2024年9月議会 代表質問と答弁 原子力政策について

最後に原子力政策について質問します。

日本原電をめぐっては、昨年9月に日本共産党に防潮堤の施工不良について内部告発があってから1年が経ちました。告発の内容は、防潮堤のうち取水口部分の南北の基礎の施工において、鉄筋の変形やコンクリートが十分に充填されていない、津波から原発を守れない状態だ、という重大なものでした。このパネルをご覧ください。

高橋市長は、今年5月27日に現地視察をした際、「率直に言ってこんな下手な工事なのかと思った。鉄筋がむき出しだ。情けない」と述べたと報道されています。

その後、原子力規制委員会は6月18日の公開審査会合で「防潮堤の構造体としては期待できない。地震と津波に耐えられるかはわからない」「防潮堤の設計自体を抜本的に変更し、建て直すこともふくめ検討すべき」と指摘しました。

これに対し日本原電は、今年9月に完了するとしてきた安全対策工事を、つい先日、2026年12月まで2年余り延長すると発表しました。しかし、肝心の防潮堤の施工不良については、造り直しどころか、鉄筋が曲がったり、コンクリートが未充填の防潮堤の基礎をそのまま残して、その周辺地盤を改良するとか、防護壁中心部の柱を強化するというだけの方針です。これについては規制委員会も「造り直しとは言いにくい」として、8月29日の審査会合で「実現性の見通しはない」と指摘しているほどです。

原電のやろうとしていることは、市長も指摘した「下手で情けない工事」をそのままにして、取り繕う姿勢だと考えますが、市長はこれでよいとお考えなのか、お答えください。

もうひとつ重大なことがあります。今年7月に日本共産党に第2の内部告発がありました。昨年、告発を寄せた工事関係者が、防潮堤の施工不良は取水口部分だけではない、まだ施工不良がある、とさらなる告発と情報提供をしてくれました。

それは、この1年、施工不良があると問題になってきた防潮堤の南北基礎だけではなく、実はそれにつながる南北の防潮壁の基礎も、コンクリートの未充填などの施工不良があるという内容です。

その場所はパネルで示すと昨年から施工不良があると内部告発があったのは、ここ取水口の基礎です。パネルで黄色の場所です。

大図がこれです。

そして今年7月、日本共産党にあった第2の告発の場所は、この南北につながっている緑色の、地中連続壁基礎と呼ばれている場所です。
第2の告発の内容は、この場所は、両方とも同じ安藤ハザマの共同企業体が建設した地中連続壁基礎で、同じ会社で同じ工事のやり方で作ったので、第1の告発と同じくパネル出すこのように鉄筋の変形やコンクリートが十分に充填されていない、津波から原発を守れない状態で施工不良が起きている、というのが、第2の告発の内容です。

しかもこのここですね、この緑色に塗られている部分を拡大したのがこのパネルですが、地中連続壁基礎は、基礎部分の鉄筋が曲がったり、コンクリートが未充填である施工不良を隠したまま、その上も建築したと工事関係者は告発しています。施工不良があると告発した場所は地下の基礎で、地中に埋まっているため、施工不良を目で見て実態を確認することができないと告発しています。

そこで、市として、原電が問題ないとしているこの第二の告発の場所についても原電や国・規制委員会に対して、再調査し、地中で見えない施工不良の有無を確認することが必要だと考えますがいかがですか答弁願います。

東海第二の工事現場がいかにずさんか、本当に驚くべき実態です。告発者がしんぶん赤旗のインタビューに答えた内容を一部紹介しますと、「現場では工事不備の声が各所であがっていた」「上司は慌てふためき、どう隠すかに心血を注いでいた」「請負会社が集めた人材は技術者とは言えない素人集団」で「取り返しがつかない状況になって専門の職人が入ってきたがお手上げ状態だった」というのです。大変生々しく、これが原発を動かすための「安全対策工事」の実態だとすれば恐ろしいものです。

日本原電は、福井県の敦賀、原発二号機の活断層の調査でもデータの無断書き換えを行い、規制委から審査やり直しを指摘されながら、いまだに活断層はないと抵抗していますが、規制委員会から運転は認められない

との結論が出され、廃炉が確定的となっています。

これほど管理能力がなく、隠ぺい体質の日本原電に、危険な原発を動かす資格がないことは明らかではないでしょうか。

先日「非核、脱原発、平和都市宣言」をしている、かすみがうら市の宮嶋謙市長は、しんぶん赤旗のインタビューに答えて「事故や廃棄物の漏出など、人類の滅亡のリスクをはらむ原発を、目の前の経済問題とてんびんにかけてはならない。将来の地球に責任を持つ立場であれば、これほど危険な原発を稼働させてはならない。

