日本共産党水戸市議団の土田記代美です。通告に従い、只今から一般質問を行います。

はじめに新市民会館整備計画について伺います。現計画については、1期目4年間、さまざまな角度から問題点を指摘し、計画の根本的な見直しをもとめて質問を重ねてきました。

先の選挙の際にも、多くの市民のみなさんと直接お話をする中で、本当に市民のみなさんが怒りと疑問を持っておられることを実感いたしました。また、市長選挙の出口調査でも、高橋市長に投票した方を含め、半数近くの方が、計画に反対と答えております。

私は、市民会館の建設に反対をしているのではなく、一日も早く、市民が必要としている市民会館、水戸市の文化に資する市民会館の再建を望んでおります。そのためにも、莫大な事業費で負の遺産をつくり、将来にわたって禍根を残すことになる、現計画の見直しをもとめて質問いたします。

まず、再開発事業については、田中議員が代表質問でただしましたが、これは、いったいだれのためのなんのための再開発なのかと。これほど無謀で道理のないやり方は、税金を使ってつくる公共施設のあるべき姿とあまりにも乖離しており、市民理解など得られないと考えます。

そもそも、泉町1丁目北地区の再開発事業は、採算の見込みがなく長年頓挫していたものが、新市民会館計画として突然息を吹き返し、再開発組合を隠れ蓑にしながら、水戸市が強引にすすめてきたものです。使われるのは水戸市の税金でありながら、再開発という手法のために、議会にきちんと諮られることなく進められています。今回、建設に約187億円、解体におよそ10億円の契約が行われましたが、これが市の契約であれば、当然、議案となる大きな案件です。ところが、再開発組合がやることだからと、ファクス1枚での報告です。しかも、議会も特別委員会も終わった直後、年度末ギリギリのファクスです。私たち議員は、市民から預かった税金を適正に支出する判断をもとめられていますが、これでは、市民に対しとても説明ができません。あまりに不誠実なやり方と考えます。

権利変換計画が明らかになり、以前から指摘してきた通り、ほとんどの地権者、借地権者が、これまで通りの生活再建や営業が困難な状況に追い込まれている一方で、長年、あの場所に空きビルを放置してきた伊勢甚は、およそ30億円もの移転補償を受けた上に、新市民会館の店舗エリアの大部分を得ることになっています。解体費用もかかりません。

要するに、長年放置してきた空き店舗を、巨額のお金をもらってリニューアルできるという、おいしい話です。これらすべてが税金で手当てされるわけです。誰のためのなんのための再開発事業か、明らかではないでしょうか。ご答弁願います。

本再開発事業は、巨額の税金で一企業の利益を優先し、住民のくらしを犠牲にした上に、まちなかの活性化にも逆行する、無用なハコモノ建設としかいいようがありません。事前買収や反対地権者への無法な対応など、再開発法の本旨を逸脱し、公共施設のあるべき姿として許されないと考えます。本再開発事業の速やかな中止をもとめます。

もう1点は、施設の必要性と維持管理、運営についてです。現計画は、水戸市にとって、需要の面でも文化的にも必要性がなく巨大な赤字製造機になると指摘してきました。

全国的にも苦戦し自治体が赤字を補填している2000席ホール、巨大なコンベンション施設の失敗例の後追いになる計画であり、根本的な見直しをもとめてきましたが、市は、いまだ費用対効果、維持管理費、運営費といった数字の見込みを示しておりません。作ってしまえばなんとかなるという類の赤字ではすまない施設と考えますが、いかがでしょうか。

高橋市長は、今回の市長選挙前の予定候補者討論会で、新市民会館計画の維持管理、運営費についての客席からの質問に対し、自ら「採算性は度外視している、スポーツや文化はお金にならない」という旨の発言をされました。これまで4年間、議会で、新市民会館の経済効果、まちなか活性化の起爆剤、等々、とうとうと述べてこられた答弁と真逆の発言で驚きましたが、現実には採算性の見込みのない計画であること、つまり、私たちがこれまで再三指摘してきたことをお認めになったものではないでしょうか。

さらに、今議会で、事業費が27億円増えるとの答弁がありました。田中議員の再質問に、市長はお答えになりませんでしたが、増額にフタをして、選挙をされたのでしょうか。この増額をいつの時点で把握されたのか、権利変換計画策定の際であれば、3月議会の前です。この間、議会も市民もまったく無視して、選挙後の今議会まで隠し続けたと受け取らざるを得ませんが、いかがですか。

また、水戸市の大型プロジェクトでは、工事開始後に、地下に想定外の事態がみつかって工事費増額という事が続いていますから、本計画の設計でも、新市民会館の地下より深くに旧京成デパートの地階部分があり、今後、また、どれほど増えるのか、予想がつきません。再開発事業はお金も時間もかかり、市民の利益になりません。

これほど不公平と不誠実な対応がまかりとおる事業に市民の理解は得られません。これ以上の不信を拡げる前に、今こそ、中止の決断をすべきではありませんか。

 水戸市に、今、一日も早く必要なのは、以前の市民会館のような、1000席規模の活用しやすいホール施設です。市有地を活用した質の高い中規模ホールなら、まちづくりや市民活動の活性化に大きな効果をもたらし、市民が喜び将来にわたって市民の誇りとなる市民会館となるでしょう。多くの市民の反対、反感、怒りを買いながら強引にすすめている現計画を根本から見直し、市民が活用でき、市の文化向上と市民の利益に資する市民会館の建設を、改めて強く求めます。

答弁:市民協働部長

土田議員の,新市民会館整備計画についてのご質問のうち,再開発事業についてお答えいたします。

新市民会館は,水戸芸術館と連携し,本市の教養と文化の発信拠点となり,中心市街地に人の流れをつくり,賑わいと経済活力を生み出す極めて重要な施設であり,市街地再開発事業による整備を進めているところであります。

市街地再開発事業は,事業地内の既存建築物の全てを,施行者である再開発組合が解体撤去するものであり,建物所有者に対しては,解体費用を除いて補償金が支払われる,あるいは,補償基準等に基づき建物の現在価値を客観的に評価して権利変換されることとなります。全ての地権者,借家権者に対し決められたルールに基づいて事業を進めているものであり,特定の企業を優遇するものではございません。

引き続き,市街地再開発組合と連携を図りながら,新市民会館の早期整備に向け,全力で取り組んでまいります。