2020年3月 定例水戸市議会 田中真己議員の代表質問と答弁 2020.3.16
<田中議員>
日本共産党水戸市議団の田中まさきです。
消費税増税による消費不況で、昨年10-12月期のGDPは、マイナス7.1%、続く新型コロナウイルスの感染拡大は、リーマンショックを上回る経済危機となって進行中です。市長は今の地域経済、市民のくらしの実態をどのようにとらえているでしょうか。
今必要なことは、市民生活を守るあらゆる手立てをとり、家計と中小企業の支援に力を集中することだと考えます。
そうした観点で、会派を代表し質問してまいります。

1. 新型コロナウイルス対策について
① 感染拡大防止と医療保健体制について
はじめに、新型コロナウイルス対策についてです。
病気の原則は早期発見・早期治療で重症化を防ぐことであり、そのための検査体制の確立が必要です。
現在までに本市や茨城県内での感染者は確認されていませんが、対策の現状を伺います。
県は、各保健所に帰国者・接触者相談センターを設置し、専門外来の受診へつなぐ体制で、1日最大100件を超える検査が可能、としています。
4月1日からスタートする水戸市保健所にも相談センターが設置されるのか、3月6日からPCR検査が保険適用となりましたが、どのように検査を受けることができるのか、お答えください。
県内には帰国者・接触者外来をもつ医療機関が21、入院を受け入れる感染症指定病院が11となっています。
感染者が出た場合の市内医療機関の受け入れ体制についてもお答えください。
市内では、通常よりマスクの入荷が減り、当面は在庫で対応している医療機関や、消毒液が全くないという高齢者施設もあります。
市として医療機関などのマスクや消毒液、防護服などの現状を把握し対策をとること、消防救急隊員の感染防護の徹底など、万全の備えを求めます。

② 小中学校の臨時休校に伴う影響について
安倍首相による全国一律の休校要請は、専門家の意見を聞かない政治判断であり、科学的根拠のないものです。
茨城県新型コロナウイルス感染症対策協議会の委員長で元国立感染症研究所責任者の岡部信彦医師は「コロナウイルスの感染は地域差が大きく、全国一律の休校が効果的とする科学的根拠は乏しい。感染者が出た時に広がりを抑えるメリットはあるが、現時点で一律休校という大きな負担を強いる対策をとるべきではない」と語っています。
より濃厚接触となる学童や保育所は開所させているのをみても、政府の方針は合理性がなく、なにより突然の発表で、子ども達や保護者、先生達は大きな混乱と不安に巻き込まれました。
本市では、3月3日から小中学校の休校を始めましたが、小学校での児童の受け入れ状況や開放学級支援員の体制、子ども達の学校での過ごし方についてお答えください。
日中から児童を受け入れるため、急きょ学童指導員を確保した民間学童クラブなどの運営費増加分は国が賄い、保護者負担としないとの発表がありました。
しかし国基準では足りず、追加保育料を検討中の民間学童もあります。
ひとり親家庭や経済的に厳しい家庭には増額は難しく、十分な対策が必要ですが、市の対応策を伺います。
ほとんどの子ども達は学校に通わず、自宅等にいると思われます。ある保護者は「一日中室内でテレビやゲーム、あまり外に出られずストレスがたまっている」とのこと。
仕事を休めず子どもだけ家においている保護者は「電話や来客にも対応しないように言っている」ということです。
健康面や学習面も心配です。家庭と学校の連絡や訪問、児童生徒へのケアが必要と考えますが実情を伺います。
2週間の休校を経て、感染が広がっていない成田市や静岡市、富山市、などでは、3月16日から学校を再開する動きも出てきました。
児童生徒や保護者、教職員に感染者がいないことや、生活リズムが乱れることへの懸念、親の負担軽減を考慮した判断とのことです。
そこで本市では、学校再開の判断をどのように行うのでしょうか。今のままでは4月から新年度のスタートを切れるかどうかもわかりません。
これまでの休校の検証と、今後の必要性を専門家も交えて検討し、判断することが必要と考えますが見解をお伺いいたします。

