田中議員 

1.新ごみ処理施設建設に関連する用地取得と造成工事について
日本共産党水戸市議団の田中真己です。只今から一般質問致します。
はじめに、下入野町に建設される新ごみ処理施設について、用地取得前から現在の造成工事に至る経過を、時系列で振り返りながら質問します。市は平成26年(9月議会)、約56ヘクタールに及ぶ用地を取得しました。昨年(平成27年9月議会)から造成工事が始まり、現在も進行中ですが、本定例会に、地盤改良や不法投棄物の処分が必要になったとして、当初、3工区で約18億7000万円だった工事契約が、10億6000万円増える議案が出されたわけです。
今から6年前、平成22年1月22日の第2回新ごみ処理施設特別委員会で市は「平成19年3月、下入野でのごみ処理施設の可能性検討のため、土地利用履歴や砂利採取事業の埋め戻し状況等を調査し、ボーリングを10か所程度実施した。一部コンクリート片はあったが特に問題はない」と説明しています。
続いて平成23年9月、環境アセスメント実施前に、茨城町の区長会代表から、ずばり「予定地内にある廃棄物を投棄した違法性と安全な復元計画について」見解を質す意見書が出されていました。
このことに市は正面から答えず、県に対して「重金属類やダイオキシン類等の、水質および土壌調査をあらかじめ実施し、現状を把握する」と回答書を出し(平成23年10月17日)、知事は「新たな事情が明らかになった場合は追加調査を」と指示しました。
その後、平成24年に環境アセスメントが実施されましたが、広大な敷地の中のわずか3か所だけの調査で問題なしとしました。平成25年にはアセス実施後の説明会があり、再度の茨城町住民の疑問に市は、「周辺の民間廃棄物処理施設に今後問題があれば県と連携し対応する」(平成23年9月7日)と敷地内の問題には触れない回答書を出しました。
それでも納得できない住民は、同年8月の説明会で「ここで無許可の埋立てをしていたのは地元の人はみんな知っている。現場に行けばわかる」と質問したのに対し、市は「昭和60年代のことは確認しようがない」として、調査も確認もしない姿勢を示しました。
最終的に平成26年5月発表の環境アセス評価書には、「建設工事に伴う副産物について、本事業においては残土以外の廃棄物は発生しないと結論づけている」と記されています。(知事意見H26.1.29)
用地取得の議案を審議した、平成26年9月16日の市議会総務環境委員会では、産廃などの物がないか懸念する委員の質問に対して市は「砂利採取跡地は削られて基本的に何もない」と答弁しています。
結局、不法投棄の存在は何度も指摘され、予測できたのに十分な調査をせず、事実と異なる説明をしていたことになるのではないでしょうか。今になって把握していたと言われても、議会に説明してこなかったのは事実です。
また、行為者の特定はできないとしていますが、この一帯で、砂利採取をしていた株式会社は、産業廃棄物や一般廃棄物の処分業も営んでおり、不法投棄を誰が行い、何が埋められたか、当時の事情を詳細に把握できたはずで、この会社役員は市に用地を売却した地権者でもあり、今回見つかった産廃は6111トン、25mプール12杯分という量ですから、なおさらです。
ちなみに、この会社は同じ住所に、事業目的も役員も同じ別会社があり、平成13年に一方が解散した翌日、別会社が社名や事業をそっくり引き継いで今日まで継続していることから「古い話だから」とか「解散したから」ということは通用しないと考えます。
改めて用地取得前に、不法投棄ごみの存在について、業者や地権者に確認したのか、その時点で知っていながら不問に付したのか、瑕疵ある売買契約ではないのかお答えください。別件で、「逃げ得は許さない」という市長の発言もありましたが、廃棄物処理法違反については何ら問われないか。不法投棄物の内容と数量、今後さらに出てこないのかも含めてお答え下さい。
当初約19億円の造成予算と、32億円の継続費に差があり、当初から不法投棄物や地盤改良を見込んでいたとも取れますがどうなのか根拠を伺います。今回、契約変更額の半分を占めるのが約5億2400万円の地盤改良工事で、理由は『土質が不均一の地盤が一部確認された』ためといいますが、「一部」どころか、約1キロにおよぶ南側のほぼ全域です。この点は環境アセスの時点でも、「地下水位も高く、豊富な地下水があることが伺える。相当規模の地盤改良を行う必要がある」と指摘されており、当初から予測できたものと考えます。
「一体に施工した方が工期も費用も有利だから追加工事にした」と言いますが、造成工事前のボーリング調査は9箇所とのことです。 ごみも見つからず、地盤改良の必要性もわからず、樹木伐採の量も違うのでは、調査と積算が甘かったのではないでしょうか。やはり、多額の契約変更を伴う場合、透明性を確保し、追加費用が適正か評価するためにも、別発注とすべきだったと考えますが答弁願います。

