次に、原子力行政について伺います
福島第一原発の事故から4年が経過していますが、いまだに事故の収束はままならず、多くの人たちが故郷に戻れるあてもなく避難生活を強いられています。
先日、私は福島の避難地域の視察に行ってきました。震災のあの日のままの状態で放置されている家屋や商店街、そして除染作業で出る放射性廃棄物が山積みにされている広大な田畑などを間近で見ながら、原子力災害の現実をまざまざと体感しました。
国道沿いの街並や田畑の広がる風景が私の住む水戸の北部地域とよく似ており、そこに全くひと気がないという異様さに、もしも東海第二原発で同じような事故が起きたらという想像は、本当に生々しく胸に迫ってきました。この水戸市でも、緑豊かな田畑や川が汚染され、人の住めない街になる危険が、すぐそこにあるというのが現実です。
さて、県の広域避難計画が公表され、それに伴い、水戸市でも避難計画の策定が進められていますが、現在の策定状況を伺います。
そもそも、県の計画には、原発単独の事故しか想定されていませんが、福島の事故でも経験した通り、地震や津波など大きな自然災害とともに原発事故は起きると考えるのが現実的ではないでしょうか。
その際、高速道路などを使って車で移動するという、道路や橋などが壊れて通行不能になったりすることを考慮しない計画は、全く実効性がなく、このような‘原発の単独事故’という前提自体が誤りだとは考えないのか、伺います。
水戸市としても、このように現実味も実効性もない避難計画を策定し、再稼働の条件とされることは許されないし、市民のいのちと安全を守る責任がある自治体の原子力行政として、一番の安全策は、東海第二原発の再稼働を認めず、日本原電に廃炉を求めることではないのか、見解を伺います。

答弁 市民協働部長
 土田議員の一般質問のうち,原子力行政についてお答えいたします。
広域避難計画につきましては,本年3月24日に,茨城県防災会議において,第一弾となる県の広域避難計画が審議,決定されたところであります。しかしながら,本市の避難先について,27万人の人口の半分程度となっており,本市を含めた県外の避難先提示が持ち越しになったことや,事故時の情報提供,スクリーニングの手順や場所,さらには,安定ヨウ素剤の配布体制などについて,具体的な対策が明確になっていないことなど,多くの課題が残っていると認識しており,引き続き,県に対し,連携した対応をお願いしているところでございます。
本市の広域避難計画に係る進捗状況につきましては,高橋市長が座長を務める東海第二発電所安全対策首長会議の構成15自治体による検討会議を5月13日に開催し,計画策定に向けた課題の整理や今後の進め方などについて自治体間で共通理解を深めるとともに,専門的な知見の提供など,事業者である日本原電との連携・協力体制についても協議したところでございます。
また,本市独自の取組につきましては,県内避難先として示されているつくば市,古河市をはじめとする9自治体と広域避難に係る協定締結に向けた協議を進めているほか,北関東中核都市連携会議災害時相互支援に関する協定に基づき,前橋市,宇都宮市,高崎市の避難所受入れ等の基礎調査を実施するとともに,福祉施設の入所者や在宅の要配慮者支援体制の構築などについても取り組み,多くの課題について,その対応策を一つひとつ積み上げているところでございます。
今後とも,現存する東海第二発電所に対する安全対策として,単独の原子力災害はもとより,複合災害への対応も検討し,市広域避難計画について,平成27年度中を目途に早期策定を目指し,市民の皆様の安全を確保してまいりたいと考えております。
東海第二発電所の再稼働につきましては,全く別次元で判断されるものであり,原子力規制委員会の新規制基準に適合することはもちろんのこと,安全協定の見直し,そして,実効性のある広域避難計画が策定されない限りは,再稼働の議論は有り得ないものであります。
あわせて,商業用の原子炉としては首都圏から最も近いこと,事故発生時には,避難対象者が約100万人に及び全国で最も多いこと,さらには,営業運転開始から36年が経過していることなどの現状を踏まえ,原子力規制委員会をはじめとする国の動向を注視してまいります。