2.下水道行政
(1)下水道ウォーターPPPの問題点について
次に下水道行政について、下水道ウォーターPPPの問題点と、市の検討状況について質問します。
ウォーターPPPとは、下水道事業を民間に委託する仕組みのことですが、私は多くの問題点を持っていると考えています。
国は、官民連携の名のもとに、下水道施設の建設や維持管理、更新を民間に委託し、その技術や資金を活用すれば、効率化とコスト削減が実現できるといいますが、本当でしょうか。
国は2023年から下水道ウォーターPPPの導入を自治体に促しており、2027年度以降はその導入を交付金の要件とする方針です。
つまり「自治体が導入を検討しなければ、国の交付金を出さない」という脅しのようなやり方です。
さらに、2031年までの5年間で、全国で100件を導入させる目標で、その先は民間丸投げの完成形であるコンセッション方式に移行させる方針です。これは、老朽化などに苦労する自治体の現状も無視したもので、地方分権などドコ吹く風の、強引なやり方だと言わなければなりません。
しかも、水戸市の補助要望に対して国補助が6割しかつかない内示割れで、市が予定通り事業を進められない事態です。日本共産党水戸市議団は10月29日の省庁交渉で、下水道ウォーターPPPのおしつけはやめて、市の要望通りきちんと国が補助するよう要請してきました。市としてもウォーターPPPのおしつけと、交付金の要件化はやめるよう国に求めるべきと考えますがいかがでしょうか。
そのうえで、今後、水戸市が下水道ウォーターPPPに踏み出したらどうなるか、様々な懸念について質問します。
第一は、市の職員が施設の劣化状況を直接確認したり、修繕の要否を判断するべきですが、その機会が失われます。施設に関する技術的な知見が、組織内で継承されず、専門性が失われ、空洞化が生じる深刻な問題です。その結果、市が事業者からの高度な技術提案を適切に評価し、契約の仕様などを的確に策定することができなくなり、市が不利な契約を結ばされるリスクも高まります。
そうなれば、コスト削減どころか、逆にコスト高になる可能性があります。それが市民の払う下水道料金に跳ね返り、値上げにつながることも考えられます。
第二は、10年間の民間丸投げの契約となるため、下水道工事の発注の仕方も変更され、年度ごとの執行状況のチェックや、予算・決算での議会審議もできなくなります。
現在は、市が下水道工事を民間に発注するときは、単年度で予算をつけて、入札で発注し、工事完了後に決算をするのが大原則です。市がいつどのようにやるかを立案し、優先順位も含めた適切な管理と予算配分、決算での進捗の点検があります。しかしウォーターPPPは別名「管理・更新一体マネジメント方式」ですから、10年おまかせ契約となります。
第三は、大規模な委託は大手事業者に有利となります。下水道管路の建設や設計・電気設備など、必要な業種を網羅できるのは大手ゼネコンなど大手に限られるため、おのずと地元中小企業の参入機会が失われ、仕事を奪うことになります。また、民間は利益優先ですから、老朽化で全体の取り換えが必要な場合でも、部分的修繕で済ますなど、コスト削減によって、結果として住民サービスが低下する懸念もあります。市の手を離れることで災害時の対応が困難になることも大きな問題です。
私は、市が実施した「下水道ウォーターPPP導入の可能性調査の報告書」を情報公開請求しました。これによると、市が導入を想定しているのは、桜川より北の、上市地区などを含む「水戸北処理区」です。市内4つの処理区のうち最大で、全体の処理区域人口の53%、計画面積の46%を占め、若宮町の下水処理場・水戸浄化センターも含んでいます。管路から処理場まで一体的に市が管理してきた、いわば主力の、メインの地域ですが、そこを民間にゆだねてしまっていいのでしょうか。
水戸北処理区は、雨水と汚水の合流式の下水道管が多く、最近、道路陥没が起きた大工町や宮町など、老朽化も進んでいる地区でもあります。
むしろ、市が責任をもって対処すべき地区ではないのか、見解を伺います。
改めて、下水道ウォーターPPPの推進は、下水道行政、公衆衛生に関する市の責任低下につながるものであり、市の直営を堅持していくべきと考えますがいかがか、答弁を求めます。
(2) 老朽管更新の推進と体制拡充について
そして、下水道管の老朽化による道路陥没は、市民の命に関わる問題であり、日常生活にも支障をきたしかねません。老朽管の更新は急務であり、その推進には体制の拡充が欠かせません。
市は新年度、新しく「下水道管路維持課」を創設するとのことですが、肝心の下水道部の職員体制をみると、今年度とくらべて来年度は、正職員が2名削減。会計年度任用職員も1名削減で、合計3名削減するということです。体制強化と言って課を新設しながら、職員を減らすことは納得できません。
