霞ヶ浦導水事業について、水戸市議会本会議で田中議員が行った質問と答弁をまとめました。(平成20年分)

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平成20年3月 定例会(第1回)03月10日

◆ 9番(田中真己君)
次に,霞ヶ浦導水事業の那珂川取水口の工事強行中止を求めまして,何点か質問いたします。
国土交通省は,霞ヶ浦と那珂川を結ぶ那珂川取水口の建設を強行する構えであり,先日の一般競争入札で,五洋建設が受注するなど,重大な局面を迎えています。かつて国交省は,漁協の同意がなければ工事はあり得ないと表明していた約束を投げ捨てて,漁業権を一切無視して,実物大施設での試験などと詭弁を弄して工事を強行しようとしております。
これに対し,茨城の那珂川漁協を初めとする3漁協に加え,栃木の4漁協合わせて7漁協,すなわち那珂川の河口から那須の源流までのすべての漁業者が先祖から受け継がれてきた清流と漁業を守り,子や孫たちにしっかりと引き継ぎたいと大同団結して取水口絶対反対で立ち上がっておられます。
市長は,漁協の皆さんの強い反対の意思をどう考えているのか,答弁願います。
3月1日,城里町で行われた集いに私も参加してまいりました。公民館に170人,漁協関係者はもちろん,釣りの愛好家,栃木や横浜からも幅広い市民が参加し,立ち見も出るほどで,那珂川の清流を守りたいとの熱気あふれるシンポジウムでありました。那珂川のアユの漁獲高は全国一で,全国のアユの漁獲量に占める割合は24.1%にもなります。春にはアユ,サクラマス,ウナギ,秋にはサケが遡上する自然豊かなかけがえのない川であります。
この那珂川に幅50メートルにわたって取水口をつくり,那珂川の総水量の12%を取水するとしています。国は,アユなどの魚類迷入防止対策と称して,試験検討委員会なるものを立ち上げましたが,2月14日の初会合で,西村仁嗣委員長は,調査する前から,導水事業はやったほうがいいと推進表明いたしました。検討委員会とは形ばかりで,建設先にありきであります。漁協からも強い怒りの声が上がっておりますが,市長は,委員会の中立性,客観性に問題があると考えないのか,答弁を願います。
日本共産党の塩川鉄也衆議院議員は,2月27日の衆議院予算委員会第八分科会で,霞ヶ浦導水事業について質問し,特に,霞ヶ浦に那珂川の総水量の12%を送水することによるアユの成育への影響をただしました。水産庁の重政府参考人は,和歌山県の日高川の調査結果から,10月に雨が多いと翌年のアユの遡上率が向上する。これは雨により河川から栄養塩が浅海域,すなわち海沿岸部ですけれども,この浅海域に供給され,珪藻などが増加し,アユの餌となる動物プランクトンがふえるためと答えたのであります。河口付近で育つアユにとって,那珂川の水が減ることは餌が減ることと同じであります。この問題についての市長の見解を伺います。
問題は,子アユの吸い込みだけではないのです。国土交通省の甲村参考人は,現在まで霞ヶ浦導水事業としては,那珂川河口における沿岸部の調査は行っていないと答弁いたしました。少なくとも市長は,国交省に河口の調査を求めるべきでありますが,その考えがあるかどうか,答弁願います。
次に,霞ヶ浦導水事業による水開発と水余り問題について質問します。
導水事業の目的には,都市用水の確保,すなわち水道水などの水源開発とされておりますが,水戸市が昨年10月にまとめた水道事業経営改革プランでは,人口減,節水の普及により今後の水需要は低迷を続けると指摘して,これ以上の水開発の必要性はないことを市長みずから認めております。
水戸市の自前の給水能力は,日量13万750トンであり,現在でも6万人分の余裕があります。にもかかわらず,市は,県中央広域水道から高い水を買い続けてまいりました。現在の契約水量は,日量4,742トンであり,使わなくても払う基本料金,年間1億3,770万円を支払っております。実際の使用量は,その52%にすぎません。
これが霞ヶ浦導水事業が完成すると,安定水利権の名のもとで,県中央広域水道から水戸市に割り当てられる契約水量はさらにふえ,3万400トンにもなります。現在の使用量の12倍も契約させられて,基本料金だけで今より年間7億5,000万円も余計に払わなければならなくなります。水道事業会計を圧迫し,水道料金の大幅値上げにつながることは明らかであります。市長は,そのことをわかっていて,霞ヶ浦導水事業を推進しているのですか。必要もない水開発を推進し,そのツケを市民に回す水道料金値上げなど許されません。明快な答弁を求めます。
次に,桜川,千波湖の水質浄化と公共下水道の整備促進について伺います。
これまで,県と市は,1988年からの19年間,農業用水の渡里用水を使って那珂川の水を桜川,千波湖に導水してまいりました。その費用は,市と県が負担をして渡里土地改良区に支払っております。ところが,導水量は年々減っており,1989年と比べ06年は48.7%で,半分以下しか導水しておりません。その原因について,県は,財政難を理由に委託料を減らしたと回答いたしました。那珂川の水量が足りないわけでも,農業用水による制約でもなく,単純にポンプを動かす電気代や人件費に充てられる委託料が減ったために導水量が減ったということであります。
当然,半分を負担する市の負担金も年々減っております。市の千波湖導水関係の予算は,最高時年間4,400万円でありましたが,来年度は786万2,000円で,過去最低であります。加藤市長は,浄化を進めると言いながら,予算を削っております。
国,県,市が一体となって桜川の水質浄化目標を定めた桜川清流ルネッサンスⅡでは,2015年度までに千波湖のCOD,すなわち化学的酸素供給量を現在の11%から8%以下にするとしています。そのためには,1989年度に渡里用水で導水した量を入れれば,目標達成ができると書いてあります。つまり,今ある渡里用水を利用して委託料をふやして導水量をふやせば,目標達成は十分できるということを国も県も市もみずから認めているのであります。桜川,千波湖の導水にとっても,霞ヶ浦導水の那珂川取水口をつくる必要はないのであります。
桜川,千波湖の水質浄化といっても薄めるだけでは根本的な解決にはなりません。私は,生活雑排水の流入などを絶つことが最も有効で必要な対策であると考えます。
そこで,これまでの下水道整備に伴う水質浄化の経過をお答えください。また,来年度末に,那珂久慈流域下水道水戸幹線が完成見込みであり,昨年度末の普及率57.6%から74%に一気に上がる見込みですが,それに伴う桜川,沢渡川,逆川流域の公共下水道整備の見通しについて伺います。
漁協の皆さんは,建設差しとめの訴訟を今月中にも提起し,中止を求める方針です。無駄遣い,環境破壊,水道料金の値上げにつながる霞ヶ浦導水事業は,中止させるしかありません。国交省の強行姿勢は言語道断であります。市長は,那珂川取水口建設中止を求めるべきでありますが,答弁を求めます。

