4.東海第二原発について

東海第二原発について質問します。原発事故が起きた場合の広域避難計画について、私は9月議会で「避難者1人あたり2㎡では、刑務所よりひどい」と指摘しました。

もともと、足の踏み場も通路もなく、避難者をスシ詰めにし、階段やトイレまで避難面積に加えるお粗末な計画で、ひとたびウイルス感染が広がれば、クラスターの温床となることは間違いありません。

江尻かな県議が「人権無視、感染拡大をまねく」と指摘したのに対し、知事は「1人当たりの避難所面積を広く取ると、長距離避難となるので、避難者の負担を考慮した」という、これまでの態度を改め、「1人あたりの避難所面積を広げる」と表明しました。

その後、県は(9月28日)、今後の避難所レイアウト例として、1人あたり3平米から4.5平米を確保する案を示し、関係市町村に通知しましたが、市長はこれにそって計画見直しを進めるのでしょうか。それとも、あくまで2平米で進めるのでしょうか。

仮に2平米を4.5平米に変えた場合、新たに20万6000人を県外に避難させなければならなくなります。

水戸市は、県内外40自治体に水戸市民を避難させる計画でしたが、すべて御破算、ゼロからのやり直しが迫られる事態です。

とくに、病院の入院患者や福祉施設の入所者の避難は、いっそう困難です。30キロ圏内にある約600の医療・福祉施設のうち、現在、避難計画の策定は半分にとどまり、策定済としている施設でも、患者・入所者の移送手段はまったく確保できていません。

県は、県立中央病院を例にあげ、入院ベッド500床で、避難に必要な救急車は141台、と公表しました。

水戸市内の入院ベッドは3400床ありますが、例えばその2割が救急車を使う場合には、680台が必要です。

しかし、市消防本部が所有するのは12台。バスも福祉車両の調達も、到底まかなえるものではありません。

すべての医療機関・社会福祉施設で避難計画をつくることでさえ、まだめども立たない状態で、実効性ある避難計画などできるわけがありません。

県は「原子力広報いばらき」で、「実効性ある避難計画」を配布していますが、この期に及んでもわずか2回だけ。

そのほか「移動手段の確保」「要配慮者の避難」「複合災害への対応」など、10項目以上の重要課題さえ、公表できないでいます。

にもかかわらず日本原電は、1年後に東海第二原発の試運転を強行しようとしています。しかし、試運転とは名ばかりで、燃料棒を挿入し臨界に達すれば、まぎれもない再稼働です。

市長は、その試運転の意味をご存じだったでしょうか。

知事も「試運転と再稼働は同じこと」と答弁しています。

となれば、実効性ある避難計画が不備であれば、再稼働・試運転さえできないことになりますが、その認識でよろしいでしょうか。

そもそも、日本原電がいかに信用できない企業か、2か月前の10月13日、東海第二で働く現役労働者が、日本原電の下請け会社による診断書偽造を刑事告発しました。

再稼働を進めるためならば、現場の労働者のいのちも健康もおかまいなし。病院の印鑑も診断書も、平気で偽造する孫請けと、それを見逃す企業です。

先の9月議会で、土田議員が敦賀原発の審査資料改ざんを追及した際、市長はハッキリと次のように認めました。

「原子力事業者が持つべき、安全に対する意識と誠実さを著しく欠いた行為」、まさにそのとおりです。

こんな一企業のために、市民27万人の命を危険にさらし、避難させるなどあってはならないことです。

今月9日には、水戸市の避難先の一つである柏市の太田和美市長が「東海第二原発は再稼働しないことが望ましい」と市議会で答弁しました。

高橋市長も、いますぐ再稼働反対を表明し、廃炉を求めるべきと考えますがいかがか、答弁を願います。

以上で、第1回の質問を終わります。

答弁によりましては、再質問いたします。

答弁:市長

次に,東海第二原発に係る御質問についてお答えいたします。

広域避難計画の策定に向けましては,新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を契機として,現在,計画に各種感染症対策を盛り込むべく,種々の課題について検討を進めているところでございます。