答弁 鈴木生活環境部長 

新ごみ処理施設の用地取得および造成工事の契約変更について
田中議員の一般質問のうち,新ごみ処理施設建設に関するご質問についてお答えいたします。
はじめに,新ごみ処理施設用地の取得に当たりましては,事前に行った地権者や砂利採取事業者からの聞き取り,ボーリング調査等の結果から,一部の箇所において不法投棄ごみの存在を確認しておりました。しかしながら,現地は,広大な山林,原野であり,草木に覆われて立ち入ることも難しく,造成工事前に,その種類や全体数量を把握することは極めて困難でありました。また,聞き取り調査等の結果から,不法投棄の行為者の特定もできませんでした。
加えて,小吹清掃工場の老朽化の進行により,新たな施設の早期整備が求められており,地権者のご理解,ご協力があって,土地の取得が円滑に進んだものであり,不法投棄ごみの処分について,市といたしましては,造成工事の中で対応するとしたものでございます。
次に,造成工事についてでございますが,新ごみ処理施設を建設する上で,その基礎として適する地層の構成や土質を確認するため,施設や道路を配置する箇所を中心に,ボーリング調査を実施いたしましたが,当該ボーリング調査は,不法投棄ごみの量の確認を目的としていないことから,全体量については把握できませんでした。
今回の造成工事において処分した不法投棄ごみの種類と数量についてでございますが,種類としましては,混合廃棄物,コンクリート殻,廃タイヤで,それぞれの数量は,混合廃棄物が2,456立方メートル,コンクリート殻が478立方メートル,廃タイヤが32立方メートルでございます。今後,地盤改良工事の進捗に伴い排出されると見込まれるものも含め,処理費用については,今回の設計変更に計上しております。
次に,事前調査についてでございますが,契約締結に当たっては,施設の配置箇所での地質調査結果を踏まえ,盛土地盤の安定性等について検討し,地盤改良等の必要はないとしておりました。しかしながら,工事着手後,施設の配置箇所とは離れた茨城町との境界付近において,土質が不均一の地盤が一部確認されたため,改めて地質調査を行った結果,基礎地盤の安全性・安定性を保つための地盤改良が必要となりました。また,伐採の処分量が増えたことにつきましては,周辺地域からの要望を受け,茨城町との境界付近の法面の伐採・伐根を追加したこと等によるものでございます。
次に,予算額32億9千万円と契約額との差に関するご質問でございますが,契約額につきましては,平成27年第3回水戸市議会定例会において議決いただいた第1・第2・第3工区の合計で,約18億7千万円でありました。予算額とは,約14億2千万円の差がありますが,この差額には,第4工区の契約額約1億3千万円,今議会にご提案させていただいた変更金額約10億6千万円,さらに今後発注を予定している残工区分の事業費等を含んでおります。
今後も,引き続き,財源の確保や事業費の縮減を図り,円滑な事業の推進に努めてまいります。

