2019年6月議会 日本共産党水戸市議団 田中真己議員 代表質問

日本共産党水戸市議団の田中真己です。改選後初の議会にあたり、市民の皆さんの期待に応え、公約実現にとりくむ決意を申し上げ、代表質問を行います。

1.市長の政治姿勢‥消費税増税の中止について
初めに,市長の政治姿勢について伺います。安倍政権が10月から10%に引き上げるとしている消費税増税についてです。市長は現在の景気動向や市内経済の現状について、どのように認識しているのでしょうか。
政府は3月発表の景気動向指数で悪化を認め、1・3月期の国内総生産でも、5月の月例経済報告でも「内需や輸出入が不振である」としています。
茨城県内の主要企業(336社)の直近(昨年10月から12月期)の経営動向調査でも、全産業ベースで景況感が「悪化」しています。原材料価格の上昇や人手不足の深刻化など、収益面で厳しい状況のため、今後の先行き予測でも全産業がマイナスとなっています。
市長は水戸市の魅力を創造し「まちの活力を高め、持続的に経済のエンジンを回す」と言いますが、市内経済の活力が低下している時に増税したら、エンジンを回すどころか止めることになりかねません。増税が市民生活や地域経済にどれだけ打撃を与えるか、市長の見解を伺います。
もともと消費税は、低所得者ほど負担が重い税金です。政府が景気回復と判断していた過去も深刻な消費不況を起こしました。
2014年の8%への増税のときも、増税前に平均364万円だった実質家計消費は最近1年間でも25万円も落ち込んでいます。所得も今年3月の毎月勤労統計調査で実質賃金が3か月連続で減少しています。首相の側近、萩生田(はぎうだ)自民党幹事長代行でさえ「崖に向けて皆をつれていくわけにいかない」と増税延期を発言し、日本銀行の前副総裁も反対を表明しました。
老後の資金が2000万円も不足するから貯金しろという金融庁の報告書は、日本の年金がいかに貧しいかを証明しました。高齢夫婦の平均収入と支出の差が月5万5000円もあると認めながら、消費税増税。一体どうやって貯金しろというのでしょうか。社会保障と子育て・教育の財源というなら、富裕層と大企業に応分の負担を求めるべきです。
先月21日発表の朝日新聞の世論調査でも、増税反対が64%でした。
これが国民多数の声であり、市長として国に対し増税中止を求めるべきですが所見を伺います。

1.景気と経済の現状及び消費税の引き上げについて(答弁者:高橋市長)
日本共産党水戸市議団を代表されましての田中議員の御質問にお答えいたします。はじめに,景気と経済の現状及び消費税の引き上げについて,お答えいたします。
我が国の景気動向につきましては,最新の月例経済報告によりますと,「輸出や生産の弱さが続いているものの,緩やかに回復している。」とされています。
具体的な指標においても,安倍政権によるデフレ脱却・経済再生を目指す一連の経済政策,いわゆるアベノミクスの推進により,企業収益や就業者数,国・地方の税収など多くの経済指標が改善しているところであります。
また,地域経済につきましても,水戸財務事務所が公表している茨城県の経済情勢報告において,個人消費,生産活動,雇用情勢が,ともに回復・改善し,総括判断として,「緩やかに回復しつつある。」とされています。
本市においても,戦略的な観光振興や産業の活性化に資する取組などを集中的に展開した結果,近年は市民税収入が増加傾向にあり,着実に回復していると考えております。引き続き,企業誘致や観光交流人口の増加などに積極的に取り組み,持続的に経済のエンジンを回すことが重要であると考えております。
また,消費税率の引き上げによる市民生活や地域経済への影響につきましては,飲食料品などに軽減税率が導入されるほか,本議会に提案している介護保険料の軽減措置の拡充や,プレミアム付商品券の発行など低所得者に対する配慮に加えて,中小小売業のポイント還元など,経済の回復基調が持続するよう,様々な施策が展開されることとなっております。
消費税率の引き上げにつきましては,社会保障と税の一体改革に基づき,本年10月から実施する幼児教育・保育の無償化をはじめとした社会保障施策の安定的な財源を確保するものであり,持続可能な社会保障制度を構築し,安心して生活できる環境づくりのために,必要不可欠なことと捉えております。

