2020年3月水戸市議会 代表質問

<田中まさき議員>
5. ジェンダー平等の推進について
最後にジェンダー平等の推進について質問します。
ジェンダーとは、社会がおしつける「女らしさ、男らしさ」「女性や男性はこうあるべき、といった行動規範や役割分担」を指します。ジェンダー平等社会とは、あらゆる分野で真の男女平等を求め、男性も女性も、多様な性をもつ人々も、差別なく、平等に、尊厳を持ち、自らの力を存分に発揮できるようになる社会です。
国連は、3月8日の国際女性デーで2020年を「ジェンダー平等の達成、すべての女性と少女に、人権を保障する世界的な運動を起こす要の年にしよう」と呼びかけました。
昨年の日本のジェンダーギャップ指数の順位は153か国中121位、先進国では最低で、外国と比べ男女格差が大きくなっています。
現在、日本でも、男女賃金格差の解消を求める運動や、セクハラや性暴力を許さないフラワーデモ、入試差別の是正、
職場で女性にパンプスを強制するのはおかしいと告発したKUTOO運動など、当事者が声をあげ、行動を開始し、多くの共感を広げています。
そうした中、昨年5月に本市が発表した、男女の働き方に関する事業所と市民アンケート結果では、セクハラ・マタハラ防止対策や性的マイノリティへの配慮を「何もしていない」と回答した事業所が75%にのぼりました。
また、正規雇用率は男性が85%に対し女性は50%であり、40代女性の85%が離職を経験し、その理由として「職場に離職をうながす慣行や雰囲気があった」「家族に離職を促された」と回答しています。
このように、水戸市でもジェンダー平等には多くの課題があります。
現在、第3次男女平等参画基本計画を策定中ですが、2020年がジェンダー平等実現へ大きく前進した年、といえる取り組みが求められており、どのように市民や企業に働きかけていくのか伺います。
特に、性的マイノリティの方々への支援の拡充策もお答え下さい。
本市の管理職や審議会などへ女性を積極的に登用し、女性比率を向上させることも求められています。
国は今年までに女性管理職の割合を30%、本市は22%とする目標を掲げましたが、目標達成できるのでしょうか。現状と今後の取り組み方針についてお伺いいたします。以上、明快な答弁を求め、第1回の質問を終わります。

<高橋市長>
5.ジェンダー平等の推進について
(1)水戸市男女平等参画推進基本計画(第3次)の策定について
次に,ジェンダー平等の推進のうち,水戸市男女平等参画推進基本計画(第3次)の策定についてお答えいたします。
本市における男女平等参画の推進につきましては,平成8年に男女共同参画都市宣言を行って以来,条例の制定,2次にわたる基本計画の策定,さらには働く女性に特化した女性活躍推進計画の策定を行うなど,市民,事業者等と連携しながら,多岐にわたる施策を総合的に推進してきたところであります。
しかしながら,本市において平成30年に実施した「男女平等参画に関する市民調査」及び「男女平等参画に関する事業所調査」の結果が示すとおり,社会における固定的性別役割分担意識や男女の経済格差,職場における男女の地位の格差などは,依然として存在しているものと認識しております。
また,近年,性的マイノリティの人権問題への対応など,新たな社会的要請も生じているほか,国連で採択された持続可能な開発目標SDGsにおいても男女平等の視点が不可欠であるとされるなど,男女平等参画の推進は国際的にも重要視されているところであります。
これらのことから,私は,あらゆる分野での男女平等参画の実現に向けて,「女性の活躍」,「人権の尊重」,「その実現に向けた環境の整備」を柱とした,新たな水戸市男女平等参画推進基本計画を今年度中に策定し,各種施策に取り組んでまいります。
施策の推進にあたり,事業者に対しましては,理念の啓発にとどまらず,事業者自らが実際に取組を行うことができるよう,規模や業種体ごとに,きめ細かな施策を展開してまいります。特に,働き方改革や育児・介護休業等の取得促進に取組み,女性が活躍できる誰もが働きやすい職場環境を実現できるよう,一般事業主行動計画の策定や取組に向けての問題点や改善の手法等の情報発信などの支援をしてまいります。
市民に対しましては,施策の目的を明確にし,非正規雇用女性のスキルアップ支援や大学生への仕事と家庭の両立に関する体験機会の提供など,年齢階層や雇用形態ごとに求められる施策を,より効果的に推進してまいります。
また,性的マイノリティの支援策につきましては,本基本計画策定において,当事者の方々からの聞き取りや水戸市男女平等参画推進委員会での議論を踏まえ,課題や施策を検討してきたところであります。その中で,性的マイノリティの方々が抱えている様々な問題,悩みは,ひとくくりにできるものではないことや,当事者の方に寄り添いながら,できることを速やかに,着実に実施していくこと,そして,多くの市民に,性的マイノリティへの正しい理解を広めることが大切であると,改めて認識したところであります。
そのため,市民や事業者へ,あらゆる機会をとらえ,誤解や偏見をなくす啓発を推進するほか,相談体制の充実,市の行政サービスにおける対応,学校における理解や対応の推進,医療に関する情報提供など,性的マイノリティの方が困難を抱えずに生活できる環境づくりを進めてまいります。
私は,性別にかかわらず,市民一人一人が自らの意思で社会のあらゆる分野に参画し,個性と能力を十分に発揮できる男女平等参画社会を目指し,市民,事業者との協働により,引き続き積極的に取り組んでまいります。
(2)本市の管理職及び審議会等への女性の登用について
次に,本市の管理職及び審議会等への女性の登用について,お答えいたします。
はじめに,本市の女性管理職員の現状でございますが,令和元年度の管理職員のうち女性は50名,割合は14.3パーセントとなっており,本市の女性職員活躍推進行動計画初年度である平成28年度と比較しますと,9名増加して,割合も約2ポイント増加しております。
しかしながら,令和2年までに,社会のあらゆる分野において指導的地位に占める女性の割合を30パーセントとする国の目標値や,本市の女性職員活躍推進行動計画における,令和2年度までに女性管理職の割合を22パーセントとする目標値と比較しますと低い状況にあります。
このことから,今後とも,女性職員が持てる能力を最大限に発揮し,キャリア・アップ意欲を持って働くことができるよう,適材適所の人事配置や,能力開発,キャリア形成支援等を図りながら,女性職員を係長等に積極的に登用し,将来管理職を担うことのできる人材の計画的な育成に努めてまいります。
次に,審議会等における女性の登用につきましては,平成31年1月現在の審議会等における女性委員の割合は,35.0パーセントとなっており,水戸市男女平等参画推進基本計画第2次の策定時である,平成26年の割合30.2パーセントから,約5ポイント増加しております。
また,国の目標値に加えて,水戸市男女平等参画推進基本計画第2次における,令和元年度に女性委員の割合を35パーセントとする目標値についても達成している状況でございます。
今後とも,本市の政策や方針決定過程において女性参画の拡大を図り,幅広い視点や意見を反映できるよう,女性委員の積極的な登用に努めてまいります。