◎ 市長(加藤浩一君)

次に,霞ヶ浦導水事業に関する御質問にお答えをいたします。
霞ヶ浦導水事業につきましては,霞ヶ浦や桜川の水質浄化に加え,渇水時における既得用水の安定化や河川環境の保全,新規都市用水の確保などを目的といたしまして,昭和59年度から国の直轄事業として進められている事業でございます。既に25年が経過をいたしております。
国土交通省におきましては,事業開始以来,関係者の方々との話し合いを行い,那珂川の水産資源への影響や河川環境への影響など,懸案事項の解決に努めてきたところでございますが,これまでの机上の検討や模型実験等では,関係者の方々の御心配や御不安をぬぐい去ることができないと判断し,まず御心配されている迷入防止対策について,より科学的に,より精度よく評価するために,現地での実物大施設による取水試験を実施するとのことでございます。
先般,那珂樋管新設工事の施工業者が決定したところでございまして,国土交通省におきましては,外部の専門家による委員会を設置し,迷入対策効果試験の結果について,科学的に評価をしていただくこととしており,委員会により迷入防止対策の効果が確認されるまで,本格運用には入らないと明言されているところでございます。
また,この委員会の中では,那珂川の水産資源を保全する上で必要となる河川環境や生態系への影響などにつきましても,幅広く検討することとしており,この委員会での議論を通じて,那珂川の水産資源保全対策等について御理解がいただけるよう,引き続き,関係者の方々への参加を呼びかけるとともに,話し合いの努力を継続するとうかがっておるところでございます。
いずれにいたしましても,霞ヶ浦導水事業につきましては,本市にとりましても,桜川や千波湖の水質浄化に加え,水の安定的な供給を確保するためにも重要な事業でございますので,国におきましては,今後とも,取水口の建設工事について御理解が得られるよう努めていただくとともに,実際に対策の効果等を確認いただきながら,関係者の方々の御心配や御不安を払拭した上で事業の推進に努めていただきたいと考えておるところでございます。
なお,議員御指摘の検討委員会委員長の発言につきましては,これは,私どもが何とも言いようのないところでございます。いずれにしても,今後,科学的知見により議論がなされた後に,検討委員会としての公式な見解が示されるものだと認識をいたしておるところでございます。
次に,平成18年度の渡里用水による桜川への導水の実績につきましては,導水日数115日,導水量は約660万立方メートル,日量約5万7,000立方メートルとなっておるところであります。
また,桜川から千波湖への導水につきましては,導水日数325日,導水量は約1,660万立方メートル,日量約5万1,000立方メートルとなっておるところでございます。これらにつきましては,先ほど,ポンプ量等で少なくなったというような御指摘でございますけれども,渡里用水は,御承知のとおり農業用水でございますので,4月から6月につきましては,これは一切桜川には水が落ちません。同時に,落ちないけれども,千波湖へは導水をしていると,こういうような試算,計算でございますので,御理解を賜りたいと存じます。
また,千波湖の水質につきましては,横ばいの傾向にあり,年平均で1リットル当たりCOD11ミリグラムとなっておりますが,さらに,千波湖の水質目標につきましては,桜川清流ルネッサンスⅡの中で,良好な水環境を達成するため,国土交通省,茨城県,水戸市,流域団体懇談会の関係機関が協力をし,総合的な水質水量等改善施策を実施することにより,平成27年度における水質目標を1リットル当たりCOD8ミリグラム以下とすることとしておるところでございます。
次に,公共下水道の整備促進についてお答えをいたします。
下水道の整備につきましては,平成20年度末市街化区域概成を目標に重点的な事業推進中でございます。平成20年度末に完成予定の那珂久慈流域下水道水戸幹線に接続することになり,下水道普及率は,約74%となる見込みでございます。このため,今後,桜川流域では,河和田地区の一部や小吹地区,あるいは沢渡川流域では渡里・堀地区や赤塚地区の一部など,逆川流域では米沢・吉沢地区の各河川流域で新たに下水道普及が図られ,それによって雑排水の河川への流出が改善され,河川の水質改善に大きな効果があるものと期待をされているところでございます。
私は,水へのこだわりからも,河川,湖沼等の水に清らかさを取り戻し,そして,自然環境を復元していきたいという強い気持ちを持っており,特に,水戸のシンボルであります千波湖を昔の面影にあるような透明度の高い美しい湖面の復元を実現したいと考えておるところでございます。
そのために,下水道整備はもとより,霞ヶ浦導水事業の促進,さらには市民,国,県と一体となった桜川清流ルネッサンスⅡ事業など,千波湖の水質浄化に向けたあらゆる取り組みに全力を尽くし,水の都・水戸の実現を目指してまいる所存でございます。