③ 地域経済に対する支援策について
この間、いくつかの市内事業所の実情を伺ってきましたが、どこも深刻です。
学校給食パンの製造会社では、水戸市のほか、日立市、城里町あわせて1日1万個のコッペパンの製造がストップ。
今は保育所や病院用にわずか150個だけで月400万円の減収です。パート従業員に給料を払えず、従業員がやめたら学校再開時にパンをつくれない。資金繰りは相当厳しい」とのことでした。
本市の学校給食食材費は月約1億円。影響は大きく、他の業者からも悲鳴が上がっています。
水戸納豆の会社では、給食停止に加えドライブインや高速道路も車が走っていないため、土産物の落ち込みが激しいこと。長引けば観光やホテル業など、倒産も出てくると懸念しておりました。
また老舗の飲食店は、3月の歓送迎会がすべてキャンセル、毎年利用していた会社の研修なども中止され、毎日閑古鳥と嘆いていました。
新型コロナウイルスでイベント自粛が相次ぎ、観光客、人の流れが止まり、仕事はほぼゼロという会社もあり、切実です。
国は、雇用調整助成金、セーフティネット保証のほか、新型コロナの特別貸付もつくるとしていますが詳細が不明で、何より収益回復が見通せず「借りても返せない」と敬遠する状況もあります。
市は制度を周知しつつ、休んだ親の減収や営業損失の直接補てん、既存債務の返済凍結、減税や社会保険料免除などを実施することです。
すでに山梨県や仙台市は独自の支援策を示しました。本市も、独自の支援をする考えはないか答弁願います。

<高橋市長>
1.新型コロナウイルス対策について
日本共産党水戸市議団を代表されましての田中議員の御質問についてお答えいたします。
(1)感染拡大防止と医療保健体制について
まず,新型コロナウイルスへのこれまでの対応について申し上げますと,国においては,2月1日に指定感染症に指定,同月25日には感染症対策の基本方針が示され,さらには,感染拡大防止に向け,2回にわたる緊急対応策が出されるなど,様々な措置が図られているところであります。あわせて,さらなる感染拡大に備え,緊急事態宣言を発令できるようにする新型インフエンザ等対策特別措置法の改正も行われたところであります。
本市におきましては,2月21日に,新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し,市民の命と健康を守ることを最優先に,感染症拡大防止に全力を挙げていくこととし,茨城県をはじめとする関係機関との連携のもと,市民への感染症予防対策の周知,市有施設におけるイベントなどの事業や公共施設等の利用の中止又は延期,市立小・中学校,義務教育学校の臨時休業など各部署において様々な取組を進めているところであります。
茨城県においては,各保健所に「帰国者・接触者相談センター」を設置し,相談の中から感染が疑われる場合に「帰国者・接触者外来」へとつなぎ,医師が感染を疑う場合には,県衛生研究所においてPCR検査を実施,さらに入院医療に備え,34病院,200床が確保されているところであります。現在,茨城県においての感染者の発生はございませんが,今後の発生と感染拡大に備え,さらなる検査体制の拡充と,入院医療体制の強化に取り組む方針が示されております。
また,中核市移行後につきましては,公衆衛生行政の経験を有する所長となる医師,県での研修を行った保健師や県派遣の専門職員等が主体となって,これまでの県保健所での対応と同様に,相談窓口として「帰国者・接触者相談センター」を設置し,医療機関の調整や,感染者発生時の調査・支援等が円滑にできるよう,万全の準備を進めております。あわせて,市民の方々に「相談・受診の目安」等についての十分な周知を図り,医療現場での混乱を招かぬよう周知徹底を図ってまいります。
PCR検査につきましては,県の衛生研究所との協力体制のもと,真に必要な方に適時・適切に実施し,症状の重症化の抑制に努めてまいります。まず,これらの基礎的な取り組みの徹底を図り,医療体制につきましては,国・県と連携することはもとより,本市医師会や薬剤師会等関係機関の総力を結集し,市民の生命を守るため体制整備に努めてまいります。
今般の新型コロナウイルス感染症対策については,国の基本方針に基づく感染拡大防止策により,患者の増加のスピードを可能な限り抑制し,流行の規模を抑えることが必要であります。
私は,まさに,今が極めて重要な時期であり,そのためには,水戸市が一丸となって,この危機に立ち向かっていかなければならないと考えております。市民の皆様には,大変なご不便をおかけしておりますが,全力で新型コロナウイルス感染症対策を実施してまいりますので,ご理解とご協力を心からお願い申し上げます。