2.東海第2原発の再稼働反対・廃炉について
次に、東海第二原発について質問します。日本原電は今年2月に「再稼働をめざす」と表明した後、各地で説明会を開いていますが、参加者の質問にまともに応えない対応に怒りが広がっています。
特に東海第2原発は、津波をかぶった被災原発であるうえ、昨年11月の40年の期限切れ目前に、規制委員会が異例のスピードで合格判定を出した原発であり、審査そのものに多くの疑問が出されています。ところが日本原電は、防潮堤などの安全対策工事の設計資料の重要な部分を「白抜き」ですべて非公開としています。津波をかぶった原発の重要な部分をなぜ隠すのか。公開させ説明させるのが当然ではないでしょうか。
原電は1740億円の安全対策工事費について、電力会社からの資金協力の意向が示されたと国に説明し合格判定が出されました。しかし東京電力は今年4月22日、市民団体の質問に「東海第二発電所の安全対策工事費に係る資金的協力については、当社はなんら決定しておりません」と回答しています。
そうなると、合格判定も、原電が行っている説明会も、その前提が成り立たないことになります。
加えて安全対策工事のほかに必要になったテロ対策の特別重大事故施設を含めると、工事費は3000億円に膨らむといわれています。
規制委員会は期限までに施設ができなければ運転停止命令を出すといっています。市はどうとらえているのか原電に説明を求める考えはないのか伺います。
東海第2原発は2011年3月11日の大震災の当日以降、一度もタービンを回すことなく1ワットも発電していません。ところが電力5社から基本料金を徴収するため、その収入は8年間で1兆円にのぼります。
まったく発電しない一企業が、毎年毎年、水戸市の年間予算総額1200億円に匹敵する基本料金を受け取り続けているのです。
これがすべて電気料金として上乗せされます。つまり、再稼働中止の決断を遅らせば遅らせるほど、市民の負担が増えることになるのです。ずるずると先延ばしにすることは、市民負担によって企業の延命に手をかしているようなものです。一刻も早く再稼働中止の決断をせまるべきです。
水戸市は原発から30キロ圏内であり県庁所在地です。しかし、事前了解権を得た自治体の責任にふさわしい対策、対応をしているのでしょうか。
茨城県は国に対し、原子力問題について毎年要望書を提出しています。
多くは再稼働しなければ必要のない項目ですが、中には県民にとって重要な項目が含まれています。
例えば、東海第二の必要性についての国の考え方を早急に示すこと、最新の知見により福島原発事故の徹底した原因究明を行うこと、再処理施設の廃止や放射性廃棄物の処理などについてです。避難計画の策定もさることながら、これらの問題も解決しないで、なしくずしの再稼働などありえません。
日本全国で原発から30キロ圏内の県庁所在地は水戸市と松江市の二つしかありません。県都として特別の責任がある水戸市が、原子力問題について国に要望書を提出しているのか、なんの要望もしていないのか、きちんと求める考えはないか答弁願います。
高橋市長は、本定例会の所信表明でも「市民理解が得られない限り、再稼働は認められないものである」と述べましたが、市長の考える市民理解とは何なのか、市民の意向をいつ、どのように把握する考えなのか伺います。
今回の市長選・市議選のNHKの出口調査でも、市民の約73%が再稼働反対と圧倒的です。市長として早急に反対表明し、廃炉の決断をせまるよう求めますが所見を伺います。

