2020年3月議会 反対討論 田中真己議員 2020年3月26日
日本共産党水戸市議団の田中まさきです。本定例会に提案された75件の議案のうち14件について、通告に従い、反対討論を行います。
反対する議案は、議案第33号、第38号、第43号、第47号、第48号、第49号、第50号、第51号、第52号、第54号、第59号、第61号、第62号、第67号の以上14件であり、以下8点にわたり反対理由を申し上げます。

第一は、議案第50号、来年度の一般会計予算および、議案第67号、今年度一般会計の補正予算における、新市民会館整備に関する予算です。
泉町1丁目市街地再開発事業の補助金で約21億円、周辺道路整備で約5億円、保留床取得費で55億円であり、合計約81億円という巨額の予算です。
市民には来年度、総額約10億円の各種値上げを行いながら、その負担増の8倍にあたる予算を、市民会館につぎこむことは認められません。
81億円の予算の8割にあたる、約66億3千万円は市の負担であり、ほとんどが市債・借金でまかなわれます。さらに、保留床取得費として、令和2年度から4年度までの3年間で、合計185億2千万円もの継続費もくまれました。
将来にわたって市民に重い負担となる計画であり、昨年12月16日、市長に対し、税金の支出差し止めを求める裁判が水戸地裁に起こされました。
その趣旨は、総額353億円もの事業費はあまりにも多額であり、最小経費原則を定めた地方自治法や、地方財政法に違反し、候補地決定も市長による裁量権の逸脱濫用であるとしたものであり、これは多くの市民の声です。
市民の会は3月4日、改めて市長と再開発組合に対し、建設工事着工中止を求める申入れを行っています。
現在市は、運営を民間にゆだねる指定管理者制度を導入する方針としつつ、いまだに運営費は示されないなど、説明責任をはたしておりません。
劇場不況の時代、現計画の2000席ホールでは需要が見込めない上、現在の設計では、質の高い公演の呼び込みも困難であり、芸術館東駐車場は地権者合意を得られず、予算を削除、整備先送りという状況です。
そうした中、住民合意もなく、特定企業を優遇する事業に、ケタ違いの予算をつぎ込んでいる場合でしょうか。
消費税増税による不況、新型コロナウイルスの感染拡大でリーマンショックを上回る経済危機が進行中であり、東京オリンピックの延期も決定しました。
市民福祉向上のための他の事業をも圧迫する、現在の計画は中止し、冷静に事業を見直し、身の丈に合った計画に変えることを強く求めるものです。

第二に、市民負担を増やす議案に反対します。今必要なことは、市民生活を守るあらゆる手立てをとり、家計と中小企業支援に力を集中することです。

まず、水道料金の平均11%の値上げ、総額5億円の負担増の中止です。これは消費増税やコロナショックで大変な市民、事業者に広く負担がかかります。
一般家庭で年1万円、個人商店で3万円、中小企業や医療機関、福祉施設では少なくとも年150万円程度の値上げが見込まれます。
毎年5億円を超える黒字の活用と、ムダな県中央広域水道の1億4千万円の受水をやめれば値上げは中止できます。

また、昨年10月の消費税8%から10%への増税で、公共料金が軒並み値上げとなります。下水道使用料(6660万円の負担増)、農業集落排水使用料(300万円の負担増)および、公設市場使用料(410万円の負担増)等で約7400万円の負担増です。
与党の中からも消費税減税が提案されるほど、経済の落ち込みが激しい中、公共料金への消費税10%転嫁は市独自の判断で緊急に中止すべきです。

国民健康保険税も課税限度額を3万円値上げし、年99万円となり、総額1370万円の負担増です。県への納付金が大幅に減り、国保会計は来年度末3億円の黒字見込みであり、引き上げどころか、引き下げをすべきです。

75歳以上の後期高齢者医療保険料は、県平均15.4%、一人平均年9,507円、総額38億円の値上げですが、本市では県平均を大きく上回る17.1%、一人平均1万1990円の値上げであり、4億1千万円の負担増となります。
年金が減るなか、消費税増税で高齢者のくらしは大変であり、なによりも感染症に最も弱いのが高齢者です。
茨城県には約38億円の財政安定化基金があり、これを活用すれば値上げを中止できます。