(2)小中学校の休校に伴う影響について
次に,小中学校の休校に伴う影響についてお答えいたします。
小中学校の臨時休業につきましては,国からの要請に基づき,臨時休業前の指導等を3月2日に行い,3月3日から3月24日までを臨時休業としたところであります。
私は,臨時休業の措置に伴い,共働き家庭等留守家庭に配慮し,全ての開放学級を午前8時から開所することとし,延長したことに伴う追加の負担金は,保護者から徴収しないこととしたところであり,開放学級に未登録の児童についても学校における受け入れについて迅速に実施したところであります。
現在の開放学級の状況については,平日の利用者数は,1日あたり平均で約1,200人となっており,通常時に比べ,約7割の利用状況となっております。
開放学級支援員につきましては,学校の特別支援教育支援員から新たに任用するなど体制の強化を図り,児童の学習の時間や外遊び等を支援し,児童の健全な育成に努めているところであります。
なお,臨時休業に伴う開放学級や民間学童クラブに係る国の財政措置につきましては,午前中から開設する場合,公立,民間ともに1学級,1日あたり30,200円の補助申請が可能とされていることから,本市においてもこれを活用してまいります。
また,開放学級に登録していない児童で,学校で預かることとした児童の状況については,小学校等全33校で1日あたり平均
約70人が利用しており,教員や学力向上サポーターなどが見守る中,ドリル等課題の自主学習を行っております。
在宅の児童生徒につきましては,各学校において,感染拡大防止のため,児童生徒が自宅で過ごすこと,人込みを避けること,生活や学習の目標・計画を立てて取り組むことなど,規則正しい生活ができるように家庭と連携し,指導しております。
また,各学校において,プリントやドリル等を活用した計画的な学習の指導や教育委員会,各学校のホームページに様々な学習支援サイトの紹介や学習教材を掲載し,自宅においても児童生徒が学習に取り組める環境を整えております。
さらに,児童生徒の見守りのため,週1回程度の家庭訪問や電話連絡等を行い,全ての児童生徒の家庭での生活や学習の様子を確認しているところであります。
なお,学校再開の検討につきましては,国の動向や感染拡大の状況を見極めながら,児童生徒の健康と安全を第一に考え,適切に判断してまいります

(3)地域経済に対する支援策について
次に,地域経済に対する支援策に関する御質問にお答えいたします。新型コロナウイルスに関連した市内事業者への影響につきましては,水戸商工会議所をはじめとする商工団体等と情報共有を図りながら,産業活性化コーディネーターによる聞き取りや本市独自のアンケート調査等を今月上旬から実施しており,現在,状況の把握に努めているところでございます。
聞き取り等の結果といたしましては,幅広い業種に影響が及んでおり,特に,旅館業及び飲食業を営む事業者においては,団体客の宿泊や宴会のキャンセル等が発生し,前年同時期と比較して大幅な売上げの減少が生じ,厳しい状況にあると伺っております。
また,海外からの部品の供給停止に伴い,製造業においても,本格的な影響が今後見込まれると伺っており,影響はさらに様々な業種に拡大することが予測され,地域経済への大きな打撃は避けられないものと認識しております。
国におきましては,政府系金融機関や商工会議所等における経営相談窓口の開設とともに,資金繰りの支援,雇用調整助成金を含めた経営環境の整備等をパッケージ化して,今回の影響を受けている事業者への支援を全力で進めることとしております。
今月10日には,支援策の第2弾が発表され,1.6兆円規模の金融措置として,セーフティネット貸付枠の拡大をはじめ,売上が急減している個人事業主を含む中小・小規模事業者を対象に,新たに,実質無利子,無担保の特別貸付制度が創設されたところでございます。
また,学校の臨時休業等への対応として,正規・非正規雇用を問わず,有給休暇を取得させた事業主をはじめ,個人事業主やフリーランスとして働く方も広く支援する制度や学校給食関連事業者への支援制度も創設されたところであります。本市といたしましても,事業者の皆様が継続して事業を行えるよう,これら国の各種支援策の活用の促進に向けまして,ホームページや広報みと等により発信するとともに,産業活性化コーディネーターによる戸別訪問での相談対応など,商工団体等の関係機関と連携しながら,徹底した周知に取り組んでまいります。次に,本市独自の支援策についてでございますが,新型コロナウイルスに係る経済対策は一つの自治体で解決できるものではなく,国全体で対応していかなければならないものと認識しております。
したがいまして,市といたしましては,相談窓口を含め,国の支援策を積極的にPRするとともに,状況を見据えながら,国に対し,地域の実情を伝え,しっかりと経済対策,財政支援を要望してまいりたいと考えております。

<田中議員>
2. 新年度予算~くらしを圧迫する負担増の中止を
(1) 後期高齢者医療保険料の値上げについて
本市に今すぐできるのは、市民負担を増やすのをやめることです。
まず、4月からの75歳以上の後期高齢者医療保険料の値上げです。茨城県広域連合は15.4%、県全体一人平均で年9,507円、総額38億円もの値上げを示しましたが、本市では、一体いくらの値上げになるのか。
私達は2月13日、県の財政安定化基金、約38億円の活用を申し入れました。
年金が減り、感染症に最も弱いのが高齢者です。
もともと保険料抑制が目的の基金です。市が緊急に活用を求めて値上げを中止させることは可能です。

(2) 国保税の課税限度額の引き上げについて
国民健康保険税も、課税限度額を96万円から99万円へ3万円値上げするとしています。限度額は毎年のように値上げを繰り返し、今回値上げすれば6年間で18万円も増えます。県への納付金が大幅に下がり、水戸市の国保会計は来年度末3億円の黒字見込みです。引き上げどころか、引き下げも可能です。

