2015年6月定例水戸市議会で、日本共産党水戸市議団を代表して高橋市長に質問しました。
その代表質問と市長と教育長の答弁の全文を掲載します。

<質問項目>
1.安全保障法制と憲法第9条について
2.大型事業について
(1) 4大プロジェクトと財政見通し
(2) 新市民会館の建設計画
(3) 水戸駅北口のリヴィン跡地の再開発
3.子育て支援・待機児童ゼロの実現と開放学級の全学年受け入れ
4.東海第2原発の再稼働中止と廃炉について
5.市立図書館の民間委託・指定管理者制度の導入は中止を。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Contents

田中議員 質問:安保関連法案と憲法第9条について

日本共産党水戸市議団の田中まさきです。
改選後初の議会となりました。市民の皆さんの期待に応えて、公約実現をめざし、通告にしたがい、代表質問を行います。
はじめに、市長の政治姿勢について伺います。
今国会に提出された安全保障関連法案は、審議がすすむにつれ、その法案の内容がいかにずさんなものか、明らかになってまいりました。
安倍首相がポツダム宣言を読んでいなかったというのは論外です。
ほかにも、武器や弾薬を提供すること自体「兵たん」という武力行使そのものなのに、後方支援といいかえてごまかす。
武器を使用しても、自己保存型だから武力行使にあたらないなど、国際法上まったく通用しない答弁をくりかえしております。
それどころか、衆議院憲法審査会では、自民党推薦の学者からも、憲法違反だと指摘されて、すでに法案の体をなさない惨憺たるありさまです。

ご承知のように、憲法第9条は昨年ノーベル平和賞の候補となり、今年も申請が受理されたと聞きました。戦後70年という記念すべき今年こそ、憲法を守り、アジアをはじめ世界の国々との平和外交に活かすべきときだと考えます。
戦争法ともいえる安全保障関連法案を、前のめりに通そうという政府の対応に、国民も怒りの声をあげ、国会周辺や全国でも、反対運動が大きく広がっています。
この水戸市でも、6月17日、「とめよう戦争法制、いばらき共同アクション」という集会が開かれ、水戸駅北口は1000名を超える参加者で埋めつくされました。
東照宮から出発したデモ行進は「若者を戦場に送るな」「戦争法案は廃案に」と、近来にない大規模なものとなって、市民や退勤者の注目をあつめました。
殺し殺される戦争に、参加させられるのは若者です。
私は、二人の息子をもつ父親として、「どんなことがあってもこの国を戦争する国にしてはならない、子どもを戦場におくってならない」という決意をこめておたずねいたします。
市長も人の親であるならば、子どもの命をおびやかす、どんな動きも真っ先につみとることが、親のつとめではないでしょうか。
憲法違反の戦争法案は廃案にすべきと考えるのか、憲法9条は守るべきと考えるのか、明確なご答弁をいただきたいと思います。

市長答弁:安保関連法案と憲法9条について

安保関連法案と憲法9条についての御質問にお答えします。
安保関連法案に対しましては,多くの国民が,憲法違反との疑念を抱き,戦争に巻き込まれるおそれがあるなど不安を感じている状況にあると認識しております。それは,国が,安保関連法案について,国民に対する説明責任を十分に果たしていないことが原因であると捉えているところでございます。
外交政策とともに国の防衛に関する事項につきましては,国の専権事項でありますが,国民の不安を解消し,理解を得るためには,国会で十分に時間をかけて議論したうえで,慎重に判断すべきであると考えております。
戦後まもなく,現在の憲法が制定され,70年近くの年月が経過しようとしております。国際情勢の変化などにより憲法制定時と我が国を取り巻く状況が様変わりするなか,平和を希求し,戦争を起こさない努力をすることが,更に重要になっているところでございます。戦後70年の節目の年に当たり,戦争の悲惨さや平和の尊さについて改めて考え,次の世代に伝えていくことが,私たちに課された使命であると認識しております。

