11月25日、「長生きってダメですか?後期高齢者医療シンポジュウム」が水戸市民会館で開かれ、90名が参加しました。

主催は茨城県社会保障推進協議会、年金者組合、共同運動連絡会で構成する実行委員会です。シンポジストは茨城県後期高齢者医療広域連合の黒川英治事務局長、広域連合議会議員の中庭次男水戸市議、城南病院長の山川文男医師、高齢期を考える会の杉岡澄子さんの四人。司会は茨城県保険医協会の松本和美会長(医師)が行いました。

<strong>低所得者ほど重い保険料</strong>

中庭次男議員は、茨城県の後期高齢者医療の保険料は1人平均年69,355円で、保険料の中で均等割(1人あたり)は54%を占め、所得の少ない年金生活者ほど負担割合の重い保険料だと指摘し中止・撤回を主張しました。

城南病院の山川院長は、高齢者の診療報酬の引き下げや治療の上限を決め、差別医療を医療現場に持ち込むものだと批判しました。

高齢期を考える会の杉岡さんは、高齢者は現代の社会を築いた功労者であるにもかかわらず、「うば捨て山」をつくるもので、許されないと訴えました。

参加者から沢山の質問がよせられ、広域連合の黒川事務局長は「資格証明書は機械的に発行しない。広域連合独自の保険料減免は考えていない」と答弁しました。

<font color=”#FF0000″> <strong>茨城県後期高齢者医療制度シンポジュムでの中庭次男議員の発言要旨</strong></font>

75歳以上の人を「後期高齢者」とよんで、国民健康保険、健康保険から無理やり脱退させ、高い保険料を年金から天引きし、必要な医療を受けられなくなる医療制度改悪です。
高齢者は昨年度と今年度の2年連続の住民税の大増税、介護保険料の値上げ医療費の窓口負担の引き上げで、悲鳴をあげています。後期高齢者医療制度の実施はこれに追い打ちをかけるものです。

<strong>1、高い保険料を年金天引きで徴収する</strong>

茨城県後期高齢者医療広域連合は保険料を一人あたり年6万9,355円、(月5,800円)とし、11月29日の茨城県後期高齢者広域連合議会で審議されます。保険料は年金天引きで、介護保険料(県平均月3,461円)とあわせると月1万円近くが年金から天引きされることになります。

<strong>2、保険料は2年ごとに値上げ</strong>

保険料は2年ごとに改定されます。高齢者医療費の増加や、「後期高齢者」の人口増に応じて、自動的に保険料は値上げになります。
<strong>
3、無年金者や低年金者からも保険料徴収</strong>

年金が月14万円以下でも保険料は一律11,238円。無年金者や月1万円の年金でも保険料は年11,238円です。すくなくとも生活保護基準以下の収入(月7万円以下)の高齢者からは保険料は免除すべきです。

<strong>4、滞納者は保険証取り上げで医療費全額自己負担</strong>

年金が月15,000円未満の高齢者は、県内で66,000人。これらの高齢者は保険料を市町村窓口に納付することになります。滞納したら保険証は取り上げられ、医療費は全額自己負担となり、病院にかかれなくなります。死ねと言わんばかりです。現行の老人保健制度では75歳以上は保険証の取り上げを禁止しています。後期高齢者医療制度ではこれらの低年金・無年金者から無慈悲に保険証取り上げを行うとするものです。

<strong>5、扶養家族として保険料を免除されてきた高齢者からも新たに保険料を徴収</strong>

サラリーマンの扶養家族として健康保険に加入している高齢者は、現在は保険料の負担がありません。今度はどんなに低所得であっても扶養家族から切り離され、保険料は徴収されます。県内では64,000人が該当します。

<strong>6、低所得者に重い保険料負担</strong>
茨城県の保険料の中で均等割(一人あたり)は年37,462円です。保険料にしめる均等割は54%、所得割は46%となります。所得に関係のない均等割の割合が高いほど、低所得者の保険料は重くなります。

<strong>7、減免総額は全体の14%にすぎない</strong>

低所得者にたいして保険料が7割、5割、2割の減免が行われます。茨城県では75歳以上の高齢者から徴収される保険料の総額は215億5,500万円ですが、減免される保険料の総額は29億5,300万円で全体の14%にすぎません。茨城県後期高齢者医療広域連合独自で低所得者へ減免制度の実施が必要ですが、現在はその計画はありません。

<strong>8、高齢者に差別医療で、医療は制限</strong>

75歳以上の高齢者の診療報酬(医療の値段)は来年4月からは別建てとなります。
厚生労働省が検討しているのは、75歳以上の後期高齢者の診療報酬を定額制にし、保険が使える医療に上限をつけます。病院は高齢者に手厚い治療を行えば、赤字となり、医療内容を制限せざるをえなくなります。また現在の在宅死2割からを4割にふやし、「終末期」の患者を病院から追い出す仕組みを検討しています。(厚生労働省は5,000億円削減と試算)医療費がかかる高齢者をじゃま者あつかいし、現代のうばすて山をつくるようなものです。

<strong>9、295の地方議会が、見直し・中止の意見書採択</strong>

「高齢者は早く死ねというものだ」「あまりにも高齢者いじめの制度だ」との批判が大きくなり、全国では295の地方議会で意見書を採択しています。
県内も水戸市では「後期高齢者医療制度の抜本的見直しをもとめる意見書」が全会一致で採択され、築西市、常総市やその他で意見書が採択されています。

<strong>10、後期高齢者医療制度は中止・撤回を</strong>

今年7月の参議院選挙で大敗した自民党・公明党政権は国民の批判を恐れて一部凍結するとしています。それは新しく保険料が徴収される扶養家族の高齢者の保険料のみを半年間は免除するものでしかありません。減免される保険料も全県で約11億円で、保険料総額の5%にすぎません。制度そのものを4月から実施する方針は変えておりません。日本共産党は政府に中止撤回をもとめる署名運動をすすめており、茨城県社会保障推進協議会も茨城県後期高齢者医療広域連合への署名をすすめています。皆さんのご協力をお願いします。