2018年9月議会一般質問 田中まさき議員 (2018.9.12)

■ 田中議員 ■
1.原子力広域避難計画について
日本共産党水戸市議団の田中まさきです。通告に従い質問します。
西日本豪雨災害、台風21号、北海道大地震と災害が相次いでいます。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災者の皆さんに心よりお見舞いを申し上げます。
猛暑の中、エアコンのない体育館への避難で体調を崩す方が続出するなど、避難所のあり方が問われています。せっかく災害を生き延びても、避難生活で体調を崩したり、命が奪われることがあってはなりません。
復興庁によれば、7年前の東日本大震災での震災関連死は3676人、中でも福島第一原発近くの南相馬市や富岡町が群を抜いて多いのです。
そこで市が作成中の原発事故の際の広域避難計画は、一人の犠牲者も被ばく者も出さないという覚悟をもってつくっているのか。それとも多少の犠牲や被ばくはやむを得ないという前提の計画なのか、市の基本姿勢をお答えください。
市は平成28年に避難計画骨子をつくって以来、県内9自治体、栃木6自治体、群馬8自治体と協定を締結しました。現在調整中という埼玉県や千葉県の避難先自治体との協議内容や協定締結の時期、どのような場所を避難所とするのかお示し下さい。
私は先月、埼玉県久喜市を訪れ、水戸市民約4万人の避難先とされている三郷市や八潮市、久喜市、加須市など、14自治体の議員と懇談しました。
避難先割り振り案での水戸市からの避難者数は、越谷市や春日部市が1万人以上、三郷市が8500人などとなっており、どの自治体の議員からも「あまりにも多すぎる。一体どこへ避難させたらいいのか」と、疑問や戸惑いの声があがりました。
例えば、東日本大震災時と比べると、加須市は福島県双葉町から最高時1400人の避難者を受け入れたのに対し、水戸市からは2000人の避難計画です。
三郷市は福島県広野町からの230人の受け入れでも大変だったそうですが、水戸市からは8500人を受け入れなければならない計画であり、けた違いです。
問題は広域避難計画をつくる際、茨城県が示した避難所の基準です。県は避難者1人当たり2平米、これを避難所の延床面積で計算し、避難人数を割り振るよう指示しています。
2平米と言えば、およそ畳1畳(1.65平米)程度ですが、茨城県は、避難所内で実際に避難できる有効面積ではなく、延床面積で計算しているため、廊下やトイレ、階段、倉庫なども含んでおり、実際の避難スペースは極めて狭くなってしまいます。
市民をすし詰めにする非人道的な県の基準を水戸市も採用しているとしたら問題ですが、どうなのかお答えください。
ちなみに浜岡原発の避難計画で、静岡県が示した基準は有効面積で一人3平米です。さらに、避難所国際基準の「スフィア基準」では1人3.5平米です。
少なくとも避難有効面積を国際基準で割り返し、受け入れ人数を再検討すべきと考えますが見解を伺います。
福島原発事故は県境に関係なく、100キロ以上離れた地域も放射性物質で汚染しました。八潮市では放射線量の高いホットスポットが発生し、子育て中の市民が沖縄などに緊急避難したそうです。
さらに埼玉県白岡市では、水戸市から4100人の収容案ですが、浜岡原発の避難計画でも静岡県焼津市から2800人を受け入れる予定になっており、この地域は二つの原発の避難先として重複していることもわかりました。
東海第2原発で重大事故が発生し、大地震など複合災害が同時に起きれば、避難先自治体の市民も避難を迫られます。その場合はどうするのでしょうか。
私が訪れた埼玉県久喜市は水戸市役所からちょうど100キロです。常磐道から圏央道を経由し片道2時間弱。平日日中でも多くのトラックが行き交い渋滞もありました。常磐道も八潮インターから三郷料金所付近は、普段から渋滞しており、スムーズな避難が困難なことはあきらかです。水戸市の避難先の多くが高速道路沿線の自治体ですが、震度5弱で高速道路は通行止めとなるのです。
水戸市の避難計画骨子では、いまだに避難ルートや渋滞の発生、スクリーニング、複合災害、市役所機能など多くの問題点が棚あげです。あらゆる点で非現実的であり実効性ある避難計画とは呼べないと考えますがいかがでしょうか。
今回の北海道地震で、泊原発が立地場所は震度2だったのに、北海道全体が停電した影響を受け全電源喪失となったことにぞっとした人も少なくないと思います。ましてや、首都圏に唯一存在する東海第2原発は3・11で被災し、今年11月に稼働40年の老朽原発です。水戸市民は勿論、首都圏の住民の安全を守るため、再稼働に反対を表明し運転延長を認めないことが、県都水戸市の果たすべき役割であり、最も確かな安全策ではないでしょうか、答弁を求めます。