大型事業について

田中議員 質問:4大プロジェクトと財政見通しについて

次に大型事業について、4大プロジェクトの計画と、財政見通しについて質問します。
市は今後5年間、市役所新庁舎(206億)・新ごみ処理施設(365億)・東町体育館(80億)・市民会館(300億)の建設を、同時に推進しようとしています。
総額は、約950億円と見込まれますが、さらにふくらむとすれば、水戸市の年間予算1000億円をオーバーするという莫大なものです。
それを裏付けるように、市役所は155億円から206億円へ、約50億円も建設費を増やすと発表されました。
理由は資材高騰といいますが、その内訳や財政計画など、詳細な説明はなにひとつありません。
新ごみ処理施設の365億円、東町体育館の80億円も同様です。
東町運動公園にいたっては、もともと県営のものを譲り受け、そのうえ市民のもとめるプールや、テニスコートを廃止するという計画です。第6次総合計画にさえなかった計画に、このような出費をしていいのでしょうか。
日本一の財政規模を誇る東京都でさえ、オリンピックの国立競技場建設に負担をもとめられた際、都民の生命と財産をまもるのが都の仕事だ、説明もないまま500億円も支出するわけにはいかないと、異議を申し立てました。水戸市のプロジェクトも建設費や施設計画を見直すべきではありませんか。答弁を求めます。

市長 答弁:4大プロジェクトと財政見通しについて

次に,4大プロジェクトと財政見通しについて,お答えいたします。
まず,それぞれの完成年度と全体事業費につきましては,市役所新庁舎は平成30年度で206億円,新ごみ処理施設は平成31年度で365億円,新たな市民会館は都市計画決定後概ね5年で180億円から192億円,東町新体育館は平成31年度当初で80億円であり,総額で,831億円から843億円と見込んでおります。
これらの事業の着実な推進に向けては,財源の確保が最大の課題であり,まず,震災復興特別交付税や国庫支出金の確保に積極的に取り組んでまいります。
市債につきましては,将来の元利償還に対する交付税措置が有利な被災施設復旧関連事業債や合併特例債などを最大限に活用し,将来の公債費負担の軽減を図ってまいります。
また,事業進捗に合わせ,これまで着実に積み立ててきた財政調整基金をはじめ,庁舎等整備基金や一般廃棄物処理推進基金の特定目的基金につきましても,有効に活用してまいります。
さらには,事業完了後の市債償還に対しましては,徹底した行財政改革により財源の確保に努めるとともに,今後は,減債基金に計画的な積み立てを行うことにより,財政負担の平準化にも努めてまいります。
次に,東町新体育館につきましては,中心市街地に隣接するというすぐれた立地条件を備えており,新たな市民会館の整備とともに,本市のコンベンション機能の強化が図られ,にぎわいの創出や中心市街地の活性化に大きな波及効果が期待できることから,新たな体育館を整備するという決断をしたところであります。
県からは,できる限りの支援を行うという力強い言葉をいただいておりますが,他の大型プロジェクトを円滑に進めるためにも,引き続き県との協議を進めながら,本市の財政負担の軽減に向けて,最大限の財源確保に努めてまいります。
なお,それぞれの事業費につきましては,今後,設計等を進める中で,十分に精査し,増大につながることのないよう縮減に最大限努めてまいります。
これらの4大プロジェクトにつきましては,市民サービスの向上はもとより,将来の水戸市の大きな飛躍に不可欠なものでありますので,将来世代に過大な負担を残さないよう財源の確保を図ることはもちろん,市民の皆様へ丁寧に説明し,御理解をいただきながら,早期完成に向け全力で取り組んでまいります。