田中議員 

2.使用料・手数料の見直しについて
次に、使用料や手数料の見直しについて質問します。市は3年ごとに値上げを行い、今年度も市長が使用料等審議会に検討を諮問し、12月6日に答申が出されました。
大型プロジェクトに多額の税金を投入し、増額を繰り返す一方で、市民に身近な料金を値上げしようという基本姿勢が問題であり、行革プランを受けた市民負担増の計画には反対であります。
審議会答申では斎場使用料や印鑑登録証などの引き上げが答申されましたが、今議会でも財政調整基金を23億円積み立て、約97億円の残高となるなど、財政運営は好転しており、値上げの必要はないと考えますが、答申を踏まえた今後の計画を伺います。
(1) 自転車駐車場の利用料引き下げを
水戸駅・赤塚駅にある自転車駐車場については、審議会でも、使用料収入が維持管理費など運営経費を上回っており、引き下げるべきとの異例の答申が出されました。利用者の大半が高校生であり、子育て支援の観点から直ちに引き下げるべきですが、お答えください。
(2) 市民センターの有料化中止を
市民センターは、審議会で有料化が検討され、答申は使用料を検討する組織の設置を求めていますが、生涯学習活動や地域コミュニティの拠点であり、有料化すれば活動の停滞、衰退を招くことは明らかです。必要なのは、老朽化した市民センターの改善、拡充であり、有料化は行うべきではないと考えますが見解を伺います。
(3)老人福祉センターの入浴料無料化復活を
老人福祉センターは、平成26年7月からの入浴料1回100円の有料化の結果、平成25年度に約18万2000人だった利用者が、26年度に14万5000人、27年度に10万6000人に激減しました。
約7万6000人も利用者が減った一方で、27年度の使用料収入はわずか478万円であり、そのために高齢者の楽しみを奪ったことは、施設の設置目的に反しており、無料化復活を求めますが答弁願います。

答弁 岡部財務部長 

使用料・手数料の見直しについて
田中議員の一般質問のうち,財務行政についての御質問にお答えいたします。
使用料,手数料の見直しにつきましては,行財政改革プラン2016に位置づけられた重要な実施項目の一つであり,受益者負担の適正化に向けて,行政サービスの内容やコストとのバランス,サービスを利用する受益者と利用しない者との負担の公平性などを考慮しつつ,定期的に見直しを行っております。
本年度においては,昨年度に検討した下水道使用料及び農業集落排水処理施設使用料を除く使用料・手数料を対象として,見直しを進めており,水戸市使用料等審議会に対して8月に諮問を行い,7回にわたる審議会を経て,去る12月1日,答申をいただいたところであります。
この審議会におきましては,それぞれの使用料及び手数料について,決算状況や過去の改定の経緯のほか,コストの状況や他市の料金,コストの回収割合を示す受益者負担率などを踏まえながら,サービ巣を利用する市民や地域,女性,経済団体など,各界各層の皆様により,受益者負担の適正化に向け,幅広い県討がされたところであります。
これらの審議の結果,使用料については,引き下げと引き上げがそれぞれ1件ずつ,手数料については,1件の料金新設と2件の引き上げという,答申をいただいたものでございます。
御質問のございました自転車等駐車場使用料の引き下げにつきましては,指定管理者制度の導入などにより運営コストの削減が図られていることから,行財政改革の効果を市民に還元すべきとの御意見をいただいたところであり,特に,子育て支援の観点から,学生の定期使用料に配慮するよう提言されたものであります。
また,市民センター使用料につきましては,ただちに料金を徴収すべきという御意見ではなく,施設運営に多額のコストを要している現状や,他の施設とのバランスを考慮し,利用実態や市民の意向,他市の状況などを十分調査のうえ,使用料のあり方を検討するよう提言されたものであります。
この答申を受けての対応につきましては,今後,内容を精査するなど検討を進めるものであり,現時点でお答えする段階にはございませんので,御理解のほどよろしくお願いいたします。
なお,老人福祉センター入浴施設使用料につきましては,平成25年度に開催した使用料等審議会の答申を踏まえ,平成26年7月から料金の御負担をお願いしたものであり,受益者負担の基本的な考え方や決定した経緯のほか,民間入浴施設の利用料金などを考慮いたしますと,見直しを行う状況にはないと考えております。