(3) 水道料金11%値上げ、5億円の負担増撤回について
水道料金も4月から平均11%値上げですが、影響額を伺います。
私の試算では一般家庭で年1万円、個人商店で3万円、中小企業や医療機関、福祉施設では年150万円程度の値上げも見込まれます。
毎年5億円を超える黒字の活用と、ムダな県中央広域水道の受水費、1億4千万円の支出をやめれば、値上げを中止できます。
増税、水害、コロナショック。そこに3つの値上げで8億円超える負担増と見込まれます。値上げ撤回の市長の決断を強く求めます。

<高橋市長>
2.新年度予算について
次に,新年度予算についての御質問にお答えいたします。
●後期高齢者医療制度について
はじめに,後期高齢者医療制度は,75歳以上の方や65歳以上の一定の障害のある方を対象とした医療保険で,平成20年度から,都道府県ごとに全市町村が加入する広域連合により運営されております。
御質問の保険料率につきましては,「高齢者の医療の確保に関する法律」の規定に基づき,2年ごとに見直すこととされております。
茨城県後期高齢者医療広域連合では,保険料率について,平成24年度に改定して以来,広域連合の医療給付費準備基金を取り崩し,不足する保険料に補填することにより,8年間据え置いてきたところですが,令和元年度末には,基金保有額が底をつく見込みとなりました。また,令和2年度・3年度の2年間で必要となる保険料収納額を試算したところ,約75億円が不足する見込みとなりました。これらの状況を踏まえ,令和2年度・3年度の保険料率につきましては,本年2月21日の広域連合議会定例会の議決を経て,均等割額を3万9,500円から4万6千円に,所得割率を8%から8.5%に改定することとなったものであります。
この改定等に伴う令和2年度の影響額は,本市の被保険者一人当たり1万1,990円,調定額で約4億1,000万円増えるものと見込まれております。
また,広域連合の基金とは別に設置されている,県の財政安定化基金については,平成24年度の改定の際に,保険料率の上昇抑制のために活用された経緯があります。しかしながら,今回の改定においては,広域連合と県との協議により,団塊の世代が後期高齢者となる令和4年度以降の医療給付費の急増に備えるため,活用を見送ったとのことであります。
いずれにいたしましても,令和2年度・3年度の保険料率につきましては,広域連合において,長期的な視点に立ち,被保険者数の推移や医療費の動向等を十分に見極めながら,慎重に検討し決定されたものと考えております。本市におきましては,被保険者が安心して医療を受けることができるよう,引き続き,後期高齢者医療の状況につきまして,丁寧な説明と周知に努めてまいります。

●国保税について
続きまして,国保税の課税限度額につきましては,法令等の改正により令和2年4月から,基礎課税分2万円,介護納付金分1万円の引き上げが予定されております。これにより,国保税の課税限度額は96万円から99万円となります。本市における影響額は,令和元年度の課税状況をもとに試算したところ,調定額が約1,370万円増えるものと見込んでおります。
この改正は,中間所得者層の負担の軽減を図ることを目的に実施されるものです。したがいまして,本市におきましては,負担の公平性の観点から,法令等の改正に準じて関係規定の整備を行い,適切に対応してまいりたいと考えております。
次に,令和2年度の国保税率につきましては,県から示された国保事業費納付金等をもとに,必要となる国保税額を推計し決定することとなります。本市の令和2年度国保事業費納付金の予算額は,令和元年度と比べて,約10億3,400万円の減額となりました。
しかし,これは,県が納付金の算定にあたって,令和2年度・3年度の2か年度に限って,県の会計の決算剰余金を活用し,市町村の負担を軽減することとしたことや,保険給付費が減少傾向にあることなどによるものです。
また,本市の令和元年度国保財政の状況は,被保険者の後期高齢者医療制度への移行等による被保険者数の減少に伴い,国保税の収納額が減少する一方,一人当たりの保険給付費が増加したことなどにより,単年度収支が赤字となる見込みです。令和2年度以降については,赤字の解消と,今後の高齢化等によって見込まれる医療費の増加に備え,一定の財源確保を図り,将来に向け,国保財政基盤の一層の強化を図る必要があるものと考えております。
したがいまして,令和2年度の国保税率につきましては,水戸市国民健康保険運営協議会にもご審議をいただき,税率を据え置くことと判断いたしました。
私は,医療保険制度は,市民生活の基盤であると考えております。そのため,今後も市民が安心して医療が受けられるよう,引き続き持続可能な国保事業の運営に積極的に取り組んでまいります。