田中議員 質問:新市民会館の建設計画について

さらに新しい市民会館について、市は、建設費を180億円から192億円と説明しています。
しかし、この額は、再開発事業費103億円や、駐車場建設費を差し引いた額で、総事業費は、少なくとも300億円を超えることは確実です。
まともな需要調査もせず、県民文化センターとの事業のすみわけなど、何度問いただしても具体的な答えがないままです。駐車場にいたっては、その建設位置さえいまだ示されていません。
市民会館が9割以上を占める再開発で、強く反対する地権者もいるのに、一方では、医療機関の移転先を市が先買いをする、こんな住民追い出しのやり方で理解が得られるはずがありません。
再開発区域の最大地権者となる伊勢甚は、すでに京成百貨店を建設した際、税金68億円の補助をうけております。
今回の市民会館の再開発では、補償金54億円の大半が、老朽化した伊勢甚の空きビルに支払われることになりが、一体いくら払うのか。あまりに特定企業優遇ではないか、伺います。
私は今月16日に東京銀座にある全国公立文化施設協会を視察いたしました。
バブル時代に作った2000席規模の施設はどこも苦戦し、多額の修繕費用が捻出できず、維持管理コストがまかなえない、閉館の危機という厳しい現実をお聞きしました。
協会の専務理事は「ハコモノをつくればなんとかなるとか、指定管理者におまかせという計画が最も危険です」と語っていました。これはまさに水戸市への警告です。
私は、新市民会館は、位置も含めて白紙に戻し、もう一度市民の声を聞いて考え直すことを強く求めます。市長の見解を伺います。

市長 答弁:新市民会館の建設計画について

次に,新市民会館建設計画についてお答えいたします。
新市民会館につきましては,昨年度に,特別委員会の御審議をいただき,「水戸市新たな市民会館整備基本計画」を策定いたしました。施設の基本的な構成といたしましては,全国大会等の会場や著名なアーティストの全国ツアーでも利用いただける施設とするために,2,000席の大ホールを中心に,施設全体としては3,000人規模のコンベンションが可能となる施設を整備することとしたところです。
駐車場につきましては,近隣駐車場の利用状況や市民の自動車利用の意向調査,水戸芸術館利用時の実態調査等を踏まえて,300台を整備することといたしました。
また,整備計画地である泉町1丁目北地区は,公共交通の利便性にも大変恵まれていることから,公共交通の利用促進を周知するなど,コンベンション等の開催に支障を来さないような運営を図ってまいります。
移転先の泉町1丁目北地区は,水戸芸術館をはじめ,偕楽園や弘道館などの歴史的観光資源とも連携が図れる場所として,施設の立地に最適であり,再開発事業の実施に当たりましては,泉町1丁目北地区市街地再開発準備組合と連携し,各権利者に御理解をいただけるよう,丁寧な対応に努めてまいります。
新市民会館につきましては,市民や各種団体などから,早期の整備を求められているものであり,市民の芸術文化活動の拠点として,また,新たな交流や活力,にぎわいが創出されるコンベンションの拠点として,新たなまちの形成にもつながる施設として整備を進めてまいります。
次に,新市民会館の事業費に関する質問についてお答えいたします。
新市民会館の事業費につきましては,市街地再開発事業による保留床としての取得費,舞台等関連工事費,備品購入費など,新市民会館整備に必要な経費を見込んでいるものです。
一方,市街地再開発事業は,都市再開発法に基づき,密集市街地などにおいて,敷地の統合,不燃化された共同建築物の建築,公共施設の整備等により,都市における土地の合理的利用と都市機能の更新を図るもので,これに対する財政的支援策として,国や市の補助制度が整備されております。
市街地再開発事業に対する国及び市の補助金並びに公共施設管理者負担金をあわせれば,さらに大きな額になるとの御指摘につきましては,これらの補助金等は,防災機能の充実や都市機能の更新を図るという再開発事業の趣旨に鑑み,適用されるものであり,再開発事業と新市民会館整備事業とは,それぞれの目的に区分して考えるものと認識しております。
次に,泉町1丁目南地区市街地再開発事業と同一地権者に対する補助に関する質問についてお答えいたします。
市街地再開発事業は,事業地区ごとに,個別に事業計画や資金計画,権利変換計画を組み立て,事業の成立を図るものであり,法律や制度に従い,適正かつ客観的に促進してまいります。

