2017年6月定例水戸市議会 田中真己議員の代表質問 2017.6.19
(東海第二原発に関する質問と答弁抜粋)

日本共産党水戸市議団の田中真己です。通告に従い代表質問を行います。
1.原子力行政について
はじめに原子力行政についてです。6月6日、原子力機構大洗研究開発センターでプルトニウム飛散事故が起きました。被ばくした作業員の方々の健康被害が最小限となるようお見舞い申し上げます。
今回の事故で、またしても放射性物質のずさんな管理や、安全神話と一体の想定外という言葉が繰り返されています。
私たちは過去にも重大な原子力事故を経験してきました。動燃再処理工場の火災爆発事故、JCOでの日本初の臨界事故、そして福島第一原発事故です。まさに今、住民の生命と財産を守るべき自治体が、原子力施設とどう向き合うべきなのか、鋭く問われていると思います。
東海第2原発の再稼働と運転延長の問題はいよいよ重大な局面となっています。先月、日本共産党議員団は、日本原電東海事業本部にヒアリング調査を行い、私も参加しました。原電の説明で明らかになったのは、
第1に、原子炉が沸騰水型の東海第二原発は、加圧水型と違ってフィルタ付ベント装置が完成しなければ再稼働できない。その理由は、格納容器の容積が小さいために爆発リスクが高いということ。
第2に、予測する津波高さ17.2mよりはるかに低い、海抜8メートルに原子炉が立地しているため、防潮堤が完成しなければ再稼働できないこと。
第3に、溶けた核燃料が圧力容器を突き抜けて水蒸気爆発するのを防ぐための装置、いわゆるコアキャッチャーが装備されていないこと。
第4に、40年以上使ってきた燃えやすい電気ケーブルの劣化に対し、最新の知見に基づく健全性評価がなされていないこと。
第5に、現在、東海第二で保管している核燃料は3117本にのぼり、そのうち2202本はいまだプール内で冷やし続けており、青森県六ケ所村や、むつ市の工場に搬出する目途が全く立っていないことです。
東海第二原発は、来年11月に営業運転開始から40年。老朽化の著しい原発を20年も運転延長させる危険性について、市長はどのように認識しているのか、所見を伺います。

(1)安全協定の見直しについて
今年2月から3月にかけ、東海第二原発に関する安全協定をめぐり、首長側と日本原電のやりとりがありました。首長側は再稼働や施設の変更に際しての事前了解権の確保や対象自治体の拡大などを申し入れてきました。
しかし、日本原電の3月24日の回答は、自治体が事前説明を聞くことや、意見を述べる権限は認めるものの、肝心の事前了解権は一切認めない新協定を結ぶ提案でした。これは首長側の要求の核心部分をごまかすものであり、このような新協定案は拒否すべきと考えますがいかがか、事前了解権の枠組み拡大の見通しとあわせて見解を伺います。

(2)東海第2原発の再稼働と運転延長について
安全協定をめぐる動きと並行して、日本原電は5月19日、20年の運転延長の申請に必要な特別点検に着手したうえ、5月25日には、村松社長が「運転延長申請をしたい」とマスコミ向けに表明しました。そして6月末の株主総会以降、取締役会に諮って原電として意思決定するとの意向も示しました。
首長に対し事前了解権の拡大には応じないまま、一方的に20年延長を表明する原電を市長はどうお考えでしょうか。このこと一つみても信頼できる相手ではなく、自治体や地域への影響よりも自社の経営最優先、再稼働へ暴走していると言わざるをえませんが、いかがでしょうか。
運転延長するには、8月28日から11月28日の間に、原子力規制委員会に申請する必要があります。市長はこれまで再稼働の是非を表明せず、今の段階での議論はあり得ないと繰り返してきました。しかしこのままでは、次の9月議会は、原電が延長申請した後かもしれません。
いま市長が「20年延長は許さない、再稼働は反対である」とハッキリ表明することがどうしても必要と考えますが、その考えはないかお伺いいたします。

