、今後の本市のPCR検査体制について、見解を伺います。
今回の支援対象となる、公的4病院以外の市内医療機関においても、医療用マスクや消毒液、ガウンやフェイスガードなどの不足は続いています。
それだけではなく、大幅な患者減少による減収、発熱者を通常外来と分ける院内感染防止に伴う人員配置など、必死の取り組みが続いています。
そこで、市が市内医療機関の実態を調査し、収益減に対する補てんなどを国・県に求めるとともに、市の独自支援が必要と考えますが、見解を伺います。

(保健医療部長)医療機関への支援について
田中議員の議案第79号一般会計補正予算に関する議案質疑のうち,医療機関への支援についてお答えいたします。御質問の4款衛生費,1項保健所費,6目保健予防費の感染症予防対策経費につきましては,本市独自の緊急対策(第1弾)の3つの柱のうちの「感染症の拡大防止」として,市保健所及び市内4か所の公的病院等,すなわち水戸赤十字病院,水戸済生会総合病院,水戸協同病院,水府病院の新型コロナウイルス感染症対策を強化するため,PCR検査機器の整備や防護服,マスクの配布の費用として4,850万円を計上したものでございます。
公的病院等におきましては,感染が拡大する中,感染症の患者やその疑いのある患者への対応に加え,市民の命を守る救急医療の役割も担っていただいております。こうした中,救急の現場におきましては,感染の疑いのある患者を受け入れることもあり,医療従事者等が感染し,ひとたび院内感染が起きれば,医療崩壊へとつながることも懸念されております。
そのため,救急医療を担う公的病院等に対し,作業が簡便で,迅速に判定ができるPCR検査機器の設置に対する補助を行い,感染症の患者やその疑いのある者だけでなく,手術前の患者や医療従事者への検査を行うことで,迅速な判定と院内感染の防止への効果が図られると考えております。
また,今後は,当該PCR検査機器の設置補助に加え,水戸市保健所におけるPCR検査の実施件数の増加を図るなど,本市における検査体制の拡充を図っていくものでございます。併せて,公的病院等と中小病院との連携を図り,市内全体として新型コロナウイルス感染症への対策を強化してまいりたいと考えております。
マスクや消毒液などの衛生器材につきましては,依然として,医療機関で確保することが難しい状況にあることから,医療現場においては不足しているものと伺っております。これまで,本市の備蓄分につきまして,水戸市医師会を通じ,市内の医療機関に対し,マスク4万枚を配布してきたところであり,さらに今回の補正措置により,防護服1千セット,マスク2万枚をそれぞれの公的病院等に支給してまいります。
今後のPCR検査態勢の整備等につきましては,本市におきましても水戸市医師会等関係機関と協議を進めているところであり,また,医療機関における患者の減少に伴う病院の収支についても注視しながら,医療機関に対するさらなる支援策等について検討してまいります。さらに,検査体制や地域医療体制の確保のため,人的・財政的支援を早急に行うことにつきまして,国・県に対して要望してまいりたいと考えております。

(田中議員)
ウ.財源について
次に、今回の財源として、新市民会館の今年度分の取得費用55億円のうち10億円を減額し、そのうち市の一般財源分の2億5000万円をコロナ対策に充てるとしています。
しかし当初予算で組んだ新市民会館の予算の8割にあたる45億円は、あくまで今年度に支出し、減額する10億円は再来年度に先送りするだけです。
つまり、新市民会館のために今年度は45億円、来年度は55億円、再来年度は85億円、合計185億円を支出するのです。このコロナショックの時にそんな支出をしている場合でしょうか。
市民の反対もあり支出差し止めを求める訴訟も起こされており、新市民会館への支出はやめて、全額をコロナ対策に振り向けるべきと考えますがどうか、見解を伺います。
また、国の地方創生交付金の水戸市への交付額と今回の措置額について、残りの地方創生交付金の使途について伺います。