田中議員 質問:水戸駅北口リヴィン跡地の再開発について

さらに驚くべきことは、こうした4大プロジェクトのほかに、水戸駅北口リヴィン跡地の再開発計画にも「補助を検討する」と市長が表明したことです。
しかも、計画は事業費120億円。20階建てのマンション(156戸)と、12階建てのホテル(169室)だということです。大失敗の大工町再開発になんの反省もなく、また同じような計画に手をそめるなど、許されることではありません。
完成予定が2019年ということであれば、4大プロジェクトの時期と支出が重なるわけであります。東京のマンション業者によれば、訳45億円の税金補助を見込んでいるとのことですが、大盤振る舞いする余裕などありません。
なお市は、平成22年に景観などを考慮して、建築物の高さ規制をつくったばかりであります。
リヴィン跡地は高さ45メートル、15階程度が上限です。20階建てマンションは市の基準を超えることになります。
みずから作ったばかりのルールを変えてまでも進めるというのでしょうか。
こうしたことが水戸市の第6次総合計画を無視し、議会への説明もまったくないまま、市長の独断で、すすめられることを見過ごすことはできません。
市長はこの4年間、市民に対して何をしてきたか思い起こしてください。
国保税や介護保険料、上下水道料金を次々に値上げし、その取り立てを強化しました。学校給食や図書館を民間委託し、老人福祉センターのお風呂さえ有料化しました。
その一方で、ゼネコンが担う大型事業には税金を湯水のように注ぎ込む。この大型開発優先の政治が、どれほど市民を苦しめているかを考えていただきたい。市民のくらし・福祉・教育に重点をおいた水戸市政に切り替えることを強く求めるものです。

市長 答弁:水戸駅北口リヴィン跡地の再開発について

次に,水戸駅北口リヴィン跡地の再開発事業の御質問についてお答えいたします。
リヴィン水戸店の跡地につきましては,本年1月に,将来にわたって水戸駅北口の玄関口にふさわしい,賑わいの創出と歴史的文化の調和がとれた特色あるまちづくりを行っていくことを目的に,主な地権者で構成する「水戸駅北口地区まちづくり協議会」が立ち上げられました。5月には,同協議会から複合施設とマンションからなる建設計画の説明を受け,現在は,その具体的な内容について,検討していると伺っております。
また,当該地区は,水戸駅北口の正面に位置し,水戸市の顔ともいえる重要な商業等集積地区であり,その利活用は,本市にとって大変重要な課題であると認識しています。
協議会に対しましては,商業機能を含めた施設の検討やテナントの確保,さらには,三の丸地区の歴史まちづくりに配慮した景観への協力などを要請したところであります。
本市としても,まちの賑わいに資する土地利用が図られるよう,積極的な連携及び協力を図ってまいりたいと考えているところです。

田中議員 質問:子育て支援~保育所待機児童ゼロの実現について

子育て支援について質問します。この4月も水戸市では、多くの子どもたちが保育所に入れず、子育て世代にとって悩みの春となりました。4月時点の水戸市の保育所待機児童は158名で、県内でダントツです。
「育児休業が空けるのに保育所が空かない」「上の子とは別の保育園を必死に探しています」という相談も寄せられました。
そもそも水戸市の認可保育所の増設計画が追い付いていないのが原因です。改めて待機児童ゼロ実現のために計画引き上げを求めますがお答えください。