市民の命や暮らしをまもる根幹の問題であり、これを言わないで、何のために政治家をやっているのか」とハッキリ述べています。

高橋市長も県都の首長として、市民の生命・財産を守る立場から、いますぐ再稼働反対、廃炉を求める表明をすべきと考えますがいかがでしょうか、答弁ねがいます。

次に大洗町にある日本原子力、研究開発機構の常陽について伺います。機構は2026年度に常陽の運転再開を目指しています。8月2日に県の原子力審議会が開かれ、その後県は水戸市を含む周辺4市町から再稼働へ向けての安全対策工事の実施について意見を求めました。安全対策工事を実施するための事前了解権は常陽がある大洗町と県にありますが、県は水戸市を含む周辺自治体の意向を確認し、判断する規定となっています。水戸市は23日までに回答しましたが、工事について反対の意見表明はなかったと報道され、6日に県と大洗町は安全対策工事の開始を了解しました。しかし常陽は実験炉とはいえ、制御が困難なナトリウム冷却を使う危険な高速増殖炉です。初臨界は1977年 47年も前です。さらに事故を起こした2007年からずっと運転停止している実験炉です。核燃料サイクル自体はすでに破綻しており、常陽を再稼働する必要は全くありません。

さらに日本原子力、研究開発機構の常陽は今までも火災や事故などを繰り返しています。

水戸市も一部が避難区域にかかり、避難計画も作られてはいますが、予見できない重大な危険があり得ると考えます。常陽の再稼働についても水戸市は認めるべきではないと考えますが答弁を求めます。

以上で代表質問を終わりますが、答弁によっては再質問します。

 

答弁:市長

次に,東海第二原発に関する御質問にお答えいたします。

はじめに,コンクリートの未充填等の施工不良がありました「防潮堤工事」についてお答えいたします。

先月,日本原電は,安全対策工事の完成時期をこれまでの2024年9月から,2026年12月に延長すると発表しました。その要因の一つであります「防潮堤の施工不良への対応」につきましては,現在,国と日本原電との間で,具体的な設計や工事手法について,協議が続けられているところであります。

私は,この防潮堤工事に関しましては,「もともと計画していた工事が上手くいった場合の安全性」を確実に上回るものでなくては認められないと考えております。

今後,国と日本原電の協議状況を注視し,「工事がどのように進められるのか。それが,安全性を重視した適切な手法なのか」につきまして,しっかりと確認するとともに,継続して日本原電に説明を求めるなど,厳しく監視してまいります。

また,先日,一部の報道機関において,「他の防潮堤においても,コンクリートの未充填が発生している旨の内部告発があった」と報道がありました。

本市におきましては,報道を確認後,直ちに日本原電に連絡し,事実関係を含めて報告するよう指示したところであり,今月13日に日本原電とヒアリングを実施する予定であります。

まずは,しっかりと事実確認を行った上で,必要に応じて周辺自治体とも連携しながら,安全性の確保に向けた対応を行ってまいります。

東海第二発電所の再稼働につきましては,施設の万全の安全対策が完了していることはもちろんのこと,実効性のある広域避難計画が策定できない限りはあり得ないものと考えております。

私は,市民の皆様の安全で安心できる暮らしを守っていくという使命がありますので,引き続き議会の御意見を踏まえるとともに,水戸市原子力防災対策会議における技術的,専門的な御意見や多くの市民の声を十分考慮しながら,最終的な判断を下してまいります。

次に,高速実験炉「常陽」に係る御質問にお答えいたします。

大洗町に立地しております高速実験炉「常陽」につきましては,昨年7月に国の新規制基準の適合性検査に合格した後,茨城県において,安全対策の検証等が進められてきたところであります。

「常陽」に関しましては,私は,かねてより,試験研究用の原子力施設は,日本の産業や科学技術の発展において重要な役割を担っていると認識しており,「常陽」につきましても,高速炉の研究はもとより,「放射線を利用したがん治療薬の製造・開発の推進」に大きく寄与するものと考えております。

その一方,保有する原子炉が小規模であるとはいえ,原子力施設としてのリスクがあることも認識しており,本市におきましては,「常陽」等において原子力災害が発生した場合の備えも充分に行っております。令和3年に「試験研究用等原子炉施設の事故等に備えた避難計画」を策定し,避難対象となる住民に対して周知を行っているほか,「常陽」等で事故が発生した場合において,ただちに情報を得ることができるよう,事業者との間に「通報連絡協定」を締結しており,有事の際には,市民に対し速やかに情報を発信するとともに,必要な防護措置を実施してまいります。

「常陽」につきましては,安全協定に基づく事前了解権を有する茨城県及び大洗町において,先日,「施設の安全対策工事の実施について了解する」旨の判断がなされたところであります。

本市におきましては,地域住民の安心,安全の確保に向け,今後実施される「常陽」の安全対策工事が適切に推進されるよう,また,地域住民に対して丁寧に情報公開がなされるよう,今後とも継続して事業者へ求めてまいります。