(財務部長) 財源について
田中議員の議案第79号に関する議案質疑のうち,新型コロナウイルス対策経費の財源に関するご質問について,お答えいたします。
この補正予算4億6,000万円の財源につきましては,まず特定財源として,国の地方創生臨時交付金を2億円見込んでおります。また,一般財源の2億6千万円につきましては,本年度における新市民会館の保留床取得費用を10億円減額することで,2億5千万円を捻出するとともに,前年度剰余繰越金を1千万円措置し,確保を図ったものであります。
なお,新市民会館の保留床取得につきましては,継続費の令和4年度の年割額を10億円増額し,全体事業費185億2千万円,取得期間のいずれも変更することなく,引き続き計画的に事業を進めてまいります。
次に,国の地方創生臨時交付金につきましては,地方単独事業分として,6億330万8千円を交付限度とする内示をいただいております。
今回活用した2億円を差し引いた約4億円の使途につきましては,現在,庁内で検討を進めており,徹底した感染予防とともに,市民生活と地域経済を支える切れ目ない対策を実行するための緊急対策(第2弾)として取りまとめ,次期市議会定例会に,補正予算として提案する予定であります。

(田中議員)
1. 報告第27号 特別定額給付金について
(1)10万円給付(特別定額給付金)支給と支援策の申請
次に報告第27号・令和2年度一般会計補正予算(第1号)は、10万円給付(特別定額給付金)関連の予算です。
特別定額給付金については「10万円では足りない」「他自治体と比べ支給が遅い」の声もありますが、追加給付を国に求めることや、支給の迅速化をはかれないか見解を伺います。オンライン申請では市のサーバーがパンクし、「電子申請なのに窓口に来る市民が増えている」などと報じられましたが、現在の申請状況も伺います。
10万円給付を含む各種支援策については「申請が煩雑・複雑である」との声も多く寄せられています。例えば国の持続化給付金は、事業所得の対象がせまく、フリーランスなどの給与はカウントされず、雇用調整助成金も添付書類が膨大で、ハローワーク水戸の窓口で何時間も待つ状況です。
また、緊急小口資金の貸付の問い合わせが急増し電話がつながりません。県社協は例年1か月数件の申請がすでに2800件となり担当者を大幅に増やしていますが、市社協も電話回線や相談員をふやし、口座を持たない人も窓口で受け取れるようにするなど改善が必要です。
わらにもすがる思いで申請に来た方々の心が折れることのないよう、申請のいっそうの簡素化や相談体制の充実、速やかな支給を求めますが、対応方針をお答えください。

(総務部長)10万円給付(特別定額給付金)の支給と支援策の申請について
田中議員の議案質疑のうち,報告第27号 令和2年度水戸市一般会計補正予算(第1号)の専決処分についてお答えいたします。
特別定額給付金につきましては,政府は,「簡素な仕組みで,迅速かつ的確に家計への支援を行う」ことを目的としています。本市におきましても,専門の組織として,特別定額給付金室を設置し,この目的達成のために尽力しているところでございます。
支給につきましては,5月1日から「オンライン申請方式」による受付をスタートし,昨日,5月13日から振込を開始いたしました。
「郵送申請方式」につきましても,市民の皆様に記入いただく事項を最小限にするよう,必要事項をあらかじめ印字した申請書をお届けする準備を進めているところでございますが,一日も早く給付金を受け取りたいとの切実な声にお応えするために,5月7日から,御自身で必要事項を記入いただく「手書き申請方式」を追加し,「簡素な仕組み」と「スピード」とを両立できるよう努めております。
また,申請方法や給付開始予定日を,広報みとやホームページでお知らせするほか,専用のコールセンターを設置し,市民の皆様の様々なお問い合わせや御相談に丁寧に対応してまいります。
さらには,新型コロナウイルス感染症に関しましては,特別定額給付金をはじめとして,国・県の施策とともに,本市においても様々な支援策を講じてまいりますので,それらに関する問い合わせについて,速やかに担当窓口にお繋ぎするため「新型コロナウイルス感染症総合案内」を設置して対応しているところでございます。
今後も,新型コロナウイルス感染症に関する各種施策を,庁内連携して,迅速かつ的確に推進してまいります。

