日本共産党水戸市議団の田中まさきです。通告に従い、反対討論を行います。本定例会に提案された議案のうち、議案第61号、73号、74号、75号、76号、77号、78号、79号、80号、81号、82号、および報告第6号の合計12件に反対します。

議案第61号、「水戸市営住宅及び特定市営住宅条例の一部を改正する条例」は、市営住宅の管理に来年四月から指定管理者制度を導入するものですが、5点にわたり反対理由を申し上げます。
これは第一に、公営住宅法に定める市の責務を放棄するものです。
公営住宅法は第1条で「地方公共団体が健康で文化的な生活を営むに足る住宅を整備し、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し」「国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする」と定めています。公営住宅法に照らしても、その管理運営は自治体が直接行うべきであり、県内で民間業者に公営住宅の管理を委託している市町村は一つもありません。
第二に、公営住宅には低所得世帯が多く入居し、生活困窮者に対する福祉的対応や、家賃納付に関わる相談などきめ細かな行政の対応が欠かせず、プライバシーの保護もきわめて重要です。
いま市は生活困窮による家賃滞納者を裁判にかけて退去を求める事例もありますが、民間に管理を任せればこうした生活困窮者の一層の追い出しが深刻化するおそれがあります。
収入申告の提出先も民間業者となりますが個人情報の漏えいに対する歯止めはありません。
第三に、市の公募要項案では、指定管理料は修繕費も含め、年間約2億4000万円、5年間で約12億3000万円としていますが、従来の市の予算の範囲内であり、住民の要望の速やかな実現の保証はありません。排水管の破損や雨漏り、枝木の剪定など、住民から寄せられる要望の速やかな実現には、予算確保が不可欠であり、民間委託さえすればできるというのはまやかしです。
第四に、コスト削減のため5人の住宅課職員の削減ありきの指定管理者制度の導入です。管理係と収納係を現行8名から3名に減らし、市の体制を著しく弱めるものです。民間の管理でサービス向上を図るとしていますが、申告時期の出前窓口などは市が行えば良いことであり、市直営でのサービス向上こそ必要です。
入居申込や家賃納付、修繕対応などすべて民間に丸なげされますが、職員体制も定めがなく、最低賃金を払えばよいとしています。固定された指定管理料の中で営利目的の民間業者が収益をあげようとすれば、安上がりの労働にたよることになり、サービスを向上すればするほど収益が下がることになります。
第五に、賃貸住宅の管理戸数が1000件以上の実績という条件によって、市内では3社しか該当せず、県外の全国展開する大手業者も排除されません。地元業者ですらなくなる可能性もあり、修繕工事の地元業者発注も保証されません。
市営住宅の入居手続きをきっかけに、不動産業者がみずからの客の囲い込みを行いかねず、公平性が担保されておりません。
市営住宅の管理は市直営を継続し、待機者をなくすため整備を促進し、要望へのすみやかな対応などサービスを向上させるべきであり、指定管理者の導入に反対します。

次に、市職員の給与削減に関する、議案第73号「水戸市職員の給与の特例に関する条例」および、これを実行する議案第74号ないし82号の補正予算に反対します。
国が一方的に地方公務員の給与削減を決め、実施を強制する前提で地方交付税を削減したことは、地方公務員法の原則を踏みにじるものです。全国知事会や市町村会が「極めて遺憾である」との声明を発表したことは当然です。
県内で給与削減を実施しない自治体はひたちなか市、土浦市など11自治体、6月議会に提案しない自治体も17あり、合計28自治体にのぼっており、水戸市は削減をやめるべきでした。
水戸市は東日本大震災で甚大な被害をうけ、市職員の皆さんは復旧復興のため不眠不休の奮闘をしてきました。その労苦にむくいるべき時に、逆に大幅な給与削減は士気の低下を招くものです。
来年3月までの月額給与削減は、4.77%、7.77%、9.77%の3つの区分で行われ、2000名を超える市職員の給与削減額は3億8500万円に上ります。さらに、社会福祉事業団など外郭団体で働く200人以上の職員の賃下げに連動します。
安倍内閣が、経済団体に民間企業の賃上げを要請しながら、公務員には賃下げを強要するのは明らかな矛盾です。公務員の賃下げは民間労働者の賃下げにつながり、景気を一層悪くするだけです。
結局、アベノミクスには所得をふやす矢が一本もなく、国民生活は厳しさを増すばかりです。
消費税増税や社会保障改悪などアベノミクスの暴走をストップし、所得を増やし家計を温める以外に不況打開の道はありません。

次に、報告第6号、専決処分「国民健康保険税条例の一部を改正する条例」に反対します。
75歳以上のすべての高齢者が強制的に加入させられる後期高齢者医療制度によって、夫が75歳以上で妻が74歳以下の場合、妻は国民健康保険に残り、夫は後期医療に強制加入となります。
その結果、同一世帯でありながら、後期医療の保険料と国保税を別々に支払う世帯が、市内には4200世帯あります。
国保に残った人の国保税の世帯別平等割と後期高齢者支援金は、5年間は2分の1に減免する措置がとられました。しかし、今回の法改定で6年目から8年目は4分の1の減免となり、1.5倍となります。その結果、年間5,750円の値上げとなるものです。
国保税はもともと所得に比べて高く、高齢者の国保税値上げにつながる条例改定には強く反対し、高齢者を年齢で差別する後期高齢者医療制度の廃止をもとめます。

以上で反対討論を終わります。