2.原子力問題について(答弁者:高橋市長)
次に,原子力行政に係る御質問について,お答えいたします。はじめに,日本原電が今後行うテロ対策を含め,安全対策に係る費用等につきましては,現時点では,全体事業費や工期は未定であるとの報告を日本原電から受けております。
資金計画につきましては,日本原電が経営の中で検討すべきことであると認識しておりますが,私が,東海第二発電所の事業者である日本原電に強く求めることは,水戸市をはじめとした周辺住民の安全確保に向けて万全の対策を講じることでございます。東海第二発電所に使用済み核燃料が現存し,災害のリスクがある以上,再稼働する,しないに関わらず,防潮堤やテロ対策の工事をしっかりと進めていただくことは,当然に必要なことだと認識しております。
東海第二発電所の再稼働につきましては,全ての市民の安全な避難に向けた実効性のある広域避難計画を策定できない限りは,あり得ないものと考えております。
その上で,私は,市民の安全で安心できる暮らしを守っていく使命がありますので,議会の御意見を踏まえるとともに,「水戸市原子力防災対策会議」における技術的,専門的な御意見や,多くの市民の声を十分考慮しながら,判断をしてまいります。
次に,東海第二発電所の取扱いに関する国への要望に係る御質問にお答えいたします。
国においては,現在,内閣府が中心となり,経済産業省,原子力規制庁といった関係省庁,茨城県やUPZ圏の各自治体で構成する協議会を設置し,東海第二発電所の事故に備えた広域避難計画に関する課題等について協議を進めているところでございます。
協議の場においては,自治体と国とで多様な意見交換をしており,その中で自治体から,国に対して,必要な要請等も行っているところでございます。
引き続き,国,県と連携を図りながら,原子力安全対策の向上に努めてまいります。
次に,東海第二発電所に関する市民意向調査に係る御質問についてでございますが,私は,東海第二発電所の再稼働については,市民理解が得られない限り,認められないこと,そして,多くの市民の声を十分に考慮して,判断することについて,繰り返し発言してきたところであり,その思いは,揺るぎないものでございます。
その手法として,27万人の市民意向を客観的に捉えることができる相当数を対象に,アンケートなど市民意向調査を実施する考えでおります。
この市民意向調査につきましては,私は,ただちに実施するのではなく,その前に,市民の皆様が判断するための材料をしっかりと揃え,提供していくことが重要であると認識しております。
そのため,広域避難計画の策定に着実に取り組み,策定に当たっては,住民説明会等を通して幅広く周知するほか,事前了解権を持つ6自治体で構成する所在地域首長懇談会をはじめ,周辺自治体と連携した安全対策を進めるとともに,日本原電との協議に進捗があれば,その状況について,公開してまいります。
こうした取組を十分に進め,市民の皆様の御意見を聞く環境を整えた上で,時期を捉え,広く市民意向調査を実施してまいりたいと考えております。
東海第二発電所から30キロメートル圏内に位置する本市において,原子力安全対策の強化を図ることは重要なことであり,今後とも,近隣自治体と連携を図るとともに,多くの市民の皆様に御意見をいただきながら,安全確保に向けた取組を一層推進してまいります。

3.新市民会館建設計画について
次に、新市民会館の建設計画について質問します。本計画はその費用や規模、立地についての住民合意もないまま再開発事業として進められてきました。
先の選挙でも「今の計画は中止してほしい」「税金むだづかいだ」などの声が多く寄せられたところです。中でも周辺整備をあわせ総額320億円におよぶ巨額の事業費に批判が集まっています。
ところが本年3月末、本体工事は竹中工務店を中心とする共同企業体に約187億円で、解体工事は2工区あわせて約10億円(1工区9億1200万円,2工区8200万円)でそれぞれ契約してしまいました。私達議員には特別委員会が閉じられた後、ファックスで通知しただけでした。契約者は再開発組合であり市ではないといいますが、巨額の補助金を投入し、公共施設を建設する再開発事業であり、市も再開発組合の一員なのですから、市議会への説明や審議もなく、契約を結んだことは明らかに議会軽視と考えますが、答弁を求めます。
再開発事業は、現地でくらし、営業をしてきた方々の立ち退きが前提です。市は権利者の生活再建につとめる、と言ってきましたが実態はどうでしょうか。
いま泉町1丁目の現地を歩きますと、あちこちに張り紙が出ています。「市の計画により移転します」と移転先の地図を描いたものや、「長年ご愛顧いただきましたが市民会館事業により閉店廃業することになりました」という張り紙などです。この原因は反対者を押し切って市がつくった権利変換計画です。
同意した方もその多くが、本当は現地で生活や営業を続けたいが、やむなく移転せざるをえないという方ばかりです。例えば、すでに移転はしたものの駐車場が確保できず困っているとか、100年以上続いてきた商売だが廃業を決断した、さらに近隣では物件がなくこれまでの半分の店舗面積しか確保できず従業員を減らさざるをえない店、80坪以上の土地を所有していたのに27坪しか権利変換されない地権者もいます。
その一方で、旧京成デパートを所有する伊勢甚は、18億円で購入した空きビルに対し36億円を超える手厚い支援をうけ、解体工事と転出補償、さらに市民会館の1階40坪の権利の確保までできるという、異常ともいうべき特定企業優遇です。結局は大半の地権者が意に添わず追い出され、コミュニティもバラバラ、商店会を解散する話まででていると聞きます。こんなことが公共施設をつくる再開発で許されるでしょうか。
しかも午前中の質問に市長は、新市民会館の建設費は285億円から27億円もふえ312億円になると答弁しました。そうなると周辺道路整備、芸術館東駐車場をあわせ、347億円。約350億円です。このような重大な変更を議会にもはからず進めるなど到底認められません。不要・多額の支出は中止し、一から見直すことを改めて求めますが答弁願います。

