日本共産党水戸市議団の土田記代美です。通告に従い、只今から一般質問を行います。

 はじめに新市民会館整備計画について伺いますが、私は、一日も早い市民会館の再整備をもとめています。現計画では、市民にとって無駄なハコモノになり、将来にわたって禍根を残す上に、市民にとっても、市の文化にとっても、水戸のまちづくりにとっても、計り知れないダメージを負わせることになる。これをなんとしても回避したいという思いで質問を重ねております。本計画は、市民不在で財政負担も不透明なまま、次々に増額され、どこまで増えるのかわからない状況です。なによりただハコありきの計画で、数々指摘される問題はなにも解決されず、根本的に破綻しています。今、見直しの決断をすることこそ、市民の利益であり、将来にわたって市民が誇れる文化施設を市民とともにつくる大きなチャンスです。一から見直す決断をもとめて、3点質問をいたします。

まず、事業費について伺います。6月議会で突然示された27億円の増額で、周辺整備を含めおよそ320億円という巨額の事業費が、現時点では353億円にまで膨れ上がりました。3年前には300億円という数字で、とんでもない巨額な計画だと多くの市民のみなさんが住民投票を求めましたが、あれよあれよと350億円越え。さらに、共有地権者への家賃が発生する、管理運営費もいくらになるのかわからない、と、ブラックホールのように税金がつぎこまれていくこの事業に、納得できる方がいるとしたら不思議だと思います。

近年整備されている他市事例にくらべても高すぎるという指摘も、以前からしてきましたが、最新の例として(写真)これは、まもなく10月にグランドオープンする堺市の市民芸術文化ホール『フェニーチェ堺』の大ホールです。水戸と同じ2000席ですが、水戸と違って、オペラもできる本格的な音楽ホールです。設計図を見ましたが、舞台と客席のバランス、舞台のタッパなど、図面を見る限り、質の高い贅沢なつくりです。施設はこの2000席大ホールに300席の小ホール、大スタジオ、小スタジオ、文化交流室、屋上庭園等々を備え、現計画と、ほぼ同様の規模ですが、建設費は144億円とのことです。今、144億円でこうした立派なホールがつくれるという同じ時期に、水戸では350億円以上もつぎ込んで、単に普通の特長のない多目的ホールをつくるというわけです。高すぎるというだけでなく残念すぎる計画です。伊東豊雄さんは、松本では本格的なオペラもできるホールを作っています。しかし、新市民会館は、水戸市の指示で、なんにでも使えるいわゆる普通の多目的ホールにするのだとおっしゃっていました。本格的なオペラなどには使えないと。文化ホールとして価値の出ない、本当にザンネンな計画だと思います。

そもそも、今、水戸市に2000席ホールは必要性がありませんし、一般的な2000席ホールは全国にあふれ需要が見込めない時代ですから、質的に勝てるか、あるいは明確な目的と戦略がなければ、閑古鳥のなく無駄な金食い虫になるのは目に見えています。再開発事業と抱き合わせるためだけに辻褄を合わせてきた計画ですから、文化的視点が欠けているのだといわざるを得ません。水戸市民が必要としている市民会館はどういう会館なのか、一部の人たちの利益のために莫大な事業費で、将来にわたって借金を抱え込む市民会館ではないはずです。 現計画は泉町の活性化にも逆行するもので、人が行き交うまちを取り戻すには、ホール施設ではなく、公園や博物館、図書館など、ランダムな時間に多様な人々が出入りする場所こそ必要です。再開発事業では、この先もどれだけ予算が増え、いつまで時間がかかるかもわからない上、大失敗が目にみえていると考えますがいかがですか。ご答弁ください。

また、再開発事業に費やされる100億円単位のお金にマヒして、気にならないのでしょうか、泉町再開発事務所と新市民会館整備課はいつまでいすゞビルの事務所で家賃を払い続けているのですか。大きな新庁舎が完成しているのに、なぜ、合わせて月およそ30万円の家賃、年間で360万円も支払っているのでしょうか。再開発事務所は平成26年からですから、すでに1千万円以上がただ家賃に消えています。すべて市民の納める税金です。これも適正な支出といえるのか疑問です。市民無視の再開発事業の中止と本気のまちなか再生、真に市民のための市民会館の早期実現をもとめます。

 次に設計についてですが、新市民会館は世界的建築デザイナーの伊東豊雄氏の設計ということで、およそ6億円という高額な設計の契約をしています。ところが、それとは別に、今年度、サイン設計の予算が計上されました。その際の特別委員会で、私は、視察したメディアコスモスではサインもすべて伊東設計、なぜこれが別発注になるのかと質問しましたが、本体の設計とは別だから、競争入札にするとお答えでした。世界的建築家が設計する市民会館で、サインは別の人のデザインになってもいいなど、おかしな話だと思いましたが、先月のいただいた入札結果をみると、予定価格とぴったり同じ749万5200円で、伊東事務所が落札していました。これはどういうことでしょう。当然トータルデザインで受けるべき仕事であり、契約の2重取りではないのでしょうか。さらに、メディアコスモスではサインどころか、椅子から時計まで、備品や什器等すべてが伊東デザインでしたから、これもまた、今後、別立てで受注するのでしょうか。あまりにお手盛りな勘定ではないかと考えますが、ご説明願います。

また、たびたび指摘している搬入口の問題ですが、この設計のままでは、吹奏楽のコンクールはできない、11tトラックを連ねてくる有名アーィストはこない、大きな舞台装置を使う本格的な舞台も呼べない、致命的な欠陥です。

