最後に、原子力行政について伺います。

福島第一原発事故は、いまだに収束すら見通せない状況です。

なぜか日本の報道ではあまり発信されませんが、今、海外では度々、福島の現状が生々しく報道されています。例えば、太平洋の魚から検出されるセシウムの値や、除染ゴミが海岸線を埋め尽くしている航空写真、甲状腺ガンや白血病、心臓疾患の増加など詳細に示され、有効な手立てを打たない日本政府への怒りなどもあらわにされています。

COP21では、パリの街中に、頭にもくもくと煙のあがる原発を何基ものせた安倍首相の顏のポスターが貼られました。
石棺で封じ込めたチェルノブイリとは違い、福島第一原発では、いまだに放射性物質が大気にも大地にも地下水や海洋にも漏れ続けている状態です。

安倍政権は、それでも原発推進の姿勢ですが、一瞬にして故郷を奪い、何十年にもわたって国土や環境を汚し続け、健康被害を拡大させ続けることになり、さらにその影響は海外にも及び、まさに人類への責任が問われることになる原発事故に対する高橋市長の認識、見解を伺います。

東海第二原発の30キロ圏内に立地する水戸市で、市民の安心・安全に責任を持つ立場にある市長として、日本原電に対し廃炉を求めるべきですが、お答えください。

以上で、私の質問を終わりますが、今、国では安倍政権が国民の声に背を向けて憲法を蹂躙し、国会さえ開かず民主主義の危機ともいう状況です。こんな時だからこそ、住民にとって一番身近にある地方自治体は、市民のいのちやくらし、そして国民の主権や民主主義をしっかりとまもりぬく覚悟が必要です。
高橋市長には、市民から負託を受けて、市政をあずかっているという責任と気概のある、信頼できるご答弁をお願いいたします。

答弁 ≪市長≫

次に,原子力行政について,お答えいたします。
来年3月には,東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故から5年が経過します。しかしながら,未だに多くの方が避難生活を余儀なくされており,先行きが不透明な現状において,不安を抱えながら日々を過ごされている心情を思うと,一日も早く皆様に穏やかな日常が戻ってくることを願ってやみません。
あわせて,原子力施設においては,安全が最優先されるべきであり,このような原子力事故は,二度と起こしてはならないと,改めて強く思うところであります。

また,エネルギー政策につきましては,国民生活と経済・産業を守るため,国が責任を持って,自然エネルギーや再生可能エネルギーの活用も十分検討し,エネルギー源ごとの特性を踏まえ,現実的かつバランスの取れた需給構造を構築すべきであると認識しております。

次に,東海第二発電所につきましては,昨年5月に,原子力規制委員会に安全審査を申請したところであります。本市としては,この申請が,使用済み核燃料等を有している現在の東海第二発電所の安全確保を図るものであり,決して再稼働に直結するものではないことを,本市を含めた東海第二発電所の周辺自治体の申し入れに対する回答において,日本原電に確約させております。

私の取組の基本は,市民の皆様の安全確保であり,再稼働の議論につきましては,安全審査申請とは,全く別次元で判断されるものであり,原子力規制委員会の新規制基準に適合することはもちろんのこと,安全協定の見直し,そして,実効性のある広域避難計画が策定されない限りは,再稼働の議論は有り得ないものであります。そのうえで,私は,市民の安心で安全な暮らしを守っていく立場でありますので,多くの市民の声を十分考慮しながら,自分たちのまちは,自分たちで守る観点から,厳しく判断をしていかなければならないと考えております。

あわせて,東海第二発電所の再稼働については,商業用の原子炉としては首都圏から最も近いこと,事故発生時には避難対象者が約100万人に及び全国で最も多いこと,さらには,営業開始から37年が経過していること等の現状を踏まえ,原子力規制委員会をはじめとする国の動向を注視してまいります。