3.新市民会館建設計画について(答弁者:高橋市長)
続きまして,再開発行政についてのご質問にお答えいたします。
新市民会館は,水戸芸術館と連携し,本市の教養と文化の発信拠点となり,中心市街地に人の流れをつくり,賑わいと経済活力を生み出す極めて重要な施設であります。
このため,新市民会館整備事業及び泉町1丁目北地区市街地再開発事業につきましては,特別委員会におけるご審議を踏まえつつ,着実に事業を進めてきたところであり,市街地再開発組合においては,本年3月の権利変換計画の認可を経て,同月末に解体工事及び施設建築物新築工事の請負契約を締結したところであります。
契約額と工期でございますが,解体工事は2工区に分割して発注しており,契約額は合わせて9億9,684万円,最終工期は令和2年2月下旬でございます。また,新築工事は契約額186億8,400万円,工期が令和4年2月末までとなっております。
これら工事の入札や契約につきましては,本事業が組合施行であることから,再開発組合において実施したものでありますが,契約締結が3月末であり,改選前の特別委員会としては2月19日に閉会していたことから,契約後ただちに全議員あてFAXにて,お知らせさせていただいたところであります。
次に,権利者の生活再建に関するご質問についてでございますが,現在,再開発組合では各権利者との間で,生活再建に最大限配慮しながら土地・建物の明渡しに向けた補償契約の締結を進めているところであります。
転出あるいは権利変換,いずれの生活再建の場合であっても,すべての権利者に公平・公正な共通の基準等に基づいて評価や算定を行っており,特定の企業を優遇するものではございません。
私は,水戸のまちに市民が誇れる新市民会館を整備し,賑わいのある,楽しめるまちの創造を目指し,早期の完成に向け全力で取り組んでまいります。

4.補聴器購入に対する補助創設について
次に、加齢性難聴者に対する補聴器購入への補助創設を求め質問します。
高齢になるにつれて難聴が進むと、コミュニケーションが難しく日常生活が不便になることは多くの方が実感されていると思います。生活の質を落とす大きな原因となり、最近はうつや認知症の危険因子になると指摘されています。
認知症発症の割合は、難聴のない人に比べ軽度難聴で2倍、中等度難聴では3倍というアメリカの研究や、国際アルツハイマー病会議でも難聴が認知症の最大の危険因子とされています。コミュニケーションが減り、会話で脳に入る情報が少なくなることが脳の機能低下につながるためと考えられています。
日本の難聴者の割合は、欧米諸国と大差ありませんが、補聴器の使用率は欧米諸国が約50%に対し日本はわずか14%、その理由は価格が高いことです。
片耳当たり概ね3万円~50万円ですが、保険適用ではないため全額自費です。身体障害者手帳を交付される高度・重度難聴の場合は、補装具の支給で1割負担ですが、難聴の度合いが軽度・中度の方は自費のため、低所得の高齢者などは購入することができません。欧米では購入に対する公的補助がありますが、日本でも独自に補助を行っている自治体があります。
船橋市や浦安市は65歳以上の高齢者に2万円上限の補助、県内では古河市が約20年前から年間150件程度の補助を行っています。
難聴は人により程度やタイプが異なり、補聴器購入後も調整や訓練が必要です。耳鼻科医や専門の技能者のアドバイスを受け、難聴が重度化する前に適切に対処できれば、認知症予防や健康寿命の延伸、医療費抑制にもつながります。
そこで、補聴器の補装具支給の現状を伺うとともに、本市が先の3月議会で制定した「障害の特性に応じた意思疎通手段の利用促進条例」の施策の一環として、加齢性難聴者の補聴器購入への補助創設について市長の見解を伺います。

