日本共産党水戸市議団の土田記代美です。会派を代表し、只今から通告に従い質問をいたします。

初めに防災行政について伺います。

この度の台風、水害で被災された多くの方々、今なお不自由で苦しい生活を余儀なくされている被災地の皆様にこころからお見舞いを申しあげます。生活再建へ向けての多くの課題に、市としてしっかりと取り組み、一日も早い被災地の復旧復興にむけ、最大限の支援をつくすことをもとめ3点質問をいたします。

まず台風被害と避難対応についてです。那珂川も想定を超える過去最大の水位となり、水が出た地域では本当に大変な被害となってしまいましたが、現場では毎日、多くの職員や消防団の皆さんが、本当に一生懸命に動かれていたことに、まず心からの感謝と敬意を表します。今回の台風19号は、上陸前から最大級の台風となると報道がありました。今後もこうした台風はいつまたやってくるかわからないという状況ですので、今回の教訓を次の備えとして確実に生かしていく必要があります。私も、当日午前5時すぎに国田地域の方から連絡を受け、国田に向かう途中で、まさにあの山新一帯がどんどんと水に浸かっていくところを見ていました。近所のひとたちが、「61年の時より酷い」と口々におっしゃっていました。その後、国田のJA教育センター、飯富中学校など避難所に向かいました。避難された皆さんが、一番おっしゃっていたことは、とにかく情報がない、情報が欲しいということでした。情報不足については、国の責任も大きかったわけですが、「前日からずっとテレビをつけていたが那珂川のことは全く報道されなかったので大丈夫かと思っていた」「早くから避難勧告は出ていたが避難指示ではないからいいと思っていた」という声が多く聞かれました。実際に避難指示が出たのは明け方で、いきなりたたき起こされ着の身着のままで避難することになった方、あわやというところで水に浸かりながら逃げた方、そして避難できずに水に浸かった家に取り残された方を多くつくってしまいました。せっかく前日から災害本部を立ち上げていたのですから、災害避難に早すぎる、備えすぎるということはありません。結果的に大丈夫だったとしても、まずは、先に避難をしてもらう手立てを今後考えるべきではないでしょうか。また、今回は水害でした。避難所はそもそも浸水地域の低い場所にある市民センターではなく、初めから高台の避難所を指定するべきだったのではないでしょうか。いったん避難したセンターから、また、避難所を移動しなければならなかった方も多く、市民にとっても市の災害対策にとっても二度手間でした。

避難所の運営では、日々、皆さんの要望に速やかにこたえ改善されていたこと、水戸市では、翌日には温かい汁ものが提供されたり、世帯毎にパーテーションが用意されたことなど、東日本大震災を機に積み上げられてきた防災行政の蓄積が発揮されていたことは、本当によかったと思います。他市では問題となっているペット同行避難についても、飯富中学校では同室避難ができ、市民センターでは同室はできなかったものの一緒に避難が出来ました。しかしながら、残念なことは、水戸はペット同行避難ができることを、多くの市民が知らなかったことです。「ペットがいるから避難しなかった」「ペットを置いてきてしまった」という声をたくさん聞きました。今後、もっと広く周知すべきです。

さらに、長期にわたる避難所開設を考えると、学校体育館では、避難者にとっても、その学校の児童生徒にとっても不便です。また、飯富地域では「避難所に行ってしまうと水がきたら戻れないから、行かずに2階で避難した」「近くの高台で避難した」という方も多く、安心して避難できる場所という認識が浸透していないことも強く感じました。一方で、国田のJA教育センターでは、宿泊施設として、お風呂もあり、食堂であたたかい食事も提供され、避難した方々がホッとして過ごすことができたとおっしゃっていました。こうした民間の施設との連携協力はいざというとき本当に大きな力になります。今後、指定避難所のあり方を根本的に考え直していくべきではないでしょうか。

 次に、被災者の生活再建についてですが、今なお厳しい状況が続いています。被災者支援は全壊、半壊、床上浸水と、被害の状態により差がつけられてしまいますが、水害の場合、たとえ浸水が少なかったとしても、水につかってしまえばすぐにもとの生活はできません。例えば家財道具一式すべてがダメになってしまいます。本来、国や県がやってしかるべき支援であっても、やらないのであれば、住民にとって一番身近な市が最大限、被災者の生活再建に力をつくすべきと考えます。