田中議員 

3.消防職員の勤務体制、南署及び出張所の改築について
次に消防行政について、増え続ける救急件数と出動の多い消防署・出張所の現状、そして消防職員の勤務体制について質問します。
高齢化が進む中、救急出動はこの10年増え続け、昨年度は約1万4000件。平成18年度と比べ年3400件、1日9.3件増えています。
一方で消防職員は、10年前339人で現在338人。全く変わっていません。その分、救急隊員などの負担が増えていることになります。
1回の出動で約1時間半、1日10件近い出動があると、昼食や夕食休憩は30分程度。出動1回につき報告書作成が30分、日中は出動や訓練で時間が無く、事務処理は夜間という場合もあると考えられます。そこで、休憩のくりさげや、休憩が取れない場合の手当支給の実情を伺います。国は、休憩が恒常的にとれない救急隊には基準を設け交替や休養を与えるよう通知しており、対応をお聞かせ下さい。
また、非番の日にも訓練や研修があるとのことですが、本来は勤務時間内に行うべきではないでしょうか。県内の消防職員アンケートでは、非番時の研修において、一部しか時間外手当が支給されず、あとは自主研修扱いの例もあるとありますが、実情をお答えください。
消防職員の年次休暇の取得はこの3年、6.9日、6.5日、5.9日と減り続け、市長部局(10.5日)の約半分(56%)です。
消防職員の充足率は72.2%にとどまっているうえに、毎年新規採用される10数名は必ず半年間は消防学校に行くため、その分定数を満たしていないのと同じ状態となっています。
今後さらに救急件数の増加が見込まれることから、市民の命を守るために、増員や勤務体制の改善が急務ですが、見解を伺います。
先日、築43年の緑岡出張所を見学しました。昨年、台所や風呂の一部が改修されましたが、狭さは相変わらずで、隊員が椅子に座ると後ろを人が通れず、廊下も一人が通るのがやっとです。
一分一秒を争うわけですから、スムーズな出動のための導線確保が必要です。救急隊員の仮眠室もプレハブであり、個室化も含めた早急な改築が必要と感じました。
そこで、同じく老朽化している南消防署の改築計画の進捗と、出張所の改修・改築計画を伺います。
以上で第1回の質問を終わります。
答弁によりましては再質問させていただきます。

答弁 清水消防長 

消防職員の勤務体制と南消防署・出張所の改修改築について
田中議員の一般質問のうち,消防行政についての御質問にお答えいたします。
はじめに, 消防職員の勤務体制についてですが,昨年の救急出動件数につきましては,1万3,822件の出動があり,このうち最も出動が多かったのは,北消防署の3,054件で,続いて南消防署の2,224件,赤塚出張所の2,143件の順となっており,管内全体で1日平均約38件,概ね38分に1件の割合で出動しました。
救急隊が休憩時間に出動した場合は,休憩時間を先送る,いわゆる繰下げを基本として対応していますが,出動が重複して勤務時間内に休憩時間が確保出来なかった場合には,時間外勤務手当を支給しています。恒常的に休憩時間が取れない場合はありませんが,隊長等が隊員の疲労度を考慮し,必要に応じて隊員の入れ替えを実施するなど,適正な労務管理に努めているところです。
次に,消防職員の訓練や研修につきましては,個々の職員における知識の習得や技術の向上を図るため,基本的に各所属において勤務時間内に実施しています。
しかしながら,多様化する災害に適応させるため,複数の部隊による連携活動を重視した総合訓練や水難救助技術向上のためプールを使用した潜水訓練など,大規模な訓練に対しましては,非番に勤務命令をするとともに時間外勤務手当を支給しています。
次に,消防力の整備指針についてお答えいたします。
本市の人員の充足率につきましては,職員全体で72.2%ですが,このうち,消防隊や救急隊を構成する警防要員については,算定数305人に対し現員数277人で充足率は90.8%となって
おり,業務遂行に支障のない配置となっているものと考えています。
今後につきましては,さらなる業務の効率化や消防学校派遣時の取扱い等について検討し,改善に努めてまいりたいと考えています。
次に,南消防署の改築及び出張所の改修,改善についてお答えいたします。
南消防署の改築に伴う検討状況につきましては,平成21年に実施した耐震診断の結果や,老朽化を踏まえて建て替えが必要であると判断しました。
消防署の配置については,火災,救急,救助等消防需要の多くが人為的要因によって発生していることから,災害現場までの到着時間を考慮し,人口の集中した地域に設置することが適当です。そのような観点から,現在の南消防署がある城南1丁目を含む駅南地区及び元吉田町と千波町は人口,世帯数の多い地域であり,加えて水戸駅の利用者数を含めると,現在地は有効な場所であると認識しています。
現在,駅南地区を念頭に移転も含めた建て替えを庁内関係課と協議を進めているところです。今後につきましては,新たに国土交通省が発表した洪水浸水想定区域等の影響及び適正な配置についても十分な検討を行いながら,早期の建て替えを進めてまいりたいと考えています。
また,出張所の改修,改善につきましては,施設の状況等に応じて修繕を実施するなど,適正な維持管理に努めるほか,第6次総合計画において,出張所1か所の改築を位置付けたところであり,今後,耐用年数や施設の状況を勘案しながら整備を進めてまいります。