◎水道事業管理者(橋本耐君)

田中議員の代表質問のうち,霞ヶ浦導水事業についてお答えします。
県中央広域水道用水供給事業につきましては,安定した水源を確保するため,関係市町村とともに県に対しまして,水道法に基づく広域的水道整備計画策定の要請を行い,昭和59年3月に市議会の議決を得まして県が事業化したものであります。
また,平成12年4月に施行された地方分権一括法に伴い,改正されました水道施設設計指針では,水道事業者の自己責任において各自治体の地域性や独自性を踏まえ,需要増大期や緊急の渇水,さらに災害時にも対応し得るゆとりある質の高い施設整備が求められていることに対し,責任を持って対応していかなければなりませんので,長期的に安定した給水を確保するためには,県受水を含めた現在の施設能力は適切であると考えております。
次に,協定水量での契約に関する御質問でございますが,現在,協定水量と契約水量に差が生じていることや霞ヶ浦導水事業が平成27年度完成となったことから,関係市町村で構成しております協議会において十分検討し,将来的な協定水量等について県と協議をしてまいりたいと考えております。
また,水道事業経営改革プランにおける算定期間は,平成19年度から23年度までの5年計画であり,霞ヶ浦導水事業完成に伴う協定水量での受水は見込んでおりません。
今後も,経営改革プランに位置づけした各種施策に加え,新たな施策についても積極的に行うなど,経営改革を不断に実行し,さらなるお客様サービスの向上及び財政収支状況の改善に努めながら,経営基盤の強化を図ってまいりたいと考えております。

平成20年3月 定例会(第1回)03月19日

<平成20年度予算に対する反対討論抜粋>
第9に,水道事業における茨城県中央広域水道用水供給事業からの必要のない受水に反対いたします。来年度1億8,500万円が予算化されております。また,霞ヶ浦導水事業の推進は,県中央広域水道に支払う基本料金を今より年間7億5,000万円もふやし,水道料金値上げにつながるものであり,那珂川取水口建設は中止をして,事業の推進はやめるよう求めるものであります。