市長 答弁:待機児童ゼロの実現について

次に,子育て支援についてお答えいたします。
私は就任以来,保育所待機児童ゼロの実現に向け,保育所の増設と定員の拡大を加速度的に行い,保育ニーズの増加に対応してまいりました。
保育所待機児童数につきましては,本年4月1日現在,158人となっておりますが,5月1日に新たな民間保育所が1か所開設されたことに加え,利用可能な施設のあっせんを積極的に行ったことで,例年,月を追うごとに増加傾向にあるところ,6月1日現在においては,待機児童数は100人となり,昨年同月と比べ56人減少しております。
次に,待機児童の解消のための施策につきましては,水戸市第6次総合計画みと魁プランにおいて,重点プロジェクトとして,将来の水戸を担う子どもたちを育む「未来への投資プロジェクト」に位置づけ,喫緊の課題である待機児童対策として,民間保育所の整備促進による定員拡大や小規模保育事業など地域型保育を推進していくこととしております。
具体的には,民間保育所の整備促進につきましては,今年度,5月に開設した民間保育所を含め新たに3か所の保育所を開設し,来年度には2か所の開設を計画することとし,あわせて450人の定員増を図ってまいります。
さらに,待機児童の多くは,3歳未満児であることから,その対応として家庭的保育事業の拡充とともに,本年6月4日付けの国からの通知により,整備に係る財源等が示され,2か所の小規模保育事業の開始に向け,現在準備を進めております。
今後とも,保護者の保育ニーズに対応した保育環境づくりに努め,平成29年度を目途とする,保育所待機児童の解消に向け取り組んでまいります。

田中議員 質問:開放学級の待機児童の解消と、全学年受け入れについて

そして、開放学級の待機児童の解消と、全学年受け入れについてです。
小学1年生と3年生のお子さんをもつお母さんから「開放学級が定員いっぱいといわれ2人とも預けられず、やむをえず仕事を早退している。」という相談が寄せられました。
自宅が学区のはずれで、近所に友達もいないため、「子どもだけにするのは心配」と話していました。いったいどれくらいの子が開放学級に入れず、不安な毎日を過ごしているのでしょうか。
以前の本会議で、全学年の希望者をすべての小学校で受け入れるのは、平成31年度が目標という答弁でしたが、5年もかかるのでは遅すぎます。指導員と施設を緊急に確保し、来年度からの全校実施を求めますが、答弁願います。

市長 答弁:開放学級の待機児童の解消と、全学年受け入れについて

次に,子育て支援についてのうち,開放学級の待機児童の解消と全学年受入についてお答えいたします。
水戸市の未来をリードする子どもたちが,心身ともに健やかに育まれるとともに,安心して生み育てられるまちを実現するためにも,開放学級の全学年実施に向けた取り組みは重要であると認識しております。
そのため,共働き家庭等において,小学校就学後の児童が安心して過ごせる放課後等の居場所を確保し,全ての就学児童が放課後等に多様な体験・活動を行うことができるよう,水戸市放課後子ども総合プランを策定し,水戸市子ども・子育て支援事業計画に盛り込み,これまでは年間を通した場合は3年生まで,長期休業中のみ4年生までを受け入れることとしていたものを,原則小学校6年生まで受け入れるとの方針を決定しました。
現在,年間を通して6年生まで受け入れることとしている学校は6校であり,長期休業中には5年生まで対応するとしている学校は2校でございます。
また,地域により待機児童が発生している状況もあり,すべての学校において年間を通して6年生まで受け入れを行うには,実施場所や支援員のさらなる確保が必要でございます。
特に,支援員の確保につきましては,平成31年度までには県の研修を受講した支援員を1学級につき1名以上を配置することが求められている状況もございます。
今後は新たな専用棟の建設に取り組み,さらに学級減により生じた余裕教室を段階的に活用することにより,実施場所の確保を図るとともに,支援員の待遇改善を検討し,支援員の確保を図ることにより,年間に4校程度ずつ順次拡大し,最終的には平成31年度までに,6年生までの受け入れをできるようにし,「安心して子どもを産み育てるまち」を実現してまいります。
具体的には,教育長から答弁させます。