●水道料金について
次に,水道料金についてお答えいたします。
独立採算制をとる水道事業については,経営環境の変化に適切に対応し,今後必要となる施設更新事業費を確保しながら,将来にわたって持続的に市民の皆様に安全で良質な水を安定的に供給していくことが私の責務であると考えております。このため,「水道事業及び下水道事業審議会」及び議会からいただきました御意見をもとに熟考を重ね,令和2年4月から平均改定率を11パーセントとする料金改定について,昨年,12月議会において議決いただいたところでございます。
本市における水道事業の現状は,施設の老朽化が進んでおり,「水戸市水道事業アセットマネジメント2020」では,今後40年間の施設更新に必要な事業費として,約1,406億円を見込んでおります。また,「水戸市水道事業経営戦略」では,令和2年度からの15年間で,約462億円に上る施設更新事業費が必要となっているところでございます。
このような状況の中,将来にわたり安定したサービスを提供するためには,持続可能な財政基盤を確立し,次世代に負担を先送りしないという私の強い思いからの決断であります。
市民の皆様に対し,御理解と御協力をお願いするに当たりましては,今後とも,しっかりと説明責任を果たすことが必要であると考えており,市の広報紙やホームページでの周知に加え,臨時の広報紙を全世帯に配布するなどの取組みに努めているところでございます。
議員御質問の水道料金の値上げによる影響額でございますが,令和2年度の水道事業会計における水道料金は,約51億円の収入を見込んでおり,料金の改定前と比較して,約5億円の増加となっております。今後とも安定的に事業を継続するため,これらの財源を活用し,インフラ整備を進めることにより,「水戸市水道事業経営戦略」の着実な推進に努めてまいります。
また,令和2年度の茨城県中央広域水道用水供給事業からの受水費につきましては,税抜きで約1億2千9百万円を見込んでいるところでございます。今後におきましても,大規模災害や突発的な事故など,発生が懸念される多様な危機に対して,災害に強い強靭な水道を確立することにより,市民の安心・安全の確保に努めてまいります。

<田中議員>
3.新市民会館建設計画について
(1)予算および地方自治法・財政法、指定管理者の導入
とにかく新年度予算で驚くのは、新市民会館建設に関する巨額の予算であり、その内容について伺います。
再開発と周辺道路は26億円、保留床取得に55億円。あわせて約81億円です。市民には8億円の値上げ、市民会館には10倍の81億円。
一体どれだけ他の事業が圧迫されているのでしょうか。
ご承知のとおり、地方自治法は第2条第24項で「最小の経費で最大の効果を生み出す」ことを定め、地方財政法第4条は「必要かつ最小限度を超えて経費を支出してはならない」と明記しています。
本事業への公金支出は、明らかに法に違反しています。候補地決定も、市長による裁量権の逸脱濫用であるとして、去る12月16日、税金の支出差し止めを求める裁判が水戸地裁に起こされました。
総額353億円に及ぶ事業費は、あまりにも多額の支出である、との指摘は多くの市民の声です。
しかも市は、2月10日の特別委員会で、市民会館の運営に指定管理者制度を導入し、民間にゆだねる方針を示しました。私は、民営で年間60万人の来館者を達成できる根拠や、直営よりも経費縮減できる理由、運営費への上限はないのか質問しましたが、まともな答弁はなく「現時点で運営費は示せない」というのみでした。
1年365日、毎日1600人以上来館しなければ、年間60万人は達成できません。呼び込み費用もかさむことになるでしょう。
住民合意もなく、特定企業を優遇する事業にケタ違いの予算をつぎ込んでいる場合ではありません。
現在の計画は中止し、冷静に事業を見直し、身の丈に合った計画に変えることを強く求めるものです。

<都市計画部長>
3.新市民会館建設計画について
(1)再開発事業に係る新年度予算及び補正予算の金額と内容について
再開発事業に係る新年度予算及び補正予算の金額と内容についてでございますが,新年度予算として再開発事業補助金が7億4,300万円,公共施設管理者負担金が2,490万円,合わせて7億6,790万円を計上したところであります。また,補正予算につきましては,再開発事業補助金として11億3,450万6千円,公共施設管理者負担金として1億9,110万円,合わせて13億2,560万6千円であり,いずれも,国との調整により財源の確保を図ったうえで,再開発事業の進捗に合わせて計上したものであります。また,関連事業費につきましては,泉町周辺地区整備事業費として,道路及び電線共同溝の工事や,用地補償などに要する費用などに対して,当初予算で4億8,780万円を計上しております。次に,保留床取得につきましては,令和2年度から4年度の3ヵ年継続事業として,既に特別委員会に御報告したとおり,総額185億2千万円を設定し,令和2年度は55億円を計上したところであります。今後とも,2023年4月の新市民会館オープンに合わせ,年次的にしっかりと予算計上を図り,適正に執行してまいります。次に,地方自治法及び地方財政法に関する御質問についてでございますが,既に,総務環境委員会及び都市建設委員会へ御報告させていただいたとおり,「水戸市民会館費用支出差止等請求住民訴訟事件」として提訴があり,令和2年4月16日には第1回口頭弁論が予定されております。御質問につきましては,今後裁判において争う内容でございますので,法廷において,しっかりと支出の適法性を主張してまいります。