平成20年6月 定例会(第2回)06月17日

◆ 9番(田中真己君)
日本共産党の田中真己です。2008年6月議会に当たり,通告に従い一般質問をいたします。
初めに,霞ヶ浦導水事業について質問します。
3月27日,茨城から栃木まで那珂川沿岸すべての7漁協が一致結束して,霞ヶ浦導水事業の那珂川取水口建設差しとめの仮処分を水戸地裁に申請しました。那珂川の清流と漁業権を守ろうとする那珂川アユ裁判であります。那珂川は,アユ漁獲高が全国一で,6月1日のアユ解禁日には全国から多くの釣り人が集まり,漁協の皆さんは事業中止を求める署名に取り組みました。
市は,漁協による裁判の提起と漁業権についてどう考えているのか,見解を伺います。
国交省は,裁判を無視して,4月4日から水戸市渡里町に幅50メートルもの取水口を建設するため,測量作業を始めましたが,漁協の反対などで中断しました。取水口計画地では,モクズガニやウナギ漁の漁具が仕掛けられ,漁業が営まれており,国は那珂川に入る工事は当面見合わせたものの,陸上工事を強行しております。写真を持ってきましたが,これが水上で抗議活動をする漁協の皆さんの様子であります。こちら側が現地でとれているウナギの写真であります。
これまで,国による橋や道路などあらゆる工事で漁協の同意なしに実施した例はありません。その上,裁判まで提起されているにもかかわらず,司法判断も待たずに工事強行は言語道断です。市は国に対して直ちに工事中止を求めるべきと考えますが,答弁願います。
また,漁協の皆さんは,国交省がつくった建設ありきの試験検討委員会は信用できないとして,5月10日,漁協独自に那珂川の魚類・生態系影響評価委員会を立ち上げました。委員長は,水産資源学が専門の農学博士,川崎健東北大学名誉教授,委員に霞ヶ浦水質汚濁研究で知られる茨城大学の高村義親名誉教授など河川の水質や水産資源の専門家集団であります。橋本知事でさえ,漁協の評価委員会を無視できない旨を表明しており,当然,水戸市としても漁協の評価委員会の検証を尊重すべきですが,見解を伺います。
特に,加藤市長は,桜川や千波湖の水質は盛んに強調されますが,水戸市民の飲み水の水源であり,自然豊かな那珂川の環境については無関心のような気がしてなりません。那珂川の自然環境を守る考えがあるのか,認識をお伺いいたします。
栃木県の福田知事は,4月22日の記者会見で,那珂川は全国でも有数の自然豊かな河川であり,県民が誇る貴重な財産であり,漁協の反対に対し,県民が懸念する水産資源への影響の防止,那珂川の自然環境が重要であるという点は私も同じ立場だと述べ,国に対し意見書を提出しました。また,大田原市や茂木町など栃木県内の那珂川沿い6市町で導水事業の環境的側面を検討する協議会が設置される運びであり,水戸市もこうした関係市町村と歩調を合わせ,国に意見を出すべきと考えます。
5月27日,13年に及んだ全隈町の産廃処分場建設差しとめ裁判は,最高裁で住民勝訴が確定しました。原告住民の皆さんは,命の水を守ることができたと勝利を喜びました。5キロ離れた産廃施設でも,水道水を汚染する危険があると認め,水源地を守る市や国の責任を明確にした司法判断を水戸市は重く受けとめる責任がございます。
さて,国は,那珂川の水が足りないとき,霞ヶ浦から最大毎秒12トンを導水するとしています。しかし,霞ヶ浦の水質は水中の窒素やリンの濃度が高まり,悪臭を放つ有毒アオコ,ミクロシスティスが発生するなど水質悪化は深刻ですが,市長は,霞ヶ浦の水質についてどのような認識をお持ちでしょうか。仮に,霞ヶ浦の水が来た場合に,桜川,千波湖に導水するのか,答弁願います。
また,水戸市水道の枝内取水塔からすぐ下流に導水をされます。これも写真を持ってまいりました。ここが霞ヶ浦導水の取水口で,目と鼻の先に水戸市の枝内取水口がございます。那珂川の水量が少ないときに導水をされて,取水口周辺に滞留すれば,水道水として取水されるおそれがございますけれども,その場合,水道水として取水するのか,しないのか,答弁をお願いいたします。
次に,県中央広域水道用水供給事業の契約水量の見直しについて質問します。
霞ヶ浦導水事業が完成すると,県中央広域水道との契約で,水戸市に日量3万400トンの水が押しつけられ,使っても使わなくても払う基本料金は,現在年間1億3,770万円から6.4倍の8億8,300万円まで膨れ上がり,そうなれば,水道料金値上げにつながります。今年3月議会の私の質問に,橋本水道事業管理者は,協定水量と契約水量に差が生じているため,関係市町村協議会で十分検討し,将来的な協定水量等について県と協議すると答弁しました。5月13日,県内の日本共産党議員団が過大な水需要予測に基づく全国一高い県の水の押しつけをやめるよう申し入れたのに対し,県企業局は,関係市町村からまとまった要請があれば,契約水量の見直しもあり得ると答えました。
水戸市は,6万人分の余裕能力があります。高い県の水は要らないという立場で契約見直しに臨むべきであり,中央広域水道全体で見ても,契約水量の合計日量24万トンは現在使用量の5.2倍であり,実態に合わせた下方修正を直ちに申し入れるよう求めますが,答弁を願います。

◎市長公室長(田尻充君)

田中議員の一般質問のうち,霞ヶ浦導水事業に関する御質問にお答えいたします。
本事業の那珂樋管につきましては,建設工事の差しとめを求める仮処分申請が関係者の方々より提出されておりますが,国におきましては,関係者の方々が懸念されている仔アユの迷入対策を初め,那珂川の水産資源や河川環境への影響等を確認するためには,現地での実物大施設による取水試験を実施することが必要と判断しまして,工事に着手されたものでございます。
本市にとりましては,当該事業は,桜川や千波湖の水質浄化に加え,水の安定的な供給を図る上でも重要な事業でありますので,国におきまして,引き続き,取水口の建設工事について御理解が得られるよう努めていただくとともに,実際に対策の効果を確認いただきながら,関係漁協の皆様の御心配や御不安を払拭した上で事業の推進に努めていただきたいと考えております。
また,関係者の方々におかれましては,当該事業が与える環境への影響などを検証する評価委員会を国とは別に設置されましたが,お互いの理解を深めるためにも,本来は同じテーブルで議論されることが合理的ではないのかと考えております。
国におきましては,引き続き,話し合いの努力を継続していただくとともに,関係漁協の皆様に十分納得していただけるような形で進めていただきたいと考えております。
水戸市は,千波湖や那珂川を初めとする多くの河川や湖沼に恵まれており,これらの豊かな水は水戸市民の誇りであり,シンボルともなっております。那珂川につきましては,アユやサケを初めとした豊かな水産資源を有するとともに,水道用水や工業用水など幅広い水利用がなされるなど,本市にとどまらず,流域自治体の貴重な財産であると認識しております。
霞ヶ浦導水による桜川への導水につきましては,事業計画におきまして,霞ヶ浦からではなく,那珂川から最大毎秒3トンの水を桜川へ導水する計画となっておりますので,御理解願います。