■答弁 市民協働部長■  
①原子力行政‥広域避難計画について 
田中議員の一般質問のうち,原子力行政についてお答えいたします。
原子力災害における避難につきましては,市民の皆様に対する放射線の影響を最小限に抑えるため,屋内退避をはじめとする原子力災害に対する防護措置が段階的に行われ,広域避難は,最終的な防護措置であります。
広域避難計画につきましては,平成28年8月に,茨城県内の避難先として県から示されているつくば市や古河市などの9自治体と協定を締結しており,現在,県外の避難先の確保に重点的に取り組んでいるところであります。
今年2月には,群馬県内の8自治体と,また,5月には,栃木県内の6自治体と初動時における避難所への誘導,避難所の開設,運営等に御協力いただくことなど,広域避難に関する基本的な事項について合意が図られ協定を締結いたしました。これまでの取組で,約18万3千人の避難先を確保したところでございます。
埼玉県,千葉県との調整につきましては,現在,協定締結式の手法や進行などについても協議を進めているところであり,早期の協定締結を目指してまいります。協定締結先の自治体名につきましては,締結式にあわせて公表させていただきたいと考えております。
また,避難者一人当たりの面積の算定につきましては,茨城県の方針である一人2平方メートルで調整しておりますが,避難者の生活環境の向上に配慮してまいりたいと考えております。
課題といたしましては,安定ヨウ素剤配布の手順や場所,複合災害への備えをはじめ,避難車両への燃料補給の手法,避難ルートの設定,要配慮者の対応などがあることから,引き続き,国や県と連携し,対応策を積み上げ,広域避難計画の実効性を高めてまいります。
今後,水戸市民の受け入れ先が確保されたのち,平成28年7月に策定した「水戸市広域避難計画 骨子」に避難先,さらには,避難退域時検査,市役所機能の移転などの項目を加え,骨子から計画へと改定する予定でございます。
広域避難計画は,市民の皆様の理解を得ることが重要であると認識していることから,丁寧な普及,啓発に努めてまいります。
東海第二発電所の再稼働につきましては,原子力規制委員会の新規制基準に適合することはもちろんのこと,全ての市民の安全な避難に向けた実効性のある広域避難計画が策定されない限りは,有り得ないものと考えております。
引き続き,原子力規制委員会をはじめとする国の動向を注視し,その上で,再稼働や施設の安全対策などについて,議会の御意見を踏まえるとともに,「水戸市原子力防災対策会議」における技術的・専門的な御意見や多くの市民の声を十分考慮しながら,水戸市として判断をしてまいります。

■ 田中議員 ■
2.水道事業の民営化と広域化問題、下水道との組織統合について
老朽化が大問題になっているのは原発だけではありません。
イタリアの高架橋の崩落は、映像と共に、全世界に大きな衝撃を与えました。
わが国でも1960年から70年代の高度経済成長期にはインフラ整備が急増しました。たとえば鉄筋コンクリート造りの橋の耐用年数は約50年。国交省の調べでは、全国で73万本の橋があり、そのうち50年の期限をむかえた橋は昨年でも23%、7年後には約半数が使用期限をむかえるというのです。
こうした老朽化対策を口実に浮上したのが、水道法改定案、いわゆる水道民営化法案です。わずか2日の審議で衆院を通過させ、参院に送付されました。
民営化した水道事業がどんな状況をまねいたか。例をあげれば、南アフリカのヨハネスブルグでは、水道料金が4年間で140%にも値上がりし、料金未納者1000万人が給水停止に追い込まれました。
飲み水に困った住民は川や池の水を飲むことになり、その結果南アフリカ史上最大の25万人がコレラに感染したのです。
南米ボリビアでは水道料金が一年間で2倍に跳ね上がり、滞納者の給水をストップしたのを期に、大規模デモがおこり、死者200人という水戦争となりました。その後、ふたたび公営化に戻す、という大失態を引き起こしました。
貧しき者には水道の水は飲ませない、という政治が現実に行われ、それが民衆の決起によってくつがえされたのです。
開設当初から民営であったフランスでさえも、値上がりがひどくついに8年前、公営化にふみきりました。こうした例は枚挙にいとまがありません。すでに37か国、235の民営事業が公営に戻されています。
世界の流れが再び公営化に向かっている折、儲け口を失った外資の水ビジネスが狙いをつけたのが日本の水道事業です。
それを裏付けるように麻生副総理は、わざわざアメリカに出向き「日本の水道はすべて民営化します」と発言しました。
国は水道民営化の手法として、コンセッション方式とよばれる公設民営の導入をもくろみ、実施にむけて調査をはじめた自治体も出てきています。
もし民営化すれば、水道料金は大幅値上げ、リスクは自治体が受け持つ一方で、一部企業には長期にわたり利益がもたらされます。一者独占で競争性が失われ、自治体職員の技術継承や水道工事への地元業者の参加をも困難にします。
そこでおたずねします。水道事業は民営化にそぐわないと考えますが、市民生活に直結するこの問題について、どのように対処するのかお答えください。