<高橋市長>
(2)新市民会館計画への指定管理者制度の導入について
次に,新市民会館計画に関する御質問のうち指定管理者制度の導入について,お答えいたします。
新市民会館の指定管理者制度の導入につきましては,平成28年11月8日開催の特別委員会において御了承をいただき,指定管理者を公募で選定することにつきましては,先月10日開催の特別委員会において報告したところであります。
新市民会館は,大規模イベントやコンベンションを積極的に誘致するとともに,学生が学習等で使用できるスペースのほか,高齢者,子育て世代などが安らぐことができる憩いの場としての公共空間を整備することなどにより年間60万人を超える来場者数の実現は十分可能であると考えております。その上で,指定管理者の豊富な経験を生かして,更なる利用者の増加も見込めるものと考えております。
指定管理者制度を導入することにより,指定管理者が有する施設の管理運営に関するノウハウを生かすとともに,施設の管理運営について創意工夫が行われ,運営経費の縮減が図られるものと考えております。
新市民会館の年間運営費につきましては,昨年11月11日開催の特別委員会に御報告いたしました新市民会館の運営の基本事項を踏まえ,額の算定を進めており,来年度の早い時期に,特別委員会へ御報告してまいりたいと考えております。また,指定管理料につきましては,上限を設けていく方針であります。
指定管理者につきましては,これまで他の文化施設を運営した経験を有する事業者なども含めて広く募集を行い,サービスの向上,管理経費の縮減など,指定管理者制度を導入することによる施設の効用を最大限に発揮する提案をしてきた事業者を選定し,新市民会館の適切な管理運営を図ってまいります。
あわせて,指定管理者となる事業者の有するノウハウやネットワークを最大限活用し,多くの人々が魅力を感じる公演や大規模な式典,講演会等の開催,日常的に訪れたくなる環境づくり,市民の芸術文化活動の積極的な支援,周辺の商業施設や観光資源等と連携したにぎわいづくり,水戸芸術館との連携,生涯学習活動の拠点づくりなどを行ってまいります。
そして,全国の多くの方々から選ばれ,市民に愛され,活用され,市民が誇りに思えるような新市民会館となるよう早期整備に向け,全力で取り組んでまいります。
新年度の事業費及び地方自治法・地方財政法についての御質問につきましては都市計画部長から,教育行政についての御質問につきましては教育長から,後ほど,答弁いたさせます。

<田中議員>
4.教育行政~教職員の働き方の改善、変形労働時間制
次に、子ども達にむきあう時間を増やし、ゆきとどいた教育を実現するために、教職員の長時間勤務を改善することについて伺います。
私は3年前の議会で、当時、本市でも過労死ラインの月80時間以上残業している先生が3割、400人以上いたことから、先生をふやし、1週間の受持時間を減らすことや、残業の上限設定、部活動指導員の増員を求めました。
引き続き、行政研修の簡素化、研究事業やモデル校の見直し、事務負担軽減など教職員の話し合いをもとに改善を進めるべきと考えますがいかがか新教育長の見解を伺います。
昨年12月、公立学校教員に変形労働時間制を導入可能とする法案が成立し、今年は各自治体で是非が問われます。
この法律は、1日8時間労働の原則を崩し、1年間を繁忙期と閑散期にわけ、繁忙期には1日10時間働かせ、閑散期にはその分短くするものです。
しかし、先生は年間通して繁忙期です。
1日10時間働いてよいとなれば、長時間労働がお墨付きとなり、ますますブラックな働き方が広がるだけです。
この制度は完全な選択制で、導入するかどうかはそれぞれの自治体の判断であり、各学校が導入するかどうかも毎年決める仕組みです。
働き方の改善には役立たず、現場からは「やめてほしい」との声が出されており、導入しない事を求めますが、見解を伺います。