◎水道部長(相田文治君)

田中議員の一般質問のうち,初めに,霞ヶ浦から導水された場合に,水道水として取水するのかとの御質問にお答えいたします。
霞ヶ浦導水事業の那珂川取水口は,本市の枝内取水塔の下流約150メートルの地点に計画されております。この那珂川取水口の位置については,周辺の施設に影響を与えないよう配慮して決定したことや,さらに那珂川の水質への影響を軽減するために水質浄化対策の検討もされていると聞いておりますので,取水しても影響はないと考えているところでございます。
次に,県中央広域水道用水供給事業につきましては,安定した水源を確保するため,関係市町村とともに県に対しまして,水道法に基づく広域的水道整備計画策定の要請を行い,昭和59年3月に当市議会の議決を得まして,県が事業化したものであります。
さらに,平成12年4月に施行された地方分権一括法に伴い,改定された水道施設設計指針では,水道事業者の自己責任において,各自治体の地域性や独自性を踏まえ,需要増大期や緊急の渇水,さらに災害時にも対応し得るゆとりある質の高い施設整備が求められており,本市においては,常澄及び内原地区に,日量4,742立方メートルの受水契約をしているところでございます。
御質問の契約水量の見直しなどについてでございますが,現在,各市町村において,地下水の枯渇や水質の悪化,また,今後の施設更新などを含め,総合的に検討を進めており,今後,将来的な水需要を見きわめながら,茨城県及び県中央広域水道建設促進協議会において協議してまいりたいと考えておりますので,御理解をお願いいたします。

平成20年9月 定例会(第3回)09月11日

◆ 9番(田中真己君)
次に,霞ヶ浦導水事業についてであります。
9月10日,那珂川取水口建設差しとめを求める4万人余りの署名が水戸地裁に提出をされ,合計7万708人となり,反対運動が大きく広がっております。9月6日,漁協が設置した専門家による影響評価委員会のシンポジウムが開かれまして,私も参加いたしました。科学的な見地から,いかに霞ヶ浦導水事業がひどい事業か,あらゆる角度から証明をされ,改めて那珂川取水口をつくらせてはならないとの思いを強くしたのであります。
そこで,この問題の第1に,霞ヶ浦から那珂川への送水回避について質問します。
国交省は,7月24日から開いた潮来市など霞ヶ浦周辺自治体の住民説明会において,霞ヶ浦から那珂川に送水する場合のリスクとして,微生物レベルのもの,ウイルス,細かい浮遊物などはろ過できないとして,流域における渇水調整等により,霞ヶ浦からの送水を回避することも選択肢と説明いたしました。霞ヶ浦の水質がいかにひどいかの証明であります。同時に,これは事業の根幹にかかわる重大な変更であります。那珂川の渇水時に霞ヶ浦から送水をすることで流況調整をして,安定水利権を確保するという霞ヶ浦導水事業の第1の目的が大もとから崩れたものでありますが,この点について市の見解はいかがか,答弁を願います。

次に,霞ヶ浦導水事業では,桜川,千波湖に毎秒最大3トンの導水をすると市長も繰り返し説明されていますが,国や県,市との間に取り決めがあるのか。また,年平均どれくらいの量が導水され,市の負担金は毎年どのくらいになるのか,明らかにしてください。
この問題でも,国と市の言い分はずれています。今年4月10日,国交省が開いた第2回迷入防止検討委員会で,霞ヶ浦導水工事事務所の所長は,那珂川からの取水は最大で毎秒15トンであり,桜川への3トンは,霞ヶ浦に15トン送らなくてもいいようなときに,場合によっては3トン送るという位置づけであると説明しております。市は,毎日365日,毎秒3トンが桜川,千波湖に導水されるかのように宣伝をしてきましたが,事実は全く違います。
国交省は,霞ヶ浦導水で那珂川から年間3.3億トンを霞ヶ浦に導水し,利根川からの導水と合わせて,年間6億トンを霞ヶ浦に導水して,霞ヶ浦の水が現在の年2回から3回入れかわりができて水質浄化が図れるとしています。この国交省の計画を満たすためには,那珂川からの取水最大量毎秒15トンを1秒も休むことなく,254日間取水が必要であります。那珂川の流量から見て,これ自身が不可能であります。つまり,霞ヶ浦への導水が主目的であり,桜川への導水はあくまで従,二の次。霞ヶ浦に15トン送らなくてもいいようなときに,場合によっては3トン送るというような位置づけであるなら,桜川への導水は何の保障もないということになりますが,市の見解はいかがでしょうか。
霞ヶ浦導水が完成すれば,桜川も千波湖も霞ヶ浦もすべて導水できて浄化されるというふうに宣伝すること自体,那珂川の取水可能な量からいっても,全くのまやかしであります。