教育長答弁:開放学級の待機児童の解消と、全学年受け入れについて

田中議員の代表質問のうち,開放学級の待機児童の解消と全学年受入についてお答えいたします。
現在の受け入れ状況についてですが,6年生まで受け入れることとしている学校は6校であり,長期休業中はすべての学校で4年生まで受け入れることとしております。
一方,開放学級への入級を待つ待機児童が,5月末現在で14校において74名おり,10名以上の待機児童がいる学校も3校ございます。
全学年児童の受け入れの実現や待機児童の解消を図るためには,実施場所の確保と支援員の更なる確保が必要でございます。
まず,実施場所につきましては,新たな専用棟の建設を行ったり,今後の学級数の減少に伴い余裕教室として開放学級への転用を行う等の手法により,確保してまいります。
次に,支援員の確保につきましては,今年度は昨年同時期と比べ増員を行っておりますが,不足している状況でございます。さらに,平成
31年度までに,県の研修修了者を1学級につき1名以上配置しなければならない状況もあり,支援員を確保しやすい環境整備に努める必要もございます。
今後は,実施場所の年次的・計画的な確保に努めるとともに支援員の待遇改善を検討し,平成31年度までには,年間を通し6年生までの受け入れが実現できるよう努めてまいります。

田中議員 質問:東海第2原発の再稼働中止と廃炉について

次に、東海第2原発の再稼働中止と廃炉についてうかがいます。
安倍政権は電力会社、日本原電と一体となって原発再稼働を進めようとしています。
5月11日の経済産業省の有識者会議では、2030年時点の電源構成で原発を20%から22%とすると発表しました。
しかし、仮に全国の43基すべてを原則40年で動かしても、原発依存度は15%程度にしかなりません。
つまり、東海第2原発の運転を60年間に延長し、さらに新増設や建て替えを想定しなければ達成できない目標であります。
市長はこのような電源構成をみとめるのでしょうか。
いくら安全神話をふりまこうと、いまや日本全国が地震活動期に入ったといわれる状況です。
昨年9月の御嶽山の噴火に続き、口永良部島や箱根、浅間山まで噴火し、さらに太平洋沖や埼玉を震源とする大きな地震が相次いで発生しています。
市長は再稼働にあたって「原子力規制委員会の新規制基準に適合すること」とのべましたが、この大地動乱の時代をむかえて、東海第2原発は絶対に安全だと言い切れるのでしょうか。
国がつくった新規制基準自体、福島原発事故の全容もわからぬまま作られた極めて不十分なものです。
仮に、絶対安全だと強弁するならば、苛酷事故が起こることを前提にした避難計画の策定は矛盾ではないでしょうか。
市長、あなたの知恵と力は、政府や電力会社のためにつかうのではなく、再稼働をやめさせ、廃炉を実現するために使うべきではありませんか。答弁を求めます。

市長 答弁:東海第2原発の再稼働中止と廃炉について

次に,原子力行政についてお答えいたします。
東海第二発電所につきましては,昨年5月に,原子力規制委員会に安全審査を申請したところであります。
本市としては,使用済み核燃料等を有している現在の東海第二発電所の安全確保を図ることを前提としたものであり,決して再稼働に直結するものではないことを,県央地域首長懇話会及び原子力所在地域首長懇談会を構成する11の市町村において,日本原電に確約させております。
また,新規制基準につきましては,福島第一原子力発電所の事故の反省を踏まえ,専門の有識者により,国際的な知見を取り入れた世界でも厳しい基準であり,原子力規制委員会の安全審査は,その基準に基づき,科学的に原子力施設の安全性を審査しているものと認識しております。
再稼働につきましては,全く別次元で判断されるものであり,原子力規制委員会の新規制基準に適合することはもちろんのこと,安全協定の見直し,そして,実効性のある広域避難計画が策定されない限りは,再稼働の議論は有り得ないものであります。その上で,私は,市民の安心で安全な暮らしを守っていく立場でありますので,多くの市民の声を十分に考慮し,自分たちのまちは,自分たちで守る観点から,厳しく判断をしていかなければならないと考えております。
あわせて,東海第二発電所の再稼働につきましては,商業用の原子炉としては首都圏から最も近いこと,事故発生時には避難対象者が約100万人に及び全国で最も多いこと,さらには,営業開始から36年が経過していることなどの現状を踏まえ,原子力規制委員会をはじめとする国の動向をしっかり注視してまいります。