<教育長>
4.教育行政
(1)教職員の多忙化解消について
田中議員の代表質問のうち,教育行政についてお答えいたします。
はじめに,教職員の多忙化解消についてお答えいたします。
予測不可能な現代を生き抜く子どもたちに必要な資質・能力を高める教育を行っていくためには,教員が授業や授業準備等に集中し,教育の質を高められる環境を構築するよう,教員の働き方改革を推進することが必要不可欠であります。そのため本市においては,これまで教員の業務負担を軽減し,子どもと向き合える時間を確保するための改善方策として,次のようなことに取り組んでまいりました。
まず,平成28年度に学校給食費を公会計化し,費用徴収や支払いに係る業務を市に移行するとともに,平成29年度は,校務支援システムを全校に導入し,学籍管理等情報の電子化と一元管理を図り,事務軽減と作業の効率化を図りました。平成30年度からは,タイムレコーダーを全校に導入し,これまで教員の自己申告等により集計していた勤務時間について,正確な実態の把握を図るようにいたしました。
また,中学校教員の長時間勤務の大きな要因となっている部活動について,平成30年度から,朝練習の原則禁止や休養日の設定などの活動方針を策定するとともに,外部人材を活用した部活動指導員を導入し,負担軽減に努めました。
これらの取組により,時間外勤務が80時間を超える本市教員の割合は,時間外勤務が1年で最も多くなる6月において,令和元年は22.3%と平成29年に比べ約3割減少しており,一定の成果が表れていると考えております。
今後も学校現場からの意見はもちろん,教員や保護者,地域の声を十分に反映させながら,教員の多忙化解消に全力で取り組み,子どもと向き合う時間の確保に努めてまいります。
(2)変形労働時間制について
次に,変形労働時間制についてお答えいたします。
変形労働時間制とは,時期ごとに発生する繁忙期や閑散期に合わせて,労働時間を月単位・年単位等で調整し,法定労働時間の範囲内で柔軟に労働時間を設定できる制度であります。
文部科学省では,業務の多い時期に1週当たり3時間,13週の勤務時間の延長をし,その分を比較的業務の少ない夏季休業中等に5日間の休日をまとめ取りすることが例として示されております。
これは,学校においては,学期末等の業務が集中する時期と長期休業期間等の業務が少ない時期があるため,勤務時間を年単位で調整することは,働き方改革に有効な手法であるとの考えによりますが,一方で,その導入に当たっては,学期中,長期休業中の業務を確実に削減することが重要であるともしております。
本制度の公立学校教育職員への適用は,令和3年4月1日からになりますが,そのためには各地方公共団体において条例改正等が必要となります。
公立小中学校に勤務している教育職員は,県費負担教職員であり,勤務条件等については県の条例で定めるものとされていることから,本市における制度の導入につきましては,今後の県の動向を注視してまいります。

<田中議員>
5. ジェンダー平等の推進について
最後にジェンダー平等の推進について質問します。
ジェンダーとは、社会がおしつける「女らしさ、男らしさ」「女性や男性はこうあるべき、といった行動規範や役割分担」を指します。ジェンダー平等社会とは、あらゆる分野で真の男女平等を求め、男性も女性も、多様な性をもつ人々も、差別なく、平等に、尊厳を持ち、自らの力を存分に発揮できるようになる社会です。
国連は、3月8日の国際女性デーで2020年を「ジェンダー平等の達成、すべての女性と少女に、人権を保障する世界的な運動を起こす要の年にしよう」と呼びかけました。
昨年の日本のジェンダーギャップ指数の順位は153か国中121位、先進国では最低で、外国と比べ男女格差が大きくなっています。
現在、日本でも、男女賃金格差の解消を求める運動や、セクハラや性暴力を許さないフラワーデモ、入試差別の是正、
職場で女性にパンプスを強制するのはおかしいと告発したKUTOO運動など、当事者が声をあげ、行動を開始し、多くの共感を広げています。
そうした中、昨年5月に本市が発表した、男女の働き方に関する事業所と市民アンケート結果では、セクハラ・マタハラ防止対策や性的マイノリティへの配慮を「何もしていない」と回答した事業所が75%にのぼりました。
また、正規雇用率は男性が85%に対し女性は50%であり、40代女性の85%が離職を経験し、その理由として「職場に離職をうながす慣行や雰囲気があった」「家族に離職を促された」と回答しています。
このように、水戸市でもジェンダー平等には多くの課題があります。
現在、第3次男女平等参画基本計画を策定中ですが、2020年がジェンダー平等実現へ大きく前進した年、といえる取り組みが求められており、どのように市民や企業に働きかけていくのか伺います。
特に、性的マイノリティの方々への支援の拡充策もお答え下さい。
本市の管理職や審議会などへ女性を積極的に登用し、女性比率を向上させることも求められています。
国は今年までに女性管理職の割合を30%、本市は22%とする目標を掲げましたが、目標達成できるのでしょうか。現状と今後の取り組み方針についてお伺いいたします。以上、明快な答弁を求め、第1回の質問を終わります。