次に,加藤市長は,桜川,千波湖を那珂川の水の導水によってきれいにすると主張しながら,なぜ渡里用水を利用した導水予算を一貫して減らし続け,導水量を毎年減らしてきたのか,その理由を御答弁願います。
さらに,過去の導水量のピーク時と昨年度における予算額と年間導水量,今年度は過去最低の予算ですが,一体何日分の予算なのか,お答えください。
私が重大だと考えていることは,国も県も市も,今ある施設を最大限に利用することもなく,霞ヶ浦導水しかないとの宣伝を繰り返していることであります。渡里用水のポンプの最大能力は,桜川に毎秒1.4トン,日量7万5,600トンです。年間2,760万トンが導水できますが,過去20年間の年間平均は850万トンで,能力の3割にすぎません。農業用水の制約があると市はすぐに言いますが,実態は違います。アオコの発生する夏場,7月から8月の導水量を見ても,年度ごとにまちまちで,ただ予算の範囲内で導水しているのが実態でありまして,計画的に実施しているとは言い難い状況であります。
国,県,市が一体となってつくりました桜川清流ルネッサンスⅡでは,平成27年度までに千波湖の水質目標を,COD8ミリグラム/リットル以下にするとしています。そのために必要な条件として,89年度,平成元年度ですが,その実績導水量1,355万トンだとしています。つまり,平成元年当時に渡里用水を使って導水した量1,355万トンを入れれば,千波湖の水質目標は達成できるのですから,当面,那珂川からの導水を続けるとしても,渡里用水での導水をふやせば済むことであり,霞ヶ浦導水の那珂川取水口の建設は必要ありません。見解をお伺いいたします。

次に,桜川,千波湖の水生植物の活用など自然を生かした浄化策の実施を求めます。
千波湖には,かつてハスやアシなどの植物がたくさんありましたが,過去に撤去をされまして,湖岸の多くが木のくいで仕切られ,水辺の植物はほとんど見られません。水生植物があれば,動物や昆虫が住み,野鳥が食べて浄化に役立つわけでありまして,渡り鳥が多く飛来するような湖にすべきではないかと思います。桜川を見ても,見川クリーンセンターの下流は,コンクリート製の巨大なU字溝を流れ,千波湖の流入口につながっております。好文橋の上下流の地点を見ても,立派な護岸工事がされた中へストレートに桜川が流れておりまして,自然の浄化作用を生かした対策は皆無と言ってもいいと思います。むしろ自然が浄化できる環境を奪っております。国交省みずから自然に近い河川工事を提唱して,多自然型川づくりの実施を全国で求めております。好文橋上流は,東側に広い余裕スペースがあり,川だまりや水生植物を経由させ浄化することは十分可能です。自然が浄化できる力を奪っておいて,汚いから導水というのは本末転倒だと思います。今こそ,土木工事優先の発想を転換して,桜川や千波湖の環境にあわせた自然の浄化能力を高める対策を実施すべきであります。積極的な答弁を求めます。
また,これまでの実績では,那珂川からの導水量が減り,桜川の自流水のみの導水量が千波湖にふえてきたわけですが,それにもかかわらず,千波湖の水質が横ばいだということは,桜川自体の水質が改善してきたあかしでもあります。私は,これを今後も推進すべきであり,桜川の浄化は,公共下水道の普及を基本に据えながら,千波湖への導水も桜川の自流水で解決できる対策をとるべきと考えます。桜川沿いのわき水や地下水の井戸を掘るなどして,桜川や千波湖への流入をふやす対策を実施すべきだと考えますが,見解をお伺いいたします。

◎市長公室長(田尻充君)

田中議員の一般質問のうち,霞ヶ浦導水事業に関する御質問にお答えいたします。
初めに,霞ヶ浦から那珂川への導水につきましては,国土交通省霞ヶ浦導水工事事務所によりますと,那珂川の渇水時期に限られるとのことでございます。
また,霞ヶ浦からの導水を行う場合には,那珂川の渇水調整協議会等の場におきまして,那珂川の流況や必要とする利水補給量,その時点における霞ヶ浦の水質等を総合的に勘案し,利水関係者等の合意を得た上で行われることが想定されているとのことでございます。
国におきましては,霞ヶ浦導水事業の計画に基づきまして,引き続き,那珂川の河川環境の保全に向けて検討し,十分なモニタリングを行うなど,適切な対策を講じた上で運用していただきたいと考えております。
次に,桜川,千波湖への導水についてでございますが,那珂川から桜川へ最大毎秒3立方メートルを導水することについての国,県,市による協定等は,現在ございませんが,霞ヶ浦導水事業計画におきまして,那珂川から桜川へ最大毎秒3立方メートルの導水を位置づけており,桜川等の水質浄化を図ることとされております。
また,市民団体と国,県,市で構成いたします桜川清流ルネッサンスⅡ地域協議会が策定いたしました行動計画におきましても,霞ヶ浦導水事業が位置づけられており,那珂川から桜川へ最大毎秒3立方メートルを導水し,桜川等の水質改善と水量回復を図ることとされております。
なお,桜川への導水に関する運用方法につきましては,今後,関係機関による協議が行われることとなり,その中で調整されるものとうかがっておりますので御理解願います。