さらに、国が民営化と一体に推進する広域化も、水余りなのに水源開発に過大な投資をしてきた反省もなく、その負担を自治体や水道料金に課そうとするものです。
茨城県は昨年から県内全市町村の勉強会や、県内4ブロックの意見交換会を開いているとのことですが、全国一高い県中央広域水道をはじめ、過剰投資のツケを広域化で解消しようとするなら、その被害者は市民です。
水道民営化ではなく直営を堅持すること、県主導の広域化はキッパリ拒否することを求めます。技能職確保をはじめ、水道事業の担い手の育成、必要な財源を投じてライフラインを守ることにこそ専念すべきですがいかがでしょうか。

■答弁 水道部長■  
②水道民営化と広域化について 
田中議員の一般質問のうち,水道事業の民営化と広域化についてお答えいたします。
水道事業につきましては,全国的に,人口減少や節水機器の普及による水需要の減少傾向にあって,災害に対応できるよう施設の維持管理や修繕,計画的な更新を行うことにより,将来にわたり水道事業を持続可能なものとしていくことが,大きな課題となっております。
このような中,議員ご質問の民営化についてでございますが,公益事業である水道事業は,水道法において,原則,地域の実情に通じた市町村が,継続的,安定的に経営することが規定されており,水道施設の運営権を民間に委ねる官民連携方式の導入にあたっては,コスト縮減や人員の適正化,技術継承,更には危機管理等も考慮し,慎重に見極めていく必要があります。
いずれにいたしましても,水道事業は,地域や市民の日常生活に密着した,健康と安全を守るために欠くことのできない重要な事業であることを踏まえ,引き続き,自らが継続して運営してまいります。

次に,広域化についてでございますが,国は,すべての水道事業者に対して経営基盤の強化と経営効率化の推進等を図る一方策として,平成28年2月の通知により,広域的な連携強化を検討することを求めております。
現在,茨城県においては,保健福祉部生活衛生課が所管し,水道事業の広域連携の制度や先進事例等について,勉強会や意見交換会などが開催されているところでございます。
本市における広域連携につきましては,茨城県をはじめ,近隣市町村とも情報を共有するなどの連携を図りながら,本市水道事業の安定した経営を最優先に,現在,県内でも低い水準にある料金の増額につながらないことを第一と捉え,慎重に見極めてまいりたいと考えております。

■ 田中議員 ■
3.行政改革としての水道と下水道の統合について
来年度から水道部門と下水道部門を組織統合し、上下水道局にする方針が8月22日の行財政改革特別委員会で示されました。統合の目的は、機動性確保、合理化、効率化としていますが、市民に何のプラスがあるのかお示し下さい。
経営合理化というなら、ムダな水を年間1億5000万円もかけて県から買う受水を中止し、下水道料金の3年ごとの値上げもやめるべきです。
組織統合をきっかけに独立採算が強調され、一般会計繰り入れの抑制で上下水道料金の値上げにつながらないのでしょうか。
下水道の入札や人事・出納を水道部に移すとしています。例えば水道部の発注は年間約130件で30億円、下水道は年間100件で42億円、その分水道部の人員を適切に増やすべきですが、その考えはあるのか伺います。
12月議会で条例改正、来年4月統合の計画ですが、統合した場合としない場合の財政比較や、他市の事例調査など、議会審議を尽くすべきと考えますが見解を伺います。