<高橋市長>
5.ジェンダー平等の推進について
(1)水戸市男女平等参画推進基本計画(第3次)の策定について
次に,ジェンダー平等の推進のうち,水戸市男女平等参画推進基本計画(第3次)の策定についてお答えいたします。
本市における男女平等参画の推進につきましては,平成8年に男女共同参画都市宣言を行って以来,条例の制定,2次にわたる基本計画の策定,さらには働く女性に特化した女性活躍推進計画の策定を行うなど,市民,事業者等と連携しながら,多岐にわたる施策を総合的に推進してきたところであります。
しかしながら,本市において平成30年に実施した「男女平等参画に関する市民調査」及び「男女平等参画に関する事業所調査」の結果が示すとおり,社会における固定的性別役割分担意識や男女の経済格差,職場における男女の地位の格差などは,依然として存在しているものと認識しております。
また,近年,性的マイノリティの人権問題への対応など,新たな社会的要請も生じているほか,国連で採択された持続可能な開発目標SDGsにおいても男女平等の視点が不可欠であるとされるなど,男女平等参画の推進は国際的にも重要視されているところであります。
これらのことから,私は,あらゆる分野での男女平等参画の実現に向けて,「女性の活躍」,「人権の尊重」,「その実現に向けた環境の整備」を柱とした,新たな水戸市男女平等参画推進基本計画を今年度中に策定し,各種施策に取り組んでまいります。
施策の推進にあたり,事業者に対しましては,理念の啓発にとどまらず,事業者自らが実際に取組を行うことができるよう,規模や業種体ごとに,きめ細かな施策を展開してまいります。特に,働き方改革や育児・介護休業等の取得促進に取組み,女性が活躍できる誰もが働きやすい職場環境を実現できるよう,一般事業主行動計画の策定や取組に向けての問題点や改善の手法等の情報発信などの支援をしてまいります。
市民に対しましては,施策の目的を明確にし,非正規雇用女性のスキルアップ支援や大学生への仕事と家庭の両立に関する体験機会の提供など,年齢階層や雇用形態ごとに求められる施策を,より効果的に推進してまいります。
また,性的マイノリティの支援策につきましては,本基本計画策定において,当事者の方々からの聞き取りや水戸市男女平等参画推進委員会での議論を踏まえ,課題や施策を検討してきたところであります。その中で,性的マイノリティの方々が抱えている様々な問題,悩みは,ひとくくりにできるものではないことや,当事者の方に寄り添いながら,できることを速やかに,着実に実施していくこと,そして,多くの市民に,性的マイノリティへの正しい理解を広めることが大切であると,改めて認識したところであります。
そのため,市民や事業者へ,あらゆる機会をとらえ,誤解や偏見をなくす啓発を推進するほか,相談体制の充実,市の行政サービスにおける対応,学校における理解や対応の推進,医療に関する情報提供など,性的マイノリティの方が困難を抱えずに生活できる環境づくりを進めてまいります。
私は,性別にかかわらず,市民一人一人が自らの意思で社会のあらゆる分野に参画し,個性と能力を十分に発揮できる男女平等参画社会を目指し,市民,事業者との協働により,引き続き積極的に取り組んでまいります。
(2)本市の管理職及び審議会等への女性の登用について
次に,本市の管理職及び審議会等への女性の登用について,お答えいたします。
はじめに,本市の女性管理職員の現状でございますが,令和元年度の管理職員のうち女性は50名,割合は14.3パーセントとなっており,本市の女性職員活躍推進行動計画初年度である平成28年度と比較しますと,9名増加して,割合も約2ポイント増加しております。
しかしながら,令和2年までに,社会のあらゆる分野において指導的地位に占める女性の割合を30パーセントとする国の目標値や,本市の女性職員活躍推進行動計画における,令和2年度までに女性管理職の割合を22パーセントとする目標値と比較しますと低い状況にあります。
このことから,今後とも,女性職員が持てる能力を最大限に発揮し,キャリア・アップ意欲を持って働くことができるよう,適材適所の人事配置や,能力開発,キャリア形成支援等を図りながら,女性職員を係長等に積極的に登用し,将来管理職を担うことのできる人材の計画的な育成に努めてまいります。
次に,審議会等における女性の登用につきましては,平成31年1月現在の審議会等における女性委員の割合は,35.0パーセントとなっており,水戸市男女平等参画推進基本計画第2次の策定時である,平成26年の割合30.2パーセントから,約5ポイント増加しております。
また,国の目標値に加えて,水戸市男女平等参画推進基本計画第2次における,令和元年度に女性委員の割合を35パーセントとする目標値についても達成している状況でございます。
今後とも,本市の政策や方針決定過程において女性参画の拡大を図り,幅広い視点や意見を反映できるよう,女性委員の積極的な登用に努めてまいります。