増税、水害、コロナショック、そこに約10億円の負担増は、市民生活への厳しい追い打ちとなります。値上げ撤回を強く求めます。

第3に、茨城県租税債権管理機構など、税の厳しい取立強化はやめ、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う、救済措置の積極的実施を求めるものです。
総務省や国税庁は3月18日、新型コロナの影響を受けた納税者等に対し、地方税の猶予制度活用を周知する必要があると全国の自治体に通知し、ホームページ・広報への掲載や窓口設置を求めていますが、現段階で水戸市の具体的方針は示されていません。その一方、税金取り立ての厳しい茨城県租税債権管理機構への委託料や、滞納処分のための不動産鑑定の予算が組まれています。
市長は本定例会で私の質問に対し「旅館業及び飲食業では,団体客の宿泊や宴会のキャンセルで、前年同時期と比べ大幅に売上げが減少し、厳しい状況にあること。製造業など様々な業種への影響拡大が予測され、地域経済への大きな打撃は避けられない」旨の答弁をされました。
そうであるなら、コロナの影響を丁寧に聞き、税の減免や徴収の猶予をはじめ、機械的に給水停止をしないなど、市独自の救済策をただちに打ち出し、財産差し押さえなどの取り立て強化、債権機構への委託はやめるべきです。

第4に、水戸市の職員定数を2077名へ、今年度とくらべ13名削減するものですが、市直営業務の民間委託が多く含まれています。
具体的には学校給食調理業務(3人減)、家庭ごみの収集(5人減)や清掃工場の運営(5人減)、土木補修事務所の下水道補修などの民間委託(5人減)、幼稚園廃止やクラス数の減少による削減(5人減)などです。
一方で、市営住宅入居者の立ち退きや、裁判対応強化(年間50件)のための増員も含まれており、実施すべきではありません。
これまでも市立図書館、学校給食共同調理場などの民間委託で正職員を削減し、賃金の低い臨時、嘱託職員に置き換えた結果、全体の37%、1224人が非正規職員となりました。
市民に身近な業務については、サービス低下と待遇悪化につながる民間委託や削減ではなく、市直営での拡充を求めます。

 第5に、小学校の開放学級の民営化および、五軒幼稚園をはじめとする市立幼稚園の廃止、保育体制の緩和などに反対します。
今年度、梅が丘小学校1校の開放学級で、試験的に導入した民間委託を、問題点や課題の検証もないまま、来年度一気に13校、35教室まで拡大するものです。3年ごとの競争入札のため、学童支援員の身分は不安定なままで待遇改善に役立たず、開放学級の保育内容充実にもつながりません。
また、4月から五軒幼稚園を廃止し、その後2年間で、8か所の市立幼稚園について、園児19名以下を理由に機械的に廃止し、それ以外の4園も今後の園児数で廃止を検討する、としています。
520名の園児が通う市立幼稚園は、子育て支援に大きな役割を果たしています。それを保護者や教員、地元住民の意見も聞かず、一方的に次々廃止することは認められません。
4・5歳児のみの2年保育を3歳児からの3年保育に拡充することや、給食の実施、送迎バスを運行させるなど、市立幼稚園の拡充こそ行うべきです。

第6に、中核市移行にともないスタートする動物愛護センターの業務委託として、約2000万円(2166万6千円)の予算が組まれましたが、入札もせず、一業者に委託するものです。選定基準の透明性を確保し、業務内容を広く市民に知らせることを求めます。殺処分ゼロの実現にむけて、ドッグトレーナーの常駐や、ボランティア団体、市民と広く協力した運営とすることを求めます。

第7に、廃棄物の処理に関する条例改正では、市内のごみ処理手数料の統一が含まれており、内原地区でのゴミの直接搬入は、これまで距離の近い笠間水戸環境組合の清掃工場に、重さ100キロまで無料で搬入できました。
これが4月から、片道30分程度の下入野へと遠くなったうえに、重さ10キロごとに130円、100キロなら1300円へ有料化されるため、住民説明会などで多くの内原地区住民からサービス低下との不満、批判の声が出されたものであり、賛成できません。

第8に、公設市場の条例改正は、卸売市場法の規制緩和に伴うもので、市場の機能を弱める恐れがあります。
これまでは、卸売業者が仲卸業者以外へ販売することや、市場を経由しない物品販売・市場外取引を禁止していましたが、これが自由化されます。
その結果、卸売業者と大手量販店との直接取引が広がることになれば、品質と需要ではなく、買い占めなども可能な、仕入れ・販売力の高い大手との力関係で、価格が決まることとなります。価格形成に関与しない仲卸業者の経営はより厳しくなり、生産者は買いたたきで被害を受ける可能性もあります。
本市の公設市場は、地方卸売市場の中で、全国一の取扱高を誇っています。
今後も、公正な取引環境の確保や、市場の活性化に力をいれて、生産者や消費者の立場で運営することを求めるものです。
以上で反対討論を終わります。