■答弁 総務部長■  
③水道と下水道の統合について 
田中議員の一般質問のうち,行政改革としての水道と下水道の統合についてお答えいたします。
本市の下水道事業につきましては,平成27年度から地方公営企業法の財務規定を適用し,公営企業会計制度を導入しております。そのような中,更に公営企業としての機動性を高め,より一層の経営の合理化を図る観点から,2019年4月を目途とし,法の一部適用から全部適用への移行を進めているところでございます。
これに合わせて,上下水道事業の組織を統合し,両事業を統括する1人の管理者を置くことにより,市民に分かりやすい組織体制とするとともに,同一の管理者の下で公営企業として一貫した経営を行うことができるようにするものであります。また,人事,契約,出納事務等の両事業に共通する業務を水道事業の既存の組織で一括して処理することが可能となり,効率的な事務執行に資するものと考えております。
さらに,昭和28年から全部適用している水道事業における人的資源や企業経営に関する情報の蓄積を最大限に活用し,下水道事業に企業運営のノウハウを取り入れることで,公営企業としての人材育成が促進されるなど,効率的な経営の推進にも資するものと考えております。
次に,上下水道事業の組織統合後の人員体制につきましては,まずは法の全部適用に向けた準備を適切に進め,来年4月1日から着実にサービスを提供していける体制を構築してまいりたいと考えております。
次に,統合の時期につきましては,平成27年度に策定した水戸市行財政改革プラン2016において,2019年度を統合の時期として位置付けるとともに,平成28年度に策定した組織統合に向けた基本方針の中で,改めて2019年4月の統合を目途としたものでございます。
これを受け,平成29年度から水道部内に専任部署として上下水道統合推進室を設置し,統合に向けた各種調査及び庁内調整を進めてきたところであり,十分な時間をかけて慎重に検討を行ってきたものでございます。

■ 田中議員 ■
4.学校給食について
次に、学校給食について質問します。
水戸市議会は昨年12月議会で、学校給食の無償化は、子どもの貧困の解決や子育て支援に有効な施策であるとして、学校給食完全無償化の早期実現を求める意見書を、全会一致で可決し、国に提出しました。
しかし、こうした流れとは逆に、来年の消費税の増税計画に合わせて、値上げを検討する動きがありますが、水戸市はどう考えているのかお答えください。
国は消費税が増税された場合でも、学校給食には、軽減税率を適用するとしており、値上げすべきではありませんが、見解を伺います。
食材費や水光熱費の負担が増える傾向にあるようですが、米飯への補助をはじめ、様々な形で給食に補助をしている自治体が多くあります。
県内では大洗町・小美玉市・鉾田市など22自治体が給食費へ補助しており、茨城町はフルーツ購入費補助、城里町や大子町は完全無償化しています。消費税や物価上昇に対する補助をしている自治体も5つあります。
そこで、水戸市が今年度からはじめた水戸市産の農産物活用事業の状況を伺うとともに、値上げを避けるためにも本事業の予算を増額するほか、米飯補助の実施など、市独自の支援拡充を求めますが所見を伺います。