4.補聴器購入補助について(答弁者:保健福祉部長)
田中議員の代表質問のうち,福祉行政として,補聴器購入に対する補助についてお答えいたします。
本市における補聴器購入に対する補助につきましては,身体障害者手帳をお持ちの聴覚障害のある方に対し,障害者総合支援法に基づく補装具費として,購入費用の助成を行っております。
また,身体障害者手帳の交付の対象とならない軽度又は中等度の難聴のある方のうち,18歳未満の児童につきましては,言語の習得,教育における健全なコミュニケーション能力の向上を促進するため,補聴器の購入に対する補助を行っているところでございます。
議員ご提案の,身体障害者手帳に該当しない加齢性難聴者の補聴器購入への補助につきましては,加齢に伴い聞こえにくくなっている高齢者のコミュニケーションを確保し,日常生活の質をより良くするために必要なものであると認識していることから,国や県,他の自治体の動向を注視しながら,他の高齢者の日常生活支援サービスの状況も踏まえ,総合的に検討してまいります。

5.公共交通の拡充‥交通弱者の移動手段の確保について
次に公共交通の拡充について質問します。高齢ドライバーの痛ましい交通事故が相次ぐなか、免許返納を考える高齢者も増えています。
しかし買い物や通院をはじめ、普段の移動手段がなければ運転を継続せざるを得ないのも実情です。茨城県のホームページには免許返納者に対する各自治体の様々な支援策が並んでいますが、水戸市の対策は見当たりません。今後具体的な対策を検討する考えはないのか伺います。
本数の少ない路線バスや、高いタクシーは利用しづらい方も多く、運転免許の有無にかかわらず、交通弱者の移動手段の確保は切実な要望です。
ひたちなか市では1回100円の「スマイルあおぞらバス」の利用者が年々伸びています。城里町では年齢問わず利用できる1回300円のデマンド型「ふれあいタクシー」が好評です。今年から茨城町も乗合タクシーを開始し県内44自治体のうち41市町村が独自の公共交通を実施することになりました。
残念ながら水戸市は残り3自治体の一つになってしまいました。
そこで、現在水戸市が実験的に実施している地区限定の1000円タクシーの実績や対象地区拡大の考え方を伺います。今のような地区限定の実証実験ではとても市民の要望に応えられません。
タクシー券支給やバス全線乗り放題定期券への補助、低料金の乗合タクシーやコミュニティバスの運行など、市域全体を網羅する移動手段の確保に踏み出すべきと考えますが見解を伺います。
以上で第一回の質問を終わります。答弁によっては再質問致します。

5.交通弱者の移動手段の確保について(答弁者:高橋市長)
田中議員の代表質問のうち,交通弱者の移動手段の確保について,お答えいたします。安心して暮らすことができる社会を実現するため,買い物や通院などの日常生活を支える移動手段を確保することは,重要な施策であると認識しております。
昨今,高齢ドライバーによる交通事故が連日のように報道される中で,高齢者が自家用車に頼ることなく外出できる環境づくりは,解決すべき課題の一つであると認識しております。
本市では,平成28年3月に策定した「水戸市公共交通基本計画」において,「高齢者に対する補助制度の充実」を重点施策に位置付け,路線バスやタクシーなどの公共交通を利用する際の割引制度の導入について,検討を進めてまいりました。
御提案のような,運転免許証自主返納者を対象に,公共交通を利用する際の運賃を助成している自治体もありますが,年々助成額が増え続け,重い行政負担が課題となっているという現実もございます。
施策の持続可能性の視点,さらには,もともと運転免許証を保有していない方との公平性の視点から,運転免許証自主返納者に対する本市独自の取組につきましては,慎重に検討してまいりたいと考えております。
本市では,将来にわたり,持続可能な制度の構築という考え方のもと,まずは,既存の公共交通を高齢者にとって利用しやすいものにする取組を進めております。
現在,国田地区と大場地区で運行している1,000円タクシーもその取組の一つであり,民間のタクシーの需要が少なく,余剰となっている車両を,通常の時間制運賃の半額で市が借り上げ,公共交通空白地区となっている本市の郊外部にお住まいの方の移動手段の確保に努めているところでございます。
1,000円タクシーの運行に当たりましては,地区会役員と利用方法等に関する意見交換を行い,運行計画を改善しながら,利用の促進に努めているところであります。
利用の実績といたしましては,国田,大場の両地区において,利用者数が増加傾向にあり,利用者負担を車両借上げ料で除した収支比率も向上している状況です。また,利用者アンケートなどからも,地区住民の日常生活を支える移動手段として,定着しつつあるものと考えております。
そのため,今年度も新たに1地区で1,000円タクシーを導入する予定であり,現在,地区の高齢者数や交通に関する課題等を整理しながら,導入地区を選定している段階でございます。
これらの取組とあわせ,比較的,路線バスが充実している既成市街地では,4月から運行を開始した「けやき台・水戸駅南口線」への支援をはじめ,路線バスを利用して外出しやすくなるよう,路線の新設や既存路線の見直しを進めてまいります。
また,バス車両につきましても,高齢者が乗り降りしやすいノンステップバスの導入を促進してまいりたいと考えております。
高齢者の外出は,介護予防や社会参加の視点からも重要であり,いつまでも元気で,生き生きと暮らすことができるよう,引き続き,路線バスやタクシーなどの本市の交通資源を十分に活用しながら,高齢者が公共交通で便利に外出することができ,安心して運転免許証を返納できる環境づくりを進めてまいります。