(田中議員)
2. 報告第19号・23号 
(1)国保税・介護保険料の減免等について
最後に、報告第19号・23号は、新型コロナウイルス感染症に罹患した患者さんや、コロナの影響で給料や営業収入が大幅に減った方に対する国保税や介護保険料の減免にかかわる条例ですが、まず減免要件を伺います。
問題は、この制度を使って実際に減免するための計算がきわめて複雑で、収入減少を確認する国基準も不明のため、いまだに減免例がなく、対応が遅れていることです。
また、国保税を含む市税の猶予については、減免とは要件が違います。しかも、税目で異なる納期ごとに猶予申請が必要で、猶予期間は1年間のみとされています。
つまり、納期がくるたびに猶予を申請し、1年後には2倍の税を払わなければならないとなれば、猶予申請しない方も多くいるのではないでしょうか。
新型コロナウイルスはとにかく未曽有の危機であることを考えれば、猶予ではなく免除・減免こそすべきではないでしょうか。減免制度の市民への周知徹底とあわせて、市の対応方針を伺います。
以上、明快な答弁をもとめ第1回の質疑を終わります。

(保健医療部長)国保税・介護保険料の減免等について
次に,報告第19号,報告第23号についてのご質問にお答えいたします。
国民健康保険税及び介護保険料の減免につきましては,新型コロナウイルス感染症の影響により,収入が減少する被保険者等の負担軽減を図るため,新たに条例を制定し迅速に対応することとしたものです。減免の内容についてでありますが,対象となる国保税及び介護保険料は,令和元年度分及び令和2年度分で,令和2年2月1日から令和3年3月31日までの間に納期限が設定されているものなどとなります。
減免となる額は,新型コロナウイルス感染症の影響により,世帯の生計維持者が死亡又は重篤な傷病を負った場合は,対象となる国保税及び介護保険料の全額を免除いたします。また,世帯の生計維持者の事業収入,不動産収入や給与収入などの事業収入等が,前年と比べて10分の3以上減額となる見込みの場合は,国保税については,一定の要件のもと,減少が見込まれる前年の事業所得等の額に係る国保税額相当額に,前年の合計所得金額の区分に応じて,10分の10から10分の2の割合を乗じた額を減免いたします。
介護保険料については,国保税と同様に前年と比べて事業収入等が10分の3以上減少する見込みの場合に,前年の合計所得金額が200万以下では対象となる保険料の全額を免除,200万を超える場合は対象となる保険料の10分の8の額を減免いたします。
減免内容等の市民への周知につきましては,ホームページや広報みとへの記事掲載のほか,国民健康保険の納税通知書や被保険者証,介護保険の保険料納入通知書や被保険者証などをお送りする際に,チラシ等を同封して対象者全員に周知してまいります。
このほか,新型コロナウイルス感染症の影響により,国保税及び市税の支払いに不安を感じている納税者に対しましても,徴収の猶予などの制度について周知に努め,より効果的に制度を利用できるよう柔軟に対応してまいりたいと考えております。

(田中議員)

それぞれ答弁いただきありがとうございました。
新型コロナ対策に必要なことは、なんといってもスピードと規模だろうと思います。
小山市では4か月分の水道料金の減免や児童扶養手当への1万円上乗せ、備前市は大学生・専門学校生に1人5万円、山形市では学童指導員に激励金1人3万円、富山市はひとり親家庭に3万円から5万円のほか、すでに店舗家賃補助を具体化した自治体もあります。
多くの自治体が次々と独自策を打ち出しています。国の地方創生交付金が水戸市には6億円きますが、そのうち今回は第1弾で2億円つかうということで、残り4億円は今後の追加支援にあてるという答弁でした。
新市民会館予算を活用すればもっと多くの支援ができると思いますし、市民に対する負担増はやめるべきです。
6月議会に第2弾とのことですが、医療分野、子育て福祉、教育の保障、地域経済の下支えなど、今回の支援策のカサ上げもふくめた十分な対策を講じるよう要望し質問を終わります。