■答弁 教育部長■ ④学校給食について
田中議員の一般質問のうち,教育行政についてお答えいたします。
はじめに,学校給食についてのうち,給食費についてお答えいたします。
学校給食は,児童生徒の心身の健全な発達のため,栄養バランスの取れた豊かな食事を提供するとともに,食に関する正しい理解と適切な判断力を養うなど,食育推進のための生きた教材として重要な役割を担っております。
学校給食に係る費用負担につきましては,学校給食法の規定では,設置者が施設設備整備費,修繕費,人件費を負担することと定められているところですが,本市においては,光熱水費についても公費負担としており,保護者には食材料費のみを負担していただいているところでございます。
平成26年度に消費税率が5%から8%に改正された際,県内44市町村のうち,25市町村で給食費の引き上げが行われましたが,本市におきましては,保護者の経済的な負担の増加を考慮し,給食費を据え置き,米飯の調達先の見直しや,食材料の共同購入を進めるなど調達方法を工夫し,質を落とすことなく栄養バランスのとれた学校給食の提供に努めてまいりました。
この度の消費税率の改正においては,飲食料品について軽減税率適用が予定されておりますが,消費税率の改正に伴う物価上昇の推移等を見守る必要があると考えており,今後,給食費の適正な徴収額について,検討してまいります。
次に,食材料費への補助についてお答えいたします。
本市におきましては,今年度から,水戸市内で生産された地場農産物及び加工食品について,農業の振興と地産地消,食育の推進を図ることを目的として「学校給食における地場農産物の活用促進事業」を実施しております。
学校給食に地場農産物を活用することは,地域の自然や文化,産業等に関する理解を深め,生産者の努力や食材への感謝の気持ちを育むなど,食育の推進につながっております。
この事業においては,学校給食における地場農産物の食材料費として,約2,500万円の予算が農林水産業費に計上されており,児童生徒1人当たりにしますと,年額約1,200円(ひと月約100円)相当額となります。
各学校においては,この事業を活用し,水戸ならではの特色ある献立「MITOごはん」を月2回実施しており,水戸特産品の「納豆」やオリジナルブランド「水戸の柔甘(やわらか)ねぎ」を使用したメニューや,水戸産のごぼうを使用した「みとちゃんごぼうメンチカツ」等のメニューを提供しております。
また,水戸産の米100%の米粉を使用した米粉パンや,米粉を皮にして水戸産の豚肉,キャベツ,ニラ,ネギを包んだ餃子など,新たなメニューの開発にも取り組んでおります。
この事業により,本市の児童生徒は地域で採れる新鮮な野菜を食する機会を得ることなどができ,地域の農業や畜産業などへの関心が高まるものと考えております。
この事業の拡充については,今後,産業経済部との連携のもと,本事業の効果等についての検証を行うとともに,水戸産や県内産の農産物の市況も分析しながら研究を進めてまいります。

■ 田中議員 ■
5.学校図書館支援事業の充実と専任司書の配置について
一昨年(平成28年)6月議会で、水戸市議会は「学校図書館に専任の学校司書の配置を求める請願」の趣旨を了とし、全会一致で採択しました。
そこで3年目となる学校図書館支援事業の拡充を求め質問します。
先日、市内のある小中学校で、それぞれ図書室を見学しました。
本棚はきれいに整頓されていましたが、図鑑や歴史シリーズものをはじめ、日焼けしていたり、古くなった本も多い、という感想をもちました。
中学校には学校図書館を担当する司書の先生が1人いらっしゃいますが、クラス担任や教科担任、部活の顧問も兼ねており、中々時間がとれないようです。
小学校も同様で、保護者らによる図書委員さんのボランティアに支えられながらの活動となっています。
市がとりまとめた学校側の意見でも、支援員の巡回で「ふだんできなかった本の廃棄や整理ができ使いやすくなった」という声と同時に「授業が忙しくて支援員との十分な打ち合わせができない」という声も寄せられています。
現在の学校図書館支援員は、小中学校48校に対し7名であり、受け持ちは小学校が1人で8校、中学校は1人5校です。学校に訪問できるのは2週間に1回程度です。図書の整理やデータベース化をすすめているということですが、子どもと接する時間はほとんどとれていません。まずは派遣回数をふやすため、支援員を増やすことを求めます。特に中学校では2万4000冊を廃棄しましたが、新しい本の購入は6800冊です。予算の拡充も必要ではないでしょうか。
そして、支援員ができるのはあくまで側面支援。学校ごとの特徴にそって学校図書館を生かすには、多忙な先生の兼任ではおのずと限界があります。
牛久市や取手市の1日中いる専任司書は、気軽に訪れる子ども達にその場で本を紹介し、リクエストに応えた本の購入や読み聞かせも行い、図書室の装飾にも工夫をこらしています。休み時間には子ども達の良き話し相手、悩みをもつ子の居場所にもなるなどよいことばかりです。
2015年4月に学校図書館法が改正され、学校に専任司書を置くよう努めなければならないとされました。国はアクティブラーニングによる授業改善とあわせ、2021年度まで学校図書館の予算をふやし、学校司書の配置と図書館資料の充実で、利用を促進するよう求めています。
やはり支援員の活動を発展させた形として、専任司書の配置を決断し、具体的時期を示すべきと考えますが、市の考え方と課題を伺い、質問を終わります。
答弁によっては再質問させていただきます。