<高橋市長の答弁>
1.原子力行政について

 日本共産党水戸市議団を代表されましての田中議員の御質問にお答えをいたします。

(1)安全協定の見直しについて
 はじめに,安全協定の見直しについてお答えいたします。
安全協定につきましては,昨年12月に開催された「原子力所在地域首長懇談会」において,日本原電から初めて協定の見直しの考え方が示されました。その後,同懇談会における再要求を経て,3月24日に,改めて,日本原電から,「現行の安全協定とは,別の枠組みの協定を締結すること」や「合意形成を図るための協議会の設置」など,新たな事項について,提示されたところであります。
しかしながら,再度の回答においても,私どもが求めてきた「所在自治体と同等の権限」「運転再開に関する事前了解の権限」の確保については,担保されているとは言えないことから,現在,協定に位置付ける具体的な事項について,構成自治体と協議を進めているところであります。
今後とも,市民の安全確保に向け,要求事項の早期実現に努めてまいります。

(2)東海第二発電所の再稼働と運転延長について
次に,東海第二発電所の再稼働と運転延長についてお答えいたします。
現在,日本原電は,施設の安全性を確認するため,運転期間の延長申請に必要となる劣化評価を実施していると聞いております。そのような中,日本原電の社長が延長申請に向けた「個人的な思い」を発言し,市民の誤解を招いたことについては,憤りを感じているところでありますが,その発言を受け,再度事業者に意向を確認したところ,延長申請に関する判断は,劣化評価の結果を踏まえて行うとのことであります。
本市といたしましては,施設の劣化状況等について,きめ細かに報告を求めるとともに,運転延長を巡る動向について,今後とも,周辺自治体と情報共有・連携を図りながら,しっかりと注視してまいります。
また,再稼働の議論につきましては,原子力規制委員会の新規制基準に適合することはもちろんのこと,安全協定の見直し,そして,全ての市民の安全な避難に向けた実効性のある広域避難計画が策定されない限りは,有り得ないものであります。
その上で,私は,市民の安心で安全な暮らしを守っていく使命がありますので,多くの市民の声を十分考慮しながら,自分たちのまちは,自分たちで守る観点から,厳しく判断をしていかなければならないと考えております。
 私は,この度の日本原子力研究開発機構の事故を受け,改めて,原子力防災の重要性を強く認識したところであります。今後とも,市民の皆様に御意見をいただきながら,広域避難計画の策定をはじめとする各種安全対策の強化に取り組み,誰もが安心して暮らせる災害に強いまち・水戸を構築してまいります。

<田中議員の再質問>
それぞれ答弁いただきましたが1点、原発問題について再質問します。
東海第二原発は、運転開始40年となる来年11月までに、新規制基準と20年延長の2つの審査を通過しなければ再稼働でき
ません。そのうえで再稼働への判断、同意が求められることになりますが、その時期は2019年です。
仮に再稼働に賛成し、稼働が決まった場合、その時期はまさに、いばらき国体の直前に全国に伝わることになります。
「いきいき茨城ゆめ国体」について、市長は繰り返し「水戸の魅力を発信し、おもてなしの心で大会をつくる」として「全国から3000人以上の選手関係者が水戸市に滞在し、多くの観覧者も訪れる」ことから「選手が最高のパフォーマンスで競技できるよう、ソフト・ハード両面を整備し、最高の水戸を感じていただけるように万全の準備を進めていきたい」と述べられています。
市長は、国体に限らず、様々な地域活性化策、観光誘致を推進されていますが、原発がひとたび事故を起こせば、30キロ圏内の水戸市にとって、すべて水の泡、それどころか取り返しのつかないことになるわけです。
「原発は動かしますが、ぜひ茨城に、水戸にお越しください」と言えるでしょうか。国体と障害者スポーツ大会あわせて11競技、全国から約8万人の来水が見込まれているそうです。このような一大イベントと原発再稼働が重なれば、自然災害だけでなくテロの脅威さえ、懸念されます。
しかも、1970年代に建設された沸騰水型原発は今11基日本にありますが、東海第二を除く10基はすべて廃止すると決定しています。
「自分達のまちは自分達で守る」とおっしゃるならば、やはりここは、首長同士が一致結束して、「東海第2原発は廃炉を求める」と決めて頂きたい。
それが何よりも、安心安全な水戸市を求める市民の思いにこたえることだと考えます。
再度、市長のご答弁を求めて再質問とします。