<田中議員の再質問>
それぞれ答弁いただきましたが、原発と市民会館について再質問します。
今朝8時に地震がありました。場所は北緯36.5度、東経140.6度、まさに東海第2原発の直下でおきました。
先ほど原電が防潮堤の情報を隠していると言いましたが、これが黒塗りならぬ、白抜きの原電の資料です。何もわかりません。
そこで私は先日、日本共産党の宮城県議団と懇談し、女川原発と東海第2原発の防潮堤を比較した、東北電力の資料を入手しました。
これによると、女川の防潮壁が東海第2より安全性が高いと記されています。
第1に、津波高さに対する余裕度が、女川が4.5メートルあるのに対し、東海第2は1.2から2.6メートルしかないこと。
第2に、女川は防潮堤を裏から支える地盤が強固で地震でも沈下しないが、東海第2は長さ60メートルの岩盤支持杭のみで支えていること。
第3に、防潮壁の継ぎ目の目地が、女川は耐久性の優れたシリコン製だが、東海第2はゴム製であることなどです。
ところがこの女川原発、途中まで進んだところで「待った」がかかりました。原子力規制委員会が「こんな設計ではだめだ」とストップをかけ工事が中断したのです。安全性がより高いという女川原発の防潮堤工事がストップしているときに、東海第2の資料は非公開。これではいくら安全と言われても納得できるはずがありません。
テロ対策施設も着工してから8年、1200億円はかかるとの報道もありますが原電は何も説明していません。市長として、こうした問題を具体的に指摘して、徹底した情報公開を求めるべきですが、いかがか再度伺います。
また「時期をとらえて市民意向を把握する」とはいったいいつなのでしょうか。市議会は再稼働を認めない意見書を可決し、市長選・市議選の出口調査でも73%が反対。もう答えは出ています。
5月24日の朝日新聞も「発電はゼロだけど、原電収入1兆円」と報道しましたが、先延ばしは市民の電気料金に跳ね返ります。
市民のねがいに沿って、一刻もはやく、市長が再稼働反対、廃炉を表明することを改めて求めますが答弁願います。

もう一点、新市民会館について、建設費が補償費増額と資材高騰で27億円も増え312億円になるということが今日初めて明らかになりましたが、見込みがずさんなのか、わかっていてあえて示さなかったのか、お答えください。
補償費と一体の権利変換計画認可は、市長答弁にあったように3月です。
補償内容の情報公開請求には一切非公開にしながら、実は24億円も増やすというのでは説明責任はどうなるのか。
いずれにしても「選挙が終わったら増やします」ということが通用するとお考えなのでしょうか。
市民無視、議会軽視と言わざるをえません。そこで増額が避けられないことを市長はいつお知りになったのかお答えください。
総額350億円に及ぶ支出は中止すべきですが再度の答弁をもとめ質問を終わります。