3.水道行政について 

次に水道行政について質問します。昨年4月、コロナ禍による収入減で、家計も営業もきびしい市民生活に追い打ちをかけるように、水道料金が値上げされ、市民負担が約6億5000万円も増えました。

現在は小康状態にあるコロナも、いつ感染拡大するかわからず、市民生活も地域経済も、活性化には程遠い現在、今からでも値上げを撤回すべきではないでしょうか。

さらにいえば、必要もない全国一高い県の水を買い、その負担を市民におしつけるのは二重の背信行為です。

なぜ市が、自前の水道施設に十分な余裕があるのに、県とムダな契約を結んだか。

それは「人口も給水量も急速に増える」という県と、それをうのみにした市の間違った予測によるものでした。

市長は今定例会に、その誤りをみとめ、今後の「給水人口」と「給水量」を削減する水道条例の改正を提案しました。

給水人口は、31万7100人から27万人へ4万7100人分もへらしました。4万7100人といえば、常陸太田市や鉾田市の人口を上回る規模の削減です。

改正理由は「実態に合った給水人口と1日最大給水量に変更するよう厚労省から求められた」としています。

つまり、国も市も、過大な予測だったことを認めたわけですから、条例改正を契機に、県受水中止を決断するよう提案しますがいかがでしょうか。

そもそも、県中央広域水道が水源と位置づける霞ケ浦導水事業は、実施調査開始以来、5回も工期延長を繰り返し、すでに47年。

市長がまだ9歳のときから始まった事業ですが、いまだ完成のめども立たず、水道料金に跳ね返る工事費だけはうなぎのぼりです。

それどころか、県は中央広域水道の需要がのびないことを見越して、敷地の一部を閉鎖し、太陽光発電に転用してしまいました。

水戸市には「協定を守れ」と高圧的な態度をとりながら、自らは協定を平気でやぶる県。これが民間ならとっくに契約解除、損害賠償ものです。水戸市は堂々と契約解除を求めるべきです。

これを放置し続けるなら、市民は動かぬ証拠をつきつけて、その違法性をあばくことになるでしょう。

さて、県中央広域水道との契約を続けているとどうなるか。単なるムダづかいというだけでなく、水道事業の存立をも揺るがす問題になろうとしています。

それは先日、県が発表した「1県1水道」を目指す「茨城県水道ビジョン」です。

これによると、県中央広域水道と水戸市を含む市町村水道の経営を10年間で一体化し、2050年には、県内全市町村の水道を統合し料金も統一するというのです。

しかし、この1県1水道の裏側には様々な問題がひそんでおります。

まず、市町村の自己水源を放棄させ、県の広域水道に転換し、過大な開発の責任を、市町村と市民におしつけることです。

東日本大震災で、県水に頼っていた常澄・内原地区の断水が長期化した経験でも明らかなように、集約化すれば1つの災害やトラブルで機能停止し、ライフラインが絶たれます。

災害時には地域分散型の水道の方が、被害が少なく復旧も早いことを思い知らされました。

そしてなにより、全県統一料金となれば、水道料金が大幅値上げとなることは確実です。

そのうえ県は、「工事を一括発注してコストを下げる」としており、これでは市内水道業者は仕事を奪われ、漏水しても身近な業者がすぐに来ないなど、市民にも大きな不利益をもたらします。

それだけではありません。国は水道事業そのものを民間に売り渡し、民営化を進めるとしており、統合はその布石となっています。

水戸市の上下水道管理者も、県の水道ビジョンの審議会に出席し、策定に加わっておりますが、こんな計画に同意するつもりでしょうか。

市民の命の一滴である水道は、あくまで水戸市が守りぬくべきであり、県や民間に売り渡すことなど決して許されるものではありません。

1県1水道の推進に反対し、来年度からはじまる圏域ごとの協議には加わらないことをハッキリ表明すべきと考えますがいかがか、お答えください。

答弁:上下水道事業管理者

田中議員の代表質問のうち,水道行政についてお答えいたします。

初めに,給水人口及び1日最大給水量につきましては,開江浄水場における浄水方法の変更に伴い,水道法に基づく水道事業認可変更の手続きに基づき,見直しを行うものでございます。

議員御質問の茨城県中央広域水道用水供給事業からの受水につきましては,水道施設設計指針では,原水の汚染や施設の事故に加え,改良,更新などでも対応を可能とする予備力として,計画浄水量の25%程度を確保することが示されており,現在の本市の施設能力は,適正な状況となってございます。今後におきましても,受水につきましては,大規模災害や突発的な事故など,発生が懸念される多様な危機に対して,必要となる複数水源の一つと考えており,災害に強い強靭な水道を確立することにより,市民の安心・安全を確保してまいります。

次に,県内水道の統合についてでございますが,現在,茨城県におきまして,目指すべき将来の理想像と,その実現に向けた取り組みの方向性を示すための新たな茨城県水道ビジョンの策定が進められているところでございます。その策定に当たっては,長期的かつ広域的視点から水道が抱える課題を整理し,人口減少社会においても,安全で強靭な水道を持続させるため,県内水道事業者の経営状況や将来の水需要の見通しなどを捉えながら,茨城県水道ビジョン(案)が作成されており,意見公募手続きが行われているところでございます。この中で,経営基盤強化の有効な方策の一つとして,30年後を目標として,市町村を含めた県内全ての水道を統合する1県1水道を基本方針としているところでございます。

本市としましては,将来における最適な広域連携の在り方を検討することは,経営基盤を強化する方策の一つとしては有効であると認識しているところでございます。

今後につきましては,水道事業の将来の姿を検討するため,来年度茨城県が主体となり,市町村等を対象にした研究会が設置され,施設の運用形態をはじめ,広域連携の在り方などを協議すると伺っております。その中で課題を共有し,連携を図りながら,市民負担の増大につながらないことを第一と捉え,本市水道事業の安定した経営を最優先に,慎重に検討を進めてまいります。

≪再質問≫

  • 次に、水道の給水人口と給水量の削減について、

パネルをご覧ください。

左は今までの値、右が条例改正で削減する値です。

水戸市は、珂川を管理する国交省には、今までどおりの申請をしたと聞いています。

ところが今回、厚労省には1日最大給水量を日量で52,210㎥減らす申請をするといいます。

同じ国に対して違う内容なのかどうか、根拠資料、申請書類を求めると、国交省に全部持っていってしまったので控えがない。厚労省への資料は協議中で示せない、との回答です。これでは条例改正の説明にはならず、重大な職務怠慢、文書公開の原則にも反します。

議会にはまず資料を示し、説明することを求めますがいかがか、お答えください。