現在、飯富地区では多くの方が、藤が原の県営アパートなど仮の住まいに移られましたが、当初、鍵をもらってもなかなかそちらでの生活がスタートできずに避難所で過ごしていた方が多くいました。部屋があっても生活用品がそろわないと暮らせないという状況だったからです。部屋を提供すると同時に、すぐ生活ができる最低限の生活用品の準備、環境整備を、市としてできないものでしょうか。家財道具すべてが水につかってダメになっている中、そして毎日家の片づけに追われている中で、被災者が新たな部屋で生活用品一式を自分でそろえなければならないというのは本当に酷なことです。最低限の布団、冷蔵庫、洗濯機、炊飯器、そして寒い季節に向かう今の時期なら暖房器具などを現物で備え、すぐにも生活ができるようにしてこそ、被災者に寄り添う支援ではないでしょうか。大子町などで作られた仮設住宅の場合には、エアコン、ガスコンロ、ユニットバスがついて、すぐに生活できるようになっていますが、空いている公営住宅では、まずすぐに生活できる状況にはないこと、その改善を国や県がすべきと、私たち日本共産党地方議員団は、何度も国や県に要請をしてきましたが、ほとんど聞く耳がありません。避難された方たちは、体育館で休むよりも、一日も早くそれぞれの仮住まいに移る方が、どれだけ安心できることでしょう。ぜひ今後の対策として、市として取り組む検討を願います。

3点目の水害対策と再発防止につきましては、中でも国田の無堤防部分の早急な改善です。地元では10年以上も前から、無堤防部分をなんとかしてほしいと切実な要望が出され、私たち日本共産党水戸市議団も茨城県議団も、毎年、国に要請を続けてきました。国交省は自然な高さのある山付き堤だから大丈夫といい続け、計画すら作られないまま、とうとう心配していた事態を招いたと言わざるを得ません。一刻も早く築堤整備を進めるよう、市としても国に強く求め、住民の不安の解消、地域の安心安全の強化に取り組むべきです。

また、台風19号被害の翌週、25日の大雨では、市内の多くの道路が冠水し、沢渡川など河川が溢れ、市民はまたしても不安な一日を過ごしました。集中豪雨、ゲリラ豪雨が、いつ起こるかわからない気象状況となっている今、あっという間に冠水する道路の整備や河川整備は、本当に喫緊の課題と考えます。水戸市は雨水排水プログラムで改善を目指しているわけですが、今こそ、こうした予算の拡充と整備のスピードアップに力を注ぐべきではないでしょうか。後ほど質問しますが、新市民会館整備など無駄な事業につぎ込む予算を、それこそ水害からの復旧と再発防止、被災者支援、生活道路や河川整備にまわすべきですが、いかがでしょうか。

答弁:市長

日本共産党水戸市議団を代表されましての土田議員の御質問のうち,はじめに,防災行政についてお答えいたします。
本市の台風19号の対応といたしましては,10月12日午前9時に,避難準備・高齢者等避難開始情報を発令し,浸水想定区域内の避難行動要支援者588名の方,お一人お一人に電話連絡をするなど,安否確認や避難誘導を行いました。移動手段のない185名の方やその御家族の方などにつきましては,市職員や社会福祉協議会,さらにはハイヤー・タクシー協会の御協力を得て,避難所に搬送したところでございます。
また,同日午後4時には,夜間の大雨と那珂川をはじめとする河川の水位上昇を想定し,明るいうちに早めの避難を呼びかけることとし,避難勧告を発令するとともに,緊急速報メール,防災行政無線,防災ラジオ,SNSなど,あらゆる伝達手段を活用し,避難を呼びかけたところでございます。

その後,現場対応を行っていた市職員から,西田川の急激な水位上昇に関する報告を受け,午前2時30分に,飯富地区の浸水想定区域に対して避難指示を発令し,直ちに避難することや自宅の2階に垂直避難することを呼びかけました。午前3時30分には,那珂川の水位上昇に伴い,浸水想定区域全域に対して,避難指示を発令し,各種媒体により市民の皆様へ発信するとともに,浸水想定区域内の避難所に避難していた方々を市のバス等により,高台の避難所へ搬送いたしました。