◎建設部長(鈴木洋君)

次に,田中議員の一般質問のうち,桜川,千波湖の浄化についてお答えいたします。
千波湖の水質浄化につきましては,昭和63年度から茨城県と水戸市の共同事業として実施しており,県と市がそれぞれ事業費の2分の1ずつを負担しております。
渡里用水を利用した桜川への過去最大の導水量及び同年度の予算につきましては,平成元年度の導水量が最大で,年間1,355万立方メートルとなっております。同年度の導水予算は5,280万円となっております。
平成19年度における導水量及び導水予算につきましては,導水量が年間489万立方メートルで,平成元年度導水量に対し36%となっており,導水予算が2,375万円で,平成元年度導水予算額に対し45%となっております。
しかし,桜川本川から千波湖への導水につきましては,平成13年度から19年度の過去7年間の平均で1,790万立方メートルを導水し,平成元年度の千波湖への導水量1,181万立方メートルと比較して152%となっており,桜川本川から千波湖への導水をふやすことにより,千波湖の水質浄化を図っております。
導水予算と導水量の削減につきましては,茨城県の財政状況に伴い減少しているところでございます。平成19年度,20年度と継続して,予算の増額を茨城県に要望をしているところでございます。
次に,水生植物の活用等自然を生かした浄化策の実施についてでありますが,桜川の整備につきましては,茨城県において,自然環境及び良好な景観の保全と植生の復元に配慮した河川の整備を行っているところでございます。
千波湖の水生植物の活用等につきましては,平成17年度より年次的に水際園路の整備を行い,部分的にアシ等の水生植物を植栽し,自然的な景観づくりを行っております。また,わき水による流入増加策につきましては,現在,逆川緑地からの湧水を千波湖に,1日約3,100立方メートルを導水して,水質の向上を図っているところでございます。
桜川,千波湖の浄化につきましては,桜川清流ルネサッンスⅡにおいて,水の都・水戸にふさわしい河川環境を図るため,関係団体と連携しながら取り組みを進めているところでございます。引き続き,霞ヶ浦導水や渡里用水の活用を推進し,議員御提案の湧水や地下水の活用などもあわせた多様な手法によりまして,茨城県と連携を図り,透明度の高い美しい湖面の復元に努めてまいりたいと考えております。

再質問◆9番(田中真己君)

それぞれ御答弁いただきましたが,再質問をいたします。
初めに,霞ヶ浦導水事業についてでありますが,先ほど,霞ヶ浦から那珂川への送水回避について質問したことに対する答弁では,霞ヶ浦から導水する場合は,利水関係者の合意を得て実施するということでありました。今回,私が聞いたのは,その逆でありまして,国は霞ヶ浦から送水を回避するということを言い出しているけれども,安定水利権の根拠が崩れたと思うがその点はどうかということであります。
漁業者が懸念してきた魚類とか生態系への重大な影響を及ぼす危険があるということを国交省がみずから認めたという点も重大ですけれども,これまで,那珂川が渇水期に霞ヶ浦から水を持ってくるから,安定水利権が確保されるんだというふうに繰り返し市も説明してきたわけでありましたが,そうならない,送水回避をすると国は言っているけれども,この点についてどう考えるのかということをお答えください。
それからもう一つ,どれぐらい桜川,千波湖に導水するかは,協議調整するんだということで,具体的には何も決まっていないというふうにとれる答弁でありました。しかし,国が公式の委員会,4月10日に三の丸ホテルで迷入防止対策委員会をやったんですけれども,その議事録がだれでも見られるホームページで公開されていますが,そこで導水事務所の所長が言っているのは,桜川への3トンは15トンを霞ヶ浦に送らなくてもいいようなときに,場合によっては3トンを送るという位置づけになっておりますと,こういうふうに言っているんですね。その国の見解と市は同じなのかということを聞きたいと思います。つまり,あくまで霞ヶ浦に送るというのがあの事業の主で,桜川,千波湖というのは従,二の次という位置づけに国は主張しているわけですけれども,この点,市も同じ考えと理解していいのか,お答え願います。