図面で示しますが(パネル)こちらが現計画、こちらが先ほどお話した堺市のホールの設計です。同じように2台分のトラックが描かれていますが、こちらは1台ずつ横付けで、同時に荷下ろしができます。そして重要なのがこのスペースです、敷地内でトラックの入れ替えができ、さらに何台分も敷地内に置いておける場所があります。水戸は、一台ずつ道路に出て入れ替え、しかも一方通行で、とにかく50号に出て回るしかないと。さらにトラックの待機場所もない。こんな面倒な搬入をやりたがる有名アーティストはいないと思います。どう解決するのか、策があるならお答えください。

最後に整備手法と市民会館のあり方についてですが、そもそもこれは、いったい誰のための市民会館か?ということです。の間、さまざまな自治体の市民会館の整備経過を調べてきましたが、まず、その自治体にどんな目的のどんな市民会館が必要で、市民はなにを望んでいるのか、多方面から意見を集め検討し、そのためにどこにつくるか、どう設計するのか、どう運営するのか、と、順序を踏んで整備が進んでいきます。当たり前のことです。

あり方を検討し、場所を選定し、目指す姿、コンセプトにあわせて設計する。その設計の段階には、管理運営の方針も決まっていきます。どう運営していくのかということが反映された設計でなければ、完成したホールを回していけませんから、これも当然です。

そして、市民に喜ばれているホールでは、設計が完成する段階までは時間をかけてもんでいますが、そのあとの建設はトントン拍子にというか、短期間で進んでいきます。

今回、例に出した堺市でも、検討会、そして、ランダムに抽出した3000人の市民アンケートなど、丁寧に順序を踏んでいます。なにより文化について、市民の意向について、しっかりと双方向でもんでいる。市民参加で一からつくりあげていれば、完成、オープンにむけての盛り上がりがあります。また、市民がよろこび完成を楽しみに待つ施設であれば、市民からの寄付も集まる。堺では市民からの寄付が2億6千万円も寄せられたそうです。

ところが、水戸市はまるで真逆の順序です。まず場所ありきで泉町にする、再開発ありきで大きなハコモノにする、住民の声も市民の声も無視して強引にすすめる。ですが、残念ながら、思うようには進みませんでした。私が議会に入ってからも4年が過ぎています。市民会館が使えなくなってからはもう8年。再建を待ち望む市民は置き去りにされたままです。

コンセプトも仕様もなんとなく一般的で、採算も見込めないホール、使い勝手も悪く立地も不適当、とくれば、運営を指定管理にするといっても手をあげる業者はいないでしょう。なにより市民の怒りを買っている放漫な税金投入に、納得できる説明もありません。

誰のための市民会館か、市民のための市民会館なら、もっと早くもっと少ない事業費で、立派な市民会館がつくれるはずです。他市事例をみても、水戸市に必要な1000席規模のホールでも、数十億円で、100億円もかからずに本当に質の高い、市民の自慢になるホールがつくれるのに、現計画に固執する理由はなんなのか。再三指摘している通り、目的が文化や市民活動ではなく、再開発ありき、一部の地権者のための利益誘導施設だからではないのでしょうか。お答え願います。立ち止まって真摯に市民に向き合うべきです、計画の根本からの見直しをもとめます。

答弁:市民協働部長

次に,新市民会館整備計画のうち,設計についてお答えをいたします。

新市民会館を含む施設建築物の設計業務につきましては,泉町1丁目北地区市街地再開発組合と,伊東豊雄建築設計事務所・横須賀満夫建築設計事務所共同企業体が委託契約を締結し,本年3月に完了しております。

サインの設計につきましては,施設建築物の設計には含まれていないことから,新市民会館の設計コンセプト,施設の構造や動線などを熟知している施設建築物の設計者と市により,サイン設計業務委託契約を締結したところでございます。

なお,備品計画の発注方法につきましては,今後,検討してまいります。

次に,新市民会館の搬入ヤードにつきましては,一定時間内に,速やかに,楽器,機材等の搬入・搬出を行える必要があることから,荷台の側面を跳ね上げて,トラックの横から荷物を載せたり,降ろしたりすることができる「ウィングボディ車」と呼ばれるタイプの大型トラックが2台同時に,ウィングボディを開けて作業を行うことができる空間や,荷台から降ろした機材等を一時保管するための空間を確保し,荷捌きの利便性を高めた計画としております。

次に,新市民会館のあり方につきましては,これまでも各種団体からのヒアリング,市民アンケート,市民ワークショップ等を実施し,多様な御意見を整備基本計画や事業推進計画に反映してまいりました。加えて,来館者にとって利用しやすい施設の活用などについても,学生,子育て団体,女性団体などから意見を聴くことにより,利便性の高い施設計画としております。

本市としましては,施設の利活用を促進するために,今後も広く市民の御意見をいただく機会を設けるとともに,市民主体の事業において,市民と指定管理者がともに,企画づくりから参加できる仕組みづくりや,新市民会館に愛着を持っていただけるよう,新市民会館の運営に参画できるボランティア制度の仕組みづくりなども検討してまいります。

そして,多くの市民に愛され,活用され,市民が誇りに思えるような新市民会館の早期整備に全力で取り組み,市民と一体になった運営づくりを目指しながら,将来にわたってにぎわいのある,楽しめるまちをつくってまいります。