その内,14の避難元自治体が統一的な方針を打ち出す必要がある広域的な課題,例を挙げますと,「感染症防護に必要な輸送車両の確保」や「一人当たりの避難所面積の基準」などにつきましては,茨城県と県内14の避難元自治体が綿密に協議を行いながら,対策を講じているところでございます。

先の茨城県議会において,大井川知事が表明いたしました「今後,感染症対策として1人当たりの避難所面積の見直しと避難先の拡充を進めること」につきましても,茨城県と私ども避難元自治体が合意した方針であり,今後とも,茨城県のリーダーシップのもと,14の避難元自治体がきめ細かに協議を行いながら慎重に対策を進めてまいります。

次に福祉施設等の避難計画に係る御質問にお答えいたします。

県内の医療機関や福祉施設の避難先の確保等に関する調整につきましては,茨城県と連携しながら進めているところであり,水戸市所在の施設の計画策定率は,48.9パーセントとなっております。

私は,実効性のある避難計画と言うために最も重要なことは,「全ての市民の皆様が安心して避難できる計画であること」だと認識しております。知事の御発言どおり,医療機関や福祉施設については,全ての施設において避難計画が策定される必要があると考えており,今後とも,施設管理者等としっかりと連携し,円滑な計画の策定を支援してまいります。

次に,発電所の試験運転に係る御質問にお答えいたします。

日本原電から示されております使用前検査の工程においては,終盤に原子炉を稼働させての検査が位置付けられており,私は,たとえ試験のための稼働であっても原子炉を動かすことは,新安全協定に位置付けた再稼働であるという認識でおります。

そのため,日本原電が使用前検査について国へ申請する際に,原子力所在地域首長懇談会において,日本原電に対して申し入れを行い,文書により「使用前検査が発電所の再稼働に直結するものではないこと」を確約させるとともに,あわせて,「原子力所在地域首長懇談会での議論なしに稼働を伴う検査を行わないこと」についても確認したところでございます。

今後とも,周辺自治体との連携のもと,日本原電が決してなし崩し的な再稼働を行わないよう,厳しく対応してまいります。

東海第二発電所の再稼働につきましては,全ての市民の安全な避難に向けた実効性のある広域避難計画を策定できない限りは,あり得ないものと考えております。あわせて,私は市民の皆様の安全で安心できる暮らしを守っていくという使命がありますので,引き続き議会の御意見を踏まえるとともに,水戸市原子力防災対策会議における技術的,専門的な御意見や多くの市民の声を十分考慮しながら,最終的な判断を下してまいります。

≪再質問≫

それぞれ答弁いただきましたが再質問します。

  • 原発事故の広域避難計画についてです。

パネルをご覧ください。 上のグラフですが、

茨城県は1人当たりの避難面積をタタミ1畳・2平米で「県内に39.3万人、県外に54.6万人を避難させる」としてきました。

それを、下のグラフの1人4.5平米にすると、県内は18.7万人、県外は75.2万人になります。

ではその場合、水戸市の避難者は、県内・県外の避難先がどうなるのか、受け入れ先と人数・進捗状況をお答えください。

 

 

再答弁:市長

田中議員の再度の質問、避難計画についででございますが、1人あたりの避難所面積の基準が多くなれば、それに合わせた数字をしっかり確保していかなければならないですし、場所も確保していかなければなりません。それについては現在精査中でございますので、具体的に今どこの避難所を増やしていくかとか、あるいは県内なのか県外なのかについてはまだそこまで至っておりません。
いずれにいたしましても、実効性のある避難計画としていくためには、市民がしっかりと安心を感じられるような環境を整えていかなければなりませんので、今後茨城県はじめ、避難先としてもし選定されればその市町村自治体等としっかり連携しながら協議を進めて、できる限り実効性のある避難計画の策定に向けて努力をしていきたいと思っています。