それから,次に,渡里用水を使った導水についてでありますが,先ほど来,答弁にもありますルネッサンスⅡ,第2期水環境改善緊急行動計画桜川清流ルネッサンスⅡという,国交省に行って私もらってきました。ここで,平成元年の実績導水量で目標達成をさせるんだというのがうたわれております。過去最大の導水した年が平成元年と先ほども答弁がありました。確かに,過去最大なんですけれども,じゃ,それが渡里用水の最大能力をフル回転して使って入れた量かというとそうではありません。渡里の最大能力は年間2,760万トンでありまして,過去最大入れた平成元年は,1,355万トンですから,最大能力の5割であります。過去20年の平均が最大能力の3割でありますから,3割を5割にふやせばいいというふうに,このルネッサンスⅡは言っているわけです。ですから,私は,先ほど来言っているように,同じことをするわけですから,那珂川の水を桜川に落とす,そのルートが違うだけの話でありまして,市は,渡里用水はあくまでも農業用水だから暫定だというかもしれませんけれども,それはその霞ヶ浦導水をやるから暫定だといっているにすぎないわけで,能力が足りないというわけではないわけであります。
ですから,繰り返しになりますけれども,将来は桜川の自流水で解決を目指すべきだし,地下水とか,いろいろな議員からも提案がありますが,わき水の流入増,水生植物の再生ということをやりながら,導水については,渡里用水でも十分じゃないかということを言いたいわけであります。この点について再度,御答弁をお願いいたしまして質問を終わりたいと思います。

◎市長公室長(田尻充君)

田中議員の再度の御質問にお答えいたします。
霞ヶ浦から那珂川への導水につきましては,霞ヶ浦工事事務所のほうの回答で,利水関係者の判断により導水を行わないという選択肢も考えられるという回答をした旨をうかがっております。
また,霞ヶ浦導水事業の計画におきまして,那珂川から桜川への導水につきましては,計画上,最大毎秒3立方メートルを導水することができるものとうかがっております。

◎建設部長(鈴木洋君)

田中議員の再度の質問にお答えいたします。
千波湖への導水につきましては,今後とも霞ヶ浦導水事業を初めとして,各関係機関と協議をしてまいりますので,御理解をいただきたいと思います。

平成20年 12月 定例会(第4回)-12月10日

◆ 9番(田中真己君)
次に,霞ヶ浦導水事業について質問します。
水戸市渡里町の那珂川取水口建設をめぐる裁判が山場を迎え,新たに大涸沼漁協と漁協の全国組織である全国内水面漁連も異例の反対決議を上げました。過去最高の漁協の団結で,前例のない規模で反対運動が広がっていることについて,市長の見解はいかがか伺います。
水戸市民も多く加入する大涸沼漁協が反対決議を上げた理由は,シジミなど涸沼の自然生態系への影響です。那珂川の水が霞ヶ浦に年間3億トンも送水され,流量が減ると河口域と涸沼の水質や生態系に大きな影響を及ぼすこと,また汚濁がひどく,外来生物も多数生息する霞ヶ浦から送水されると下流域や涸沼シジミに深刻な影響が出ることは明らかでありますが,市の見解をお答え願います。
県内37市町村長が加入している霞ヶ浦導水事業建設促進協議会は促進の立場ですが,市長が協議会から脱退することを求めます。涸沼のシジミ漁獲量は全国5位,那珂川のアユ漁獲高は全国1位です。福祉の増進を使命にする自治体の首長が先祖代々の清流を守りたいとの願いに背を向ける権限があるのでしょうか。
高村義親茨城大学名誉教授は,那珂川の水を霞ヶ浦に導水すると,霞ヶ浦は水質浄化どころか,一層の水質悪化が懸念される。すなわち,アオコのエサとなる硝酸態窒素は那珂川が霞ヶ浦の6倍であり,導水で富栄養化による水質汚濁が進行し,アオコ発生を増大させるとしています。このことについて市の見解を伺います。
霞ヶ浦導水事業は水質浄化にも役立たない環境破壊の無駄遣いであり,市は中止を国に求める意思があるのかお伺いいたします。

◎ 市長(加藤浩一君)

次に,霞ヶ浦導水事業に関する御質問にお答えをいたします。
霞ヶ浦導水事業につきましては,本市にとりましても,桜川や千波湖の水質浄化,及び既に暫定水利権の活用によるなど水の安定的な供給を確保するためにも重要な事業であると考えております。
県としては,約6万5,000トンの暫定水利権を得ておりまして,既にこの暫定水利権の中で利活用を図っているというのが現状でございます。しかしながら,那珂川の漁業関係者の方々によりまして,那珂樋管の建設中止を求める仮処分申請が提出されておりまして,全国内水面漁連あるいは大涸沼漁協などでも,事業の中止を求める決議が採択されている状況にございます。
国におきましても,那珂川の取水口建設に当たり,迷入防止対策の効果等につきましては,外部の専門家によりまして委員会を設置し議論されているところでございますが,今後は,那珂川の河川環境や生態系への影響などにつきましても,幅広く検討されるとうかがっておるところでございますので,引き続き,関係者の方々の御理解を得られるよう努めていただきたいと考えておるものでございます。
本市といたしましては,引き続き,霞ヶ浦導水事業建設促進協議会の活動を通じ,茨城県及び関係市町村と連携して,国に対し事業の促進を要請してまいりたいと考えておるところであります。
また,那珂川からの導水による霞ヶ浦の影響等につきましては,導水により,霞ヶ浦の窒素濃度を著しく上昇させることはないとうかがっておるところでございます。