田中議員 質問:市立図書館の民間委託・指定管理者制度の導入について

最後に市長が本定例会に提出した、市立図書館の民間委託、すなわち指定管理者制度の導入について質問します。対象となる図書館は、東部・西部・見和・常澄・内原の5館です。これらの図書館は、市民に親しまれ、多くのボランティアにも支えられながら、地域に根ざした図書館として活動してきました。
同時に、貸し出す本の数は類似都市と比べてまだ少なく、さらなる発展の途上にある図書館であり、市の直営を継続すべきと考えるものです。
しかも、平成13年制定の「子どもの読書活動の推進に関する法律」でも「子どもが言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、想像力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身につけていく」うえで読書は欠かせないものだとして、市町村に「子ども読書活動推進計画」を策定するよう義務付けました。
全国では85%の市が計画を定めています。茨城県はこの春に第3次計画を発表し、県内でもひたちなか市、つくば市、笠間市、那珂市など7割が計画をつくり、子どもの読書を推進しています。
ところが水戸市は、法施行から12年もたつのに、いまだに計画もないのです。その一方で効率化の名による民間委託を推進する、これは逆さまではないでしょうか。民間委託の目的は経費削減です。
すでに市立図書館職員77名のうち50名が非正規の臨時・嘱託職員ですが、人件費削減でより不安定な雇用となることは明らかです。
また、図書購入費の削減、図書案内のレファレンスなど市民サービスの低下をもたらすものです。市民のプライバシー、個人情報を民間に提供することにもなります。
市民からは、3000名を超える民間委託に反対する署名も提出されました。市民の学習や文化の源となる図書館を、民間業者の利潤追求の場にしていいのでしょうか。指定管理者を導入する条例の撤回を求め、一回目の質問とします。

教育長 答弁:市立図書館の民間委託・指定管理者制度の導入について

次に,教育行政についてお答えいたします。
市立図書館への指定管理者制度導入につきましては,昨年6月に,水戸市立図書館協議会から,中央図書館を除く地区館5館へ指定管理者制度を導入することが望ましいとする答申の提出を受け,その後,教育委員会会議での協議を経て,文教福祉委員会に導入方針の報告を行ってまいりました。さらに,指定管理者制度導入について検討を重ね,今議会に条例案を提出させていただきました。
指定管理者制度の目的は経費削減,人件費削減であり,官製ワーキングプアの拡大になるのではないかとの御指摘でございますが,指定管理者制度導入は,民間事業者等が持つノウハウや専門性などを活用し,さらなる市民サービスの向上及びより効率的な施設の管理・運営を行うことを目的としております。
また,指定管理者において,現在の非常勤職員が常勤職員としての採用が可能になるなど,雇用の面では安定的な雇用を生み出しやすい状況が予想されます。
次に,図書購入費の削減,図書案内レファレンスの低下など市民サービスの低下をもたらすのではないかとの御指摘でございますが,地区館への指導,監督,地区館資料費の予算化及び執行,各館の収集資料の決定のほか,郷土行政に関するような地区館で対応困難なレファレンスを行うことにつきましては,今後も中央図書館の重要な役割であると認識しております。
さらに,図書館法第3条に,図書館の職員が図書館資料について十分な知識を持ち,その利用のための相談に応ずるようにすることと規定されており,指定管理者が管理する図書館にあっても,図書館サービスの安定性と継続性につきまして堅持してまいります。
今後,レファレンス機能の充実,ボランティアとの継続的な連携等水戸市立図書館協議会の答申に述べられている御意見に留意したうえで,本市の図書館の特色を生かしながら,市民との協働による魅力的な図書館づくりに向け,市立図書館への指定管理者制度導入を進めてまいりますので御理解願います。

以上