また、下水道会計への一般会計からの繰り入れは、今年度と比べ5億8千万円削減されています。この先、PPPを導入して、もっと大幅に職員や予算を削減するつもりでしょうか。そうではなくて、むしろ増員すべきではないかと考えますがいかがか、明快な答弁を求めます。
(答弁 松葉光隆 下水道部長)
2 下水道行政について
(1)下水道ウォーターPPPの問題点と市の検討状況について
田中議員の一般質問のうち,下水道ウォーターPPPの問題点と市の検討状況についてお答えいたします。ウォーターPPPとは,民間委託方式の一つであり,従来の包括的民間委託よりも契約期間を長く確保することに加え,性能発注や維持管理と更新を一体的に発注することなどにより,民間事業者のノウハウや技術の一層の活用を図り,効率的・効果的な維持管理を目指すものであります。
下水道施設は,市民生活及び地域経済を支える重要インフラの一つであり,その適切な維持管理は自治体の責務であると認識しております。そのため,ウォーターPPPの導入においても,適切なモニタリングの仕組みにより,自治体の責務をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。
また,職員の人材育成と技術継承につきましては,下水道事業の運営において,大変重要な要素となりますので,ウォーターPPPの導入を人材育成及び技術継承に生かせるような仕組みについても,検討してまいりたいと考えております。
さらに,地元企業への対応につきましては,災害対応などをはじめ,本市の下水道事業が地元企業の皆様に支えていただいている現状を十分に踏まえ,ウォーターPPPの対象とする業務の範囲などについて,慎重に検討を進めてまいります。
本市における検討作業の状況につきましては,昨年度よりウォーターPPPの導入可能性調査を実施しており,本市の下水道施設の現状を分析したところ,水戸市浄化センターを終末処理場とする水戸北処理区に導入することが最も効果が高いとの結果となっております。この結果を受け,現在,各事業者へのアンケート調査を実施しているところであり,調査結果を踏まえ,意見や要望を伺いながら,本市におけるウォーターPPP導入の方向性を定めていきたいと考えております。
また,国では,汚水管の改築に対する国庫補助に関して,ウォーターPPP制度の導入を令和9年度以降に要件化する方針であるため,本市としましては,財源確保のためにも,引き続きウォーターPPPの導入に関する検討を進め,持続可能な下水道事業の実現に努めてまいります。
(2)老朽管更新の推進と体制拡充について
次に,老朽管更新の推進と体制拡充についてお答えいたします。
本市の下水道管路につきましては,令和6年度末において,総延長が約1,313kmとなっており,このうち,耐用年数である50年を経過した管路延長は76.8kmと,総延長の5.8%を占めております。これらの老朽管に係る更新につきましては,ストックマネジメント計画に基づき,ライフサイクルコストの低減や事業費の平準化を図りながら,計画的かつ効率的な点検調査及び修繕改築を進めているところでございます。
そのような中,下水道管路の老朽化の進行などの影響により,老朽管の破損による陥没が増加傾向にあることに加え,昨年度の大工町における陥没のように大規模な事案も発生する状況となっております。現在,本市の下水道管路の維持管理業務につきましては,下水道施設管理事務所が担当しておりますが,陥没等の増加により,当該事務所のみで現場対応することが困難になりつつあることに加え,下水道部内での,より緊密な情報共有や迅速な意思決定などの必要性が高まっております。
そこで,下水道管路の維持管理及び更新に係る業務を集約し,当該業務に特化した下水道管路維持課を本庁に新設することにより,大規模な陥没等の発生時における下水道部内の情報共有及び意思決定の迅速化,応援体制の構築を図り,本市の下水道管路の老朽化対策に係る体制を強化することといたしました。
今後は,新たな体制により,下水道管路の老朽化対策をより一層推進し,市民の安全・安心の確保及び持続可能な下水道事業の実現に努めてまいります。
<田中議員の再質問>
下水道ウォーターPPPについて再質問します。
さきほど紹介した「市の報告書」には、市の下水道部の現状について、「27歳以下の職員が非常に少なく年齢構成がいびつである」「職員の高齢化が進み技術継承は継続課題である」「耐用年数を迎える管路が増加するため、更新費用の低減が継続課題」と、列挙されています。
私は、どれもこれもPPPを導入すれば解決する問題ではなくて、逆に民間委託すれば解決が困難になる問題ばかりだと思いますがいかがか、答弁下さい。
以上で質問を終わります。