■答弁 教育部長■ 
5学校図書館について 
次に,図書館行政についての御質問のうち,学校図書館支援事業についてお答えします。
学校図書館支援事業は,子どもたちが主体的な読書活動を身に付け,本との出合いを通して,生きる力と豊かな感性を育むことができるよう,子どもたちにとって最も身近な図書館である学校図書館の充実に向けた事業であり,今年度で3年目となります。
活動状況といたしましては,書架の整理や図書の分類による並び替えなどを行うとともに,今年度は,学校図書館資料のデータベース化を図るため,蔵書管理システムを全小中学校及び義務教育学校に設置し,さらには,システムの運用開始を目指し,準備を進めているところです。
今後の主な活動計画といたしましては,学校図書館の資料データの登録を進め,システムの運用を図りながら,学校図書館の更なる利用及び活用を促進するとともに,司書資格を有する学校図書館支援員の専門的な知見を生かしながら,図書資料の選書を行い,蔵書数や内容の充実を図ることとしております。
なお,この事業の効果を検証するため,昨年度末に事業内容や訪問回数等について,全小中学校及び義務教育学校にアンケートを行ったところ,現在の取組や訪問回数,訪問人数に対し,9割近くの学校から適切であるとの評価をいただいているところであります。
また,大規模校が多い中学校においては事業開始後1年を経過したところであり,今後,議員御指摘の支援員の増員や図書購入のための予算拡充につきましては更なる検証を行ってまいります。
次に,学校図書館への司書配置についてお答えいたします。
学校司書の配置により期待される効果といたしましては,子どもたちや教員が必要とする資料の提供や授業活動への効果的な支援が考えられます。
一方,学校司書配置の課題といたしましては,市立図書館と学校図書館とが,市の統一した方針や考えに基づき日々の業務を遂行していくことや,小学校では最大34学級から最少5学級までと学級数の規模の違いにより業務量や質に差異が生じることが考えられます。
そのため,2015年度から2023年度までの9年間を計画期間とした水戸市図書館基本計画(第3次)において,各学校への司書の派遣による学校図書館支援事業を位置付け,学校図書館の充実のために,必要な助言や支援を行っていくこととしたところです。
現在,中央図書館において,7名の司書を支援員として派遣し,各学校への巡回支援を行いながら,図書管理や貸出・返却業務,図書館教育への協力・参画をはじめ,読書指導や授業活動への支援を行っており,学校からも「授業等での利用が増えた」,「図書館の運営について相談ができた」など,高い評価をいただいているところでございます。
学校における司書につきましては,すでに全校に司書資格を有する司書教諭を配置しているところですが,御質問の学校司書の配置につきましては,各学校に学校司書を配置した場合の課題を整理した上で,現在行っている学校図書館支援事業の成果を検証しながら,より効果的な司書の活用方法について検討してまいります。
今後とも,子どもたちの興味や関心,さらには学習活動に即した図書を整備し,親しみやすく,利用しやすい環境づくりを進めるとともに,読書活動や授業活動への学校図書館の積極的な活用を図ってまいります。

■田中議員の再質問■ 水道広域化について
それぞれ答弁いただきましたが水道について再質問します。
水道の民営化については「引き続き自らが運営する」つまり運営権を民営化する考えはないという答弁でした。ぜひ、この立場を今後も貫いて頂きたいと思います。
広域化については「慎重に見きわめる」とありましたが、その答えはもう出ていると私は考えています。
県が広域化勉強会で市町村に配った厚労省作成の資料「広域化効果の算定マニュアル」には「自己水源を広域水道に切り替えて、職員を30%削減しても、水道料金値上げは避けられない」とあるのです。
これを効果というのですからあきれた話ですが、原因は人口と需要の過大な想定にもとづく水源施設の負担です。
同じ勉強会で県が配った「茨城県の水道事業の次世代への継承について」という県の調査報告にも「現在の水道施設におけるすべての施設能力を維持した場合、将来的には当然に施設が過大になる」つまり「すべての施設が過大になる」と県が認めているのです。
水戸市には楮川ダムという先人の知恵でつくられた立派な自己水源があります。県の余っている水道を市町村におしつける広域化はキッパリ拒否することが、水道経営や市民にとって最良の選択と考えますがどうでしょうか。再度の答弁を求めて質問を終わります。

■答弁 水道部長■ 水道広域化について
田中議員の再度のご質問にお答えいたします。本市における広域連携につきましては,茨城県をはじめ,近隣市町村とも情報を共有するなどの連携を図りながら,本市水道事業の安定した経営を最優先に,現在,県内でも低い水準にある料金の増額につながらないことを第一と捉え,慎重に見極めてまいりたいと考えております。