午前4時59分には,飯富町地内の那珂川からの越水を市職員が確認したことから,防災行政無線により,3時間以上継続して避難を呼びかけたところでございます。

今回の避難行動につきましては,2千5百人におよぶ方が避難所に避難されたり,多くの方が御親族のところへ避難するなど,安全行動を実施していただきましたが,河川の決壊などにより170人の方がボートやヘリコプターで救助される事態となりました。

私は,この事態を重く受け止め,今後,情報発信のあり方などを検証し,逃げ遅れゼロを目指し,さらなる情報発信の強化に努めてまいります。

浸水想定区域内にある指定避難所につきましては,ハザードマップの作成時などにおいて,地域住民の方から,「災害の種類ごとに避難所が異なると分かりにくい」,「距離のある高台の避難所まで避難することが大変である。まずは身近な避難所に避難したい。」などの御意見をいただいたことから,洪水時一時避難所として指定したところでございます。

また,那珂川の増水等に伴い,洪水時一時避難所での対応が難しい場合を想定し,JAグループ茨城教育センターやひたちなか市立市毛小学校などを洪水時緊急避難所として位置付け,避難訓練等を行い,備えてきたところであります。

避難につきましては,個別の事情に応じて,身近にある市民センターなどの洪水時一時避難所に早い段階で避難していただき,水位等の状況に応じ,高台の避難所へ搬送するとともに,移動可能な方は,はじめから高台の避難所に避難していただくこととしております。

台風19号の増水時においても浸水想定区域内の避難所での浸水被害はなかったものの,那珂川の水位上昇を想定し,浸水想定区域の一時避難所に避難された方を高台の避難所へ,市の公用車やマイクロバスなどで搬送し,避難者の安全確保に努めたところでございます。

今後は,この度の避難対応について,地域住民の皆様から御意見をいただきながら検証し,洪水時における避難のあり方の見直しや高台の緊急避難所の追加指定などに取り組み,市民の皆様が安全で安心していただける避難体制を構築してまいります。

次に,被災者の生活再建についてでございますが,現在,浸水被害により,慣れ親しんだ御自宅から仮住まいを余儀なくされている方は,104世帯で,市営,県営住宅をはじめとする公営住宅や,民間アパートなどにおいて生活されております。

生活再建に向け,応急修理制度の活用をはじめ,各種支援金の情報が確実に伝わるよう,定期的に仮住まいへ資料をお送りするなど,継続した支援に努めているところでございます。

浸水の被害では,建物はもちろんのこと,すべての家財道具が水につかり,被災された方は,思い出のある家財を処分することとなり,さぞや無念であったと存じます。

本市といたしましては,電化製品の購入など,生活再建の一助となるよう,国の制度では対象にならない半壊世帯に対しても25万円の支援金を支給するとともに,本市独自の災害見舞金を全壊の世帯に対して7万円から10万円に,半壊世帯に対しては,3万円を5万円に増額したところでございます。現時点で,347世帯から御申請いただき,332世帯に災害見舞金を支給したところであり,御申請いただいた全ての世帯へ一日も早い支給に努めてまいります。

被災された方の迅速な生活再建に向けましては,今回の対応を検証し,ニーズに寄り添った支援のあり方について,国や県と連携し検討してまいります。

次に,水害対策と再発防止についてお答えいたします。

今回の台風19号により,堤防の越水や支流の堤防が決壊するなど,国田や飯富地区をはじめ市内各所で甚大な浸水被害が発生いたしました。

これまでも,地元国田地区からは早期の無堤防区間の解消を望む声を受けており,私も地域の方々が一日でも早く,安全で安心して生活を送るためには,早期の河川整備が必要であると十分認識しているところあります。

また,これまでも機会があるごとに国へ要望してきたところであり,引き続き,早期の河川改修を働きかけてまいります。

10月25日の大雨においては,短時間で記録的な降雨により,排水能力を超える雨水が集中したことから,道路の冠水等による浸水被害が市内各所で発生いたしました。

これらの浸水被害の一日も早い軽減解消に向け,雨水排水施設整備プログラムに基づき,都市下水路,排水路,公共下水道雨水管の効率的,効果的な整備を進めるとともに,既存管渠の流下機能の改善に取り組んできたところでありますが,今後とも市民が安全で安心して暮らせるまちづくりに向け,ハード・ソフト両面からの対策に取り組んでまいります。